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【リオ五輪特集】世界王者破って5位入賞に「力出し切れた。悔いはない」…レスリング男子グレコ66kg級・井上智裕(三恵海運)

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 【リオデジャネイロ、文=増渕由気子、撮影=保高幸子】世界王者に勝っての5位入賞だ! リオデジャネイロ・オリンピックの男子グレコローマン66kg級は、井上智裕(三恵海運)が初戦で敗れながらも、敗者復活戦を勝ち上がって3位決定戦へ。敗れたものの5位入賞で、初日の太田忍(ALSOK)とともに好成績を残した。

 “グレコローマン消滅の危機”――。昨年9月、リオデジャネイロの第1次予選を兼ねた世界選手権(ラスベガス)で、男子はメダル「0」、出場枠「0」と惨敗した。特にグレコローマンは8階級のほとんどが1回戦敗退となり、厳しい新聞記事の表現があった。

 アジア予選で2枠を確保するも、史上最低の枠数だったことに変わりはない。「グレコローマン、大丈夫なのか?」と心配する声は絶えなかった。

 そんな心配を吹き飛ばすかのように、初日の太田が初出場で銀メダル。西口茂樹・男子グレコローマン強化委員長(拓大教)は「井上の仕上がりもいい。期待できる」と、2人そろっての活躍に太鼓判を押していた。

■初戦の完敗に、敗者復活戦は「失うものは何もない」と発奮

 満を持して初戦のマットにあがった井上は、2014年の世界王者ダボール・ステファネク(セルビア)と対戦。序盤にパッシブをとられてグラウンドに持ちこまれると、がぶり返し3発でテクニカルフォール負け。試合時間2分7秒と、あっけない試合だった。

 魔法が解けたかのような厳しい現実に一瞬凍りついたが、井上は”持っていた”。ステファネクが決勝に駒を進めたことで、井上に敗者復活のチャンスが巡ってきた。

 このチャンスに、井上は「1回戦は何もできなくて終わった。もう失うものは何もない。相手の得意技を防いで、(攻撃の)ワンチャンスをものにすることだけを考えた」と、敗者復活戦の相手が現役の世界王者のフランク・スタエブラー(ドイツ)だろうが、心がひるむことはなく、自分の力を出し切ることだけに集中した。

 試合は、井上の狙い通りロースコアで1、2点を争う展開に。終盤、ミスで場外に出てしまい、2度目のパッシブと合わせて0-2とリードされたが、残り30秒、ゾーン際に追い込んでからのこん身の胴タックルでテークダウンを奪った。

 最初は場外ポイントの1点という判定だったが、セコンドの松本慎吾コーチ(日体大監督)が素早くチャレンジを申請。ビデオ判定の結果、2点に修正されて残り20秒で2-2となり、ビッグポイント差での逆転勝ちだった。

■紙一重の勝負だった3位決定戦

 銅メダルマッチは、世界選手権7位のシュマギ・ボルクバーゼ(ジョージア)と対戦。互いにテクニカルポイントはなく、終盤まで拮抗(きっこう)した展開になったが、先に2度目のパッシブを受けたのは、非情にも井上だった。

 西口強化委員長は「どちらが取られてもおかしくない状況。僅差の戦いだった」と話せば、松本コーチは「紙一重の勝負。最後、相手が少しだけ前に出る気持ちが強かった」と述懐。いずれも「勝たせてあげたかった」と、2人の世界王者との激闘の末につかんだメダルのチャンスを逃したことに悔しさをにじませた。

 一方、井上自身は、悔しさと達成感が入り混じった状態だった。大学時代は無冠で、卒業後は高校教師となり、指導のかたわら試合に出続けていた。

 そこから一念発起し、三恵海運で”プロ選手”となり、昨年まで71kg級や75kg級で活躍。66kg級としては1年前まで強化選手のリストにも入っていない選手だった。そこから10kgに及ぶ減量を乗り越えてオリンピックのマットに立った苦労人だ。

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