2007年01月02日
“競走曲”~ 安藤勇太選手×竹澤健介選手 対談 前編~
人間と言う生物が一回拍を打つのにかかる時間…それがおよそ1秒と言う時間である。 その1秒間が60集ると1分間になる。だから、何だと思うかもしれない。 その中でなにができることがあるのかと思ってもいい。もはや何もできない。 しかし、これを八倍にすると、人間が知覚する「今」という時間の幅ができ上がる。 人は時間の単位を細かく切りきざめるほどに、 人生を悠久のものへと昇華することの出来る生き物だ。 1秒いや、その瞬間を生きる彼らはその刹那にどれほどの練習を費やし、 何をみているのだろうかというのは単純に興味がある。 早稲田大学という同じ場所に身をおき、昨年、5000m日本人歴代3位の記録を樹立し、 今年箱根駅伝において華の2区を任されることとなっている竹澤健介選手と、 一輪車100m・200mの世界記録保持者である安藤勇太選手は、 体育会と個人アスリートというコントラストと、 個人競技という共通項は摩訶不思議なコンチェルトを奏でる。 今回はその前編
――竹澤健介はこの一年を振り返って「出会い」という言葉を発し、 安藤はそれを満面の笑みでキャッチすることからこの対談は始まる。 自らの足と一輪車、使うものこそ違うが時間に迫られる競技の中で一人、 立ち向かう彼らは、走ることによって僕らに夢を魅せるのと同時に、 走ることで新しい世界と出会い成長していく。 竹澤:この一年で一番わかったことって、色んな人に出会えるし、 話を聞くと、(新しい世界を)知ることが出来た。 それが今伸びてきたことに一番繋がっているかな。 最初は、走れればいいって思っていて、何とも思っていなかったけど、見てみると、 早稲田にいないと出会えない人もいるわけで、 早稲田っていう大学に育てて貰っているなって思う。 安藤:ああ、確かにそれはあるよね。 竹澤:だって会わないよ。スポーツのできる大学に行けばそうだけど、 勉強もできてスポーツも出来てって中々いない。そういう人と出会えるし、 陸上界でもやっぱり、早稲田系列の人も結構活躍しているし、話を聞くと面白い。 安藤:そうだね、それに結構、早稲田出身だから親身に話してくれて、 早稲田に入ったからこそという感じだよね。そうすると、 他の駅伝が強いところとかはあるけれど、 駅伝だけが強いところとかとは、違うよね。 竹澤:それは全然違う。 安藤:勝てることよりもそういった出会いだとかってところで、違いがでかい。 竹澤:そっちの方が楽しい。陸上競技って言うもので、大学にも入った。 でも別に陸上競技だけにしばられたくない、締められるのがいや。 ああしろとか、こうしろとか。自分が決めたのならいいけれど、 他人に言われたくない。それは俺が決めるみたいな。 安藤:それは小さい頃の水泳から? ――小学生の時に親に通うように言われた水泳をやりたくなかったことが、 竹澤が走ることを始めたきっかけである。 そして、竹澤はそこで勝利の味を占め走り出す。 自分が決めたことはやると言う強い自分の意志で竹澤健介と言う存在は形成されている。 それが苦しいと言いながらも走り続ける彼を支えているものなのだろうか。 上位下達などと揶揄される体育会選手のイメージをいい意味でいきなり裏切ってくれた。 竹澤:そう、多分絶対そうなんだよね。それしかない。 安藤:そういう性格なのだろうね 竹澤:だから、勉強しろとか、~しろって言われると全部反発してきたし。 安藤:でも自分の決めたことが出来るっていうのは凄い強みだよね? 竹澤:今、逆に、今一番いろんな人と出会いたいと思っているっていうのが 今一番大きいかもしれない。もっと凄い人と出会えるし、 もっと凄い人と喋れるようになるし、もっと自分の知らない世界を 見られる。そういうのを見てみたいから。 安藤:ある意味チャンス作りだよね?もちろん速く走りたいし、勝ちたいだろうけど。 もし、走って結果残すことで他の人たちと会うことがなくて。 記録と人に勝つことだけが原動力で普段の練習できるのかな。 竹澤:難しいかもね。それはやらないと思う。 それだけでやっていたら、多分出来ない部分があるし、 逆に出来る部分もあると思う。 どう転がっているかはわからないけれど、でも今の自分にはなっていない。 安藤:会社に入ると、あまり他の世界の人と会わなくなっちゃうからね。 竹澤:勿論、強くなれば色んな人と出会えると思うけれど、やっぱり、 早稲田だから、他の競技の人とか、安藤とかでもこういう機会は絶対ないよね? 企業に入っちゃうと。 ――新しい出会いとは?具体的には。 竹澤:これがっていうのはないです。