2009年10月26日

J1観戦記:川崎VS広島 「組織力」を発揮した川崎が圧勝!

さて。日曜日は等々力に行ってまいりました。

結果は7-0。3点目以降は、この試合勝たないと後がなくなる広島が前に出てきた所を川崎の強力アタッカー陣が粉砕するという一方的な展開になってしまいましたが、この試合の中では両チームの様々な「顔」が見える、非常に面白い試合だったと思います。

試合の趨勢を決めてしまったのは、広島のビルドアップのミスから奪った2点目でしたが、早い時間の先制点&DF森脇の退場が広島にとって大きなダメージになったのは事実。しかし、その二つは川崎の狙い通りの形が実を結んだ形と言えると思います。


以下、簡単な観戦記です。



■3バックの攻略


予想通り、広島はやや慎重な立ち上がり。川崎が主導権を握った形で試合が展開する。

あまり国内で3バックのチームを見なくなったが、相手が3バックである場合は、WBの裏、ストッパーの横のスペースをどう攻略するのか、どのように守るのか、ということはポイントとなるわけだが、広島は守る時はアウトサイドがポジションを下げて、5バック気味に守ってくる。

つまり、アウトサイドの裏ではなく、スペースは前にある。キーになるのはサイドバックだ。比較的フリーでボールを持てるサイドバックのプレーの選択は、重要になってくる。



■準備してきたことが試合に出た川崎の攻撃

※と書いているが、実際に麻生で練習を見ていたわけではないのでご容赦を。

ここで、サイドバックがフリーでボールを持てるからと言って、安直にアーリークロスを狙ったりすると、結構簡単に跳ね返されてカウンターを貰ってしまうものだが、さすがというか、川崎はそういうプレーはほとんど無かった。

サイドバックが起点になった時、サイドハーフを含めた選手が連動して裏のスペースを狙って来る。サイドバックがフリーでボールを持って斜めにパスを入れた瞬間には、必ず誰かが3人目の動きをしてくる。しかも前線の4人の選手が比較的自由にポジションを変えながらランニングしてくるため、常に広島の守備は後手を踏んだ状態で対応していた。

1点目は典型的な形で、フリーでボールを持った森に対して、服部が縦を切った対応をしたところ、中に切り込まれてボールウォッチャーになった瞬間に、裏のスペースを攻略されてゴール。その前にも何度かサイドバックを起点にしたパターンから裏に抜け出されており、この先制は「個」の力が際立つ川崎が「組織的・戦術的」に広島を上回った結果であるとも言える。関塚監督が準備してきたものが、ピッチに出たということだろう。お見事である。


■数的不利でも盛り返す広島


前半30分で、左ストッパーの森脇が退場。一気に苦しくなった広島だが、森崎和が右ストッパーに回り、高萩(多分)がやや下がった位置に入り、形を崩さないことで対処する。川崎は退場者が出たことで、逆に慎重になったせいか、やや後手に回るように。

最終ラインからビルドアップして、中央でのコンビネーションで川崎を混乱させてからサイドを使う形と、ロングパスで佐藤寿人を走らせる形から何度かチャンスを迎える。このあたりはまた見事である。

ただ、やはり退場者を出していることが痛い。崩しかけても「もう1人欲しい」というところで人が足りない印象。ペースを取り戻しつつも同点にすることは出来ないまま前半は終了する。


■そこにリスクがあったとしても

ハッキリ分からないが、後半は川崎が守備のやり方を修正したように見えた。多分、中央エリアへのクサビを入れて、そこで連動して動き出すところを狙って、逆にカウンターを狙うような形にしたと思われる。

2点目を取ったのは広島のミスからだったが、広島のクサビを潰して、前線の3人が自在に攻めるような形が随所に見られた。関塚監督の修正能力が光っている。


ところで、広島のGKからのつなぎだが、前からプレッシャーを掛けられているのに、大きく蹴りだすことがほとんど無い。あろうことが、プレスを掛けられている間から中盤に楔を打ち込んだりするので、それがまた心臓に悪いことこの上ないのだが・・・。

実際試合を決定付ける2点目を取られたのはGKのミスからだったが、それでもこのスタイルを広島は貫いていくのだろう。失点を重ねても、重ねても、攻める姿勢を崩さなかった。交代出場で出てきたDF横竹が、コンビネーションからPAに進入してきてシュートを放ったシーンに象徴されている。

GKからのつなぎも、中央のクサビも狙われているのにそれを愚直に貫こうとする広島。リスクがあるし、効率が良いとは決して思えない。それでも彼らは自分たちのスタイルを信じている。そして、サポーターもあれだけボコボコにやられても声援を止めることがなかったのは、そういう気持ちがあるかではなかろうか。

