2008年08月09日

日本vsアメリカ 跳躍のための試練

 いやーいよいよ始まりましたね北京オリンピック。普段陽の目を見ないマイナースポーツでさえ全世界の人が見れちゃうのだから、やっぱり凄いイベントです。スポナビのこのページには競技種目の一覧が載っているんですが、こうして見ると意外と少ないような気もしますが、陸上とか水泳とかもひとまとめになっているので、実際にはさらに細かくカテゴライズされます。

 その中でも勝手に注目してるのが「近代五種」。こんな競技あったのか知らない人も多いでしょうが、歴史は古く、1912年のストックホルム開催から続く伝統の競技。その一方、競技内容は相当ハードで、射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニングの5種を1日でこなすらしい。鉄砲撃って剣構えて馬乗って走って泳ぐんだぜ! ムチャすぎ! 超見てえ! 日本からは自衛隊の村上選手が21日に登場する。日本人選手としてはバルセロナ五輪以来の出場とのこと。なのに、テレビ中継やらないらしい。う~んイケズやなぁ。


 ……と、前置きが長くなったのは、日本代表の敗戦の話題を避けたいから(トホホ)。あーあ負けちゃいました。このところの世界大会では、1998年W杯、2004年五輪アテネ、2006年W杯、そして今回の2008年五輪北京と、初戦負けが4回もあります。実力がないというのもありますが、もはやお家芸とも云える初戦の弱さには唖然です。とはいえ、このまま負けて黙っているわけでもないでしょう。負けスタートの2戦目はいずれも勝てていないため、ナイジェリア戦は底力を見せてほしいところです。日本の悪しき伝統を断ち切るのはこの機会以外はありません。今こそ跳躍する力が試されます。

 試合後、結構時間が経っており、明日すぐに第2戦目が行なわれるということもあるので、今回はフォーメーションの画像と自分でカウントしたチャンスシーンの経過を載せるだけで終わらせます。


■試合開始時

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2008年05月30日

日本vsCIV 成功体験は得られないまま

 トゥーロン国際大会の日本の最終戦、コートジボワール(CIV)vs日本。コートジボワールのスタメンはこちら。

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 GKに16歳(ホント?)のオクワ。DFは4バックで、CBはディアラッス バとディオマンド、RSBにメテ、LSBに安藤隆人さんのブログで注目選手に挙げられていたジャクパが入ります。MFはアンカーにワッタラ、中央に司令塔のコネ、右ジャジェジェに左アントニ。FWはニアンクボでセカンドストライカーのフォファナ。4-4-2、4-5-1のような形でスタートします。


 日本はこちら。

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 チリ戦でまったく通用しなかった4-4-2を敢えて採用してきました。FWの李・エスクデロ、MFの水野・上田・細貝、DFの水本・田中の7人ははチリ戦と同じ。そこにMF梅崎、DF吉田、伊野波、GK林が入ったフォーメーションとなります。


●好調な展開もフィジカルで失点

 試合は序盤から日本ペース。4分、ロングボールの攻防からLSB田中へ入ったボールを水本へ回し、水本が相手DFとMFの間のスペースに入っていた李へロングスルーパス。これを受け正面を向いた李がロングシュートを打ちます(枠を外れる)。5分には相手ボランチを3人で囲みこぼれたボールをエスクデロが奪いドリブル突破(DFに防がれる)。6分、梅崎が、左サイドのスローインを受け、DFを背負いながらキープするエスクデロとスイッチ。ゴールラインギリギリまでドリブルしクロス(右サイド水野がトラップミスでシュートを打てず)。16分、水野のコーナーキック→エスクデロのヘッドがポスト。18分には、自陣での細かいパス回しから梅崎がロングボール→エスクデロがキープ→フリーの水野というシーン(シュート前にDFにカットされる)……などなど。日本は、相手ボールが中盤・DFラインに入るとともに、複数人が素早いチェックでボールを奪い、チャンスに繋げるシーンを数多く作り、相手にまったくチャンスを作らせませんでした。

