2012年03月11日
短期決戦を制するのは
はじめに Vリーグは先週で女子のレギュラーラウンドも終了し,今週で男子も終了になります。残すはセミファイナルとファイナルラウンドとなりました。 以前,あるVリーグの監督は「とりあえず4強に入ってしまえば,後は一発勝負」的なことを「チームの顔」で入っていました。確かにここからは,長いレギュラーシーズンとは違って短期決戦になります。 一般に,短期決戦になれば番狂わせが起きやすくなるといわれています。では,バレーボールの短期決戦についてはどうでしょうか? ※Vリーグでは,年度によってファイナルラウンドとセミファイナルラウンドの呼び方がまちまちですので,今回は2つあわせてプレーオフと呼ぶことにします。 というわけで,今回はバレーボールにおいて,短期決戦では番狂わせは起きやすいのか?ということをテーマに,レギュラーラウンドでの成績とプレーオフの成績を比べてみたいと思います。 短期決戦では番狂わせは起きやすいのであれば,レギュラーラウンドでの成績はフプレーオフではあまり反映されないという結果になると思います。一方,番狂わせは起きにくいのであれば,プレーオフでの成績はレギュラーラウンドとあまり変わらないものになると思います。 分析データ データ分析の対象に選んだのは,女子の第6回Vリーグ(1999-2000)からV・プレミアリーグ2009/10(2009-2010)までのデータです。男子はまた来週分析します。 年度別に見たレギュラーラウンドの順位と最終順位 まずは,レギュラーラウンドでの順位とプレーオフでの最終順位を年度別に見て行きたいと思います。データを表1-1に示します。この表は,レギュラーラウンドの1位~4位までのチームが,プレーオフで何位になったかを年度別に示しています。レギュラーラウンドよりも上位になった場合は赤字に,レギュラーラウンドよりも下位になった場合は青字にしています。 例えば,最近の方が番狂わせが起こりやすいといった,年度によってトレンドがあるかと思って分析してみたのですが,どうやらそのような傾向はなさそうです。 年度によるトレンドはなさそうなので,このデータをまとめたものを表1-2に示します。このデータをグラフ化したものを図1に示します。この図の見方ですが,レギュラーラウンドで1~4位だったチームが,最終順位では何位になったかを示しています。データを見るに, ・優勝→ レギュラーラウンド1位が多い ・準優勝→ レギュラーラウンド2位が多い ・3位→ レギュラーラウンド4位が多い ・4位→ レギュラーラウンド3位が多い という関係となっています。3位と4位は入れ替わりやすい一方で,優勝と準優勝はレギュラーラウンドの順位がそのまま反映されることが多いというのが女子Vリーグのプレーオフの特徴といえそうです。プレーオフの焦点は優勝チームを決めることという目的から考えると,番狂わせは起こりにくいといって良いのかもしれません。 こうした傾向はVリーグを長く見られている方であれば感じていたことかもしれません。しかしながら,レギュラーラウンド1位のチームが優勝できない確率も4/11なので野球選手の打率にしてみればまずまずの値になります。少なくとも番狂わせは全く期待できないとはいえないデータだと思います。それでは,たまに起こる番狂わせはどのような時に起こっているのでしょうか。 レギュラーラウンドの順位を詳しく見る 順位というデータはなかなか曲者で,同じ順位でも年度によって価値は異なります。1位と2位の差は,拮抗するような年もあれば大きく差が開くような年もあるからです。これは2位以下の順位にも同じことがいえます。 ということは,成績の拮抗したときには番狂わせが起こりやすいのではないかと考えることができます。そこでレギュラーラウンドの順位をもう少し詳しく分析して行きたいと思います。 レギュラーラウンド1位チームの分析 まずは,レギュラーラウンドで1位になった11チームの勝率と2位のチームとの勝率の差をグラフ化したものを図2-1に示します。このデータは,右に行くほど1位チームの勝率が高く,上に行くほど2位のチームと勝率の差がついていることを示します。◆の色はプレーオフで決まった最終順位を示しています。 成績の拮抗したときには番狂わせが起こりやすいのであれば,2位のチームと勝率の差が小さい下のほうのデータほど最終順位が2位以下になりますが,データを見るにそのような関係にはなりませんでした。むしろ,2位との勝率が近いほど優勝することが多く,差が大きいほうが2位以下になったケースが多いです。 レギュラーラウンド2位チームの分析 次に,レギュラーラウンドで2位になった11チームについて,1位と3位のチームとの勝率の差をグラフ化したものを図2-2に示します。このデータは,右に行くほど1位チームとの勝率の差が大きく,上に行くほど3位のチームと勝率の差が大きいことを示します。◆の色はプレーオフで決まった最終順位を示しています。 ここでも,1位と3位との成績の差と最終順位との間に傾向のようなものを見出すことはできませんでした。 