2007年11月29日

CL第5節-上出来-

ベンフィカ vs ミラン 2007・11・28


 先ほどCL第5節、「ベンフィカ vs ACミラン」戦の取材を終えて「ルス」から帰ってきました。
結果は1-1。ベンフィカの今季のCLグループリーグ敗退が決まると共にミランの決勝トーナメント進出が決定しました。
 しかし、この日のベンフィカはCLここまでの5試合の中で内容的には一番素晴らしいサッカーを展開したように思います。
やはり、リーガ5連勝の絶好調ぶりはこの試合でも発揮されました。
個人的には既にグループDの最下位で、今週末(12月1日)には首位ポルトとの大事な「クラシコ」を控えているため、今日(28日)のミランとの試合はモチベーションはいまいち上がってないんだろうな。あっさり負けちゃうんだろうな。と思っていましたが、ベンフィカはすさまじい粘りを見せてくれました。
ドローでもこういう内容のある試合を見せられるとファンはまたスタジアムに絶対足を運び続けるものです。

 キックオフ前のウォームアップ中には、古巣ミランの選手やスタッフがが次々にルイ・コスタと抱擁を交わしながら会話するシーンが見られました。
実は、ルイ・コスタは今月14日の練習中に昨年傷めた古傷の右足太ももに違和感を訴えて練習を早退しています。先週土曜日のアカデミカ・コインブラ戦にはスタメン出場してゴールも決めましたが、今日のミラン戦は、週末のポルト戦に備えて温存するだろうというのが、国内メディアの見方でした。
しかし、やはり古巣相手の試合。スタメンで使ってきましたね。

 この日のベンフィカのスタメンは、
GK:キム
DF:ルイス・フィリペ(右SB)、ルイザオン、ダヴィド・ルイス(CB)、レオ(左SB)
MF:カツラニス、プティ(ボランチ)、ルイ・コスタ(トップ下)、マキシ・ペレイラ(右SB)、クリスティアン・ロドリゲス(左SB)
FW:ヌーノ・ゴメス(トップ)
カピタオン(キャプテン)はヌーノ・ゴメス、4-2-3-1の布陣です。
プティが9月15日のナヴァル戦以来の約2ヶ月ぶりのスタメン出場、CL(本選グループリーグ)は今季初出場です。

 一方のミランのスタメンは、
GK:ジダ
DF:ボネーラ(右SB)、ネスタ、カラーゼ(CB)、セルジーニョ(左SB)
MF:ピルロ(ボランチ)、ブロッキ(右サイド)、ガットゥーゾ(左サイド)
FW:セードルフ、カカ(1.5列目)、ジラルディーノ(トップ)
キャプテンはガットゥーゾ、4-3-2-1の布陣です。
アンブロジーニが累積警告で出場停止。インザーギはケガでチームに帯同していません。カラーゼがこの試合、UEFA主催の公式試合で記念の100試合出場を達成しました。

 19時45分にキックオフされた試合は、開始1分に満たない時間帯にいきなり左サイドのセルジーニョのクロスにフリーのカカが飛び込んであわやゴールというベンフィキスタにとっては、この先の試合展開に大いに不安をもたらす幕開けとなりました。
さらに前半4分には右サイドをドリブルで上がったセードルフがフリーでシュート、これもGK、キムのスーパーセーブで事無きを得ます。
しかし、前半15分にこぼれ球を拾ったピルロが豪快にミドルシュート、これがゴール右隅に突き刺さってゴール。ミランがあっさり先制します。
ところが、ベンフィカも前半21分、右サイドでボールを受けたマキシ・ペレイラが右足でトラップして左足に持ちかえてこちらもミドルシュート、今度はゴール左隅に突き刺さってゴール。同点に追いつきます。
 
 同点に追いついたベンフィカはその後、試合の主導権を握ります。いかにもポルトガルのチームらしい両サイドの選手と中盤の選手とのワンツーから崩してシュートという場面を数多く”魅せて”くれました。
前半8分、レオが左サイドをドリブルで上がって中央へ切れ込んだところを相手DFに倒され、そのこぼれ球をプティがすかさず逆サイドに大きく展開、右サイドのマキシ・ペレイラがシュート。
前半18分、中盤まで下がったヌーノ・ゴメスがDFの競り合いに勝ってボールカット、フリーで抜け出しゴール前絶妙のタイミングで横に流してフリーのクリスティアン・ロドリゲスがシュート。
前半24分、中央カツラニスから右サイドへ展開、ボールを受けたマキシ・ペレイラがオーバーラップしたルイス・フィリペにパス。これを深い位置からクロス、中央のヌーノ・ゴメスが合わせてヘディングシュート。
前半38分、左サイド、タッチラインを割りそうなボールをスライディングで粘ってマイボールにしたレオがルイ・コスタにパス、これをすかずクロス、ヌーノ・ゴメスがスルーして、ファーサイドのマキシ・ペレイラがどフリーでシュート。
後半66分、中央のルイ・コスタがスルーパス。これを受けたヌーノ・ゴメスがヒールで後ろへ流して右サイドのマキシ・ペレイラへ。これを中央へセンタリング、ヌーノ・ゴメスが合わせてシュート。
私が記憶しているだけでもこれだけの「意図を持って相手を崩しきってシュートに持ち込んだ場面」があったわけです。
 ミラン相手にこれだけの「崩し」が出来るんですから、週末のホーム、ポルト戦は大いに期待が持てます。
当初、カマーチョの起用する選手間のコンビネーションはちぐはぐな印象はぬぐえませんでした。正直、ベンフィカはこのまま勝てないんじゃないか。ゴールが決まらないんじゃないか。と思っていましたが、カマーチョが「シーズン途中から戦えるチームを作り上げていくのには時間がかかる。しかし、必ず多戦えるチームに仕上げてみせる。」と言った通り、早くもベンフィカの攻撃の歯車はがっちり噛み合って上手く廻り始めたような気がします。
 この日もシュート数、ベンフィカ21本に対して、ミランは10本。ベンフィカは枠内シュートも8本と90分間攻め続けました。

オーロラビジョン(ルス) 2007・11・28


 もちろん、これだけ攻めながら1-1という結果ではいけない、ゴールを決めて勝たなければいけないのでしょうが、ミランの攻撃のキーマン、今年のバロンドールに内定しているカカがボールを持つとルイザオンとプティとカツラニスが3人で囲んで仕事を全くさせませんでしたし(後半89分、後半ロスタイムにはフリーでシュートを撃たせてしまいましたが)、後半62分には、オフサイドでノーゴールになりましたが、プティのミドルシュートが完全に枠を捉えてGKのジダが弾いたところをヌーノ・ゴメスが押し込んで、ゴールネットは揺らしています。
私は、モチベーションの上がらない試合にも関わらず、攻撃のバリエーションを巧みに使い分けて崩してフィニッシュまで持っていったという点で、今日のベンフィカは「上出来」だったと思います。

ルイ・コスタ 2007・11・28


 試合後は、後半から途中出場したミランのマルディーニがルイ・コスタと抱き合いながら話し込む光景や、ミラン監督のアンチェロッティがわざわざベンチからピッチ中央まで歩み寄って、ルイ・コスタの肩を叩きながら健闘を称えていたのがとても印象的でした。
この日、「ルス」まで足を運んだ決して多くないミラニスタたちがルイ・コスタに対して試合後、スタンディングオベーションを始め、それにルイ・コスタが手を振って応えるシーン(写真)はとても心温まるものでした。
ルイ・コスタは本当にミラニスタから愛されているんだなと改めて実感すると同時に、6年前、私も愛して止まなかったルイ・コスタのプレーをどうしても生で観たくて、日本からサンシーロまで足を運び、試合前の選手紹介で「10 ルイ・コスタ!」がコールされたときの心から沸き立つような感動と感激を思い出してしまいました。

 さて、他のポルトガル勢の試合ですが、昨日(27日)に行われたマンチェスター・ユナイテッドvsスポルティングの試合は、スポルティングがアベウのシュートで先制したんですが、後半ロスタイム2分にクリスティアーノ・ロナウドの「古巣への恩返し弾」で逆転負け。スポルティングも今季のCLグループリーグ敗退が決まりました。
 一方、今日(28日)に行われたリヴァプールvsポルト戦では1-4でポルトが完敗しました。ポルトが4点も奪われたのも驚きですが、このグループAで出足躓いたリヴァプールが、前節はベジクタシュ相手にホームで8点、この日はポルト相手に4点と狂ったようにゴールを決めているのが不気味です。

 第5節までのポルトガル勢の成績のおさらいです。
【グループA】
1位:ポルト(勝ち点8)
2位:マルセイユ(勝ち点7)
3位:リヴァプール(勝ち点7)
4位:ベジクタシュ(勝ち点6)

【グループD】
1位:ACミラン(勝ち点10)→決勝トーナメント進出
2位:セルティック(勝ち点9)
3位:シャフタール・ドネツク(勝ち点6)
4位:ベンフィカ(勝ち点4)

【グループF】
1位:マンチェスター・ユナイテッド(勝ち点15)→決勝トーナメント進出
2位:ASローマ(勝ち点10)→決勝トーナメント進出
3位:スポルティング(勝ち点4)→UEFAカップ出場権獲得
4位:ディナモ・キエフ(勝ち点0)

