2008年01月30日

前進か?後退か? KIRIN CHALLENGE CUP ボスニア戦

◆KIRIN CHALLENGE CUP 2008 日本 3-0 ボスニア・ヘルツェゴビナ @国立競技場

20080130-03.jpg 今年最初の公式戦観戦は代表戦になりました。気温一桁の冷え込むスタジアムは観客の入りもかなり寒く、たったの2万6千人。久々のA代表戦観戦だったのですが、五輪代表戦と見間違うほど静かなスタンドでした。

 という状況にも関わらず、僕が国立に足を運んだ一番の理由は、元気なイビチャ・オシム前監督の姿を生で見たかったからです。今日ばかりは、岡田ジャパンのサッカーは二の次。ハーフタイムに元気になったイビチャ・オシムの姿が見ることができて、それだけで満足でした。

 それにしても、ハーフタイムにスクリーンにオシムの姿が映し出されたときのオシムコールは凄かったです。選手のコールよりも大きかったんじゃないかな? その位、スタンドは沸きました。リハビリはまだまだ時間がかかると思いますが、焦らずにしっかり治して欲しいです。深夜のサッカー観戦は体に毒ですから、くれぐれもほどほどに!

 下の記事の写真には、昨季ジェフを率いたアマル前監督も映ってますね。確か、オーストリアに帰国したと思っていましたが、いつ来日したのでしょうか? ジェフのストーブリーグの惨状について、どう感じているのか、ちょっと聞いてみたい気がします(迷惑な話でしょうが)。

 さて、新生岡田ジャパンのサッカーですが、正直良いのか悪いのか良く分かりませんでした。思った以上に、ボスニア・ヘルツェゴビナの出来が悪かったからです。殆どの時間帯で、日本がボールを支配する展開で、ピンチというピンチは殆どありませんでしたから。



■チリ戦を振り返る

 チリ戦はTV観戦でしたが、メンバーは余り変わっていないのに、正直なところ、サッカースタイルは随分変わったという印象でした。チームを再始動させて僅か数週間ですから、まだ結論を出すのは時期尚早ですが、良い部分と悪い部分の両面が見え隠れしていました。

 岡田監督は、新生日本代表のサッカースタイルを『接近、展開、連続』という言葉で表現しましたが、さすが岡田監督、チリ戦の日本代表のサッカーを言葉で表すと、確かにそういう感じでした。

 相手ボールを素早く囲んでプレスをかけて奪い、そのボールを素早く前へフィード。クサビを受けた選手は、相手ディフェンスをわざと食いつかせて密集させる。そこから、ワンタッチ、ツータッチのショートパスを連続して密集を打開し、ゴールへと向けて展開する。言葉で書くと、こんな感じですが、イメージはまんま昨年の甲府のサッカーでした。

 ボールサイドに密集して組織力で、相手の個の力を上回るというやりかたは、当然大きなリスクを背負いますが、やはり日本人に合っている気がしました。確かに、非常にリスキーだけれども、密集を打開できたときの展開は見ていても面白いし、パスに長けた選手が多い分、選手も楽しめるのではないかと思います。ただ、残念だったのは、オシムが折角作り上げたポゼッションが無くなって、カウンター一辺倒のリアクションサッカーになりかけていることです。カウンターサッカーが悪いというわけではありませんが、オシムが築き上げた後方からのビルドアップ力は余り生かせていなかったし、ボール保持からリズムを変えて仕掛けるというオシムが目指していた形は殆ど見られませんでした。

 また、甲府同様、密集するため、ボールサイドに偏りがちで、ボールを奪われてから、素早く逆サイドに展開されると一転して大ピンチに陥るというシーンが多く見られました。これは、戦術上の弱点ですから仕方無い部分もあるのですが。ただ、この辺のリスクマネジメントは、岡田監督も充分考えていたみたいです。大木監督の甲府なら、中盤のフォローのために、バックラインはかなり高い位置をとるのが普通でしたが、チリ戦の日本代表は、バックラインを余り高く上げていませんでした。そのため、カウンターを受けても、何とか最終ラインで持ちこたえ、失点しませんでした。ただ、これはカウンターケアにはなったものの、前線と最終ラインが間延びする結果を招き、結果として、中盤両サイドがずるずると下がり、アタッキングサードでの攻撃が機能しませんでした。

 何か攻撃陣と守備陣が二分されてしまった感じで、チリ戦は中途半端な印象が拭えませんでした。1-0で勝つサッカーを目指しているのなら、これでも良いのですが、個人的には、やはり全員攻撃サッカーを目指して欲しいので、もっとサイドチェンジやオーバーラップを織り交ぜ、リスクを冒してでも、全員で攻めて欲しいなという気がしました。まあ、オフ明け1試合目で、多くのものを望むのも酷ですが。