会えるってこと、 そういう感覚の中にいられることが凄くいい状態。 喋るだけじゃなくて、見るのも勉強です。 (年配の記者さんとかは)インタビューされているのに、 インタビューされている(こっちの)方が勉強になる。 それに日本に来ているケニア人とかと話すと、強気だし、自意識過剰だし、 日本人にはない。日本って言うわけのわからない国にきて、 走れって言われて、そういうところで、言葉も覚えて、 そういう精神力とかって凄いと思う。 安藤:家族も友達も何もかもなくして、 逆にそのくらいの気持ちじゃないとやっていられないんだろうね。 竹澤:そういう人と出会うのって、凄い勉強になるよね。 そういう世界に身をおかないじゃん、日本人って。 安藤:だから色んな人に出会うことって、全部が全部自分に得られるもんじゃないけれど、 こういう考えがあるんだ、こういう人もいるんだって色々見られるよね。 竹澤:ただ、それが何なのかって言うのは結局わからない。 でも、結果的に自分のみになっている気はする。 安藤:自分としてはレベルアップしている気はするよね。 竹澤:気はするよね、これ陸上に生きるなって。蓄えになるし。 安藤:それがお金に価値が換算されるわけでも、タイムが縮むわけじゃないけれど、 気持ち的にレベルアップ、人間として得られた気がするよね。 もちろん学校生活の中で仲間と話すことで得ることもあるけれど、 競技を極めていくと、普通の人は得られない経験・話を聞けるのはデカイよね、 でも多分健介も周りの人に凄い影響与えているよね。 竹澤:わからないけどね。 ――「わからないけど」今回の対談で竹澤が度々使うこの言葉の真意は何かと、 思考をめぐらせて見ると、それは“自分はこう思うけど、 自分が考えているとが全てではないからわからない”という意味に近い。 全てを受け入れるところから、Yesから彼は全てを始める。 彼の話を聞いて思い起こすものがあった。 かのオノ・ヨーコとジョンレノンの出会いは、 オノの展覧会に足を運んだジョンが天井に書いてあった 「Yes」という文字に惹かれたからだという。 そこに書いている言葉がNoであったら何も始まらなかったと後日談しているほどだ。 平然と群集を抜き去り、置き去りにする鋭い走りの孤高の選手らしからぬ、 言葉を発した彼にドキリとした。 特に、箱根駅伝の前、降伏を示す色のマスクを付けてやってきた竹澤がニヤリと笑うと。 何故か、平和主義者という単語が頭の中にポーンとが飛び込んできた。 安藤:そういう風に健介が思っている分、(健介の)回りも思っているんだよ。 今回の対談がしたいなっていうのもそういう気持ちがあったからだもん。 だから、出会いの部分とかも凄く共感できる。 一流になる条件じゃないけれど、大きい。 竹澤:人と出会った数っていうのは大きいと思うよ。 一人の人の意見だけじゃ、物事って判断できない。 色んな人の意見を聞いてそんなかで自分が正しいと思うことを言うしかない。 でも、あまり人のことを判断するような人間にはなりたくないよね。 あまり否定はしたくない、こんなことしているからダメだってすぐいう人いるけど。 安藤:何でそんなマイナスなの?みたいなね。いいところをもっと見つければ。 竹澤:見つかんない場合もあるかもしれないけれど、それを口に出しちゃいけないよね。 安藤:自分の中で消化できないと。 竹澤:嫌だったら、喋らなきゃいい。別に人にそう伝える必要もないし。 あら捜しする必要ないと思う。亀田のこととか色々あったけど。 そういうことって、自分の意見じゃん。そういうことは言わないで、 噛み砕いて、消化できる人間になりたい。 亀田はバッシングを受けたけど、バッシングされる必要もなかったと思う。 安藤:普通にありえないよね。 竹澤:日本人って綺麗ごとで済ませることが多いし、バッシングも凄くする。 その反発じゃないけれど、スポーツを美化したがる。 そういう美化できない人間を排除するでしょ。 そういうのは、廃れていく気がするよね。 よかったら、よかったと判断すれば良い。 安藤:亀田興毅は大きいことを言っていて、反感買うかもしれないけれど、 やっているから言えるわけだし、それだけのことをやっているのは事実。 だから、結果を残せるわけだからさ。 竹澤:何でも言っちゃダメだよね。こういうことを言ったって報ずれば良いけれど。 安藤:どうあるべきはわかんないよね 竹澤:どういう位置づけかわからないよね、社会の上においてどのラインにいるのか。 安藤:やらなくても生きていれることだしね 竹澤:やればやっただけ、努力したら努力しただけ評価が得られるわけでもないし。 安藤:結果だもんね。 竹澤:どれをどう評価していいのかなんてわからない。 