2006年09月14日
大会を通じて僅か1セットしか落とさないという磐石の強さを見せて全米OPを制したシャラポワですが、彼女の周囲はとても騒がしかった。その最大の理由は、パパさん&コーチが、ファミリーボックスから試合中に何かと指示を与えていた……という疑惑のため。「疑惑」と書いたのは、テニスの試合ではたとえ正規のコーチであろうと、選手に指示やサインを送るのは禁じられているからです。
シャラポワ・パパことユーリさんのコーチング疑惑が囁かれたのは今回が初めてではありませんが、やはり舞台が全米OPと大きかったことと、大会を中継したCBSが、執拗にコーチがバナナをかざしている姿と、それに呼応するようにバナナを食べるシャラポワの姿をカメラに捕らえていたことが、これだけ事が大きくなった要因でしょう。
この問題は優勝後の会見でも焦点になりましたが、そのときシャラポワは、「グランドスラムのチャンピオンになりながら、バナナの話なんてされるとは思わなかった」「そんなにバナナが重要なら、他の選手たちにも『バナナを食べろ』って教えてあげればいいじゃない!」と、気色ばんで反駁したそうです。
ところが、そんな一触即発な雰囲気も漂った会見からわずか2日後、テレビのトークショーに出演したシャラポワは、この「バナナ問題」に関し、自ら真相を明かしたのでした。
で、内容はというと、これが大方の人が予測していた通り。
「わたしは試合に集中してゾーンに入ると、食べることも飲むことも忘れちゃうの。だからコーチが、いつもああやってわたしに思い出させてくれるのよ」
……これは、完全にコーチングが存在したことの肯定です。ただ本人は、さも何事もないようにケラケラと笑いながら、この「秘話」を明かしてくれました。シャラポワ陣営が、どのような経緯があってこの「自白」に至ったのか、それは推測することしかできません。タイミングから考えて、「このまま黙秘し続けるより、先手を打って公開し、罪の意識がなかったことを強調した方が得策」という判断だったのではとわたしは邪推しますが、あくまで邪推にしかすぎません。そしてルール的に、このコーチ陣の行為が「試合中の選手への指示を禁ずる」というテニスの規約に抵触するのかどうか……そこも微妙だと思います。例えば、試合中に大概の選手はコーチの方をチラチラと見ます。そのときコーチが「いい感じだぞ!」といった表情でうなずいたとしたら、あるいは否定的な表情や仕草をしたら、それはコーチングになるのか? 厳密なことを言うならば、「現状のプレイで良し」あるいは「ダメ」というサインを送ったということになるようにも思います。
まだ、このシャラポワの発言を受けての世間の反応というのは、目だって見えてきてはいません。現在、コーチング制度に関しては抜本的な改変も行っている最中ですから、これを期に、いろいろ不鮮明な点をはっきりさせてもらいたいと思います。
posted by writing3 |18:29 |
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2006年09月11日
全米OPの準決勝の対モーレスモ戦を見て、シャラポワが今年、負けるたびに再三繰り返していた言葉を思い出した。
「我慢が必要だった」
シャラポワは、下位の選手に取りこぼすことがほとんどない選手だ。だが逆に、上位の選手に勝つこともない選手なのだ。クライシュテルス、モーレスモ、そしてエナンといった現在のトップ3には、ここ2年間ことごとく負け続けてきた。
完敗ではない。いつも「今大会のベストマッチ」と賞されるほどの大熱戦を演じた末の、惜敗だ。どちらに転がってもおかしくない展開にありながら常に負けていることが、逆に、欠けている「決定的な何か」の存在を浮き彫りにする。それが、本人が言うところの「我慢」という言葉に集約されるのだろう。
「真にトップクラスの選手と戦うときは、ラリーの中で我慢をする必要がある。いつも攻めてるばかりではダメ」
わたしが覚えている限りでも、この一年間で3回はこのコメントを残していたはずである。
そして迎えた今年8月のサンディエゴ、初めてクライシュテルスを破り優勝した際に彼女は、「大切なところで我慢できたのが大きかった」と、自身に課し続けてきた課題をクリアしての勝利であることを強調した。
話は戻って、今年の全米OP。シャラポワにとってモーレスモは、7月のウィンブルドン準決勝でも辛酸をなめさせられた相手である。そのときも彼女はやはり「攻め急いで失敗してしまった場面がいくつかあった」と反省の弁を口にしたが、今回の試合を観ていて、「おっ、我慢してるな!」と関心させられた場面が、いくつもあった。普段の彼女なら、ムリに強打にいくか、あるいは中途半端なドロップショットを試みネットにかけていたであろう場面で、つなぎのプレーに徹して体勢を立て直す。攻め一本槍ではなく、しのぎながら虎視眈々と好期をうかがう、オトナなプレイヤーの姿がそこにはあった。
同じことは、決勝戦でも見ることができた。決戦の場に向かう直前、テレビコメンテーターであるメアリー・ジョーから「本日の重要ポイントは?」と聞かれたシャラポワは、「我慢。そして賢くサーブをすること」と答えたが、まさにその二つのキーワードに徹した末の勝利であることは、試合を見た誰もが感じたはずだ。
「我慢体得」という、響き的にはシンプルな課題を達成するのに、彼女は約1年を要した。でも、明らかな問題点をクリアにしての優勝は、2年前のシンデレラ・ストーリーのエンディングとしてのウィンブルドン優勝とは、明らかに含意が異なる。わずか一月の間に、クライシュテルス、モーレスモ、エナンという“天敵トリオ”すべてを下した事実は、彼女が次のステップに上がったことを意味しているはずだ。
シャラポワは、2年連続で「最も稼いでいる女性アスリート」の栄冠を手にしている(収入のほとんどは、スポンサーとの契約金)。その一方で、テニスではこの2年間、グランドスラムのタイトルから遠ざかっていた。
本業の実績と収入の乖離に、一部からは非難の声も上がっている。会見場でも「お金のことは忘れて、そろそろテニスに本腰を入れるべきではないか?」などという意地悪な質問が飛んだこともあった。だがシャラポワ本人は、本業でも着実に成長を果たしている。
「Make everyshot a powershot」は、シャラポワが出演しているCanonのカメラのキャッチコピーだが、皮肉なことに彼女は、全てのショットをパワーショットにしないことにより、さらなる強さを身に付けたのだ。
posted by writing3 |02:46 |
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2006年09月04日
アンドレ・アガシの21年におよぶ旅が、ついに終焉を迎えてしまいました。
ピリオドを打ったのは、ドイツのベンジャミン・ベッカー。
誰だよ、オマエ……。
B.ベッカーの名で表記される彼は記者陣の間でも無名で、ウィンブルドンのときには「まさか、ボリス・ベッカーが復帰したんじゃ!」なんて冗談半分で話題になっていた選手が、アガシの最後の対戦相手として名を残すなんて。
ものすごくつまらなそうにしていたグラフの顔が印象的だったな~。
「相手がドイツ人で、まだよかったわ」なんて思ってたんでしょうか。
もうすぐアガシの会見が始まると思うんだけれど…。
posted by writing3 |03:51 |
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