レギュラーラウンド3位チームの分析 次は,レギュラーラウンドで3位になった11チームについて,2位と4位のチームとの勝率の差をグラフ化したものを図2-3に示します。図の見方は図2-2と同じです。 データを見るに,4位のチームとの成績の差が小さい,つまり図の下のほうのデータほど4位になるケースが多くなっています。 レギュラーラウンド4位チームの分析 最後に,レギュラーラウンドで4位になった11チームの勝率と3位のチームとの勝率の差をグラフ化したものを図2-4に示します。図の見方は図2-1と同じです。 データを見るに,3位との勝率の差が小さい,つまり図の下のほうのデータほど3位以上になるケースが多くなっています。 以上のデータをまとめると,レギュラーラウンドの順位が3位と4位のチームはチーム間の成績が拮抗しているほど番狂わせが生じやすいことがわかりました。一方,上位2チームにはそのような傾向を見出すことはできませんでした。 レギュラーラウンドでの対戦成績から分析する 次は,レギュラーラウンドでの直接対決の成績を見てみたいと思います。順位ではなくチーム間の相性のようなものがプレーオフの成績に反映されている可能性を検証してみます。 レギュラーラウンドでは,年度によって2~4回同じチームとの対戦があります。したがって,対戦成績は勝率にして,「0%・25%・33%・50%・67%・75%・100%」の7種類に分類可能です。分析対象年間のプレーオフの74試合,148チームのデータをこの7種類に分類したデータが以下の表2になります。25%と75%のデータ数が少ないので,表にあるようにそれぞれ33%と67%のデータにまとめて,「全敗・負け越し・五分・勝ち越し・全勝」の5種類に分類して分析しようと思います。 このデータをレギュラーラウンドの順位別に示したものを表3-1に示します。表中の数値はチーム数を示します。このデータについて勝率を示したものを表3-2に示します。このデータをグラフ化したものを図3-1に示します。ごちゃごちゃしてわかりにくいので,1位と2位,3位と4位の成績をまとめて勝率を求めたものを図3-2に示します。こうすると,なかなか興味深いデータが出てきました。 まず,全敗から五分までのデータについては,1位と2位,3位と4位のグループでともに50%前後の結果となっています。この結果は,レギュラーラウンドの対戦成績が多少悪くてもプレーオフでの勝率は50%前後,つまりどうなるかわからないということを示しています。レギュラーラウンドで分が悪くてもあまり気にする必要は無いようです。 一方,勝ち越しと全勝の場合は,1位と2位,3位と4位のグループで結果が大きく異なっています。1位と2位のチームではレギュラーラウンドで勝ち越していればそのままプレーオフでも勝利する可能性が高くなっています。しかし,3位と4位のチームはレギュラーラウンドで勝ち越していても,プレーオフでは勝てなくなってしまいます。 さて,このような違いはなぜ生じてくるのでしょうか? レギュラーラウンド1位と2位のチームが割りと順当にプレーオフを勝ち抜く秘訣がここにありそうな気がします。ということは,裏を返せば番狂わせが起こるポイントもここにあるかもしれません。 しかしながら,いろいろ可能性を考えてみたのですが,納得のいく答えが出てきません。というわけで,ここは無理に答えを出すことを投げ出して,この記事を読んでくださっている方にも考えてはいただけないでしょうか。 たまにはみんなで考えてみるのも一興ではないでしょうか。一人で無理して変な答えを出すよりは良いと思います。あまり反応のないブログではありますが,良ければご意見などいただけると助かります。
おわりに これから始まるセミファイナル・ファイナルラウンドを見ていく上で参考になればと思って分析してみました。 データを分析していると,今回のように「これはどうなっているのだろう?」という結果に時々遭遇します。個人的には思ったとおりの分析結果が出てくるよりも,こうした一筋縄でいかない結果の方が面白く感じてしまいます。皆さんからご意見が集まると嬉しいです。 さて,日付が変わって3月11日になってしまいました。 あの大地震からもう1年なんですね。私の住まいは震源からはるか遠く全く被害はありませんでしたが,それでも未だに自分の中では消化できておらず,ニュースで流れる震災の映像を直視できません。今はただ,震災で亡くなられた方々のご冥福と,被災地の一日も早い復興を祈っております。 そして今こうして生きていられることに感謝して,人生を楽しまないといけませんね。できることならば,このブログがバレーボールを楽しむために一味加えるスパイスのようなものになればと思います。 引用データ ・バレーボール Vリーグ オフィシャルサイト このブログで使用しているデータの著作権はVリーグ機構に属します。 無断で転載するようなことはご遠慮ください。
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