2008年08月21日

ジョン・マッケンローが最大のスター!?

オリンピックのテニスは、男子がナダル、女子はロシア勢がメダル独占と、
現在の趨勢を見極めたり、来週から始まるUSオープンの展望を
占う上で、興味深い結果になったように思います。


その、USオープン。オリンピック狂騒に隠れた感が強いですが、
アメリカ国内では、「coming soon!」的なCMも流れています。
特に、毎年豪華に、趣向を凝らして作られるのが、
全米をまたにかけて行われる「US Open series」のCM。
西海岸から東海岸へ、USオープンの開催地であるNY目指して
選手たちが大型バスで旅する、という「ロード・トリップ」をコンセプトに
作られているのですが、今回、このCMシリーズで、
ジョン・マッケンローが出ずっぱり。

例えば、ナダルが主演するバージョンでは、ナダルがバスを運転し、
そのBGMには、スペイン風の情熱的なギターの音色が流れる。
だが何故かナダルはご機嫌斜めで、
「信じられない」「全くもって、バカげてる」と一人ごちる。
と、カメラが後部座席を写し、そこには、実はBGMだと思われていた
ギターを一心不乱に弾いているジョンが居る……という内容。

あるいは、トレーラーの中でジョンとフェデラーが
コーヒーを飲んでいる。ふとフェデラーがジョンのマグカップに
目をやると、そのマグカップには「World's greatest tennis player!」
と、デカデカと書いてある。フェデラーが「それ、どこで手に入れたの?」
と聞くと、ジョンは「81年だよ。なあ、このカップをかけて、勝負するかい?」
と返す。「遠慮するよ。これは、あなたが持っていると良い」
と丁寧に辞退するフェデラーに対し、ジョンは、
「ふふ~ん、ビビッてんだな」と口の端を上げて、
誇らしげにカップを手にする……というものもある。
とにかく、どのCMも「ジョン・マッケンロー フィーチャリング○○」
と言った趣き。

そのジョン、LAで行われたCountrywide classicでは、
シニアマッチのためにラケットを手にしコートにも登場した。
彼の試合は、平日のナイトセッション、ロディックの試合に
続いて行われたのだが、試合が始まったのは、すでに22時近く。
ところが、ロディックの試合を見るため集まったほぼ満員の観客の
多くは、席を立つことなく、もはや50に手が届こうかという
往年のスターの試合を見守っていた。
もちろんエキシビジョンマッチだからというのもあるが、
マッケンローがコートに立つだけで、なんとなく客席が
ワクワクしているのが伝わってくる。試合前の
場内アナウンスもイかしている。
「観客のみなさん、もし携帯電話の電源が入っているようでしたら、
どうか、ジョン・マッケンローのためにそのままにしておいてください」
ってなもんだ。

試合は、別に正直、どうでも良いです。ただ、相変わらず
ボレーは上手で、そして彼がネットに詰めるために観客は大喜び。
「明日、じっくり休んでいいから、今日はサーブ&ボレーを見せてくれ!」
と、彼の代名詞を要求する声も客席から飛ぶ。
そして何より、サーブ&ボレーと並ぶ彼の代名詞、
「you can not be series!!」(ふざけんな!)の罵詈を
聞かないことには帰れない、という期待感(?)が、
客席からはありありと伝わってくる。 

ジョンのこのセリフを聞かずに帰るというのは、間寛平の
「かいいの」や、上島竜兵の「訴えるぞ!」を聞かずに
劇場を後にするようなもの(例えが古いか?)
そして、観客のそのような心理を知ってか知らずか、
マッケンローも、ラケットを投げたり審判に文句を言ったりはするものの、
件の一言はなかなか口にしない。
そして試合終盤、彼が例の一言を吐き出した際には
客席はこの日一番といっても過言ではない盛り上がりを見せ、
そしてみな、大いに満足して帰路についた。

好みや是非はともかくとして、アメリカはスポーツイベントをショー化し
盛り上げるのが、やはり上手い。欧州スポーツであるテニスでも、
アメリカの大会では、コートチェンジ間に様々な余興を行い、
観客を飽きさせないよう務めている。
それはそれで楽しいし良いことだと、個人的には思っている。
ただやはり、ジョン・マッケンローのような、「観るに値する」
選手の存在には、どのような余興も敵わないなと、
改めて実感させられた。そしてそれは同時に、
マッケンローを上回るタレント、キャラクターが現在の
アメリカテニス界に居ないという事実を、浮き彫りにもする。


話は長く、オチは思いつかない。まあ、いっか。
エナンは突如去り、フェデラーは永遠に居座るかと思われた
一位の座を受け渡した。先のウィンブルドン男子決勝は、
多くの人々から「史上最高の一戦」と称されている。
今年のUSオープン、面白くなる要素は満載のはず。
マッケンローはカリズマティックだけど、彼が出てくる余地もないくらいの
大会の盛り上がりに期待。

※マッケンローのせりふ「series」ではなく「serious」です。
嗚呼、物凄く恥ずかしい、スペルミス……。

posted by writing3 |04:14 | テニス | コメント(7) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年08月14日

急に思い出した、ちょっと昔のお話

もう半年前ほど前の話になるけれど、
『ESPN magazine』の10周年記念号のカバーに、
イチローが選ばれていた。


テニスの大会に行くと、ちょくちょく会う、『ESPN magazine』の女性記者が居る。
ブロンドの長いストレートに、パリス・ヒルトンばりの大きなサングラスをかけ、
いつもどこか不愉快そうに試合を見ている。

そんな彼女をわたしは最初、「おそらく、どこかの新聞社の記者で、
好きでもないスポーツ部署にまわされてフテてるんだろな」
と思っていた。だから、ESPNマガジンの記者と知り、かなり驚いた。

彼女と初めて会ったテニスの大会が終わってしばらくたったとき、
何気なく同雑誌を手にしたら、彼女が書いた
マルチナ・ヒンギスに関する記事がのっていた。
とても良いものだった。


先述の、イチローがカバーになったそれが出た後に、
彼女に会う機会があったので、その件に触れてみた。
すると、彼女は言った。
「イチローがMLB界に与えたインパクト、
そしてベースボールの国際化への貢献を考えたとき、
彼はこの10年でもっとも重要なアスリートの一人だからね」

そして、こう続けた。
「私の父は、メジャーリーグチームの海外スカウトをやっててね。
私が小さいころ、よく日本にも行ってたの。そして帰ってくるとき、
いつもお土産を買ってきてくれたわ。
アニメの柄が付いたパジャマだったり、人形だったり・・・
今思えばたわいのないものだけど、でも私は、
『遠い国から来た、クールなものだ!』
と思って、すごく興奮していたの。
それが今や、日本からもこれだけの選手がMLBで活躍してるんだもの。
すごいことよね」

そう、すごいことだと思う。


  • 共通ジャンル:

posted by writing3 |13:37 | ロサンゼルス | コメント(7) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加