2008年05月25日

日本vsチリ ビエルサマジック

 トゥーロン国際大会の3戦目は、決勝トーナメント進出決定チーム同士の対戦となりました。

 まずは日本から。
 
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 名前だけを見ると「森重、青山直、水本……こりゃ3バックだな」と思いましたが、試合を見ると、CB青山直に水本、RSB森重、LSB田中裕という4バック。RMF水野にLMF本田圭、DMFは細貝と上田、FWにエスクデロと李。GKは山本“うみんちゅ”海人が久々の登場。これで、4-5-1、4-3-3、4-4-2の3つのフォーメーションを試したことになります。

 一方のチリはこちら。

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 ディフェンスは3バックで、右からカローカ、マルティネス、アバルカ。ボランチはカルモナとビジャヌエバで、WBに右メネセスと左レボジェード。サグレドはかなり左サイドに張ったウイングで、CFのロルカの下にバルガスが位置します。ちょっと表現しにくいかな……もしかしたら試合をご覧になったかたは、別の印象を持たれたかもしれません。監督は前回のアテネ・オリンピックの優勝監督であるビエルサ監督です。


●前半はともに得点の香りナシ

 序盤は日本がペースを掴みます。水野、エスクデロらがボールをキープ、相手DFに弾かれても日本DFが跳ね返し、中盤がボールを奪います。

 日本のチャンスは10分、チリのDFラインからのロングボールを日本DFが返し、そのこぼれ球を李→本田→上田→細貝→水野と、なみなみとボールを右に回します。水野は素早いドリブルでマークしてきたレボジェードをかわしクロス、エスクデロが合わせます(マルティネスがカバー)。続く11分は、右サイドでスローインを受けた李が中央のエスクデロにパス。エスクデロは3人のDFに囲まれますが、華麗なドリブルキープでペナルティエリア右へ突破し、その戻しを受けた水野が左足でミドルシュート。枠を外れます。

 20分以降も日本の流れは続きますが、降り続く雨でパスの精度が悪く、ここぞというところでチャンスをフイにするシーンがいくつかありました。さらに、28分にもコーナーキックからの本田のフリーのヘディングも抑えられてしまいます。

 そうこうしているうちに、30分頃からチリにボールをすっかり持たれます。チリはこれまでのロングボール戦術からショートパスに切り替え、まるでフランス戦の日本の攻め方のような攻撃。ただ、日本のディフェンスは堅く、人数をかけた守りで攻め入るスキを与えません。結局前半はこのまま終了。中継では、両チームともシュート「1」と表示された通り、両チームとも得点の気配はほとんどありませんでした。


●ビエルサが敷いた「モラレス・システム」

 後半開始。ビエルサ監督は一気に3人を交代します。

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 ザグレド、メネセス、マルティネスがOUTで、グエンサリダ、モラレス、ヤラがIN。中盤の厚い3-6-1のようなフォーメーションへと移行します(これも前半同様、表現のしづらいフォーメーションです)。

 しかしながら、後半開始序盤は日本のペース。48分、細貝が相手選手のドリブルをカットすると、ポスト役で下がってきた李が左サイドの本田へパス。スピード溢れるドリブルで突っかけた本田がペナルティエリア付近でDFを引き付け、右の上田へパス。ループシュートを放ちます(枠を外れる)。

 チリがペースを掴むのは50分以降。ここで機能したのが10番のモラレス選手。懐の深いドリブルキープと精度の高いパスで、これまでは細貝に潰されてきた中盤でボールを支配。チリの攻撃のほとんどを彼を経由することになります。

 62分、左サイドからのスローインを、引いてきたロルカがモラレスへとバックパス。モラレスはハーフウェーライン付近からゴール前のバルガスへロングパス。これが見事に通り、DFを背負ったバルガスは右サイドに上がってきたフリーのCBのカローカへ出し、ミドルシュート(山本が弾く)。

 70分、カローカが自陣深くでボールを受けたところをエスクデロがチェック。しかしカローカは引いてきたバルガスとワンツーでかわし、ロルカ→モラレスとパス。モラレスはセンターライン付近からオフサイドラインに走りこんでいたビジャヌエバへスルーパス。これが通りGKと1vs1になります(山本が素早い出足でカット)。

 73分、山本→青山→梶山(68分に途中出場)→水野と渡ったところをビジャヌエバがカットし、パスを受けたモラレスがクロス。DFに弾かれたところをもう一度モラレスが右サイドでフリーとなり、もう一度クロス。これが逆サイドのレボジェード? に渡り、左からグラウンダーのクロス。DFに弾かれたところをロルカがシュートを放ちますが、青山がカット。しかしこのこぼれ球をアンカーのカルモナがダイレクトでドライブシュート。これが入って、チリが先制点を挙げます。これだけ厳しいコースに蹴られてはGKもどうしようもありません。

 日本は直後に森本(李out)、谷口(水野out)を入れますが、まったくボールが持てません。中盤が激しいチェックに遭い、前を向いてボールが持てず、また持てたとしてもゴール前は固められているため、苦し紛れのロングシュートしか放てません。前半は見られたサイドバックの攻め上がりもほとんどなく、特に森重はずっとDFラインに張り付いたままでした。

