2007年09月10日
すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
試合が終わってしばらく記者席から立ち上がることが出来ませんでした。「どうして勝てなかったのか?」、納得のいく答えがどうしても見つからず頭の中は激しく混乱していました。 ちなみにこの「ポルトガルvsポーランド」の試合については今週水曜日(12日)発売の海外サッカー週刊誌『footballista』(フットボリスタ)9月19日号にてマッチレビューを書いておりますのでぜひご覧になってください。 というわけで、試合の詳細を時系列で追うことはここではしませんが、一日経った今でも、なぜポルトガルが勝てなかったのかはっきりした答えが見つかっていません。 「僕らはとてもいい試合をした。でも運がなかった。」(ミゲウ)、「90分通して僕らはずっと良いパフォーマンスを維持したんだけど、足りなかったのは少しの幸運だけだね。」(クリスティアーノ・ロナウド)と各選手が試合後に口にしたように、私も「不運」以外のドローに終わった原因がなかったような気がします。![]()
監督のスコラーリは確かにこの試合、「奇策」と言ってもいい選手起用をしてきました。 【スタメン】 GK:リカルド DF:ボジングワ(右SB)、フェルナンド・メイラ、ブルーノ・アルヴェス(CB)、カネイラ(左SB) MF:マニシェ、プティ(ボランチ)、デコ(トップ下) FW:クリスティアーノ・ロナウド(右W)、シマオン(左W)、ヌーノ・ゴメス(トップ) 【サブ】 キム(GK)、ジョルジュ・アンドラーデ(CB)、ミゲウ(右SB)、ティアゴ(ボランチ)、ジョアン・モウティーニョ(MF)、クアレスマ(右W)、ナニ(左W) このメンバーを見ても、「大一番」の首位ポーランド戦で試すにはリスクが多すぎる選択だったと思います。実際、試合前々日の紅白戦ではこのスタメンでのフォーメーションは一度もチャレンジしなかったのですから。 さらに、DFのアキレス腱である左SBのバックアッパーが誰もベンチ入りしていません。パウロ・フェレイラの名前がなかったので、急に試合当日にケガか病気でもしたのかと思いました。私の目には代表合宿で動きが良いように見えたので外された理由が分からなかったのです。思わず試合後のミックスゾーンでこちらの記者をつかまえて質問したところ「パウロ・フェレイラはケガも病気もしてないよ。スコラーリがカネイラのほうがパウロより動きが良いと判断したんだろうね。」とのことでした。 しかし、そのカネイラは前半9分にクロスを上げた瞬間に太ももを押さえながらピッチに蹲り、指で早々と×印のサインをベンチに送りました。この時点でベンチには代わりは誰もいないわけです。右SB専門のミゲウを急増左SBとして慣れないポジションで使わざるえない状況に陥りました。 こういった事実を捉えてみると、「絶対勝たなければいけない」ホームの試合で「奇策」に出たスコラーリに残り3分で追いつかれてドローに持ち込まれた責任をかぶせることも出来ます。 しかし、スコラーリが”抜擢した”ボジングワにしてもブルーノ・アルヴェスにしても、途中から入ったミゲウにしてもプレーの面でまったく問題ありませんでしたし、ティアゴに代えて、一年ぶりの代表の試合でいきなりスタメン起用されたマニシェに至っては、豊富な運動量とこぼれ球をコツコツ拾う献身的なプレーがいかに中盤で効いていたかは誰の目にも明らかでしたし、おまけに同点ゴールまで決めるという大仕事までやってのけました。 途中交代で入ったクアレスマにしてもしかりです。 前半終了間際に、ポーランドに先制点を許して、後半に入ってからのポルトガル代表の選手たちはすぐに追いついたにも関わらず、ビハインドを負った状態でロスタイムを迎えたかのような鬼気迫るプレーで速い攻めを繰り返しました。![]()
