2007年08月23日

後味悪いドロー

クリスティアーノ・ロナウド 2007・8・19


 先ほど終わりましたEURO2008予選、アルメニアvsポルトガルの試合のTV観戦レポートです。
試合前日の記者会見でカピタオン(キャプテン)のジョルジュ・アンドラーデは「昨日の朝にアルメニアがホームでどうやってポーランドに勝ったかビデオで研究したよ。彼らは本当に守りが堅かったし、攻めに転じたときとても速いアタックをしかけていた。これには十分注意しなきゃね。」と語っていたんですが。。。結果は。。。

 その前にポルトガルとアルメニアの関係に少し触れておきましょう。ポルトガルのリスボンにはグルベンキアン美術館という観光名所があるのですが、ここに所蔵されている美術品は元々、石油王として財をなし、晩年リスボンで暮らしたアルメニア人のグルベンキアンのコレクションで、彼の死後、ポルトガルに寄付されたもの。現在、この美術館を始め、オーケストラやバレエ団を所有するグルベンキアン財団はポルトガルの文化事業に大いに貢献しているのです。というわけでグルベンキアンというアルメニア人は「ポルトガルの文化芸術の父」と呼んでもおかしくない人物なのです。

 話がそれてしまいましたが、この日のポルトガル代表のスタメンです。
GK:リカルド
DF:ミゲウ(右SB)、フェルナンド・メイラ、ジョルジュ・アンドラーデ(CB)、パウロ・フェレイラ(左SB)
MF:ティアゴ、ラウール・メイレレス(ボランチ)、デコ(トップ下)
FW:クリスティアーノ・ロナウド(右W)、シマオン(左W)、ポスティガ(トップ)
カピタオン(キャプテン)はジョルジュ・アンドラーデ。4-5-1の布陣。
ミゲル・ヴェローソの代表デビューあるかと思っていたんですが、ツーボランチということでラウール・メイレレスを使ってきましたね。それとシマオンのスタメンは予想通り、スコラーリの中ではクアレスマよりもファーストオプションとしての評価は高いですから。ワントップのポスティガですが、「代表での勝負強さ」を買っているのでしょう。6月のアウェーのベルギー戦でも値千金の決勝ゴールを決めてますし。

 21時(現地時間)、エレバンのレプブリカンスタジアムでキックオフされた試合は、ジョルジュ・アンドラーデが危惧していた通り、アルメニアのボールを持ってからの速い攻めがポルトガルDF陣を撹乱します。前半9分に14番のパチャジヤンがドリブルで中央へ切れ込んでそのままシュート!これはリカルドが右手一本でなんとか弾きますが、デコがポルトガルのファーストシュートであるミドルシュートを放った直後でした。
前半11分、ラウール・メイレレスのファウルで得たFKを蹴るのはカラムヤン、左足を振りぬいた弾道はDFのアルズマンヤンにどんぴしゃで合いました。よもやのアルメニアの先制ゴールが決まって、1-1。
確かにこの日のアルメニアは攻守に渡って集中力がありました。豊富な運動量でプレスも効いていましたし、パスカットも読みが素晴らしかったように思います。
逆に出来が悪かったのがポルトガルのDF陣。特にCBの二人、ジョルジュ・アンドラーデとフェルナンド・メイラの連携は最悪でした。フェルナンド・メイラのハイボールの処理も危なっかしかったですし、ジョルジュ・アンドラーデの前線へのロングフィードもことごとく相手ボールにされてしまってました。守備陣で唯一頑張ってたのはパウロ・フェレイラでしょうか?攻守のバランスを上手くとって機を見てのオーバーラップもまずまずでした。
それでもポルトガルは前半37分、アルメニアの7番のクリアミスを右サイドですかさず拾ったクリスティアーノ・ロナウドがエンドラインに向かってドリブルを開始、そのまま中央へ向かって方向を変えると先制ゴールを決めたアルズマンヤンが足を出すのを見計らってボールを左足に持ち替えてそのままゴールに流し込みました。ゴール!1-1。
まさにクリスティアーノ・ロナウドの個人技から始まって個人技で完結した素晴らしいゴールでした。この日も前線での存在感と二人、三人に囲まれてもあっさりドリブルで抜いていくテクニックはさすがです。
前半はこのまま1-1で終了。