 コートジボワールは15分辺りから徐々にボールを持ち始めます。19分にはアントニが前に伊野波を置きながら強引なシュート。25分には伊野波のクリアボールを拾ったジャクパがシュート気味のクロスを入れ、これをアントニがダイレクトシュート。いずれも林が防ぎますが、10番のコネがしっかりとボールをキープするようになり、チャンスが生みだせるようになりました。

 対する日本も29分、左サイドの田中から梅崎→エスクデロと渡ったボールを、パス後もオーバーラップを仕掛けた田中が再び左サイドで受け、田中→李→エスクデロと小刻みなワンタッチパスでシュートチャンスを得ます。しかし、ここぞというところでなかなか良いシュートが打てません。

 そうこうしているうちに、30分、点が決まります。コートジボワール攻撃陣は右サイドのスローインから、日本DFのチェックを受けつつも、左サイドのジャクパへボールをつなぎます。ジャクパは中央のフォファナへパス。水本がこれにチェックに行きますが、フォファナは水本よりも一瞬速くボールに触り、まるで回転扉のように反転し、水本と体を入れ替えます。これでゴール正面でフリーになったフォファナは、吉田がカバーに入る前に力強いシュート。ボールは林の手をかすめてゴールネット右に突き刺さります。相手の身体能力の高さも分かりますが、水本は前に出たからにはしっかりと止めたいところでした。

 コートジボワールは31分に、アンカーをワッタラに代えてクリバリを早々に投入し、より守備を強化。日本は失点前のような攻めがまったくできません。結局このままコートジボワールの1点リードで前半が終わります。


●交代選手の活躍。しかし……

 後半は日本がペースを主に握ります。47分は水野のフリーキックに細貝と李がフリーで合わせに行きます(重なりすぎてGKが弾く)。65分には上田からのロングボールに細貝がGKと1vs1のチャンス、67分にはスローインを受けた水野が李とのワンツーで抜け出しシュートを打ちます。対するコートジボワールは長身のFWシセを投入するほか、57分の二アングボのミドルシュート、64分にはコネの強烈なフリーキックなどで対抗します。

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 ここで日本ベンチは選手交代。動きがそれほど良くなかった水野に代えて本田、上田に代えて森重を投入します。ここまで途中交替選手があまり機能しなかった日本ですが、今日は見事に結びつきます。

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 71分、左サイドの田中が前戦にボールを出し、相手DFが弾いたボールが梅崎の下へ。梅崎が中央出したボールが森重に渡り、ここで森重はドリブル突破で前線へドリブル突破。これを相手DFがマークをしてきましたが、開いた左サイドの李へパス。李はラインギリギリのエリアで利き足の左足で中央へクロス。中央で森重が待ち構えますが、クロスボールはその先のエスクデロへ。これをエスクデロがワンタッチで押し込んでゴール。1-1となります。

 81分には、梅崎のコーナーキックから森重がヘディングでゴール。2-1とリードします。当たりに強い森重はこの2得点にからむ大活躍。反町監督の起用がものの見事に当たったことになります。

 しかしここからコートジボワールの逆襲。85分にはアーリークロスからシセのヘディング。ロスタイム91分にはコーナーキックからディオマンドのヘディング。そして92分は、ペナルティエリア内で森重を背負いながらボールをキープするコネが、オーバーヘッドキックで中央にセンタリング。フォファナがヘッドでそらしたところを、シセが足から強引に合わせようとします。一度水本がクリアするものの、ボールはシセの体に当たり、跳ね返りのボールがゴールへ入り、2-2。コートジボワールが土壇場で同点に追いつき、日本はあと少しまで手中に収めていた勝利を手放してしまいます。

 試合はこのまま延長なしのPK戦へ。もちろんここで勝つことだってできた日本ですが、4人目、5人目の李と水本が連続の失敗。1人だけ失敗したコートジボワールが3位の座に輝きました。


 日本は失点後に追いつくという強さを見せた一方で、すぐに同点に追いつかれ、PKでも負けるという勝負弱さも同時に露呈しました。イタリア戦同様、「健闘した」ものの「勝ち抜けない」というジレンマは解消されないうちに、トゥーロン国際大会を4位で終えることになりました。トーナメントを勝ち抜くという成功体験は結局得られなかったのは、本大会に向けて大きな不安要素といえるでしょう。

