2007年08月26日

ため息のホーム開幕戦

LUZ 2007・8・25


「よく守ってくれたチームにとても満足している。」と試合後に語ったベンフィカの新監督カマーチョの言葉は間違いなく本音でしょう。
ルイザオン、ゾロ、スレテノヴィッチ、ダヴィッド・ルイスと呪われたようにCB陣が負傷離脱。アンデルソンは今週リヨンへの移籍が決定し、本当にピッチに立てるCBがひとりもいなくなってしまったのですから。
結局、この日最終ラインに立っていたのは、本職はMFのカツラニスと急遽ジュニアチームから招集された18歳のU-19ポルトガル代表、ミゲル・ヴィトール。本当にこの二人は慣れないポジションと慣れない大舞台で期待以上の活躍を見せてくれたのですが。。。

 今日(25日)はベンフィキスタにとっては待ちに待った「ホーム開幕戦」。リスボン市内では早くも午前中から赤いユニフォームを身にまとった老若男女が目につきました。元ベンフィカソシオである私も取材とは言え、「ルス」に行くのが前日から楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。
果たして「ルス」は相手が今季二部から昇格したヴィトリア・ギマリャエンスにも関わらず、52,462人の大観衆で埋まりました。
さらに場内アナウンスで「トレイナドール(監督)、ホセ・アントニオ・カマーチョ!」とコールされると割れんばかりの拍手とスタンディングオベーション。これは圧巻でした。

 この日のベンフィカのスタメンです。
GK:キム
DF:ネルソン(右SB)、ミゲル・ヴィトール、カツラニス(CB)、レオ(左SB)
MF:プティ(ボランチ)、ルイ・コスタ(トップ下)、ヌーノ・アシス(右W)、ファビオ・コエントラオン(左W)
FW:オスカル・カルドーソ、ヌーノ・ゴメス(トップ)
カピタオン(キャプテン)はヌーノ・ゴメス。4-4-2の布陣です。
先のU-20W杯ポルトガル代表としても活躍したファビオ・コエントラオンが初スタメン。さらに注目は前述した18歳のCB、ミゲル・ヴィトール。18歳でのベンフィカ生え抜き選手のトップリーグデビューは2004年のマヌエル・フェルナンデス以来のこと。奇しくもこのときの監督もカマーチョでした。

 陽もまだ明るい19時16分にキックオフされた試合は、序盤からベンフィカが速攻を仕掛けます。中盤で手数をかけずに縦へのロングボールを多用して高さのあるカルドーソに当ててそのこぼれ球をヌーノ・ゴメスが狙うというパターンを多用してきました。明らかにフェルナンド・サントス時代のいわゆる”遅攻”からの脱却を図っているようでもありました。
逆にギマリャエンスの方は中盤でプレスをかけてボールを奪ってから、最後は右サイドのジョアン・アルヴェス(元スポルティング)にボールを集めてクロスを上げさせてアラン(元ポルト)に当てるという攻撃パターン。
結局、中盤を支配されるのを嫌ったベンフィカは、相手ボールになった時にトップのカルドーソ以外は引いて全員守備で何とかマイボールにしようする余り徐々に攻めが遅くなっていきました。
ベンフィカは前半18分に、カルドーソのポストプレーからウラへ抜け出したヌーノ・ゴメスがフリーでシュートを放ったのと後半41分にヌーノ・ゴメスのスルーパスに抜け出したファビオ・コエントラオンが同じような位置からフリーでシュートを放ったのがいずれもわずかに枠を外れたのが決定機でした。
一方のギマリャエンスは前半25分にファジャルドのスルーパスにムルダコヴィッチが飛び込むもののGKキムに阻まれたのが唯一のチャンス。
前半は0-0で折り返します。

