2006年11月25日

本当の勝ちを見せてほしい

ちょうど先週の日曜日。11月19日に千葉ポートアリーナで行われた、
講道館杯全日本体重別選手権にいってきた。

野村忠宏(60kg級)・内柴正人(66kg)の出場も予定されていたが・・・
ケガなどにより、欠場となった。
ということもあり、前回に引き続き東海大学に注目。

なかでも、今大会が個人戦復帰となる、大束正彦(73kg級)に注目していた。
73kg級には、W杯代表の金丸(了徳寺)・学生選手権を制した成田(国士舘)・そして、昨年優勝者の稲澤真人(ダイコロ)と強豪がひしめき合っている。

そんななか、大束は順当に勝ち進み準決勝を迎えた。
対戦相手は天理大学出身の稲澤真人(ダイコロ)。前回の覇者である。
2連覇がかかっている稲澤も、ここで負けられない。
そんな両者の対戦は、お互いの気持ちも、ぶつかり合っているかのように見えた。
しかし、そんな矢先・・・・・
見事な一本をしかけたのは大束だった。
大きな敵を一人破った。

決勝を待っているその姿は、非常に落ち着いていた。
それも見た私は、彼の優勝を確信していた。 
というより、それが願望だったのだろう。
とにかく勝ってほしかったし、それを信じていた。 

そして、迎えた決勝。 
勝ち進んできた相手は、学生チャンピオンの成田(国士舘)。 
お互い同じ年ということもあり、何度も対戦している相手。
11月上旬に尼崎で行われた団体戦では大束が勝利している。
お互いが手の打ちを知り過ぎていて、逆にやりづらい相手だろう。
しかし勝てない相手ではない。 
きっと本人が一番分かっていたことだろう。 

序盤から激しいぶつかりあい。 
お互いに良く分かる選手同士ということもあり、多少やりずらさもあるだろう。
しかし、ここで勝つ選手こそ本当の強さだ。 
中盤大束が効果をとるも取り消されてしまった。
今思えばここから、相手が勢いついた気がする。残り時間2分弱の時、 
逆に効果を取られてしまった。
観ている私にも、焦りと怖さがあった。
勝ってほしいのに、「負けちゃう」という気持ちが頭をよぎり、観ていられなくなってしまった。
そうこうしているうちに、残り時間は1分をきり、大束にも焦りが垣間見れた。 

あと一歩及ばず…… 
結局とられた効果を取り返すことが出来ずに、決勝戦敗退。 
とはいえ、準優勝。満足しても良い結果だ。 
しかし、何事にも変えられないくらいの悔しさや、自分の不甲斐なさを感じていたことだろう。 

大会が終了し、知り合いの選手達と会ったりしたが・・・・・・
こんな状態で大束には会う事が出来ず、チームメイトから控え室での様子を聞いた。
普段温厚な大束が控え室で、未だかつてないほどに取り乱していたという。
この話しからも、大束の大会に対する強い思いが感じられた。 

1位と3位は勝ってその座を獲得する。 
しかし、2位というのは決勝戦で負けた結果。 
この温度差はずいぶんある気がする。 
特に、大束の試合を観てから強くそう感じた。 

そしてもうひとつある。 
入賞して満足するタイプと、 
優勝意外は意味がないと思うタイプ。 
この温度差は先ほどよりも感じられる見解。 

「勝つ」という非常に単純な行為だが、 
どれだけ、「勝ち」にこだわるか 
そして、どれだけ「勝ち」という結果をだすのか。 
きっとこれに尽きる。 

これから、いろんな「勝つ」に立ち会えたら 
どんなに幸せだろう。 

大束は、来年2月にフランスで行われるパリ国際への出場が決まったそうだ。
この大会で優勝すると、ブラジルで行われる世界選手権への出場権を獲得できる。
今の大束が目指している舞台だ。世界選手権の結果次第では、
北京五輪もグッと近づく。
外国人相手が得意という、その戦いに注目だ。
 
講道館杯での悔しさをバネに 、
何倍にも練習をし、何倍もの自信を身に付けるだろう。 
そして本物の「勝ち」を手にいれ、 
本物のチャンピオンになってほしい。

posted by vantan_career_school_tamami |17:05 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2006年11月18日