 今日の試合だけを見れば、相手の中盤にプレッシャーを掛けてボールを奪えていましたし、ボールキープする時間もかなりありました。チリ戦ではまったく機能しなかった4-4-2のフォーメーションですが、今日は非常によく回っていたように見えます。交代選手も活躍し、トゥーロン大会の集大成といえるような内容でした。

 しかし、ゴール前のフィジカル負けで失点してしまっては元も子もありません。「フィジカルの強い相手には組織で守る」といっても、最終的に1vs1で対峙せざるを得ないシーンはかならず出てきます。本大会で当たるナイジェリアもフィジカルの強さが予想されますが、ここは今日の悔しさを糧にしてもらいたいところです。

 それとPK戦。PKはもちろん運の要素も相当に大きいですが、メダルを目指す以上はPKで勝ち抜く必要性に迫られるシーンもあるでしょう。そんなときに、今大会のようにサクッと負けていては話になりません。反町監督は今日の試合終了前にPK要因として森本を投入していましたが(森本はPK成功。しかも左足で!)、このようなPK用の策というのも十分に考えておく必要がありそうです。

 コートジボワールはやはり個人技の高さが見もののチームでした。15番のジャクパ、10番の司令塔コネ、先制点に繋がった圧巻のテクニックが光る11番のフォファナなどは、きっと本大会にも出てくることでしょう。中盤のプレッシャーはそれほどでもありませんでしたが、やはり攻撃陣の能力の高さは脅威。日本代表には本大会でのリベンジを期待します。

 多くの収穫と課題が見受けられた、非常に面白い大会でした。日本代表、ならびに各国代表の皆様、さらに試合を観戦し続けたファンの皆様、お疲れ様でした。来週に大会を振り返るエントリーをアップしたいと思います。


posted by うぃれっず |10:46 | 北京オリンピック日本代表 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2008年05月29日

日本vsイタリア 攻めて守って勝ち抜けず

 トゥーロン国際大会の準決勝、日本vsイタリア。本当は28日中にアップする予定でしたが、録画に失敗してしまい(ハードディスクじゃなくてDVDレコーダーで録画する悲しきサラリーマンなのです)、再放送を見てやっとの執筆になります。読者の皆様も結果はご存知でしょうし、しかも最終戦は今日深夜! いつもよりあっさり目で済ませましょう。

 ではまず日本から。今日は梶山を右サイド気味に置いた4-5-1でスタートです。

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 続いてイタリア。3センターとFWの間を、ユベントスからエンポリへ出向中のジョヴィンコが自由自在に動き回るというフォーメーションです。

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 試合序盤10分間はいきなりのイタリアペース。日本は一切ボールを持てません。3分にはフリーキックから、その後にもジョヴィンコにGKと1vs1のシーンを作られるなど、日本はこの先どうなってしまうのか、と先行きが不安になるスタートとなりました。

 しかし次第に日本は中盤の守備からリズムを掴みます。13分、イタリアのディフェンスラインのボール回しにプレッシャーを掛けて、苦し紛れのロングボールを北斗がカット→青山ワンタッチ戻し→梶山→森本→オーバーラップでフリーの北斗がクロス(中央では誰も合わず)。14分は谷口が相手二人に囲まれながらもボールをカットするというシーンも見られました。

 19分には決定的なシーン。森重のロングボールカットから森本のポスト→右の梶山→中央のホンタク→左の青山→青山のパスはカットされるが森重へ→本田圭が谷口とワンツー→梶山がツータッチ目で森本へパス。森本はGKとの1vs1のシーンを得ます(あと一歩のところでDFに防がれる)。

 さらに24分、相手のスローインを日本DFが跳ね返し、本田圭の浮き球→森本の落とし→谷口→梶山の浮き球と、4連続のワンタッチパス。抜け出した谷口が、左足でこれまたダイレクトシュート(惜しくもボール1個分枠を外れる)。32分には、右サイドのパス交換から中央へ切り込んだ森重のミドルシュート。このあたりのイタリアはゴール前での決定的チャンスはあまり作れず、日本の時間帯と言っても良いのではないかと思います。