1年でのJ2復帰も、今の順位も、そのスタイルを貫いている結果。決して下を向く必要は無いだろう。



難敵・広島を完膚無きまでに叩いて川崎は首位キープ。この勢いが持続できれば、チームの初タイトルは目に見えてくるでしょう。繰り返しになりますが、一方的になるまでは、見所が多い、面白い試合でした。


ところで、この2チームは、「サカつく6」でも結構遊びやすいチームなのではないかと思います。

川崎は前年度順位がよいため、初期資金が豊富。攻撃力があるチームで、比較的選手も揃えやすい。広島は、若手が多いため伸びしろがある。両チームのサポーターの方々も、そうでない方も、ぜひプレイしてみてください。

posted by 山田理一郎 |18:11 | J1 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年10月23日

J1:川崎VS広島 プレビュー ~ベクトルの違う攻撃力~

さて、「サカつく」からちょっと離れたエントリーですが、ご容赦を。


J1も30節を向かえ、残り5試合となりました。日曜日には注目の上位対決「川崎フロンターレVSサンフレッチェ広島」を等々力に見に行きたいと思います!!これはメチャメチャ楽しみです!


では、この両チームについて簡単に。


この2チームには、2003年に共にJ2で昇格を争っていたという因縁があります。結果、勝ち点1差で川崎が涙を呑み、広島は1年でのJ1返り咲きを果たしています。

しかし、川崎はその後の1年を無駄にせず、驚異的な強さでJ2を制覇。その後の順調な歩みはご存知の通りです。

長身・屈強なDF陣と強烈な個人の力を持つ攻撃陣。そしてその二つを繋ぐ中村憲剛の成長と共に、川崎は今やJリーグ屈指の強豪クラブとなっています。


対して広島は、一歩先んじてJ1に上がったものの、川崎の後塵を拝する結果となってしまいます。2007年には、入替戦で京都に破れ、まさかの降格。


しかし、降格しても監督の交代をしない、という異例の人事が功を奏し、川崎同様、J2を圧倒的な成績で勝ち抜き、「パスサッカーの広島」として、今J1を席巻しています。


■対照的なスタイルの両チーム


共に攻撃的なサッカーというイメージがある両チームですが、その内容自体はかなり異なるものです。


川崎は、「個人頼り」というわけではないですが、最終局面の崩しでは、やはり強烈な個人の力が目立っています。ジュニーニョやチョン・テセといった圧倒的な「個」の力を持つ選手がDFと一対一になってしまえば、個人で状況を打開してゴールにつなげてしまう。選手としても「特技」がある選手が目立っているという感じです。

オーソドックスなベースの中に、個人の力がある。「強い」というチームの典型的な形が「川崎」というチームなのではないでしょうか。


そういう意味では広島は間逆のチームです。


前線の人数もDFラインの人数も時によって変化する変則的なシステム。極端に高いワイドな位置に張り出してくる両WB。そして頻繁に見られるストッパーの攻撃参加。そしてドリブラーは少なく、複数人が絡んだコンビネーションで決定的な場面を量産して来ます。


変則的なベースの上に、複雑怪奇なパスワーク。「強さ」よりも「面白さ」が際立っているのが「広島」というチームだと思います。



■共に攻撃的ながらも・・・


攻撃的なサッカースタイルの両チーム。明日は誰もが打ち合いを期待している・・・というところですが、案外そうならない可能性は高いと思います。広島は前節、2-0から追いつかれ、あわや逆転を喫する寸前まで追い詰められています。こういう試合のあとは、チームの守備意識が意外に高くなるものです。

また、広島はもともとラインを上げて前からプレッシングしてくるチームではありません。守備意識が高まった場合、かなり慎重な戦い方になる可能性もありえると思います。

カウンターの強烈さが川崎のウリでもありますので、こういうスペースを消される形になると、ロースコアで決着がついてしまう可能性はありえると思います。



■両チームの注目選手

という前提ですと、やはり川崎では、タクトを振るう中村憲剛のプレイがキーになりそうな気がします。引いた広島を動かし、ミドルシュートで脅かすことが出来るか。

広島側は、引いた形からでもゴールを奪える形を作りたいところ。ストヤノフは居ないので、一発のロングパスで寿人に合わせてくる青山とスペースがあればパワフルな突破が生きそうな右サイドのミキッチがキーマンになりそう。




まあ、予想した展開になるかは分かりませんが、首位に立った川崎と後がない広島。熱い試合になるのは間違いないでしょう。注目です。


posted by 山田理一郎 |21:16 | J1 | コメント(6) | トラックバック(0)
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