 ロスタイムの92分には追加点を浴びます。フリーキックで右サイドへ展開したボールをCBカローカがキープし(またこの人)、バルガスが中央のロルカへ。ロルカはすでにダッシュをスタートしていたモラレスへワンタッチで流し、モラレスは水本が引き付けられたスペースへ突進し、フリーでシュート。これが決まって2-0。結局日本はこれといった見せ場を作れず、完封負けを喫してしまいました。

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●MFが前を向けません

 日本は連戦の疲れもあったでしょうが、運動量がチリに比べて明らかに少なく、見せ場の乏しい試合をしてしまいました。引いて守ってショートパスと連携で攻めるという後半のチリと同じような戦術を取りながら、内容には歴然とした差がありました。反町監督は敢えて4-4-2に徹しましたが、戦い方を変えた相手の攻めに対する打開策は見つけらませんでした。本当はチリのようなサッカーをしたかったところでしょうが……。

 ロクに攻撃ができなかったのは、中盤が見事に潰されたことが大きな理由だと思います。特に水野は狙われていたようで、まったく前を向かせてくれませんでした。ここでストップされてしまっては、良質の攻撃ができるわけがありません。また、RSB森重も不慣れな位置で攻撃のタイミングがつかめなかったのか、まったく効果的ではありませんでした。2トップも相手の3バックに完封され……と、マイナス面を挙げれば枚挙に暇がありません。

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パスを受け前を向いた瞬間にボールを奪われる水野

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懐の深いドリブルが魅力の梶山も餌食に

 とはいえ、ディフェンスはなかなか安定していました。前半はまったく問題ありませんでしたし、攻め込まれた後半も高い集中力を見せていました。1失点目は相手のシュートを止める術はなかったと思われます。ただ、水本が引き出された2失点目のように、安易に引っ張られて危険なスペースを自ら作ってしまうところは相変わらずですが……まあ、相手も上手いですね。

 チリは前半を見た限りだと「何だこのチーム」と呆れましたが、後半からは一変。モラレス選手を中心とした正確なパス、それに一向に動きが衰えない豊富な運動量は、グループリーグ首位に値する素晴らしいチームでした。それに何といってもビエルサ監督の正確な選手交代&布陣変更。前半、中央からの攻めを完全に抑えていた日本のダブルボランチに、3人のMFをぶつけて攻略するという戦法には驚きました。福本伸行のマンガ張りの策略に匠です。


 次はイタリア戦、楽しみだノス。では次までバイナラ


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posted by うぃれっず |11:51 | 北京オリンピック日本代表 | コメント(3) | トラックバック(0)
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日本vsチリ ビエルサマジック

コメント投稿者ID :

>MFが前を向けません
前の2戦でもやはりほとんど前を向けていなかったように思える。
兎に角相手を背負ってる見方にパスを出し過ぎ。又は大きな展開が無さ過ぎ、ただそこに居るだけのプレッシャー、、、これでは他から勝ち上がってくるチーム又は「1軍」を相手にした場合まずサッカーをさせてもらえなくなるのは明白だ。
次は策士であるイタリアが相手なのは痛い。オランダやフランス戦の様にあるいは勝つこともあるかも知れないが、少なくとも何がしたいのかしっかりと表現しきって戦って欲しいと思う。チリ戦を糧にして─

posted by bluse | 2008-05-25 13:18

日本vsチリ ビエルサマジック

コメント投稿者ID :

オランダ戦、フランス戦、チリ戦すべての試合で同じ内容だったように思います。ボールを奪ってから運動量が少ないので中盤の押し上げが遅く、選択肢としてFWにロングボールを出すかスペースが少なく狙われている中盤にパスを出すかです。動きのない中盤ほどパスコースを狙いやすいですから、その結果パスはすべてカットされパスミスが多くなってました。守備ではただ人数をかけて守れていただけで良い守備だとはとても思えません。数的有利を作ってボールを取れなかったらその後は数の論理から絶対に数的不利を作られボールを有利に展開されます。フランス戦でもそうでした。数人で1人にプレスをかけにいったら絶対に取らなきゃいけないんです。A代表でも同様。個人と個人で止められないとき1対3で組織で止めにいって
もとまらないようなディフェンスと、運動量が乏しいのはこの試合だけじゃなく全部で、相手も同じ条件の中走り負けているようなサッカーでは日本のサッカーに未来はないんじゃないでしょうか。

posted by japan | 2008-05-25 14:04

日本vsチリ ビエルサマジック

コメント投稿者ID :

>>bluse様

確かに「1軍」相手にしてどうかという不安はまだありますね。実際チリ相手には通用しませんでしたし……。まあ、選手と監督のコメントを見ると、この敗戦を活かそうという意欲は感じられるので、あとはフィールド上でその成果を見せて欲しいところです。


>>japan様

ご指摘の通り、プレスを掛けてとめられなければ、後は不利な状況が待っているだけですから、そこはキッチリと守ってほしいですね。チリ戦に関しては、あまりにも前2試合と違ったチームだったことろ、しかも途中から戦法を変えられてしまったことで、組みしづらかったのが大きいと思います。まあそんなんで負けてちゃダメなんすけどねw 選手も監督もこの敗戦を糧にしようとしてるので、私はもうちょっと見守ることにします。


皆様、コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

posted by うぃれっず | 2008-05-26 09:41

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