 アルメニア10番のカラムヤンのシュートで幕を開けた後半は、やはりポルトガルDF陣が集中力を欠いたままという印象は拭えませんでした。
前半からデコといいコンビネーションを見せていたクリスティアーノ・ロナウドは後半はサイドから真ん中に張り出してボールを受けると中央突破を図る攻撃を見せますがなかなかシュートまで持ち込めません。
膠着した試合展開に後半60分過ぎに監督のスコラーリが動きます。まず、トップのポスティガに代えてヌーノ・ゴメスを投入。さらにこの日”試合から消えていた”と言ってもいいぐらい精彩を欠いていたシマオンに代えてクアレスマを投入します。
それでもアルメニアはシュートコースにはきちんと体を入れて対処して、ボールを奪えば速攻で果敢にシュートを放ちます。
これに対して、スコラーリは後半72分、なんとジョルジュ・アンドラーデに代えてブルーノ・アルヴェスを投入。一番の愛弟子にしてカピタオン(キャプテン)のアンドラーでの交代は驚きでしたがこの日の出来は今まで見た中で”最悪”と言ってもいいパフォーマンスでしたから仕方なかったのかもしれません。
ロスタイム3分にクアレスマの長いFKにポルトの同僚、ブルーノ・アルヴェスがフリーでアタマを振りぬきましたが惜しくも枠の外。これで万事休す。
最後の最後にミゲウがスローイングのチャンスを得て、ロングスローを試みようとした瞬間にタイムアップの笛が鳴り、ポルトガルの選手が主審のクラウス・ボー・ラーセンに食ってかかるというなんとも後味の悪い1-1のドローに終わりました。

 以下、ポルトガルのスポーツ紙「Record」のサイトからの引用です。
試合後のポルトガル代表監督、ルイス・フェリペ・スコラーリのコメントです。「勝ち点の計算がより難しくなったのはもちろんのことだ。われわれには今日のミスによってマージンは非常に小さいものになってしまった。もし、勝っていたら(アウェーの)ポーランド戦の敗戦を帳消しにすることが出来たのだが。今は(来月の)ポーランド戦とセルビア戦に勝つしかない。ホームでこのミッションをなんとしても履行しなければならない。」

この日同点ゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウド(写真)のコメントです。「僕らの目標はあくまでも勝つことだったんだ。でも、それはかなわなかったね。チームは良く戦ったにも関わらず、ピッチがそれを助けてくれなかったよ。アルメニアは上手くゴールを奪ったね。前半が全てだった。」

 ということは気になるグループAの順位ですが、この日試合がなかったポーランドが勝ち点19で首位のまま。2位にホームでカザフスタンを2-1で下したフィンランドが勝ち点17で浮上。3位が勝ち点15でポルトガル。4位にアウェーでベルギーに3-2で敗れたセルビアが勝ち点14で続いています。
上記のライバルとはすべてホームの試合を残していますし、首位のポーランドは消化試合数が一試合多いので悲観することは全くありません。
ただ、DF面での課題とミドルシュートの精度という課題も浮き彫りになりました。来月の天王山、9月8日(土)のポーランド戦、12日(水)のセルビア戦までにきっちり修正してほしいものです。
ただ、アルメニアもFIFAランキング81位のチームとは思えないぐらい完成されたチームでありました。


posted by 鰐部哲也 |07:01 | トラックバック(0)
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Re:後味悪いドロー

Waniさんこんちわ。
昨日は生でTV中継見てましたよ。
やはり残念な結果ですね。
すべてピッチ状態が悪かった為だけじゃないでしょうけど…

昨日はアルメニアのサッカーがかなりよかったと思います。前半から飛ばしてたから、後半は、スタミナ切れすると思ってたけど、全然でしたね。ポルトガル代表の状態は悪かった上に、相手の状態がすばらしかった。それでも勝ち点1がとれたのは、よしとするしかないでしょう。

僕が気になったのは、やはりセンターバックはもちろんのこと、やはり、ポスティガです。
中継中、ほとんど、画面に登場してませんでした。

再来週のポーランド戦には、カルバーリョの復活は厳しいですかぁ?