■ボスニア・ヘルツェゴビナ戦の印象

 そんな印象を持って迎えたボスニア・ヘルツェゴビナ(以下、ボスニアと略す)戦ですが、チリ戦の様に、相手にボールを圧倒的に支配されるという展開ではありませんでした。ボスニアの出来が余りに悪かったからです。ミスも多かったし、時差ボケからか全体的に運動量が不足気味。後半はバテバテでしたから、多くの時間、日本がボールを支配続けたのも必然的な話で、余り参考にならない試合でした。

 ボールを支配した今日の日本は、遠藤や中村憲剛が、ワイドにボールを動かして攻撃を作り、どちらかと言えば、オシムジャパンに近い感じがしました。最後のクロスの精度とアイデアの不足、さらにボスニアDFが高さと強さを持っていたことで、なかなか点が入りませんでしたが、今日の日本は「展開」という部分で今までの資産が生かされた気がします。ただ、「接近」と「連続」はまだまだかなと。

 「接近」に関しては、相手DFを食いつかせて、潰される寸前でフリーの選手にはたくというのがベストなのでしょうが、今日は高原の所でボールが収まらず、潰されまくっていました。「連続」は、チリ戦より改善されたとは思いますが、それでも2次攻撃がいいところで、3次攻撃、4次攻撃というようにしつこく攻める展開は数少なかった気がします。得点シーンにしても、基本的に1発で決まっているので、まだ、岡田ジャパンらしさというのは出ていないかなと。

 選手に関しては、大久保、山瀬は良かったです。やはり、狭いスペースでも切り崩せるだけの技術とスピードを持っているので、このサッカーに合っているのでしょう。逆に、遠藤はちょっと苦しそうでした。本当は、もう少し後ろからボールを持って揺さぶりをかけたいのでしょうが、縦に早い攻めを繰り返すので、遠藤の良さは出難いのかなと。2試合目の内田は、鋭い攻め上がりやクロスなど、大分持ち味を出せるようになってきました。加地もウカウカしていられませんね。阿部のポカが1つありましたが、2バックと啓太のトライアングルは安定していました。久々先発の楢崎も良かったです。高原は明らかに調整不足ですね。普段だったら、ボールを受けて反転している様な局面でも、振り返れずに潰されるシーンが多かったです。巻は調子は悪くなかった様に見えましたが、巻が生きる展開になる前にケガでいなくなってしまいました。高原もケガしたみたいだし、FWはちょっと心配です。

 とまあ、勝手なことを書きましたが、オフ明け2試合目で、新生岡田ジャパンもまだ2試合目。多くのものを望むのは酷な話です。少なくとも、選手は岡田監督のサッカーをポジティブに受け取っているようだし、もう少し見守りたいと思います。次はいよいよ初公式戦となるW杯予選タイ戦。引き気味の相手をどう崩すか、キリンカップ2試合とは違う展開になると思いますが、まずは勝って勢いをつけて欲しいです。

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posted by JEFUTISTA☆ |14:39 | 日本代表 | コメント(3) | トラックバック(0)
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前進か?後退か? KIRIN CHALLENGE CUP ボスニア戦

コメント投稿者ID :

>ボールサイドに密集して組織力で、相手の個の力を上回るというやりかた

これが岡田監督の「接近、展開、連続」だとして、従来の「数的優位をつくる」こととどう違うのか、まだ私にはわかりません(岡田監督の考えの全体像がわからないということですが)。「(組織力で)相手の個の力を上回る」というのは、ある程度「個の力」が接近している状況では可能だと思いますが、ある程度「個の力」に差があると逆に大きなピンチを招くように思います。まして戦術を公言している以上、相手チームは研究し対策を立ててくるでしょうから、そうするとますます簡単ではなくなります。

というのも管理人さんの文を読んでいて97年世界選抜に中田英が出場して試合中にジダンとからんだ場面を思い出したからです。そのとき確か中田英はホン・ミョンボか誰かとプレスに行ったのですが、ジダンに先先を読まれてすんでのところでかわされたのです。そのとき「さすがの中田もかわされた。ジダンって有名らしいけどすごい」と思いました。何を言いたいかというと、密集になっても数的優位になっても基本的に個の力がまずモノをいうということです。チリ選手からボールを奪えない日本選手とジダンにかわされた中田英が重なって見えたのです。ジダンの例は極端かもしれませんが、チリあたりの南米の個人技にもう少しレベルが近づかないと強豪相手にあの戦術で戦うのは無理ではないでしょうか。

岡田監督がこの戦術をどこまで徹底させていくのか、その完成形がどういうものなのか、またこの戦術を基本戦術にするのかどうか、どれもこれもわからないことだらけですが、ちょっと疑問に思ったのでコメしました。管理人さんはどう思われますか?