 ポルトは最終節(12月11日)、ホームのベジクタシュ戦で引き分け以上で決勝トーナメント進出が決定します。
ベンフィカは最終節(12月4日)、アウェーのシャフタール・ドネツク戦で勝利すればUEFAカップ出場権を獲得します。
スポルティングはすでにUEFAカップ出場圏内の3位が確定。最終節(12月12日)、ホームのディナモ・キエフ戦で負けても順位変動はありませんが、最終節はすっきり勝って欲しいものです。


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2007年11月26日

リーガ監督事情

ジョルジュ・コスタ(元ブラガ監督)


 ポルトガル国内リーグも開幕からほぼ11試合を消化し、シーズンの約3分の1が終わったわけですが、今シーズンは例年以上にシーズン序盤にして監督交代が多いような気がします。

 開幕戦のレイショエンス戦のみを指揮して解任されたベンフィカのフェルナンド・サントス(→ホセ・アントニオ・カマーチョ)を皮切りに、

フランシスコ・シャロ→ウリッセス・モライス(ナヴァル)
マヌエル・マシャド→ドミンゴス・パシエンシア(アカデミカ・コインブラ)
パウロ・ドゥアルテ→ヴィトール・オリヴェイラ(ウニアオン・レイリア)
ジョルジュ・コスタ→マヌエル・マシャド(スポルティング・ブラガ)

リーガ(一部)16チームの内、既に5チームで監督が交代しています。

 その中でも、残念なのはやはりブラガのジョルジュ・コスタ(写真)の解任でしょう。確かにブラガはここ数シーズン、「トレス・グランデス(三大クラブ)」に次ぐ4位の座を不動のものとしてきましたから、今季リーガで7位に低迷しているのは”不振”ということにはなるのでしょうが、現在、ポルトガルのクラブとしては唯一、UEFAカップのグループリーグまで進出してますし、ここに来て正GKのパウロ・サントス、FWのジョアン・トーマスといった主力がケガから復帰してチームとしては安定感を増しています。
 このジョルジュ・コスタの解任については、ブラガ会長のアントニオ・サルヴァドールの2010年までの会長再選の道具として使われたという見方が強いです。
アントニオ・サルヴァドールは10月30日に「ジョルジュ・コスタはすでにリーガ杯敗退(9月26日)の後に私に最初に辞意を伝えてきた。今回の決定は彼の意思だ。私の目標はここまでヨーロッパの舞台で戦えるようなレベルまで(私が)押し上げてきたブラガをさらに飛躍させることだ。」と解任理由について説明しましたが、ブラガの今季の成績に不満を漏らし始めた会長選の投票権を持つソシオにいち早く取り入ったというのが本音でしょう。
一方のジョルジュ・コスタは解任後、一切、ポルトガル国内メディアに対して口を開いていません。
ポルトガル「黄金世代」としては初の監督となった、元ポルト主将のジョルジュ・コスタの監督解任は個人的には寂しいですね。

ジャイメ・パチェコ(ボアヴィスタ監督)


 逆に、会長が交代して、首がつながった監督もいます。ボアヴィスタのジャイメ・パチェコ(写真)です。
今月11日にベンフィカに1-6と惨敗し、試合後の会見を拒否して、自ら辞意を表明したジャイメ・パチェコでしたが、前ボアヴィスタ会長、ジョアン・ロウレイロの退陣にともなって、今月18日に、新会長に当選したジョアキン・テイシェイラは「ジャイメ・パチェコ留任」を公約にして当選しましたから、無理やり引き止められた形です。
やはり、最近は精彩を欠いているとは言え、2000/01シーズンのスーペルリーガ初優勝をボアヴィスタにもたらしたジャイメ・パチェコはファンにとって「神のような」特別な存在です。
ただ、ボアヴィスタ浮上のきっかけはいまだつかめていませんが。。。

 次に監督交代が噂されているのがなんとスポルティング。見事世代交代を図り、スポルティングを魅力的な美しいチームに変貌させ、ナニ、ミゲル・ヴェローソ、ヤニックなどポルトガルを代表する選手を何人も育て上げたあの青年監督のパウロ・ベントです。
スポルティングはリーガではここ6試合で2勝1敗3引き分けと不調です。特にアウェーで勝ちきれません。ナシオナルやレイショエンスといった格下相手にドロー。決して調子の良くないブラガには0-3で完敗しています。
まだXデーは先でしょうが、パウロ・ベントなくしては今のスポルティングは無かったわけですから、私は残留を望みたいです。

 そのリーガ第11節ですが、昨日(24日)、2位ベンフィカがアウェーでアカデミカ・コインブラを3-1で一蹴すれば、今日(25日)首位のポルトはホームできっちり5位のヴィトリア・セトゥバルを2-0で下し、12月1日、「ルス」でのベンフィカvsポルトの”クラシコ”は勝ち点差4のまま迎えることになります。
ベンフィカのここに来てのリーガでの好調ぶりと、あれだけ決まらなかったゴールがバシバシ決まっていまやリーガ最多得点の22点を叩き出しているのは驚きです。すでに28日(水)のCLミラン戦ではなく、やはり来週土曜日(12月1日)のポルト戦に全勢力を傾けてくるでしょう。
 明日(26日)、ヴィトリア・ギマリャエンスがアウェーでボアヴィスタを下せば勝ち点22、引き分けでも勝ち点20で単独3位に浮上します。
 今日(25日)までのリーガ11節消化時点での暫定順位は、首位ポルト(勝ち点29)、2位ベンフィカ(勝ち点25)、3位スポルティング(勝ち点19)、4位ヴィトリア・ギマリャエンス(勝ち点19)、5位ヴィトリア・セトゥバル(勝ち点18)、6位マリティモ(勝ち点17)となっています。

 ところで、2010年、南アフリカW杯のヨーロッパ予選の組み合わせが今日(25日)決定しましたね。
ポルトガルはグループ1に入りました。

グループ1:ポルトガル、スウェーデン、デンマーク、ハンガリー、アルバニア、マルタ

北欧の二国とW杯出場権を争うことになるんでしょうが、古豪ハンガリーも侮れませんね。思ったよりは比較的楽なグループという印象です。
まぁ、始まってみないと分かりませんが。。。
果たしてこの予選でポルトガル代表の指揮を採るのは一体誰なんでしょうか?


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posted by 鰐部哲也 |07:03 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2007年11月23日

決定!&安堵-ポルトガルvsフィンランド

ポルトガル代表 2007・11・21


 前回のアルメニア戦の非常に後ろ向きな批判記事を書いてから、ものすごく反省しました。一時は削除しようかとも考えましたが、「あの時の怒りと失望」を行き過ぎたとは言え、やはり残しておいたほうが後に「ポルトガルがポルトガルらしく」勝てるようになったときに、あのような試合を経て進化したんだなと思えるような気がしました。
 それでも「予選落ちしてしまってもいい」なんてことは”口が裂けても””指が裂けても”言ったり書いたりしてはいけませんよね。
このブログの読者の皆様には大変不快な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。

 だからこそ、この最終節のポルトガルvsフィンランド戦はどんなことがあっても前向きに応援(しながら取材)しようと思いました。
だから、この試合中、記者席でノートにペンを走らせながら、良かったプレーには激しく手を叩いている自分がいましたし、何回も「よし!行け!」って日本語で叫んでいたと思います。

 そして、日本で、ポルトガルで、ドラガオンスタジアムのスタンドで祈ってくれいた多くのポルトガルファンの思いが届いたからこそ、ポルトガルは「EURO2008本大会」出場を果たすことが出来たんだと思います。
そして、この試合、0-0という結果だったにも関わらずポルトガルは攻めて、攻めて、攻めまくりました。
その上でのこの結果なんで私は試合内容には満足しています。

記者席アテンダント(ドラガオン) 2007・11・21


 この日のポルトは朝から不安定な天気でした。そしてとうとうキックオフ時間の19時45分前には雨が降り出してしまいました。
そんな「重い空気」の中、ドラガオンスタジアムに集まったサポーターや記者席に向かうジャーナリストを癒してくれたのは、サンタクロースの衣装を身に着けた場内係りであり、メディアアテンダント(写真)だったのではないでしょうか。この格好でスタメン表を渡されると本当に萌えました。いや燃えました。変な意味とか個人的な趣味ではなくです(笑)。

 そのスタメン表にはまた目を疑うような”ウルトラC”のメンバーの名前が載っていたのですが。。。そのポルトガルのスタメンは、
GK:リカルド
DF:ボジングワ(右SB)、ぺぺ、ブルーノ・アルヴェス(CB)、カネイラ(左SB)
MF:フェルナンド・メイラ(ボランチ)、マニシェ、ミゲル・ヴェローソ(攻撃的MF)
FW:クリスティアーノ・ロナウド(右W)、クアレスマ(左W)、ヌーノ・ゴメス(トップ)
カピタオン(キャプテン)は久しぶりのヌーノ・ゴメス。4-3-3の布陣です。これ完全にポルトのフォーメーションですよね。
しかもDFラインなんか昨季のポルト優勝メンバーが3人入っていますし。
一番のサプライズは、最初メンバーだけ見たとき、DFが5人入っていたんで嫌な予感がしたんですが、なんとフェルナンド・メイラがベンフィカ時代以来、約6年ぶりのワンボランチのポジションに入りました。