 雨が落ちてきた後半に入ると、ボール支配ではベンフィカが圧倒します。しかし、ギマリャエンスDF陣は、ヌーノ・アシス、ファビオ・コエントラオンの両ウィングにボールが渡ったところで、二人でディフェンスにいって必ずプレーを切ってきます。
前がかりになって攻めたいベンフィカでしたが、ギマリャエンスもポルト時代と同じくこの日も精彩を欠いていたアランに代えて後半56分に一部昇格の最大の功労者、アルジェリア代表のジラスを投入し、アキレス腱であるDFラインのウラを突いてきます。ここで懸命のスライディングでのパスカットや相手FKに体を投げ出してピンチを救うなど、文字通り”体を張った”ディフェンスを見せたのがカツラニスでした。本当に器用な選手です。今週のスペイン戦でギリシャ代表としてゴールを決めた同じ選手とは思えません。
後半57分には、ルイ・コスタへのファウルで得たFKをカルドーソがゴール正面から左足で蹴りこみますが、GKニルソンのスーパーセーブに阻まれます。
攻め手がないベンフィカは後半70分過ぎ、ヌーノ・ゴメスに代えてロメウ・リベイロ、ファビオ・コエントラオンに代えてルイス・フィリペを投入し早くも”守りに入り”ました。
ここで勝負はスコアレスドローに持ち込まれることが明らかになりました。
結果は0-0。ベンフィカにとっては先週のレイショエンス戦に続いて二部からの昇格組に対して二引き分けという結果。スタートダッシュどころか早くも先頭集団から遅れをとり始めました。

 ちなみに前回のベンフィカとギマリャエンスとの対戦は、2006年3月15日のポルトガル杯準々決勝まで遡ります。このときも試合会場は「ルス」。この時は1-0でギマリャエンスが勝利。この試合もギマリャエンスGK、ニルソンがベンフィカ攻撃陣が”撃ちまくった”シュートをことごとくセーブし守り勝っています。そんなジンクスが今日も生きていたのでしょうか?
しかし、手負いのベンフィカ。「負けないこと」が第一目標だったのでしょう。唯一気になるのはカルドーソの「軽いプレー」。トラップが不安定だし、ヘディングでの落としどころも悪いし、パスミスも多い。ルイ・コスタがしっかりボールを足元に収めて正確無比なパス供給し続けているだけに余計にその悪癖が目立ちます。そもそもルイ・コスタと比べるのが間違っているのでしょうが、味方との連携も含めて今後の課題となりそうです。

ホセ・アントニオ・カマーチョ(記者会見) 2007・8・25


 試合後のベンフィカ監督、ホセ・アントニオ・カマーチョのコメントです。「ゴールを奪うためのチャンスをもっと作らなくてはいけない。選手たちはまだ万全のコンディションではないようだ。足が重いように感じる。しかし、これは(私が)リスボンに到着してから言い続けてきたことだ。やるべきことがたくさんあることも分かっている。(来週29日の)アウェーでのCLの試合はまた別の試合になるだろう。まだこのチームを見極めなければならないし、もっともっとトレーニングを積まなけらばならない。ベンフィカはもっとゴールに結びつく機会を創り出さなければいけないということだ。」

 ベンフィカは8月いっぱいで締め切られるメルカード(移籍市場)を前に、来週月曜日(27日)にユヴェントスのCB、アラン・ブームソン(フランス代表)と契約を結ぶことが内定。さらに攻撃的MFのクリスティアン・ロドリゲスとこちらもMFのマキシミリアーノ・ペレイラという先のコパ・アメリカにも出場したウルグアイ代表二人の移籍もほぼ決定しており、早くも”カマーチョ色”に染められているようです。
まずは、来週8月29日のCL予選3回戦2nd.レグのコペンハーゲン戦、アウェーで引き分け以上に持ち込んでCL本選出場を是が非でも決めて欲しいです。
ケガ人が続出する手負いのベンフィカを急遽任された、スペイン人指揮官には少し長い眼で見守ろうと思います。
ベンフィカが元気ないとリーガも面白くないですからね。

 明日(26日)は、ポルトvsスポルティングのクラシコがあります。
ポルトにとっては昨シーズンはホーム、ドラガオンで苦杯を嘗めている相手、しかもスペールタッサでの借りも返さなければいけません。
スポルティングはむしろ与しやすい相手と心理的優位に立ってるはず。この大一番で勝ち点3を獲ることができればリーガ優勝へ向けてさらに加速するでしょう。
スペクタクルでレベルの高い試合を期待しましょう。

【追記】アラン・ブームソンはイタリア国内でのレンタル先を探すとしてベンフィカからのオファーを拒否。ベンフィカは代わりに元U-20ブラジル代表CBのエドカルロスと27日(月)、正式に契約を交わしました。(8月27日/ポルトガル現地時間)


posted by 鰐部哲也 |11:04 | トラックバック(0)
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