 このあとイタリアが掴んだチャンスは、34分にオズバルドのクロスにランツァファーロのヘッド(スカす)、38分ジョヴィンコのキックフェイントからのシュートと、2度のチャンスのみ。0-0で前半終了となります。




 後半は序盤からイタリアが攻める展開。51分、日本の攻めを防いだイタリアは、左サイドでマルキシオ→ジョヴィンコと繋ぎカウンター。クロスを後半から出場のペッレが受け、ここからパスを受けたオスバルドがDFを背負いながら反転して鋭いシュートを放ちます(西川の正面)。

 しかし、その後は日本の攻め。以下にシーンを列挙します

・57分、イタリアDFのロングボールがボランチに入りかけたところを跳ね返し、森本→谷口→本田圭→ホンタク(青山敏かな?)のロングボール→森本抜け出す(DFのクリア)。
・63分、ディフェンスラインで繋いだボールを梶山が低い位置で受け、相手DFの間のスペースに走り込んだ森本へパス。ここでDFのクリアミスを奪った森本がGKと1vs1のシュート(弾かれる)
・66分、右サイドで梶山→北斗→青山のヒール→前を向いた梶山が左サイドの本田圭→ワンタッチでフリーの森本へ(オフサイド)。

 日本は中盤をワンタッチではたく回数が多く、相手のマークを巻くことで、MFが前を向きながらボールを出せる機会がよく見られました。

 しかしイタリアも黙っていません。以下はイタリアのチャンスです。

・67分、ジョヴィンコの高速ドリブル→入れ替わったオスバルドのロングシュート(西川弾く)
・72分、日本のコーナーキックのディフェンスに回っていた途中出場のアバーテが自陣深くから猛スピードでドリブル突破。ゴール前で水本をかわしてシュート(枠を外れる)
・76分、コーダのロングパスを受けたペッレがポストプレーで右サイドのアバーテへ流し、アバーテのクロスを再びペッレがヘディング(ギリギリ枠を外れる)
・後半ロスタイム、ノチェリーノからボールを受けたアバーテが森重のマークを抜かずに中央へパス。ここにダッシュで走り込んできたジョヴィンコが入り、ゴール前で西川と1vs1。ジョヴィンコは敢えて中央のペッレへ回しますが、ホンタクがギリギリのところで足を出しカット。

 後半も0-0でホイッスルが鳴り、延長ナシのPK戦へ進みます。結果は皆様ご存知の通り。水野が外した日本に対し、全員が決めたイタリアが、決勝戦へのキップを手に入れました。

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 日本は前半も後半も得点シーンをつくり、またチリ戦でまったくボールが持てなかった中盤も、ワンタッチで繋いでチャンスを作っていました。ディフェンスはかなり攻め込まれるシーンもありましたが、これまでのように下手に飛び出しませんでした。相手が中1日(日本は2日)で、かつチリよりも組織でプレーして来ずに組しやすかったというのもありますが、このトゥーロンの試合の中でもかなり良い出来だったのではないでしょうか。

 しかし、最大の問題はそれでも勝ち抜けなかったこと。イタリア相手にチャンスを作りピンチを凌いだことは「健闘した」とは言えるでしょうが、肝心の「勝ち抜き」が手に入らなければ、トーナメントでは意味を成しません。そういえば、シドニーも2002W杯もカナダ・ワールドユースもオランダ・ワールドユースも、日本はトーナメントで初戦負けしています。日本にとって鬼門となりますが、メダルを取るには最低2回はトーナメントで勝たなければならないのですから、本番はヤルしかありません。

 ほかにも、前半開始時と後半終了前のように一方的にやられる時間帯が多いこと、選手交代が機能しないこと……など、いろいろ問題はありますが、まあそれは大会が終わってから言うことにします。とりあえず、今日のコートジボワール戦はぜひとも買って3位という確かな結果を掴んでいただきたいと思います。