 試合は、結果この「ポルトフォーメーション」が機能。スコラーリの”マジック”が奏功することになります。
特に中盤のフェルナンド・メイラ、ミゲル・ヴェローソ、マニシェの運動量はすさまじいものがありました。フェルナンド・メイラは上手く攻守のバランスを取っていましたし、マニシェに至ってはトップの位置まで上がってほぼセカンドストライカーの役割をこなしていました。
 多分、フィンランドは慌てたと思います。ポルトガルの試合のDVDを何度も見て研究していたのでしょうが、こんなフォーメーション誰もが初めて観るわけですから。結局「勝たなければいけない=ゴールを奪わなければいけない」フィンランドはトップのミカエル・フォーセルだけ前線に残して自陣にどん引きせざるを得なくなりました。中盤も完全にポルトガルが支配していたので、中盤でボールを奪ってタテへの長いクロスでカウンターといった攻撃も封じられていましたね。さらに少ないながらたまに前線にボールを運んでも、”フィンランドのレジェンド”ヤリ・リトマネンが完全に流れをストップさせていたように思います。かつてのファンジスタの面影はどこにもなく、非常に体の重い、スピードのないプレーで簡単にポルトガルDF陣に狙われてボールカットされる始末でした。
 一方のポルトガルで目立ったのは攻撃陣ではクアレスマ、代表では最近精彩を欠いたプレーが多かったのですが、この日はホームで水を得た魚のように両サイドを切り裂きまくっていましたし、相手DFと1対1の場面でもちゃんと勝負に勝ってウラへドリブルで抜けるシーンも多かったです。
クアレスマの「好調さ」を計る指標に「右足アウトフロント」でどれだけクロスを上げられるかというのが挙げられると思いますが、この日はこの”伝家の宝刀”を抜く場面が多かったですし、自分でもシュートを積極的に撃っていました。
 守備陣で目立っていたのは、そのクアレスマのクロスに必ずアタマから飛び込んでいたかつての”同僚”のぺぺでした。実際前半19分にはキーパーチャージでノーゴールになりましたが、左サイドのクアレスマのFKにヘディングで合わせてこの日唯一のゴールネットを揺らしています。やはりぺぺのDFラインの統率能力とコーチングは素晴らしいですね。それと機を見ての攻撃参加。これもかつての”同僚”ブルーノ・アルヴェス、ボジングワとの阿吽の呼吸で中央をドリブルで上がってクアレスマとワンツーを仕掛ける場面などまさに強い「ポルト」のサッカーを観ているようでした。
この日が代表デビュー戦となったぺぺ。今年の夏にスコラーリが口説き落としてブラジルからポルトガルに帰化した選手ですが、奇しくも4年半前の同じ雨のポルト(ダス・アンタススタジアム)でやはりスコラーリが口説き落として、ブラジルからポルトガルに帰化したデコが代表デビュー戦を飾っており、決勝ゴールを決めています。
なんかそんな不思議な縁に対して少し感傷的にもなってしまいました。
 とにかく、この日ピッチに立っていたポルトガルのイレブンは果敢にチャレンジし続けました。あの「ポルトガルのアキレス腱」と言われたカネイラにしてもこの日はオーバーラップしてペナルティエリア内まで侵入する場面も何度もありましたから、選手はとても良いモチベーションでプレーしていたことになります。
 確かにクリスティアーノ・ロナウド、ヌーノ・ゴメスのFW陣のフィニッシュの精度は低かったですが、シュート数がポルトガル18本に対して、フィンランドはたったの2本でしたから完全にこのゲームを支配したと言ってもいいでしょう。試合後、両チームの監督が同じことを言っていましたが、この日は「フィンランドGK、ヤースケライネンが当たっていた」ということです。

 ちなみにこの「ポルトガルvsフィンランド」戦については来週水曜日、11月28日発売の海外サッカー週刊誌『footballista』(フットボリスタ)12月5日号にてマッチレビューを書いていますのでご覧になってみてください。

ドラガオンスタジアム オーロラビジョン 2007・11・21


 そして歓喜のときは訪れました。
2年前にアヴェイロでドイツW杯出場を決めたときのような「喜びの爆発」というのはなかったですが、選手ががっちり抱擁を繰り返すシーンは、重圧から解放された成功者たちの静かな宴そのものでした。

 ポルトガル4大会連続のEURO出場決定!!です。

 試合後は、フィンランド監督のロイ・ホジソンが「ポルトガルは素晴らしいチームだ。ぜひ本大会でも活躍を祈っている。予選突破おめでとう。」と笑顔で会見場を後にしたのに対し、
ポルトガルメディアに点が獲れなかったことに対する質問に対して、突如激昂したポルトガル代表監督のスコラーリが会見の途中で席を立って途中退出してしまったのが残念でした。
いまだにどうしてあんなに怒ったのか謎です。まぁ、アルメニア戦後のスコラーリの戦術に対する国内の批判はすごかったですから、ナーバスになっていたとは思いますが、最後の最後ぐらい気持ちよく応対して欲しかったと思います。

ポルトガルサポーター&フィンランドサポーター 2007・11・21


 試合後のドラガオンスタジアムからポルト市内中心に向かうメトロ(地下鉄)の車内や駅では、両国サポーターがお互いの健闘を称え合う、心温まる光景(写真)があちこちで見られました。
フィンランド人の中には、喜んでポルトガルのマフラーを巻いて、ポルトガルの国旗を掲げるサポーターまでいました。
やはり、サッカーはこうあるべきですね。
この日、ポルトガルが万一、フィンランドに負けていたとしてもです。
 とにかく一年以上に渡る「EURO2008予選」は終わりました。私はホームの試合全7試合に皆勤で足を運びました。その中にはベルギー戦のように完全に相手を叩きのめした爽快感でいっぱいの試合もありましたし、フラストレーションが爆発して、監督の愚行で大問題になったセルビア戦のような試合もありました。本当に今回の予選はポルトガルはケガ人に泣かされ、ベストメンバーが揃わず、苦しみました。
 後は、本大会までにこの一年余りでほぼレギュラーポジションを奪った”ニューフェイス”と”スコラーリの申し子”たちがどう融合して強いチームを造り上げていくかが「宿題」ですね。

ポルトガル代表(試合前日練習) 2007・11・20


 ポルトガル代表、次のステージへ!!


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posted by 鰐部哲也 |05:08 | コメント(26) | トラックバック(0)
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2007年11月19日

失望-ポルトガルvsアルメニア

ポルトガル代表 2007・11・17


 昨日(17日)、ポルトガルは1-0でアルメニアを下しました。これで勝ち点3を追加したポルトガルは水曜日(21日)のフィンランド戦で引き分け以上ならばEURO2008本大会の出場権を手にします。
多分、九分九厘の確率でその目標は達成されるのでしょう。

 しかし、寒風吹きすさぶレイリアの夜に私が観た「ポルトガル代表」はかつてないほど私を失望させるチームに成り下がっていました。
予め断っておきますが、このアルメニア戦は「EURO出場」という目標を果たすために何よりも「勝利」という「結果」が求められた試合であったということは百も承知です。それでもあえて、徹底的に「失望した」と言わざるをえません。

 この日のポルトガルのスタメンは、
GK:リカルド
DF:ボジングワ(右SB)、フェルナンド・メイラ、ブルーノ・アルヴェス(CB)、カネイラ(左SB)
MF:ミゲル・ヴェローソ、マニシェ(ボランチ)、シマオン(トップ下)、クリスティアーノ・ロナウド(右W)、クアレスマ(左W)
FW:ウーゴ・アルメイダ(トップ)
カピタオン(キャプテン)はこの日代表Aマッチ52試合を数え、試合前に「50試合出場」の記念メダルをエウゼビオから受け取ったクリスティアーノ・ロナウド。4-2-3-1の布陣です。
トップ下には予想通りシマオンが入りました。トップのウーゴ・アルメイダも予想通り。