すなわちこの日、スコラーリが起用した選手で、ブレーキとなるようなまずいプレーをした選手はひとりもいなかったはずです。 だからこそ、この日の2-2という結果はポルトガルサイドからしてみれば「まったく理にかなってない」結果だと言えるのではないでしょうか。 もちろん、アウェーで少ないシュートチャンスで、2点を決めたポーランドも褒められてしかるべきでしょうが、彼らには最初から攻める気はありませんでしたし、崩してシュートした場面は皆無に近かった。 それをスーパーセーブを見せた「リカルドの弾きどころが悪かったから詰められた」と失点のシーンを責めるのはあまりにも酷でしょう。 グループA首位のポーランドがこれでかなり優位に立ったのは間違いありません。厳しい見方をすれば、EURO2008本選行きのチケットは(ポーランドを除く)あと一枚という見方もできます。 しかし、この日(8日)、ライバルのセルビア(4位)vsフィンランド(2位)の試合もスコアレスのドローに終わったため、試合後にマニシェが語ったように「この試合結果で何も失ったわけじゃない。この引き分けが(EURO本選行きを)決定づけたわけではない。」のです。 だからこそ水曜日(12日)のセルビア戦はとても重要な試合になります。「ますますプレッシャーがかかってしまったけど勝つしかない。」(デコ)のです。セルビアに勝つことが出来れば、セルビアを圏外に蹴落とすことができます。そうすると最大のライバルはフィンランドということになります。 フィンランドはグループAの最少失点を誇っていますが、得点も少ないチームです。このフィンランドとの試合をホームで残しているポルトガルはまだ悲観する必要はありません。 ちなみに今日(9日)、「エスタディオ・ナシオナル」で17時55分から行われた練習には、昨日(8日)の試合のスタメン組と負傷してセルビア戦出場が絶望になったカネイラ、そのカネイラに代わって入ったミゲウ、さらに先週金曜日の練習終盤に右膝を負傷して全治一ヶ月と診断されたポスティガ以外の選手、キム、ジョルジュ・アンドラーデ、パウロ・フェレイラ、ティアゴ、ラウール・メイレレス、ジョアン・モウティーニョ、クアレスマ、ナニ、ウーゴ・アルメイダの9人だけが参加。 フィジカルメニューを中心に軽いメニューで約1時間で練習を切り上げました。 今日の選手の様子を見ていると、悲壮感というのはないですね。練習後、ピッチの周囲にあるトラックを横切って最後まで残っていたファンに近づいて直接会話したり、サインや写真撮影などのファンサービスをしている様子は(今日、最後まで練習を観ていた方はラッキーでしたね)すでに次のセルビア戦に向けて気持ちを切り替えているようでした。 昨日の試合に出られなかったジョルジュ・アンドラーデとも練習後に少し話したんですが、「次の試合(セルビア戦)にはなんとしても出たい。」と言っていましたし、本来のカピタオン(キャプテン)が去り際に笑顔で見せたガッツポーズを信じたいと思います。 明日の公開練習は午後17時30分(現地時間)から同じ「エスタディオ・ナシオナル」で行われる予定です。
posted by 鰐部哲也 |05:03 |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/wanibenfica/tb_ping/14
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
鰐さん!連日の取材ご苦労様です!がんばれっ!
日本から強く強く応援しています。ユーロ本選へのキップ、絶対勝ち取ってくれると信じております。選手たちの様子、リカルドの表情などをニュースでみて、次はイケるっ!と思いましたからっ
ヌーノゴメスもあと1歩だ!
posted by koba | 2007-09-10 06:54
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
相手が強いポルトガルだから仕方ないが、ボルツが2点も取られられるとは.....
ジュラフスキは出てたのですか?
この組み合わせなら悪いが贔屓の選手が居るのでポーランド応援します。
posted by 今年はセルティックlove | 2007-09-10 13:45
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
う~ん
次ガンバって欲しいですね~
posted by FIGo the 琉球! | 2007-09-10 21:03
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>kobaさん
ありがとうございます!
家と「エスタディオ・ナシオナル」の往復の毎日にさすがに疲労がたまってきましたが、頑張ります!
そうですね。選手はもうセルビア戦に向けてアタマを切り替えてますし、練習もある程度緊張感を持ってやっているようなので大丈夫だと信じたいです。
今日はヌーノ・ゴメスも居残りでシュート練習を入念にやってましたから、次は絶対決めてくれると思います。
日本からの声援よろしくお願いします!