 イタリアは守り・プレス・球際の強さ・個人技に優れた良いチームでした。ただし中1日が影響していたのか、日本に歴然とした差を見せ付ける試合内容ではありませんでした。一方でチリは日本に圧差を見せ付けて勝ちましたが、イタリアとチリ、どちらがトップなのか……決勝にも注目です。


 えー今日はこんな感じであっさりと終わります。ではまた。


posted by wireds |11:34 | 北京オリンピック日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年05月25日

日本vsチリ ビエルサマジック

 トゥーロン国際大会の3戦目は、決勝トーナメント進出決定チーム同士の対戦となりました。

 まずは日本から。
 
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 名前だけを見ると「森重、青山直、水本……こりゃ3バックだな」と思いましたが、試合を見ると、CB青山直に水本、RSB森重、LSB田中裕という4バック。RMF水野にLMF本田圭、DMFは細貝と上田、FWにエスクデロと李。GKは山本“うみんちゅ”海人が久々の登場。これで、4-5-1、4-3-3、4-4-2の3つのフォーメーションを試したことになります。

 一方のチリはこちら。

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 ディフェンスは3バックで、右からカローカ、マルティネス、アバルカ。ボランチはカルモナとビジャヌエバで、WBに右メネセスと左レボジェード。サグレドはかなり左サイドに張ったウイングで、CFのロルカの下にバルガスが位置します。ちょっと表現しにくいかな……もしかしたら試合をご覧になったかたは、別の印象を持たれたかもしれません。監督は前回のアテネ・オリンピックの優勝監督であるビエルサ監督です。


●前半はともに得点の香りナシ

 序盤は日本がペースを掴みます。水野、エスクデロらがボールをキープ、相手DFに弾かれても日本DFが跳ね返し、中盤がボールを奪います。

 日本のチャンスは10分、チリのDFラインからのロングボールを日本DFが返し、そのこぼれ球を李→本田→上田→細貝→水野と、なみなみとボールを右に回します。水野は素早いドリブルでマークしてきたレボジェードをかわしクロス、エスクデロが合わせます(マルティネスがカバー)。続く11分は、右サイドでスローインを受けた李が中央のエスクデロにパス。エスクデロは3人のDFに囲まれますが、華麗なドリブルキープでペナルティエリア右へ突破し、その戻しを受けた水野が左足でミドルシュート。枠を外れます。

 20分以降も日本の流れは続きますが、降り続く雨でパスの精度が悪く、ここぞというところでチャンスをフイにするシーンがいくつかありました。さらに、28分にもコーナーキックからの本田のフリーのヘディングも抑えられてしまいます。

 そうこうしているうちに、30分頃からチリにボールをすっかり持たれます。チリはこれまでのロングボール戦術からショートパスに切り替え、まるでフランス戦の日本の攻め方のような攻撃。ただ、日本のディフェンスは堅く、人数をかけた守りで攻め入るスキを与えません。結局前半はこのまま終了。中継では、両チームともシュート「1」と表示された通り、両チームとも得点の気配はほとんどありませんでした。


●ビエルサが敷いた「モラレス・システム」

 後半開始。ビエルサ監督は一気に3人を交代します。

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 ザグレド、メネセス、マルティネスがOUTで、グエンサリダ、モラレス、ヤラがIN。中盤の厚い3-6-1のようなフォーメーションへと移行します(これも前半同様、表現のしづらいフォーメーションです)。

 しかしながら、後半開始序盤は日本のペース。48分、細貝が相手選手のドリブルをカットすると、ポスト役で下がってきた李が左サイドの本田へパス。スピード溢れるドリブルで突っかけた本田がペナルティエリア付近でDFを引き付け、右の上田へパス。ループシュートを放ちます(枠を外れる)。

 チリがペースを掴むのは50分以降。ここで機能したのが10番のモラレス選手。懐の深いドリブルキープと精度の高いパスで、これまでは細貝に潰されてきた中盤でボールを支配。チリの攻撃のほとんどを彼を経由することになります。

 62分、左サイドからのスローインを、引いてきたロルカがモラレスへとバックパス。モラレスはハーフウェーライン付近からゴール前のバルガスへロングパス。これが見事に通り、DFを背負ったバルガスは右サイドに上がってきたフリーのCBのカローカへ出し、ミドルシュート(山本が弾く)。