 前半3分、ウーゴ・アルメイダの横パスにフリーで抜け出したシマオンのシュートがクロスバーを叩いた”決定機”をモノにしてれば本来のポルトガルの試合運びが出来たのかもしれません。
 しかし、前半は決して自陣に引いて守りを固めたわけではないアルメニアに対して完全に崩した場面というのはほとんどありませんでした。
アルメニアはポルトガルをよく研究していました、ラストパス、ラストクロスがシマオンとクアレスマから供給されるのを知っていました。この二人がボールを持つとぴたりと二人、もしくは三人のDFがマークについて実に効果的なピンポイントのディフェンスを見せました。
 この日、トップ下に入ったシマオンですが、確かに両ウィング及びトップとのコンビネーションは噛み合っていなかったように思います。
そのシマオン、実はこの試合の二日前に息子マルティンの喉の緊急手術に立ち会うために、スコラーリの”温情”で合宿先のオビドスを離れリスボンの病院に向かいました。手術の成功を見届けて、その日の夜にはオビドスに戻りましたが、この「試合二日前の一時離脱」は「戦術確認を行う紅白戦に参加しなかったこと」を意味します。いくら昨季、ベンフィカでトップ下のポジションでもプレーしたとは言え、この日コンビを組んだのは、カラグニス、カツラニス、ミッコリではなく、ぶっつけ本番のクリスティアーノ・ロナウド、クアレスマ、ウーゴ・アルメイダでした。
 さらに危惧していたポルトガルの弱点、左SBのカネイラは最後まで攻守に精彩を欠きました。何度もアルメニア右SBのホブセピャンにいともたやすくオーバーラップを許す始末で、突破を許したカネイラのカバーリングに回ったミゲル・ヴェローソが上手くボールをカットしていたからいいものの、このカネイラの不甲斐ない出来のせいで、最終ラインまで戻って守備をしなければいけないミゲル・ヴェローソの攻撃参加は封印されてしまいます。
この日は、スコラーリからの指示でしょうが、マニシェも上がってミドルシュートを撃つといった場面はなく、ポルトガルは膠着した局面打開には実に効果的なボランチの攻撃参加というオプションを最初から捨てていました。
 オーバーラップして攻撃参加しない両SB、攻撃参加を禁じられた両ボランチ、歯車が噛み合わない攻撃陣、これでどうやってゴールを奪うのか不可解でなりませんでした。

 しかし、前半41分に、右サイドでボールを受けたボジングワのクロスが頭ひとつ抜け出したウーゴ・アルメイダのヘッドにどんぴしゃで合って、”たまたま”ゴールが決まると、この日のポルトガルの意図が明確になりました。
この日ポルトガルが目指していたサッカーは結局、「ゴールを奪いにいくこと」ではなくて「ゴールを奪われない」ものでした。
後半60分にクアレスマを下げて、マヌエル・フェルナンデスを投入した時点で誰しも目を疑ったはずです。ミゲル・ヴェローソ、マニシェと共にスリーボランチになったわけですから。ところが、ミゲル・ヴェローソをほぼDFラインまで下げて実質5バックの布陣を敷いた時点で、ポルトガルは自らの代名詞である「美しさ」や「スペクタクル」といったものを放擲したのです。
 残り30分間、ゴールを割られないように自陣に引いて退屈なボール回しを展開し続けたポルトガルは最早「ポルトガル代表」とは言えない「醜いチーム」と化していました。それはこの日、「Dr.マガリャエンス・ペソア」スタジアムを埋めた22,048人が母国のチームに対して大ブーイングを浴びせ続けたことが証明しています。
 さらに3人目の選手交代をした後半77分の直後、相手選手のタックルにいったボジングワが負傷、交代枠を使い切ったことに気づいていないボジングワがピッチに座り込んだままベンチに向けて指を回して送った交代を要求するサインが、最後まで「ちぐはぐなポルトガル」を象徴していたように思います。

フラヴィオ・テイシェイラ 2007・11・17 


 試合後、記者からは当然「今日の試合は、最初から”スペクタクル”なサッカーを捨てて、ひたすら守るつもりだったのか?」「観客の不満の声が何を意味するか理解しているか?」などの厳しい質問が飛びました。
 これに対し、”代理監督”のフラヴィオ・テイシェイラは「もちろん、2点目、3点目を狙って攻めにいったが、今日は最後のフィニッシュが悪すぎたようだ。今日の目標は”勝つこと”だったのだからその通りの結果になって満足している。」と答えるに止まりました。

Dr.マガリャエンス・ペソアスタジアム オーロラビジョン 2007・11・17


 この1-0に終わった試合の後、スタンドで観戦していたスコラーリは「プラン通り」とまたも自分の”奇策”が奏功したと満足気に頷いていたような気がしてなりません。
 この日、監督の指示によって動きを制限され、本来のパフォーマンスが出来なかった選手たちに罪はないと思います。まだ自分のプレーに夢中で、味方に的確なコーチングが出来ないクリスティアーノ・ロナウドのキャプテンシーに物足りなさを感じるのも、本人のせいではなく、22歳の若者にキャプテンマークを任せている監督の責任でしょう。
この試合で唯一、素晴らしいパフォーマンスを90分間持続したのはミゲル・ヴェローソだけです。代表3試合目、21歳にして既にこれだけのプレーが出来るのですから将来は楽しみです。
 しかし、「中盤での美しいパス回し」、「スピードにのったサイド攻撃」、「二列目から飛び出したボランチの豪快なミドルシュート」、こういったものをかなぐり捨てなければEUROに出場できないのであれば、あくまで極論で、個人的な意見ですが、「予選落ちしてしまってもいい」とさえ思えてきます。
すでにそれは自分が愛した「ポルトガル代表」ではないことを意味するからです。
 スコラーリが本大会でも「結果」しか考えない、このようなサッカーを続けるのであれば、私はもう、ポルトガルを応援しないでしょう。
確実に「スコラーリのポルトガル代表」から心が乖離し、荷物をまとめて日本に帰る日も遠くないと思います。
出来れば「欲しい」と言っているイングランドにこのブラジル人監督の首を差し上げたいぐらいです。

 21日(水)、それでもポルトガルはEURO行きの切符を手にするでしょう。「引き分けで良い」という条件が、さらに試合内容をつまらなくする可能性は大いにありますが、その”最後の試合”を見届けにポルトに行こうと思います。

 そのフィンランド戦が行われる今週水曜日、11月21日発売の海外サッカー週刊誌『footballista』(フットボリスタ)11月28日号にて1996年から今年2007年まで約10年間の「ポルトガル代表の歩み」について特集記事を書いてます。さらに「ポルトガルvsフィンランド」戦のプレビュー記事も同号で書いていますので、ぜひ、ご覧になってみてください。


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posted by 鰐部哲也 |09:29 | コメント(15) | トラックバック(0)
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2007年11月15日

公私共に逆風-ポルトガル代表-

リカルド・カルヴァーリョ 2007・2・21


 ポルトガル代表がEURO2008出場権を賭けた、アルメニア戦、フィンランド戦を前にまた逆風にさらされています。
先週8日に発表された招集メンバー21人の中から二名の負傷離脱者を出すことになりました。

 まずは、CBのリカルド・カルヴァーリョ(写真)。日曜日(11日)に行われたプレミアリーグ、チェルシーvsエヴァートン戦で前半28分に負傷交代。
昨日(13日)、ポルトガル代表集合先のラゴアスパーク・ホテルに一番乗りしたリカルド・カルヴァーリョを診察した代表ドクターのエンリケ・ジョーンズは、「リカルドは脊髄周辺の小さな三本の骨を傷めているようだ。全治は約2ヶ月、当然代表ではプレーできないとの診断を下した。当初、リカルドはケガがそんなに重いものだとは思っていなかったようだが、今はすべてを受け入れている。精神的には落ち着いているし、リカルドは誰よりも”闘士”だから問題はないと思う。」とコメントしました。
 これに対し、監督のスコラーリは「他の選手は追加招集しない。」と短いコメントを残してオビドスの合宿ホテルに向かいました。

 さらに、右SBのミゲウも「左足の太ももの肉離れ」でしばらく様子を見ることに。これに伴って、スポルティングの右SB、アベウの追加招集が発表され、すでにオビドスのマリオット・ホテルで合宿を張るポルトガル代表に合流しています。
アベウは個人的には今季のポルトガル国内リーグでは、ポルトのボジングワより良いパフォーマンスを見せているベスト右SBだと思っていたので、28歳での初招集はむしろ遅すぎたくらいですね。十分ミゲウの穴を埋めるパフォーマンスが期待できる選手です。

 ただ本当にこのEURO2008予選はこの一年間、最後の最後までケガ人に泣かされていますね。この逆境をはねのけてぜひとも出場権を手中に収めてほしいものです。

 あと、個人的な事情ですが、今回のオビドスでの代表練習の取材をあきらめざるを得ない状況になってしまいました。
基本的に今回の代表練習は一般非公開なんですが、知人である地元紙の記者の情報によると、一部のメディア関係者(ポルトガル代表の試合の放映権を持つ国営放送局のRTPなど)以外の記者も締め出しを食らう可能性が高いとのことです。「見られてもランニングぐらい」らしいので、フリーの外国人記者の私に選択権はないでしょう。残念ですが、今回の代表練習の取材をキャンセルすることに決定しました。これがリスボン近郊の「エスタディオ・ナシオナル」ならダメ元で行ってもいいのですが、自家用車もない上、公共交通機関のないオビドスの外れのホテルまでリスクを冒すほどお金と暇を持て余している訳でもないので。。。

 ただ、17日のレイリアでのアルメニア戦と21日のポルトでのフィンランド戦の試合、さらに20日のドラガオン・スタジアムでの前日練習の取材許可は既に下りているので、こちらをしっかり取材してこようと思っています。


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posted by 鰐部哲也 |08:24 | コメント(12) | トラックバック(0)
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2007年11月13日

リーガ第10節-爆勝-

ルススタジアム 2007・11・11


 昨日(11日)行われたリーガ第10節は三強(ポルト、ベンフィカ、スポルティング)の明暗がくっきり分かれた結果となりました。
 その中で唯一の「明」の試合、ベンフィカvsボアヴィスタの試合の取材のため「ルス」スタジアムに足を運びました。

