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48カ国のW杯は金は生み出すが… 急落する「世界大会」の価値

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2026年FIFAワールドカップには48カ国が参加することになりそうだ。現在の32チームの方式から、大幅な増加になる。FIFAのインファンティノ会長とすれば公約を守った形になるが、フットボールファンとしてはとても残念だ。これにより今までより1000億円以上もの大金がテレビ放映権、スポンサー費用、チケット代金などから生まれるようだが、マイナスな影響は少なくないと感じる。

◾︎ なんのための予選なのか

この新方式により、各大陸のW杯予選がどのように変化するのか、あるいは変化しないのか、まだ分からない。しかし、現行の予選に変更が加わらないとすれば、予選の魅力はかなり下がると思う。間違いなく言えるのは、各国間の競争が今以上に熱くなることはないということだ。

現在日本代表はアジア最終予選を戦っている。5試合を終え、グループBでは勝ち点10で2位。しかし3位オーストラリア、4位UAEも勝ち点9で迫っている。個人的に、この状況は2つの意味で「魅力的」だと思う。まずは日本代表が「W杯本戦出場に向けて気が抜けない状況」だということ。「日本代表、危機的状況!」などという報道が試合が行われるたびに出るが、ある意味でそれは試合が面白いものであるという証だ。勝たなくては厳しい状況に追い込まれる。だから見て応援しよう。そこにはスタジアムでもテレビでも、代表戦を観戦する理由が生まれるのだ。本戦出場チーム数が増え、アジア突破の壁が低くなり、これが楽に本戦出場を達成できる環境となれば話が変わってくる。「イマイチ勝てないけどほぼ確実に本大会には出れる」チームを、果たしてファンは熱狂的に支持するだろうか?

2つ目の魅力は、グループの激戦という意味での魅力だ。現在のルール上、上位2チームは本戦出場を果たし、3位はプレーオフを行なう。つまり、首位サウジアラビアから4位UAEまで、本戦出場が約束されるのは2チームのみだ。現時点ではどのチームも「負ければ余裕がなくなる」状況だ。これは客観的に見ても魅力溢れる「激戦」と言っていいだろう。

しかし、本戦出場チーム拡大により、アジアに与えられる枠が増えればどうか。今でいえばこの4チーム中3チームに本戦出場権が与えられるかもしれない。そうなれば、「絶対に勝つ」ことよりも「負けない」ことが求められるだろう。これは今の状況に限らず、予選全体を通じて言える。そしてアジアに限った話ではない。少なくとも状況的には不利な試合を強いられるアウェイチームは「負けない戦い方」を選択するケースが増えるのではないだろうか。そうなれば、攻めのプレーを見せるチームは減るだろう。ディフェンシブなチームにも魅力はあるが、ファンに伝わりやすい、分かりやすい魅力はいつだって攻撃的なサッカーだ。

当然、所謂各大陸の「弱小国」にはより多くのチャンスが与えられる。そのような国からしてみればいいことだとは思うが、実力勝負であるはずの予選の魅力が半減するのは間違い無いと思う。言葉は悪いが、レベルが世界レベルに達していないチームに必要以上にチャンスを与えたいのであれば、そもそも予選なんていらないのではないだろうか。

◾︎W杯本大会も、「世界最強決定戦」の価値がなくなる

本大会のレベルが落ちるのも明らかだ。今回の決定に際して、インファンティノ会長は『フットボールはヨーロッパと南米以外にも存在する。サッカーはグローバルなスポーツだ』と話したという。それは事実であり、事実では無いと感じる。

確かに、サッカーは世界共通のスポーツだ。しかし、「強い」サッカーとなると、話は変わってくる。やはりヨーロッパや南米のレベルは明らかに世界的に見て高い水準にある。残念ながら、何を言ってもアジアやアフリカの国々が彼らのレベルに及ばないのは明らかだ。忘れてはならないのは、W杯は「世界王者」を決める大会であること。そこにW杯優勝トロフィーの価値があるし、大会の趣旨がブレるのはいただけない。

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記事カテゴリ:
FIFAワールドカップ
タグ:
チーム数増加
ワールドカップ
日本代表

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1994年、群馬県太田市生まれ。
アメリカとドイツでの生活を通じ、様々な国のスポーツ文化・メディアに触れて影響を受けました。

個人的な経験から、「日本のスポーツメディアは異常に優しい」と感じています。そして、今後メディアの報道がどう変わっていくか。それが日本の野球界・サッカー界の成長を左右するのではないでしょうか。

ただの一会社員ではありますが、「批判的な視点」そしてそれを可能にする知識を持っておきたいと考えております。
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