 70分、カローカが自陣深くでボールを受けたところをエスクデロがチェック。しかしカローカは引いてきたバルガスとワンツーでかわし、ロルカ→モラレスとパス。モラレスはセンターライン付近からオフサイドラインに走りこんでいたビジャヌエバへスルーパス。これが通りGKと1vs1になります(山本が素早い出足でカット)。

 73分、山本→青山→梶山(68分に途中出場)→水野と渡ったところをビジャヌエバがカットし、パスを受けたモラレスがクロス。DFに弾かれたところをもう一度モラレスが右サイドでフリーとなり、もう一度クロス。これが逆サイドのレボジェード? に渡り、左からグラウンダーのクロス。DFに弾かれたところをロルカがシュートを放ちますが、青山がカット。しかしこのこぼれ球をアンカーのカルモナがダイレクトでドライブシュート。これが入って、チリが先制点を挙げます。これだけ厳しいコースに蹴られてはGKもどうしようもありません。

 日本は直後に森本(李out)、谷口(水野out)を入れますが、まったくボールが持てません。中盤が激しいチェックに遭い、前を向いてボールが持てず、また持てたとしてもゴール前は固められているため、苦し紛れのロングシュートしか放てません。前半は見られたサイドバックの攻め上がりもほとんどなく、特に森重はずっとDFラインに張り付いたままでした。

 ロスタイムの92分には追加点を浴びます。フリーキックで右サイドへ展開したボールをCBカローカがキープし(またこの人)、バルガスが中央のロルカへ。ロルカはすでにダッシュをスタートしていたモラレスへワンタッチで流し、モラレスは水本が引き付けられたスペースへ突進し、フリーでシュート。これが決まって2-0。結局日本はこれといった見せ場を作れず、完封負けを喫してしまいました。

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●MFが前を向けません

 日本は連戦の疲れもあったでしょうが、運動量がチリに比べて明らかに少なく、見せ場の乏しい試合をしてしまいました。引いて守ってショートパスと連携で攻めるという後半のチリと同じような戦術を取りながら、内容には歴然とした差がありました。反町監督は敢えて4-4-2に徹しましたが、戦い方を変えた相手の攻めに対する打開策は見つけらませんでした。本当はチリのようなサッカーをしたかったところでしょうが……。

 ロクに攻撃ができなかったのは、中盤が見事に潰されたことが大きな理由だと思います。特に水野は狙われていたようで、まったく前を向かせてくれませんでした。ここでストップされてしまっては、良質の攻撃ができるわけがありません。また、RSB森重も不慣れな位置で攻撃のタイミングがつかめなかったのか、まったく効果的ではありませんでした。2トップも相手の3バックに完封され……と、マイナス面を挙げれば枚挙に暇がありません。

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パスを受け前を向いた瞬間にボールを奪われる水野

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懐の深いドリブルが魅力の梶山も餌食に

 とはいえ、ディフェンスはなかなか安定していました。前半はまったく問題ありませんでしたし、攻め込まれた後半も高い集中力を見せていました。1失点目は相手のシュートを止める術はなかったと思われます。ただ、水本が引き出された2失点目のように、安易に引っ張られて危険なスペースを自ら作ってしまうところは相変わらずですが……まあ、相手も上手いですね。

 チリは前半を見た限りだと「何だこのチーム」と呆れましたが、後半からは一変。モラレス選手を中心とした正確なパス、それに一向に動きが衰えない豊富な運動量は、グループリーグ首位に値する素晴らしいチームでした。それに何といってもビエルサ監督の正確な選手交代&布陣変更。前半、中央からの攻めを完全に抑えていた日本のダブルボランチに、3人のMFをぶつけて攻略するという戦法には驚きました。福本伸行のマンガ張りの策略に匠です。


 次はイタリア戦、楽しみだノス。では次までバイナラ


posted by うぃれっず |11:51 | 北京オリンピック日本代表 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年05月23日