 この日「ルス」スタジアムに集まった35,379人の観客は、あれだけ得点力不足に悩まされていた”わがチーム”の”突然のゴール祭り”に大満足だったに間違いありません。

 この日のベンフィカのスタメンは、
GK:キム
DF:ルイス・フィリペ(右SB)、ルイザオン、カツラニス(CB)、レオ(左SB)
MF:ビニャ、ルイ・コスタ(ボランチ)、マキシ・ペレイラ(右W)、クリスティアン・ロドリゲス(左W)
FW:オスカル・カルドーソ、ヌーノ・ゴメス(トップ)
カピタオン(キャプテン)はケガからの復帰で久しぶりのスタメンのヌーノ・ゴメス、4-4-2の布陣です。

 18時という、ポルトガル国内リーグの試合にしては早い時間に始まった試合は、決して序盤からベンフィカがボアヴィスタを圧倒したわけではありませんでした。
ボアヴィスタは、前半15分にはジョルジュ・リベイロの左CKから中央フリーのファリィがヘディングを空振りし、その1分後の前半16分には右サイドのゼ・カランガがドリブルでレオのスライディングタックルをかわして深い位置からクロスを上げ、これも中央フリーのマテウスがシュートを外してしまいます。
 このボアヴィスタの二度の決定機の直後の前半18分に中央をドリブルで上がったルイ・コスタがゴールを背にしたヌーノ・ゴメスにパス、これをすかさずクサビとなってリターン、ルイ・コスタがDFをかわしてスルーパス、これを受けたフリーのオスカル・カルドーソが左足を振りぬき豪快にゴールに叩き込み先制!1-0。
 後半55分のボアヴィスタFW、ゼ・カランガのこの日2枚目のイエローカードでの退場劇がこの試合の一度目の転機でした。
直後の後半58分にボアヴィスタが同点に追いついた後、後半62分には左サイドのレオからのグラウンダーのクロスにマキシ・ペレイラがダイレクトで左足を振りぬき、ゴール!2-1。
後半66分には左サイド、オスカル・カルドーソとのワンツーからクリスティアン・ロドリゲスがクロス、中央飛び込んだルイ・コスタのシュートを相手GKが弾いたところをクリスティアン・ロドリゲスが頭で押し込み、ゴール!3-1。
 二度目の転機は後半74分にボアヴィスタのジョルジュ・リベイロが下がって
ライオネルが途中交代で入った場面。
すでに10人のボアヴィスタはDFラインは崩壊していたのですが、これで攻撃の核も失います。
後半80分には途中交代で入ったディ・マリアが左から得意の左足で放ったシュートが、相手DF、リカルド・シルヴァに当たってオウンゴール!4-1。
後半83分、ルイ・コスタのスルーパスに抜け出したヌーノ・ゴメスがペナルティエリア内でマルセラオンに倒され、PK。これをヌーノ・ゴメスがきっちり決めて、5-1。
後半89分、起点は左ショートコーナーのディ・マリアから、中央でボールを受けたルイザオンが右サイドのクリスティアン・ロドリゲスに流してクロス、ファーサイドのヌーノ・ゴメスがダイレクトボレーを叩き込んで、6-1。
さらに後半ロスタイム1分(91分)には、ペナルティエリア内に侵入したクリスティアン・ロドリゲスがGKのピーター・ジェルに倒され、またもやPKの判定。蹴るのは途中交代で入ったベルゲッシオ。これは外してしまいました。
 結局、6-1でベンフィカがボアヴィスタを圧倒しました。

 ベンフィカが1試合で6点以上ゴールしたのは、ちょうど5年前、2002年11月10日、スーペルリーガ第10節のホーム、パッソス・デ・フェレイラ戦で7-0で勝利して以来。ちなみにこのときもヌーノ・ゴメスがゴールを決めており、ティアゴ(現ユヴェントス)とマントラスがそれぞれ2ゴールずつ決めています。
個人的には最後のPKもヌーノ・ゴメスに蹴らせて「ハットトリック」を達成させて気分良くポルトガル代表に送り出してやりたいと思ったのですが。
試合後、監督のカマーチョは「ベルゲッシオもPKのスペシャリストだ。今季は(彼がゴールを)決めてないからゴールを決めることで自信をつけさせてあげたかった。」と説明、温情采配だったようです。
ちなみに後半78分に負傷交代したFWのオスカル・カルドーソはW杯南米予選のため、今日(12日)からパラグアイ代表に合流する予定したがチームドクターから全治2週間と診断され、11月28日のCL第5節の出場も微妙となりました。

ジョルジュ・リベイロ 2007・11・11


 この日、個人的に注目していた選手がいました。先日のポルトガル代表発表会見で招集メンバーに入った、ジョルジュ・リベイロです。
この日は、3トップの下の攻撃的MFの位置、ポルトで言えばルチョ・ゴンザレスの位置に入って獅子奮迅の活躍を見せました。
豊富な運動量と積極的な攻撃参加を見せ、後半58分には左サイドのマテウスが上げたクロスを中央で受けると、ワンフェイント入れて見事にゴールに叩き込んで見せました。
昨季所属していたデスポルティヴォ・ダス・アヴェスでは「クロスの精度はいいSB」という印象しかなかったんですが、この試合改めてこの選手の攻撃センスはかなりレベルが高いと思いました。
DFではあまり目立たなかったので、スコラーリがなぜジョルジュ・リベイロをSBのバックアッパーとして呼ぶのかいまいち分からなかったんですが、こうやって中央で自由にプレーさせたほうが彼の持ち味が出るように思います。
まぁ、ポルトガル代表ではまさか「デコの位置」とかで使うことはないとは思いますが。。。
 ちなみにボアヴィスタは、試合後、監督のジャイメ・パチェコが記者会見を拒否。今日(12日)、辞任を発表しました。かつてボアヴィスタを優勝に導いた名監督がまた表舞台から去ることになりますね。ボアヴィスタはマテウス、ゼ・カランガのドイツW杯のアンゴラ代表コンビの攻撃力が良いだけに、DFをテコ入れすれば強いチームになるとは思うのですが。

 その他の試合では、スポルティングがベストメンバーで、ブラガにアウェーで0-3と惨敗しました。ブラガは監督のジョルジュ・コスタが解任され、新監督として元アカデミカ・コインブラ監督のマヌエル・マシャドの就任が決まったばかり。この日は暫定監督のアントニオ・カルダスが指揮を採るブラガのフレシャウト(元ポルトガル代表)、リンツ(オーストリア代表)、ジョルジーニョ(元ポルト)の実力者3人にゴールを決められ、スポルティングは今季2敗目を喫してしまいました。
今日(12日)になって「監督のパウロ・ベント解任か?」のニュースも流れましたが、これは会長のソアレス・フランコが改めて否定しました。

 一方、首位のポルトは、アウェーのエストレーラ・ダ・アマドーラ戦。2-0とリードを奪いながら、後半85分、90分と終盤に同点に追いつかれ二戦連続のドロー。最後はステパノフのファウルから与えたPKを決められただけに後味の悪いゲームとなってしまいました。
ちなみにポルトはこのエストレーラ・ダ・アマドーラを苦手としており、一昨季はアウェーで1-2で敗戦、昨季もホームで0-1で敗戦しています。

 リーガ第10節を終わって、首位は勝ち点26でポルト、2位は勝ち点22でベンフィカ、3位は勝ち点19でヴィトリア・ギマリャエンス、4位は勝ち点18、いまだ今季無敗のでヴィトリア・セトゥバル、5位は同じ勝ち点18でスポルティング、6位には今日(12日)のマデイラダービーを、ポルトガル代表のマククラの先制ゴールなどで2-0で制したマリティモが勝ち点17で続いています。
もう今季は優勝はポルトで決まりかと思っていたのですが、ベンフィカが勝ち点4差まで迫ってきましたね。この2チームは直接対決を2試合とも残していますから優勝の行方は分からなくなってきましたね。
 リーガはEURO2008予選のため、2週間お休みに入ります。この2週間はポルトガル代表を応援することにしましょう。

【告知】
 日本では昨日(12日)発売のサッカー雑誌『ワールドサッカーダイジェスト エクストラ』12月号の特集「いま最もホットな若手100人」にてミゲル・ヴェローソ(スポルティング)ディ・マリア(ベンフィカ)について書いております。さらに同じく昨日(12日)発売のサッカー雑誌『ワールドサッカーグラフィック』12月号のCL特集コーナーで「三者三様の結末へ」と題して今季のCLのポルトガル勢について書いております。ぜひご覧になってください。


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posted by 鰐部哲也 |07:05 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2007年11月09日

ポルトガル代表発表!!