posted by 現時点では | 2008-01-31 11:13

前進か?後退か? KIRIN CHALLENGE CUP ボスニア戦

コメント投稿者ID :

> 現時点ではさん

 コメントありがとう御座います。
 おっしゃる通り、「数的優位」と言ってしまえば、オシムジャパンも岡田ジャパンも、もっと言えば、浦和レッズでも、ミランでも基本的には変わりありません。プレスは、まんま「数的優位」を作ることですからね。

 ただ、アプローチは違うと思います。少なくとも、チリ戦はそういう印象を受けました(ボスニア戦は相手が鈍かったので、何とも言えませんが)。

 個人的解釈ですが、アプローチの違いは、アマル千葉と大木甲府の違いに似ていると思います。どちらも、前線から最終ラインまでをコンパクトに保とうとするのは同じですが、戦い方は随分違います。甲府は局地的に人数をかけた守備で相手の選手をどんどん囲い込んでパスコースを切り、奪って一気にショートカウンターというサッカーです。自ら局地戦に持っていくサッカーとでも言えば良いのでしょうか。03,04の千葉、昨季の横浜FMなんかもそういうサッカーでした。一方、アマル千葉の場合は、ボールを奪ったら何が何でも素早く前へというのではなく、ボールを回しながら、中央からサイド、サイドから中央へと人を走らせて大きな展開を図る特徴のサッカーでした。必然的に数的優位は相手に合わせるのではなく、自ら意識的に動いて作るので、非常に流動的です。このサッカーはポゼッションからアクションを起こすという点で、方向性としては、ガンバに近いです。まあ、A代表のサッカーを、Jと比較するのも何ですが、前者を岡田、後者をオシムと考えれば、運動量が豊富で人もボールも動くサッカーという点で似てはいるものの、違いが見えてくる気がします。

 戦術的に完璧なものなど存在しませんから、双方とも弱点は存在します。甲府の弱点は、堅守のチームを打開できないことと、大きく展開するロングボールに弱いことでした。ここは個の力の問題もありますが、基本的にカウンターサッカーは、引きこもって守る相手と対戦したときに切り崩せないという課題が残ります。最初から0-0狙いなら、守っちゃえば良いのですが、今の日本代表はそうは行かないでしょう。そういう意味で、チリ戦を見て、今後、中東勢など守備的チームとの対戦に不安を持ったわけです。

 それと、日本では、現代型のポゼッションサッカーって、Jでも代表でも余り成功していないんですよね。言わば未開のゾーンなのです。オシムがどういう風に日本人に合ったアクションサッカーを作り上げるのかには、凄く興味があったので、それが完全にストップした感を受けたのは残念でした。ただ、岡田監督が、札幌やマリノス時代にやった守備的サッカーではなく、攻撃サッカーを目指していることが伺えたので、その点では少し安心しています。あの守備的サッカーでは未来がありませんから。

 それから、どんなサッカーでも、現時点ではさん仰ると通り、ハイレベルな個を相手にすれば、戦術云々では無く、チンチンにされるでしょう。戦術は勝つためというよりは、負けない為の処方箋、もしくは育成の為のビジョンに過ぎません。ただ、日本で、ジダンレベルを1人でも育てるのは容易はじゃないですが、俊輔や遠藤レベルを同時に5人育てることはできるんじゃないかと。ここが日本の強みじゃないでしょうか? 1人で打開できれば言うことないですが、無理なら平均点を上げて、束になって戦うというのは、個人的には、理に適っているし、日本らしいと思います。その中で、10年に1度くらいジダンやロナウドクラスの逸材が出てくれば、そのときが大飛躍のチャンスだと思います。そういう点では、僕はオシムさんも岡田監督も同じ方向を向いていると思います。

 長々と書きましたが、今のところ、親善試合2試合だけですから、何とも言えません。昨日は相手が弱すぎました。3次予選で中東と戦って、もう少し形が見えてきたら、日本サッカーの将来像も含めて、改めて何か書こうと思っています。中途半端な返答ですが、私の考えはそんなところです。

posted by JEFUTISTA☆@管理人 | 2008-01-31 23:46

前進か?後退か? KIRIN CHALLENGE CUP ボスニア戦

コメント投稿者ID :

丁寧に説明して頂いて本当にありがとうございます。アプローチのちがいの説明が大変わかりやすかったです。代表はボスニア・ヘルツェゴビナ戦を見る限り、だいぶ集中力とまとまりを見せてきたように思います。今の代表には結構期待しています。大飛躍できるかどうかはわかりませんがW杯で決勝Tに進出して強豪国と戦うのを楽しみにしています。

posted by 現時点では | 2008-02-01 00:16

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