フランスvs日本 1得点目に理想形を見た

 トゥーロンの2戦目、フランスvs日本。まずはホスト国のフランスからどうぞ。

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 ちょうどこの時期にスウェーデンの4カ国トーナメント(情報求ム)に出場しているフランスは、報道によるとトゥーロンへは2軍レベルの選手を派遣してきたとのこと。「1軍」がどういうチームかは知りませんが、年代的にグルキュフやベンゼマ、ナスリ、ニューカッスルのエンゾグビア、トットナムのカブールとかが入るのでしょうか。まあとにかく、この試合に彼らはおらず、その代わりにフランスリーグで台頭してきた選手達が名を連ねます。

 GKコスティル、DFがベイッス/バソング/ブウール/ムラトリ、MFがデュカス/プレシ/ボネ/ソマー、FWがケルシア/ペントコート(読みはテキトーです)。名前を聞いて分からない選手があれば、ぜひとも先日のエントリーをご参照ください。


 対する日本。スカパーでは4-4-2みたいに紹介されていましたが、4-3-3(4-3-2-1)のように見受けられました。

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 GK西川、CBが青山直/吉田で、RSB北斗、LSB伊野波。MFは3センターで、ホンタクがアンカーで、その前の右に青山敏、左に上田。最前線には森本で、その下に岡崎と梅崎が入るという布陣。フィールドプレーヤーは伊野波以外総入れ替えは、昨年と同じ起用法となります(ss様のコメント欄を参照しました。ありがとうございます)


●繋ぎに繋ぎ、追いに追った1点目

 試合は最初からフランスペース。日本が前へ放つボールはDFが跳ね返し、ボールを中盤が拾ってサイドへ開き、相手がDFに回ったところをまた中盤を繋いで逆に振り、カットされたボールをさらに中盤が奪う……といった感じで、どんどんボールを繋がれ、日本は開始10分間は、ろくにボールを保持できませんでした。14分には、上田のパスを司令塔デュカスが奪い、前線のペントコートへロングパス。受けたペントコートは吉田が付くところをフェイントでコースを作り、抜ききる前にシュートを打ちます。

 しかし、危険なシーンはこのくらい。日本も守備はしっかりしており、自陣で相手MF・FWに入りそうな場合は必ず複数で囲み、さらにそこに岡崎・梅崎・森本が引いてプレッシャーを掛けます。また、敵陣内でフィフティー(倉敷風)のボールがあれば必ずプレスを掛けるファイトも見せ、相手にラクにパスを出させません。

 ぼちぼちボールが持てるようになった15分~16分、日本は長いボールキープから、得点は生まれます。ちょっと長いですが、いかにその展開を流れで記します。

 西川のゴールキック → ハーフウェーライン付近の右サイドで青山とソマーの競り合い → こぼれ球を森本 → 岡崎 → 青山敏 → 梅崎 → 森本が中央へドリブル突破 → ベイッスがカット → こぼれ球を拾った上田が左サイドでドリブル → ゴール前の梅崎へ → しかし相手DF2人に潰される → 森本が拾いバックパス → ホンタク左足ダイレクトで右サイド前線に上がっていた北斗へ → 北斗ドリブルで攻めあがるがムラトリに潰される → ムラトリに青山がプレス → 苦し紛れのクリアボールを上田がカット → 青山直 →ソマーのチェックをかわして上田へパス → 中央から右サイドへ走りこみ、バソンのマークを振り切った岡崎へ → クロス → 森本の前へ走りこんだ梅崎がヘッド → ゴール!