ポルトガル代表発表用 スクリーン


 本日(8日)、EURO2008予選のアルメニア戦、フィンランド戦に向けたポルトガル代表21人が発表されました。
12時30分(現地時間)からFPF(ポルトガルサッカー協会)本部の「クアレスマ大講堂」で行われた会見にもちろん取材に行ってまいりました。

 まずは、今回招集されたポルトガル代表21人のメンバーをどうぞ。
GK:リカルド(ベティス)、キム(ベンフィカ)
DF:ミゲウ(ヴァレンシア)、ボジングワ(ポルト)、ジョルジュ・リベイロ(ボアヴィスタ)、リカルド・カルヴァーリョ(チェルシー)、ブルーノ・アルヴェス(ポルト)、フェルナンド・メイラ(シュトゥットガルト)、ぺぺ(レアル・マドリー)、マルコ・カネイラ(ヴァレンシア)
MF:マニシェ(アトレティコ・マドリー)、ミゲル・ヴェローソ(スポルティング)、ラウール・メイレレス(ポルト)、マヌエル・フェルナンデス(ヴァレンシア)
FW:クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)、シマオン・サブローサ(アトレティコ・マドリー)、リカルド・クアレスマ(ポルト)、ナニ(マンチェスター・ユナイテッド)、ウーゴ・アルメイダ(ブレーメン)、ヌーノ・ゴメス(ベンフィカ)、アジザ・マククラ(マリティモ)

 またスコラーリにしてやられたという感じです。今回、MFとして招集された4人はすべてボランチの選手、デコの代役は?なぜ、ジョアン・モウティーニョを外したのか?フォーメーションはどうなるの?頭の中は疑問符だらけです。
私は今回のEURO予選でのポルトガルのベストゲームは3月24日のホームでのベルギー戦だと思っています。このとき負傷欠場したデコに代わってトップ下のポジションに入ったのがジョアン・モウティーニョでした。
この試合、クアレスマの代表初ゴールもあって4-0で快勝したんですが、ジョアン・モウティーニョの働きも大きかったと思っています。
ちなみにジョアン・モウティーニョは11月20日に行われるU-21 EURO2009(ヨーロッパ選手権)予選のポルトガルvsイングランド戦のU-21代表メンバーとして招集されました。
あとDFの招集メンバーにも納得できない部分はありますね。右SBを3人、CBを4人、左SB1人というのはバランスが悪いような気もします。もしカネイラが練習中負傷したらまた急造でミゲウが左SBに入るのでしょうか?
ジョルジュ・リベイロを招集する理由もいまだに分かりません。
それならばU-21代表のアントゥネス(ローマ)を招集したほうがマシですし、話は戻りますが、ジョルジュ・リベイロの枠をジョアン・モウティーニョでもいいわけです。
ちなみにマヌエル・フェルナンデスは2年半ぶりの代表復帰となりました。おそらく負傷中のプティの代役なんでしょうが、彼はマニシェと同じく局面を一発で打開できるミドルシュートを持っていますから、これは切り札としてはいいでしょう。
あとFWはポスティガがスコラーリのオプションから消えたようですね。マククラを再び選んだということは、セットプレーのときの「高さ」で勝負したいんでしょう。FWのファーストオプションは現時点ではウーゴ・アルメイダだと思います。現在、ブンデスリーガで6得点、CLで2得点ですから一番波に乗っている選手でしょう。

ルイス・フェリペ・スコラーリ 2007・11・8


 当然、「なぜジョアン・モウティーニョ、ティアゴ、ポスティガを呼ばなかったのか?」という質問は飛びました。(誰も聞かなかったら私が質問しようと思ってましたから)
この質問に対して監督のスコラーリは「このリストに載っていない選手に対するコメントは出来ない。」とノーコメントでした。
あと気になるのがGKです。現時点ではリカルドよりキムのほうがパフォーマンスが良いのは誰の目にも明らかです。これについては「私がキムのほうが良いと判断したらキムを使う。ただリカルドがスペインでゴールをたくさん許していることは私にとっては問題ではない。」とやはり正GKリカルドは不動のようです。今回の招集選手決定についてはあまりすっきりしないコメントが続きましたね。

 現時点でフォーメーションを予想するのは難しいです。2トップにしてデコのポジションを空けるのか?それともシマオンあたりを起用してくるのか練習をみてみないと何とも言えません。
 
 ちなみにそのポルトガル代表の予定です。
11月13日(火)19時、ラゴアスパーク・ホテルに集合
11月14日(水)9時30分・16時 公開練習(マリオット・ホテル併設ピッチ-オビドス)
11月15日(木)16時 非公開(一般)練習(マリオット・ホテル併設ピッチ-オビドス)
11月16日(金)16時 非公開(一般)練習(マリオット・ホテル併設ピッチ-オビドス)
11月17日(土)21時 ポルトガルvsアルメニア(Dr.マガリャエンス・ペソアスタジアム-レイリア)
11月18日(日)16時 公開練習(マリオット・ホテル併設ピッチ-オビドス)
11月19日(月)10時30分 非公開(一般)練習(マリオット・ホテル併設ピッチ-オビドス)
11月20日(火)16時30分 公開練習(ドラガオンスタジアム-ポルト)
11月21日(水)19時45分 ポルトガルvsフィンランド(ドラガオンスタジアム-ポルト)
【時間はすべて現地ポルトガル時間。予定は変更になる可能性があります】

 ついに慣習だった「エスタディオ・ナシオナル(国立競技場)」での練習という戒律を破って田舎町のオビドスで練習をすることになりました。しかも非公開が多いです。また変に協会側だけピリピリしてないといいんですが。
マイカーを持っていない貧乏ジャーナリストには毎日オビドスまで長距離バスで通うのはキツイです。なんとか日帰りは出来ると思っていますが。
というわけで泣いても笑っても後2試合です。必要なのは「勝ち点4」。最後までポルトガルを応援してください!


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posted by 鰐部哲也 |07:44 | コメント(10) | トラックバック(0)
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2007年11月08日

CL第4節-不公平-

ジョゼ・アルヴァラーデ 2007・11・7


 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間に、隣のポルトガル人記者が吐き捨てた「injusto!(不公平だ!)」という言葉がいまだに耳に残っています。
私も全く同じことを考えていたからです。
サッカーがこんなにも「アンフェア」なスポーツだと感じたのは久しぶりのような気がします。
先ほど終わったCL第4節、スポルティングvsローマの試合は2-2のドローに終わりました。この試合、スポルティングは本当に素晴らしかった。「今季最高の出来だった」と言っても過言ではないと思います。
放ったシュートは19本、内、枠内シュートは5本。対するローマは9本のシュートで枠内シュートはたったの1。このたったの「1」で2点もらって同点に追いついたのですからローマは地元のローマ法王にでも感謝したほうが良いでしょう。

 この日のスポルティングのスタメンは、
GK:ティアゴ
DF:アベウ(右SB)、トネル、アンデルソン・ポウガ(CB)、ロニー(左SB)
MF:ミゲル・ヴェローソ(ボランチ)、ロマニョーリ(トップ下)、イズマイロフ(右W)、ジョアン・モウティーニョ(左W)
FW:リエドソン、ヤニック(トップ)
カピタオン(キャプテン)はジョアン・モウティーニョ、4-4-2の布陣です。正GKのストイコヴィッチとロマニョーリが前節のナヴァル戦で負傷したため出場が危ぶまれていましたが、間に合わなかったのはストイコヴィッチのほうで良かったというべきでしょう。ロマニョーリが欠場してたらスポルティングの前線は完全に停滞するでしょうから。

 一方のローマのスタメンは
GK:ドニ
DF:シシーニョ(右SB)、メクセス、ジュアン(CB)、カセッティ(左SB)
MF:ダニエレ・デ・ロッシ、ダビド・ピサロ(ボランチ)、ペロッタ(トップ下)、ジュリ(右W)、マンシーニ(左W)
FW:ブチニッチ
キャプテンは今日(7日)ケガのため遠征メンバーから外れたトッティの後継者ダニエレ・デ・ロッシ、4-2-3-1の布陣です。

 19時45分(現地時間)、月曜日(5日)に85歳で亡くなった元ローマ監督、イタリアで16年間プレーした往年のスウェーデン人選手、ニルス・リードホルム氏に対する黙祷が捧げられたあと2分遅れでキックオフされた試合は、前半4分に左サイドをオーバーラップしたローマのカセッティがワンツーから中央へ切れ込んでそのまま右足を振りぬき、ゴールネットを揺らすことに成功。いきなりローマが先制します。
この場面、足を出していたんですがトネルの対応が遅れましたね。トネルはリーガ前節のナヴァル戦でも精彩を欠きましたが、明日(8日)発表されるポルトガル代表のリストに名前が載っているかどうかは微妙ですね。
しかもこの試合、代表監督のスコラーリも視察に訪れていましたから。(取材パスをもらってVIP席直通のエレベーターの前で偶然遭遇してしまいました)
 しかし、その後「眠れる獅子」が目を覚まします。今日もロマニョーリはトップ下には止まらず、左右に開いてボールを受けては、ジョアン・モウティーニョ、イズマイロフを上手く操ってダイレクトパスを多用した速い攻めで完全にローマDF陣を撹乱していました。
 特に今日はイズマイロフのスピードとドリブルが素晴らしかった。今日のトップはリエドソンとヤニックですからどちらもスピードのある選手。本当に流れるような「美しく崩す」スポルティングのサッカーが体現できていたように思います。イズマイロフはリーガ前節のナヴァル戦から右ウィングに入ってますが、こちらのほうが持ち味が発揮できているようですね。
 前半23分、そのイズマイロフからの速いクロスにファーサイドに飛び込んだヤニックに気を取られたローマGKのドニとメクセスが交錯、クリアしきれなかったボールをリエドソンが押し込みゴール!1-1。
リエドソンにとってはこのゴールがスポルティングでの公式戦通算100ゴールの記念ゴールとなりました。
その後も、ジョアン・モウティーニョが出したボールにリエドソンが中央へダイレクトではたいてミゲル・ヴェローソが飛び込んでミドルシュートを放つなど今日のスポルティングは攻撃のバリエーションが本当に多かった。
スピーディーで美しいサッカーは観ていてわくわくします。