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-11 06:51
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>今年は・・・さん
ジュラフスキはキャプテンとしてスタメン出場しました。
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-11 06:54
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>FIGoさん
そうですね。
次は絶対勝って欲しいですね。
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-11 06:56
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
はじめまして。
私はリスボンに在住するものですが、私もこの試合を見にスタジアムまで足を運びました。
私は専門家ではありませんが、鰐部さんと同じような感想を持ちました。
カウンター狙いとは言え、あまりにもうまく行き過ぎたポーランド。
ポルトガルはたくさんのチャンスがあったとは言え、2得点はそれほど悪い結果ではない。
ボジングワは予想以上のできでした。
強いて言えば、終了間際にキャプテン不在になったことでしょうか?
私はシマオンは試合を落ち着かせることのできるプレーヤーだと思います。彼がいなくなったのもちょっとは影響したのでしょうか?
それにしても、まさに探していたブログを見つけた感じです。これからも遊びに来ます。
posted by リスボエタ | 2007-09-11 08:13
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
Waniさんこんにちわ。
先ほど日本に戻ってきました。
Waniさんの言うとおり、前日fpf本部で10時前から並んだら、かなりいい席を買えましたよ。すごく感謝しております。あの助言がなければ、高額で日本で買うところでした。
はじめてのポルトガル。はじめてのルス。最高でした。これで試合に勝っていたら、言うことなかったんですけどね。同点に追いつかれた時は、何が起こったのか?頭の中が真っ白になりましたよ。でも、間近でポルトガルサッカーが見れたのは幸せでしたよ。次の日は、アルバラーテにも行きましたが、チケット売ってましたね。この試合もぜひ見たかったです。ぜひ、また、ポルトガルへ行きたいと思います。セルビア戦は、テレビ観戦です。やはりマニシェは、かなりきいてましたね。
posted by まさひこ | 2007-09-11 17:24
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>リスボエタさん
はじめまして。
コメントありがとうございます!
同じリスボンに住んでらっしゃるんですね。
この試合、ポーランドはカウンターどころか、攻めも上がりもしなかったですよね。
ウラに抜けられて決定的チャンスを作られたのは前半のスモラレクのプレーぐらいだったと思います。
ただ、先制ゴールを挙げた、ポーランドのボランチ(18番)、レワンドウスキの粘り強い守備は確かに厄介でしたが。。。
おっしゃる通り、ボジングワは後半、特に良かったですよね。積極的なオーバーラップからチャンスを何度も作ってました。
キャプテン不在は、このチームの課題でもあるんですよね。本来なら、ここ最近主将を任されているジョルジュ・アンドラーデが出場して、最終ラインからコーチングできると良かったと思います。
というわけで、これからもよろしくお願いしますね。
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-11 22:39
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>まさひこさん
こんにちは。
そしてお帰りなさい!
無事に「ルス」で試合が観れて良かったですね。
今回はFPFでのチケット購入もスムーズにいったんではないでしょうか?
こちらでも「FPFでチケット売ってます!」って宣伝をかなりしてましたから。
「ルス」の雰囲気は最高ですよね。
ただ、ポーランドサポーターの歌声がポルトガルサポーターの声援に勝ってたのが気になりましたが。国内リーグの「リスボンダービー」やCLの試合だとさらに圧巻な光景が見られます。
というわけで、またぜひ、ポルトガルにサッカーを観にいらしてください。
セルビア戦は日本から応援よろしくお願いします!
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-11 22:45
びっくり!!
今日テレビでポルトガル対ポーランドを
見ていたのですが、最後まで見れず、
結果を探しに来たら鰐さんの記事だったので、
もうびっくり!
(全然知らずにここに辿り着いたんですよ)
またちょくちょく読みに来ますね♪
posted by mana | 2007-09-12 07:24
Re:すり抜けた勝利-ポルトガルvsポーランド
>まなさん
こんなマニアックなブログでお会いするとは!(笑)
録画放送やってたんですか?
こちらでは精力的に「ポルトガルオタク」な記事を書いてますよ~。
来年、どうしてもオーストリア行きたいですからね(EURO2008)。ポルトガル代表の取材には力が入りまくってます。
そんなわけで、たま~に読んでやってください。
よろしくです。
しかし、ネットの力おそるべし。
posted by 鰐部哲也 | 2007-09-12 09:06


