2007年05月09日
佐久間トレーナーインタビュー
ーーー現在の菊地選手の仕上がり具合はどうでしょうか
★良いとは言えませんが、悪くもありません。この時期に良くても、試合になると動きが悪くなってしまうボクサーはたくさんいます。そう考えれば、この時期は少し悪いくらいがいいと思います。
ーーー菊地選手は減量ではなく増量をしていると言っていましたが。
★練習をやりすぎるので、体重が減ってしまいます。ただ、菊地の場合は、ボクシングセンスがないので、やはり長時間練習するしかありません。
ーーーセンスが無いですか?
★残念ながら身体を動かす技術的なセンスは全くありません。スポーツ選手の中でも、限りなく最低クラスだと思います。しかし、戦う者にとって重要である精神力とスタミナに関しては並外れたものがあります。センスが無いのも含めて、どれも菊地にとっての長所です。もし、菊地にセンスがあったら、チャンピオンにはなれなかったと思います。
ーーーなぜですか?
★センスが無かったからこそ、人の何倍も練習しなければならなかった。そして、結果的には、それでスタミナもついたし、元々強かった精神力もさらに強化された。よって、結果的に言えば菊地の場合、チャンピオンになれたのはセンスが無かったからです。
ーーー今度の対戦相手のカリーナ・モレノ選手はかなり強そうですが。
★強すぎますね(笑)10年以上のキャリアと、40戦近いマチュアでの実績。さらに、プロでも12勝のうち4KOと、女子のこの階級では珍しくノックアウトも多い。とにかくリング上での動きが凄い。こういう女子選手が存在することに驚きです。
ーーー菊地選手も相手の方が勝つ確率が高いといっていましたが。
★客観的に見たなら、菊地が勝つ確率は限りなくゼロにちかいと思います。
ーーーゼロ!?
★ただでさえ不利なアウェーでやるわけですし、さらに相手は実績も実力も十二分にある。勝つ確率は、限りなくゼロと言ってもいいでしょう・・・
ただ、トレーナーとして、菊地よりに立って言うならば10パーセントくらいはあるかな、というより、あると信じたい。
ーーーそんなに厳しいのですか?
★厳しいですね。モレノ選手はとにかく上体が柔らかくスピードが早い。そのうえ、10ラウンドの最後まで手数も動きもスピードが落ちない。近い距離も、遠い距離も自由自在にこなせて、リーチも長い。弱点は見あたりません。
ーーー菊地選手に聞いたら作戦は「嫌がらせ」といってましたが。
★そうですね。モレノ選手は目が良く、上体が非常に柔らかいので、中間距離では、菊地のパンチが当たる可能性は限りなく無いと思います。そうなると、アウェーで戦う以上、離れていてはポイントで負けます。さらに、中間距離でパンチが当たらないとなれば、残るは接近戦のみです。
嫌がらせをするくらいのつもりで、しつこく接近戦で勝負したい。
ーーー接近戦に持ち込めるかがカギですね。
★モレノ選手は接近戦もとても上手いのですが、それでも、接近戦なら菊地にもパンチが当たるチャンスはでてきます。できるなら、お互いが激しく打ち合う乱打戦になれば、菊地にも後半チャンスが出てくると思います。
ーーー激しい打ち合いの中で勝機を見いだすと。
★菊地には、限界を超えたところで戦える強い精神力と、スポーツ選手としてもトップクラスのスタミナがあります。タイで世界タイトルを獲った時も、37度近い暑さの中、序盤から何度もラッシュを仕掛け、さらに後半の7ラウンドになって、再度ラッシュを仕掛けてタイトルをもぎ取りました。
今回も乱打戦に持ち込めれば、後半の7,8,9R辺りで何かしらのチャンスがあるのではいかと期待してます。
ーーー菊地選手は全身全霊で戦うと言っていました。
★それが、菊地の一番の持ち味です。菊地が気持ちを込めて打っているときのパンチは本当に効きます。今回も菊地が一発一発のパンチを雑に打たず、しっかりと意識を持って打ち込めば、後半には必ずなにかしらのチャンスが出てくると思います。
ーーー厳しい戦いになりそうですが、応援する方は期待して良いのでしょうか。
★モレノ選手の高い技術力と、菊地の強い精神力が噛み合えば必ず面白い試合になると思います。勝利を確約することはできませんが、期待はしてください。菊地は、これまでにも、不利な状況で勝利を掴んできました。今回も、必ずなにかをやってくれると思います。僕も菊地に期待している一人です。
posted by wbcfs |12:57 |