 後半に入るとローマは自陣で丁寧にボールを回してなんとかスポルティングボールにならないように細心の注意を払っていましたが、ここでもアンデルソン・ポウガとミゲル・ヴェローソのボールカットが冴えていました。
結局、難なくマイボールにすると前半と同じく多彩な速攻でローマを翻弄します。後半55分の右サイドのアベウのスローイングからロマニョーリが粘ってキープ、その後ボールを受けたイズマイロフがノールックで中央へはたいてミゲル・ヴェローソがワンフェイント入れて利き足の左から右にボールを持ち替えてシュートした一連の流れなどは思わず唸ってしまいましたね。
 そして後半65分、左サイド、ロニーのショートコーナーのボールを受けたイズマイロフが絶妙のクロス、これにリエドソンがダイビングヘッドで飛び込み、ゴール!2-1。
またも起点はイズマイロフ。そして決めたのはまたもリエドソン。
リエドソンは実はCLとの相性が悪く、CL初ゴールは前節アウェーのローマ戦。それが今日は2ゴールの大活躍。エースが決めるとチームも波に乗る典型のような試合でした。
その後も途中から入ったブクチェビッチが左サイドをローマのDF3人を置き去りにしてドリブル突破したシーンや、イズマイロフのスルーパスにオフサイドラインぎりぎりで抜け出したジョアン・モウティーニョがループシュートを放ったりとまさにやりたい放題でした。

そして運命の後半89分を迎えます。

スポルティング vs ローマ 2007・11・7


ゴール前の絶好の位置(写真)でFKのチャンスを得たローマ。蹴るのはダビド・ピサロ。このボールがクリアしようとしてジャンプしたアンデルソン・ポウガの頭に当たって、ボールは軌道を変えてゴール右隅に吸い込まれました。
スポルティングにとっては天国から地獄に突き落とされた悪夢のオウンゴール。しかもクリアミスから生まれたオウンゴールではありません。
これが、ローマ枠内シュート「1」で2得点のからくりです。
結局試合はこのまま2-2でタイムアップ。

 これで勝ち点3を逃したスポルティングは手をかけていたグループF2位の座も滑り落ちていってしまいました。この日もディナモ・キエフを4-0と一蹴したマンチェスター・ユナイテッドが早くも決勝トーナメント進出を決めましたから、残り2節、スポルティングは2連勝で、ローマがコケてくれるのを待つという他力本願状態になってしまいました。
現実問題、3位はカタいでしょうからUEFAカップ出場権は手にしたと言っても良いかもしれません。

 6日に行われたその他のポルトガル勢の試合は明暗がくっきり分かれました。ポルトはホームに”ライバル”のマルセイユを迎えてきっちり2-1で沈めて、グループAの首位に立ちました。この試合、ポルトは主将ルチョの不在もものともせず、本来左SBのマレク・チェフがその穴を埋めましたし、この日キャプテンマークを巻いたブルーノ・アルヴェスも最終ラインから上手くチームを統率しました。それになんと言っても先制ゴールを決めたタリク・セクティウィのシュート。今日のポルトガル各紙でも「芸術作品」と称されるほど、ビューティフルゴールでした。あんなゴールはそうそう決まらないんですが、ポルトは日替わりでこういうゴールを決めるヒーローが出てくるのですから、やはり憎いぐらいよく組織された選手層の厚いチームなんでしょう。
ポルトはグループリーグ突破が見えてきましたね。

 逆にグループリーグ突破の夢が完全に途絶えたのがベンフィカ。アウェーのセルティックパークではやはり勝てませんでした。0-1で敗戦。
サッカーの内容自体は悪くなかったですし、シュート数も相手を上回っていましたがやはり決定率の悪さは如何ともしがたいですね。
この日、今季右ウィングでは動きが悪いマキシ・ペレイラをなぜこの試合でこのポジションで使ったのか?ルイ・コスタをなぜ途中で下げたのか?なぜ「ジョーカー」のフレディ・アドゥを使わなかったのか?と采配に疑問符をつけたくなるところはありますが、これも結果論ですね。
ベンフィカにとってはなんとか3位に入ってUEFAカップ出場権を獲得することだけ考えたほうがいいですね。つまりアウェーのシャフタール・ドネツク戦で1点以上獲って勝つことを目標にするしかなさそうです。

 あと残り2節、ポルトガル勢3チームの目標が明確になってきましたが、「小国の意地と矜持」を存分に発揮してもらいたいものです。


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2007年11月06日

リーガ第9節-首位追撃-

スポルティング vs ナヴァル 2007・11・4


 いよいよ明日(6日)からCL第4節が始まりますが、先週末から今日(5日)にかけて行われたリーガ第9節の総括です。

 私は日曜日に(4日)行われた、スポルティングvsナヴァルの試合の取材のため久しぶりに「ジョゼ・アルヴァラーデ」スタジアムに行ってきました。
(「ジョゼ・アルヴァラーデ」は今季開幕当初からピッチコンディションが最悪で選手からも不満の声がかなり出ていたので最近まで芝の張り替え工事をしていました)

 相手がナヴァルということで簡単にスポルティングが勝つだろうと思っていましたが、早くも監督がフランシスコ・シャロ解任に伴ってウリッセス・モライスが指揮をとり始めてからは負けなしで、最下位から12位まで浮上してきていましたので少しはチームとして形になっているかな。とは思っていたんですが。。。

 この日のスポルティングのスタメンは、
GK:ストイコヴィッチ
DF:アベウ(右SB)、トネル、アンデルソン・ポウガ(CB)、ロニー(左SB)
MF:ミゲル・ヴェローソ(ボランチ)、ロマニョーリ(トップ下)、イズマイロフ(右W)、ジョアン・モウティーニョ(左W)
FW:プロヴィッチ、リエドソン(トップ)
カピタオン(キャプテン)はジョアン・モウティーニョ、4-4-2の布陣です。前回の記事にも書きましたが、直前情報でもジョアン・モウティーニョは欠場決定となっていましたが、脅威の回復力を見せたのか、監督のパウロ・ベントがブラフをかましたのか。多分後者でしょう。
イズマイロフとジョアン・モウティーニョの位置を左右入れ替えてきましたね。

 この試合、スポルティングは右サイドに開いたロマニョーリの豊富な運動量とイズマイロフの右サイドのコンビネーションが序盤から冴えまくっていましたから、イズマイロフの右ウィング起用は当たりでした。
前半10分の先制ゴールもお膳立ても、ロマニョーリのパスを右サイドで受けたイズマイロフがペナルティエリア内で粘ってグラウンダーのクロスを中央へ、これをジョアン・モウティーニョが右足でシュート、相手DFにあたってはね返ったところを今度はダイレクトで左足で豪快に押し込みました。
一体、どこを負傷してたんだ!とツッコミを入れたくなるような豪快なゴールでした。
 しかし、今季のスポルティングはゴールを決めた後の集中力が途切れる時間帯を狙われる場面が多い。前半27分もポウガの不用意なファウルから相手にFKを与えてしまいます。右からマリオ・セルジオが放ったクロスはどんぴしゃでディエゴのアタマに合いました。これで1-1の同点に追いつかれます。
まぁ、このシュートもGK、ストイコヴィッチの反応が遅れてボールに触れているのにゴールライン外に掻きだせなかったミスが実は隠されているのですが。
その後、控えGKのルイ・パトリシオをこれ見よがしにアップさせた監督のパウロ・ベントも「サポーターの溜飲を下げる」やり方としてはよく分かってるなと思いましたが。
さらに、この日のスポルティングはトネル、ポウガのCBふたりの戻りが遅くて、ウラを突かれて相手をフリーにさせる場面が目立ちました。特にトネルは集中力が無かったように思います。
 
 後半に入ってトネルに代えてブクチェヴィッチを投入してから流れが変わりましたね。後半62分にはロニーからのタテへの長いクロスをリエドソンが拾ってきっちり押し込み、2-1。
後半67分には、ペナルティエリア内でリエドソンを倒したナヴァルGK、タボルダが一発レッドで退場。急遽入った控えGKのウィルソン・ジュニオールがジョアン・モウティーニョのPKを阻止。
今季は正GKが一発レッドで退場後に控えGKがPKをスーパーセーブしてピンチをしのいだ場面を観たのは、スポルティングvsベレネンセス戦、ベンフィカvsマリティモ戦に続いてなんと3度目です。PKキッカーの決定率が悪いですね。
これで流れが変わらなかったのは、やはりリエドソンのおかげでしょう。前線で後半73分のオーバーヘッドシュートも含めてどんな態勢でもシュートを粘り強く打ち続けました。
そして後半85分、またもやロニーのクロスに反応したリエドソンがダイレクトでシュート、GKが弾いたところをブクチェヴィッチが押し込み3-1。
ロスタイム3分(93分)には、ロニーのCKをファーサイドで拾ったロマニョーリがシュート。ゴールポストに当たってはね返ったボールはそのままグラッドストーンの体に当たってゴールネットを揺らしておまけのとどめの4点目。
結局、4-1でスポルティングが圧勝しました。
 