トップは、次回もポスティガでしょうか?

次はホーム戦やから、きっとみちがえる事を祈ってます。

なんせ、生観戦行くのですからね。(チケットはまだゲットしてませんけど…)



posted by まさひこ | 2007-08-23 18:50

Re:後味悪いドロー

>まさひこさん
こんにちは。
リーガの放送はないのに、アルメニア戦でも放送があるのは、やはり「ポルトガル代表」は日本ではキラーコンテンツなんですかね?

ポスティガはウラへ抜け出そうとする意図は見えたんですけど、位置取りが両ウィングとかぶっている場面が多かったですね。
今日(23日)付のポルトガル紙「A BOLA」では「3点」という全選手中最低の評価でした。

カルヴァーリョは多分、間に合うと思いますが、おそらくポルトガル国籍を取得したぺぺが初招集されそうです。
コンビネーションには難がありますが、CBは層が厚いですからホームでは大丈夫でしょう。

個人的にはトップはヌーノ・ゴメスがいいと思います。なんだかんだ言って代表では点を獲りますから。

生観戦、ぜひ思う存分満喫してくださいね!

posted by 鰐部哲也 | 2007-08-24 04:24

Re:後味悪いドロー

遅くなりましたが、お引越し、おめでとうございます。
余談ですが、私も同じタイミングで、新潟県民から東京都民となりました。

ポルトガル代表の試合は、ポーランド戦も生中継、セルビア戦は録画放送となります。
これまで、フジテレビ739では、イングランドがメインだったのですが、プレミア高騰の余波がイングランド代表にも来ていて、そこでロナウドのポルトガルに白羽の矢が立ったのでは?などと勘ぐっています。

FW論が出ているので、私も一言だけ。
代表を離れたフィーゴは、レアル・マドリーで出場機会を失っていた時に、代表に復帰しました。
となれば、”あの方”の復帰があっても良いのでは?
パリで出番が減っていますよ。
(現実的には無いでしょうけど)

posted by なべ | 2007-08-24 23:04

Re:後味悪いドロー

>なべさま
なべさまもお引越しおめでとうございます♪
転勤ですかね?

「プレミアの放送がなくなるかも」というのは日本にいたとき、色んな編集者の方から聞きました。なにはともあれ、ポルトガル代表の試合が日本で取り上げられるのは喜ばしいことです。

確かに”あの方”、EUROやW杯の予選では点獲りまくってましたからね。
”あの方”のような軸になるFWはいつ出てくるんでしょうか?U-21にもU-20にもいませんね。

posted by 鰐部哲也 | 2007-08-25 10:11

Re:後味悪いドロー

waniさん、こんにちは。お引越しおめでとうございます。
単身でポルトガルに渡り活躍されているwaniさんは日本のポルトガルファンにとって誇りです。waniさんの存在とポルトガルサッカーの魅力が更に広まる事を願っています!!

アルメニア戦、ピッチ状態も選手の調子も審判の判定も厳しく勝ち点3を逃し残念でした。本来のポルトガルの力が出せなかった感じ。次のホーム2連戦に向けて少し不安になってしまいました。
相手のミスに乗じて個人技で奪ったクリロナの1点が無かったら・・・そのクリロナもいつものキレがなかったし頼みのデコも・・・9月の天王山までに復調して快進撃をみせてほしいです。

posted by Luna | 2007-08-25 18:06

Re:後味悪いドロー

>Lunaさん
ありがたいお言葉、感激しております。
励みにしてさらに頑張ります!

アルメニア戦の最後のインプレーでの主審の笛はそりゃ選手は怒るでしょうね。
ミゲウはロングスローやる気満々で選手をあがらせてましたしね。
クリロナは後半は、意図して真ん中で潰れ役になってましたから調子は良かったと思います。
デコも必死でゲームコントロールしようというのは伝わったんですが、どうしてもミドルシュートが浮いてしまう場面が目に付きました。

ま、「オレたちホームではめちゃくちゃ強いから」ジョルジュ・アンドラーデの言葉を信じましょう!

posted by 鰐部哲也 | 2007-08-25 20:29