安藤:結果だけなのかね。 竹澤:それが悲しいよね。 安藤:でも一般的には結果じゃん、でも自分の成長するところは過程だよね、 結果は結局自分がやってきたことができたかどうかってだけで、結果だけ残っても、 やることやってなかったら意味がない。 でも結果しか見てない一般の人はわからない。 見えてないからこそ、バッシッグもできると思うし。 そこをあんまり真に受けても行けないのかな。 竹澤:真に受けない気持ちもないとダメだよね。何を言われても動じない気持ちとかね。 安藤:自分を信じられるかどうか。 竹澤:自分がこうやったって思えれば、何を言われても動じないのかもしれない。 出来たことに対しては、評価するべきだし。 色々得て、色んなことをやっていけばいい。 俺の意見だけど、そこまで世界一になりたいとか思っていないんだよね。 元々そういう気持ちで始めたわけではないし。 だから、一試合一試合がんばっていきたいと思って今はやっているし、 それ以上は求めていない。 だから、事業団に入ってどうこうとか今は全然考えられないし、 今は一試合一試合一生懸命にやるだけとは思っているけど。安藤勇太選手 愛知県名古屋市出身 小学校1年で一輪車を始め、 日本はもとより世界で活躍する ユニサイクリスト。 フランスの一輪車メーカーKOXX ONEが 世界各国の選手を集めて結成した "TEAM KOXX ONE"の一員として活動する一方、 日本の選手をまとめ、 一輪車界全体の発展にも尽力している。 06年8月にスイスで行われた世界大会で 100mと1500m部門で優勝。 05年に100m11秒69の世界記録を樹立した。 公式HP http://yuta-ando.com/
竹澤健介選手 兵庫県姫路市出身 一年生にして箱根駅伝で “華の2区”を任される 渡辺康幸(現早大監督) 以来の快挙を成し遂げる。 日本代表。 06'夏には5000m13分22秒36という 日本歴代3位の記録を樹立した 早稲田のエースである。
posted by yamagiwaboy1012 |01:07 |
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Re:“競走曲”~ 安藤勇太選手×竹澤健介選手 対談 前編~
記事、おつかれさまです!
けっこうシンプルにまとめましたね。
写真の後ろの青年が気になりました(笑)
ちょっと気になったんですが、
両者に“選手”ってつけたのは何か意図が?
posted by 110kin | 2007-01-02 08:02
Re:“競走曲”~ 安藤勇太選手×竹澤健介選手 対談 前編~
写真の後方は・・・すいません。
公式HPだけじゃなくて、このブログでも多くの人に読んでもらいたいですね!
posted by youhei fukai | 2007-01-02 16:35
Re:“競走曲”~ 安藤勇太選手×竹澤健介選手 対談 前編~
110kinさん
今回は対談ということで、
あまり自分が出ないように、
生のままに出してみました。
選手と付けたのは、言うまでもなく、
尊敬の意を込めているからですね。
posted by 管理人 | 2007-01-03 02:39
Re:“競走曲”~ 安藤勇太選手×竹澤健介選手 対談 前編~
youhei fukaiさん
キャプションをいれたものの、
写真を使用させて頂きました!!
ありがとう。
ちなみに2日の計算でおよそ3600人の方が、
この対談を目にしています。
こういったメッセージをもっと広めたいですね。
posted by 管理人 | 2007-01-03 02:41

人間と言う生物が一回拍を打つのにかかる時間…それがおよそ1秒と言う時間である。
その1秒間が60集ると1分間になる。だから、何だと思うかもしれない。
その中でなにができることがあるのかと思ってもいい。もはや何もできない。
しかし、これを八倍にすると、人間が知覚する「今」という時間の幅ができ上がる。
人は時間の単位を細かく切りきざめるほどに、
人生を悠久のものへと昇華することの出来る生き物だ。
1秒いや、その瞬間を生きる彼らはその刹那にどれほどの練習を費やし、
何をみているのだろうかというのは単純に興味がある。
早稲田大学という同じ場所に身をおき、昨年、5000m日本人歴代3位の記録を樹立し、
今年箱根駅伝において華の2区を任されることとなっている竹澤健介選手と、
一輪車100m・200mの世界記録保持者である安藤勇太選手は、
体育会と個人アスリートというコントラストと、
個人競技という共通項は摩訶不思議なコンチェルトを奏でる。
今回はその前編

