Sports as a Japanese Culture.

WBCの「世界大会」としての可能性。メジャーリーガーが見せた魂のベースボール。

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権藤博(2017年WBC侍ジャパン投手コーチ)は、2013年大会の取材には行かなかったという。(日刊ゲンダイの同氏コラムより)

ニューヨーク・メッツの若き豪腕、シンダーガードは今大会前、『WBCでプレーしたことでワールドシリーズを制覇したり、殿堂入りを果たした選手は過去に1人もいない』と話した。(Bleacher Report)

野球において最大の国際大会とされているワールドベースボールクラシックに対する評価は、これまで決して高いものではなかった。06年、09年大会を連覇した日本人はその事実を誇らしげに語るが、アメリカからの目は冷ややか。個人的にも、この2大会での侍たちの戦いは見事だったと思うが、「日本が世界で1番強い!」と断言するには値しないと感じていた。

しかし、2017年大会が終わった今、世界の野球界における「常識」は変わりつつあると感じる。サッカーやラグビーのW杯には遠く及びそうになかったこの大会が、もしかしたら野球界で同じような存在になるかもしれない。

◾︎国レベルで戦うことで見えたスターたちの「本気」

ヤディア・モリーナの姿に魅了された野球ファンは少なくないと思う。プエルトリコ代表として今大会も正捕手を務めたこのメジャーリーガーは、前回大会同様、今回も闘志あふれるプレーで母国を2大会連続の準優勝に導いた。モリーナだけではない。同じように気持ちを前面に押し出すプレーを見せる選手が増えたように思う。

日本人の印象に特に残っているのは、オランダのバレンティンではないだろうか。大会最多の4本塁打を放ったスラッガーは、大会中何度も物凄いスイングでボールを叩くと、雄叫びを上げながらバットを投げ捨て、ダイヤモンドを一周した。オランダ代表ベンチに陣取ったシモンズ、ボガーツ、グレゴリウス、プロファー、スコープなどは皆真のメジャーリーガー。日本対オランダ戦を1塁側から観戦した私は、常にベンチから飛び出す勢いで身を乗り出し、仲間の打席を見守る彼らの姿に感動を覚えた。

東京ドームはボガーツらの一流選手たちが躍動

ナショナル・リーグで2年連続の二冠王に輝いたアメリカ代表アレナド(コロラド・ロッキーズ)は一次ラウンドのコロンビア戦で振り逃げから気迫のヘッドスライディングを見せた。決勝ではプライドを捨て、バントも試みた。そして大会MVPのストローマン(トロント・ブルージェイズ)は決勝で魂のピッチングを披露した。

このようなシーンを見て、私は2つのことが分かったと思う。まずは「国の代表」として戦うことの意味。普段から真剣勝負の世界に身を置いている選手たちが、WBCでは目の色を変えて戦っていた。その裏にはやはり、「母国の野球を代表している」という思いがあったように思う。日本でも「日の丸を背負って」という表現はよく聞くが、国によってはその思いがまた別次元だ。自らの母国のために、自らと同じ文化を共有する選手たちと共に戦うことの大きさをトップレベルの選手たちが見せてくれた。

2つ目は、確実にWBCが国際大会として「本気で戦う価値」があるものになってきているということ。『少し前までは、メジャーリーガーが相手にしない大会だった』と米メディアも報じていたのを覚えている。事実、前回大会まではその側面もあったと思う。権藤氏による冒頭のコラムでも、アメリカやメキシコの選手に苦言を呈していた。特にメジャーリーガーはオープン戦同様、「調整程度」にしか考えていなかった選手も多かっただろう。しかし、今大会は違った。手を抜いているような選手はいなかった。アレナドのヘッドスライディングや決勝のリンドアの体を張った守備などは当然、怪我のリスクもある。しかしそんなことは関係ない。試合に出れば目一杯のプレーを見せる。WBCはやっとそう語れる大会になってきたのだと感じた。

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1994年、群馬県太田市生まれ。
アメリカとドイツでの生活を通じ、様々な国のスポーツ文化・メディアに触れて影響を受けました。

個人的な経験から、「日本のスポーツメディアは異常に優しい」と感じています。そして、今後メディアの報道がどう変わっていくか。それが日本の野球界・サッカー界の成長を左右するのではないでしょうか。

ただの一会社員ではありますが、「批判的な視点」そしてそれを可能にする知識を持っておきたいと考えております。
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