 全体的な感想は、やはり機を見ての監督パウロ・ベントの選手交代のタイミングは絶妙だなというのと、その選手交代によるフォーメーション変更にも選手がスムーズに対応しているのは流石です。
これで勝ちきれない試合が多くて3位というのが信じられないのですが。
課題はやはり今季は相手に先制点を許すことが多かったのと、この日の試合のように先制してから、集中力が途切れてすぐ同点に追いつかれるところでしょうね。選手個人で見れば、この日スタメンに抜擢されたFWのプロヴィッチ、明らかにプレーの流れを止めていますね。視野がせまくて軽率なプレーが多くて味方がつくったチャンスを潰すのは、ベンフィカの背番号7(オスカル・カルドーソ)と酷似しています。上背があるところも一緒です。
結局、私がこういうタイプのFWが嫌いなんで辛口になってしまうんですが。
 あとは、せっかくもらったPKのチャンスはきっちり決めないといけません。
スポルティングは伝統的にPKの決定率が悪いチームです。
一昨シーズン(2005/06年シーズン)は8回のPKチャンスで決めたのは4回。昨シーズン(2006/07年シーズン)も4回のチャンスで2回しか決めていません。
そして今シーズン、すでに4回のPKチャンスがありながら2回しか決めていません。つまりスポルティングのPK決定率は50%なんです。
昨季までのPKキッカー、リエドソンに代えて今季はジョアン・モウティーニョがPKキッカーをつとめていますがやはりこの決定率は変わらないようです。
ポルトのPKキッカー、ルチョ・ゴンザレスもたまに外しますから、昨季までのシマオン・サブローサ(元ベンフィカ)のようなほぼ100%の割合でゴールネットを揺らせる選手がリーガからいなくなったのは楽しみがひとつ減ったようで寂しい気がします。

 ちなみにこの第9節では、ポルトの開幕連勝記録がストップしました。先週金曜日(2日)に行われたポルトvsベレネンセス戦で、ポルトは今年の4月6日以来の約7ヶ月ぶりのポスティガのゴールで先制したものの、後半51分のジョゼ・ペドロのゴールで追いつかれて1-1のドロー。
開幕連勝記録はともかく、この試合、前半12分に”ピッチ上の指揮官”ルチョ・ゴンザレスが右足首関節のケガで負傷交代したことのほうがよっぽど痛いでしょう。これで今日(6日)のCL、マルセイユ戦はルチョ抜き、主将抜きで戦わなければなりません。おそらく本来の主将、ペドロ・エマニュエルはベンチでしょうからブルーノ・アルヴェスがキャプテンマークを巻くことになりそうです。

 一方、土曜日(3日)に行われた、パッソス・デ・フェレイラvsベンフィカの
試合では、ベンフィカが粘りを見せました。
誰しもが1-1のドローを意識した後半86分、ルイ・コスタのFKをクリスティアン・ロドリゲスが頭で落としてカツラニスがこぼれ球を押し込みました。
ベンフィカの勝ち試合は、3試合連続でこの「後半86分」に決まっています。
CL第3節のオスカル・カルドーソの決勝ゴール、リーガ第8節、マリティモ戦のフレディ・アドゥの決勝ゴール、そして今回のカツラニスの決勝ゴールです。
さらにベンフィカ、リーガでは昨年11月18日のアウェーのブラガ戦で1-3で負けて以来、30試合負けなしとなりました。つまり「一シーズン負けがない」わけです。どうも勝ち方がすっきりしなかったり、内容がいまいちだった試合が多かったのもあって「ベンフィカは良くない」と決め付けていましたが、勝ち点は拾っているんですね。これで引き分けを減らすことが出来れば優勝出来るんでしょうが。。。

 ちなみに今節では今季初の「ハットトリック」が生まれました。アカデミカ・コインブラのカーボヴェルデ人FWのリトがエストレーラ・ダ・アマドーラ戦でマーク。しかし、コインブラはアマドーラにも3点決められて3-3で引き分けました。
 リーガ第9節を終わって、首位は勝ち点25でポルト、2位は勝ち点19でベンフィカ、3位は勝ち点18でスポルティング、4位は、アウェーで”ライバル”のマリティモを1-0で下したヴィトリア・ギマリャエンスが勝ち点18で続いています。5位は勝ち点15でヴィトリア・セトゥバル、6位は勝ち点14でマリティモが続いています。
ポルト優位は揺るぎないですが、UEFAカップ出場権を賭けた「セカンドグループ」の4位、5位争いが面白いですね。
ポルトガル国内リーグも次節で10試合目、ということで今週水曜日(11月7日)発売の海外サッカー週刊誌『footballista』(フットボリスタ)11月14日号にて「ポルトガル国内リーグ序盤戦総括」を書いておりますのでご覧になってみてください。

 それでは、今日からCLモードにスウィッチを切り替えてポルトガル勢を応援することにしましょう!


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posted by 鰐部哲也 |09:21 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2007年11月04日

負傷者続出-ポルトガル代表-

パウロ・フェレイラ 2007・9・4


 EURO2000出場権を賭けた”決戦”を前にポルトガル代表にとってはまたまた悪いニュースが飛び込んできました。
左SBのパウロ・フェレイラ(写真)、今月のアルメニア戦、フィンランド戦の出場絶望です。
今週水曜日(10月31日)に行われた、カーリング杯(フットボールリーグ・カップ)のチェルシーvsレスター戦の後半開始直後、負傷退場したパウロ・フェレイラは監督のアブラム・グラントによると「右足関節部分(くるぶし)の負傷で全治6週間」とのことです。
ただこのポジション、マルコ・カネイラ(ヴァレンシア)が9月のポーランド戦で負ったケガが完治し、今週末のマジョルカ戦の招集メンバーに入りましたから「誰もいない」というわけではないのですが、ポルトガルにとって左SBはただでさえ手薄なポジションです。はっきり言って「パウロ・フェレイラ」か「カネイラ」しかいないのが現状です。個人的にはU-21代表でA代表での出場経験もあるアントゥネス(ローマ)を招集しといたほうが無難のように思います。

 さらに先月20日のリーガ・エスパニョーラの試合で負傷し、こちらも今月の代表の試合絶望となったデコの”代役”候補のジョアン・モウティーニョ(スポルティング)も水曜日(10月31日)のリーガ杯4回戦のファティマ戦で右の股関節を負傷。明日(4日)のナヴァル戦の欠場が決まっています。
ちなみにジョアン・モウティーニョは2005年1月23日に18歳でリーガデビューして以来、負傷離脱したことは一度もありません。すべての試合スタメン及びベンチ入りメンバーとして名を連ねてきました。
「小さな鉄人」のケガも気になるところです。監督のパウロ・ベントは来週水曜日(7日)のCL第4節のローマ戦も「大事をとって」休ませる意向を示していますが、17日のアルメニア戦に間に合うかどうかは微妙です。
 また、ポルトガル代表の右SBのレギュラーポジションをミゲウと争っているボジングワ(ポルト)も現在負傷離脱中。昨日(2日)のベレネンセス戦はベンチ入りしませんでした。こちらは復帰間近でおそらく代表の招集メンバーには入ってくるでしょう。

 ケガ人ばかりが続出していますが、ケガから復帰した選手もいます。現ポルトガル代表のカピタオン(キャプテン)、ヌーノ・ゴメス(ベンフィカ)は今日(3日)のパッソス・デ・フェレイラ戦に後半59分から途中出場。左足で強烈なボレーシュートも放っていましたから動き自体は問題なさそうです。
また、同じCFのエルデル・ポスティガ(ポルト)もすでにケガは完治。昨日(2日)のベレネンセス戦では今季初ゴールもマークしました。
FWのオプションが揃ってきたという意味では明るい材料でしょう。

 昨年9月から始まったEURO2008予選はポルトガルにとっては一年間ずっと主力の負傷によって苦しい戦いを強いられてきました。
前節のカザフスタン戦まで試合で起用した選手は実に34人にも上ります。いかにポルトガル代表がベストメンバーが組めなかったか分かります。
しかし、残りのホーム2試合で勝ち点4を上積みすればEURO出場権は獲得できます。「逆風」は相変わらず吹いてますが、ポルトガル代表を信じましょう。
アルメニア戦(17日)、フィンランド戦(21日)に向けたポルトガル代表は11月8日(木)12時30分からFPF(ポルトガルサッカー協会)本部で発表される予定です。

 話題は変わって、昨日(2日)から始まったリーガ第9節では遂にポルトの開幕連勝記録が「8」でストップしました。
ベンフィカは今日(3日)の試合で、またも後半86分という終了間際の時間帯に決勝点を叩き込んでアウェーで勝利をものにしました。
ポルト優位は揺るぎないですが、少しだけ面白くなってきましたね。
明日(4日)、スポルティングvsナヴァル戦の試合の取材に行く予定ですので、リーガ第9節の総括はまた明日ということで。


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posted by 鰐部哲也 |08:13 | コメント(4) | トラックバック(0)
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