 伊野波と吉田を除くチームのほぼ全員が絡んだ完璧なゴールです。こうも左右に振られれば、さすがのフランスも梅崎の飛び込みをマークできません。しかも、3回カットされているにも関わらず、プレッシャーをかけて簡単にクリアさせずにマイボールにしている点も見逃せません。チーム全体の意識の高さのなせる業でしょう。

 続く20分には、梅崎がこの日2本目のシュート(DFに当たってコーナー)。これも元はDFのクリアにプレッシャーをかけた梅崎がマイボールにしたもの。この後は徐々にボールを持てるようになりました。良い守備が良い攻撃を生む好循環を見せます。

 フランスのチャンスは35分、ボネのクロスをソマーが落とし、拾ったペントコートが青山・北斗を抜ききらずに、フェイントでコースを作り出しシュート。枠をそれます。結局前半は1-0で終わります。


●守備の不安を衝かれた後半

 後半は選手交代を行なったフランスが開始早々にチャンス。46分、日本のコーナーキックをクリアしたところをペントコートがドリブル→前線2枚のDFの間でフリーのケルシアへ。決定的なシーンもシュートは枠を外れます。

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 続く47分には、LSBムラトリのロングボールをケルシアがワンタッチでルヴィオン、ルヴィオンばこれもワンタッチで中央のペントコートへ。ペントコートは吉田が寄せてくるのを見はからい前へトラップ。この動きに引きずられた青山がケルシアのマークを外したところを、ペントコートはフリーのケルシアへスルーパス。西川と1vs1になりますが、シュートは西川が防ぎ、詰めていたムニエのシュートも伊野波のカットに遭います。


 日本も反撃。51分、負傷の岡崎に変わって出場のエスクデロが、スローインのボールを森本とのポストでワンツー。エスクデロはさらに前線の梅崎とワンツーで繋ぎ、最後はその間に上がっていた上田へスルーパスでGKとの1vs1に(GKがセーブ)。さらに59分、ホンタクがゲットしたフリーキックから左サイドで梅崎へと渡ると、ペナルティエリアに高速で突っ込む上田へスルーパス。上田はこれを中央へと戻し、素早く反応したエスクデロがシュート。GKが弾いたところを森本が詰めて2-0。1点目の岡崎同様、スペースに走りこんだ上田のチェイスが追加点につながりました。

 フランスは70分、敵陣前のフリーキックが弾かれたところを、ケルシアが1タッチでトラップ、2タッチ目でシュート→ゴールという華麗なシュートを決めます。75分にはボネのフリーキックが弾かれたところを、ボネが再び右サイドでキープ。混戦からボールはデュカスに渡り、デュカスは右サイドからゴロのセンタリング。これを再びケルシアがシュート……も、ボールはポストを打ちます。決定的なシーンをたくさん演出したケルシア選手ですが、残念ながら今日は彼の日ではなかった模様。実は57分にも絶好のシュートチャンスをふかしています。

 その後、フランスはFWエココを入れ攻めにかかりますが、梅崎を本田圭に、青山を梅崎に代え、より守備的とした日本代表の前に決定機を作れず試合終了。ホスト国は2連敗、逆に日本は2連勝で、チリとともに決勝トーナメント行きを決定しました。

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 日本は初戦同様に、前線からプレッシャーを掛けるスタイルで、数少ないチャンスをゴールのつなげました。しかも2トップから3トップにしたにもかかわらず、チーム全体の守備の意識はより高まった印象があります。特に岡崎の豊富な運動量は、この布陣にうってつけ。フランスのように前へ出てきてくれるチームにはかなり有効な戦法だと思います。

 その一方で、最終ラインまで不用意にプレスを掛けてしまい、ゴール前でスキを作ってしまうシーンが何度も見受けられました。最終ラインの選手は、掛けるところと掛けないところの取捨で、非常に難しい判断を迫られそうです。

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ペントコートが吉田をかわすのを見た青山直は早速プレスにかかるが……

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青山が出たことでできたスペースにパスを出され、ケルシアがGKとの1vs1のシーン

 フランスはオランダとは違ってまとまりのある良いチームでしたが、ここぞというところで踏ん張りが利かないところを見ると、やはり二軍といった印象は否めません。ケルシア、ペントコート、ボネ、デュカス、ムラトリ……といった活きの良い選手が見れたのは非常に面白かったのですが……U-21の欧州選手権予選はこれからも続くようなのでがんばっていただきたいところです。

 3戦目はどのようなテーマで望むのでしょうか。反さんの選択に期待です。とりあえず今日は眠いのでこんなところで。


posted by うぃれっず |09:58 | 北京オリンピック日本代表 | コメント(4) | トラックバック(1)
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