大きな意味のある1勝

 スポーツの世界において引き分けという言葉は存在しない。というより、引き分けをいちばん嫌っている世界。どんな勝ち方だろうと、結果が全てなのだ。
 
 10月14・15日の二日間に渡り、全日本学生柔道体重別選手権大会が日本武道館で行われた。フロアーには、5つの試合場がありそれぞれが進行していく。対戦フロアーギリギリの近いところまで応援にいけるため、予選は盛り上がりを見せていた。観戦している側としては、どこを見たら良いのか迷ってしまうほど。
 今大会、東海大学の軽量級に注目していた。前大会チャンピオンの青木勝士(90kg級)・村上和幸(100kg超級)らが率いる重量級にも活躍が期待できるが、軽量級にも、相応の力を持った選手がいる。残念ながら連覇の期待がかかっていた福岡政章(60kg級)が、直前のケガで出場を辞退している。残る、女子は、ここ最近圧倒的な強さを見せている、平井希(63kg級)の連覇、また韓国ジュニア3位の舛水翔兵(60kg級)・予選大会敗者復活戦を制して出場を決めた稲葉将太(81kg級)がどこまでやれるかと見所が多い。……とはいえ、男女合わせて8階級の予選は予想以上に観戦しているほうもハードだった。たんたんと予選は進行していく。
 東海大に注目して観戦していたが、やはり他も気になる。選手にはとても失礼だが、ほとんどの選手を知らなかった。でも知らないからこそ、冷静に見れるもんなんだという発見があった。感情がないわけではないが、いろんな負け方があり、いろんな勝ち方がある。たとえば、開始数秒で勝敗が決まる対戦があれば、ゴールデンスコアになっても決まらない対戦。一本でスカっという勝ち方があれば、押さえ込みでハラハラする勝ちもある。このそれぞれの対戦を通じて、ますます“柔道”というスポーツの奥深さや難しさを感じた瞬間だった。
 この大会は、決勝まで一気に行われる。この時点で榎本収(66kg級)・稲葉将太(81kg級)・平井希(63kg級)の3選手が健闘していた。3選手しか残らなかったというのは、やや物足りない気もするが……ここまできた以上は3人まとめて優勝してほしい。それが期待できるからこそ、楽しみも倍増する。待ちに待った決勝が始まった。

 どんなスポーツでも決勝というのは独特の雰囲気がある。その中でも柔道の決勝は特別なものがあり、個人的にはとても好きな瞬間だ。照明が落とされ、太鼓の音と共に決勝出場者がそれぞれフロアーに現れる。観戦している側も一体となり、皆が気の引き締まる思いだ。決勝は男女同等の2階級が同時に行われる。
 まずは66kg級の榎本収初出場となる今大会。ここで優勝をつかむ事が、今後の彼にとって大きな岐路になることは間違いない。決勝での対戦相手は筑波大学の横口大志選手。序盤から攻め合いが続くなか、榎本が指導を取られてしまった。ポイントを取らないと負けてしまう。時間はどんどん過ぎていき、観戦している側は焦るばかり。ここまできたら何としても勝ってもらいたい。ちょうど斜め後ろに、ご両親と思われる方が声を枯らして必死に応援していた。その声に後押しされ、気が引き締まった。“とられたポイントは取り返せばいい”榎本の逆転を願い信じた。しかし、このときすでに残り10秒。負けがすぐそばまできているのに耐え切れずに、目をそむけそうになったとき……榎本が有効を取った。この時残り6秒。そのまま試合は終了し、榎本の優勢勝ち。学生チャンピオンになったのだ。気を張っていたせいか、終わった瞬間に涙が溢れてきた。一度も会ったこともないのに、泣けた自分に驚いた。泣いている場合ではない。次は81kg級の稲葉翔太。彼にとって決勝までの戦いは、全てがギリギリだったのかもしれない。先にも書いたように、予選大会を敗者復活戦で勝ちあがり、学生選手権の出場権をものにした。単純に考えれば、実力が上の選手のほうが多かったかもしれない。そんな稲葉の決勝の相手は、筑波大学の法兼真選手。ベルギー国際では3位入賞を果たしている選手。こちらも、実力者であることは間違いない。しかし、ここまできたら、稲葉も負けられない。試合は、両者譲らぬ攻防をみせていた。お互いに投げ、投げられるが、さすが決勝。なかなか勝負がつかない。そして5分間が過ぎ、ゴールデンスコアに突入した。体力だけが奪われるも勝負がつかない。観戦している側としては、ひいき目になるので勝ちを願っているが……審判3人による判定。赤の旗が3本あがった。稲葉だ。3‐0の判定で稲葉が優勝した。今回は涙ではない。激しい鳥肌がたった。もしかしたら、この大会に出場していなかったかもしれない選手が優勝してしまったのだ。“運も実力のうち”という言葉があるが、この大会に出場して決勝に進んだことは“運”かもしれない、しかし最後に優勝したことは“実力”だ。この時、隣の試合場では女子63kg級の平井希の決勝が行われていた。相手は、仙台大学の田中美衣。全日本ジュニアにも出場していた選手。しかし、平井には連覇がかかっている。絶対に負けられない試合。危なげなく、優勝を手にした。大学2年生ながら、学生選手権2連覇だ。
見事、決勝に進出した3選手全員が優勝というすばらしい結果に終わった。この3選手を含めた33選手が、明日から始まる講道館杯に出場する。講道館杯は、来年ブラジルで行われる世界選手権の出場権がかかっている大会だ。学生選手権をバネに力をつけていた選手もいれば、出られなかった悔しさで燃えている選手もいるだろう。そんな闘志のぶつかり合いが見ものだ。
 
 冒頭で、“結果が全て”と述べたが、その本当の意味がこの大会を通じて分かったような気がした。敗者復活戦があるにしろ、トーナメント制である限り負けは許されない。
実はこの大会の帰り道、たまたま前を歩いていた方が、稲葉と対戦した選手の関係者だったようだ。話しをきいていると、判定での負けに納得いかなかったという内容だった。えこひいきではとまで言っていた。その意見を否定するつもりはない。きっと逆の立場だったらそう思いかねないからだ。しかし、精一杯戦った選手はそうは思わないはず。判定であれ、負けは負け。それを受け止め、そこから新たな結果をだしていってほしい。

posted by たまみ |00:44 | コメント(0) | トラックバック(0)
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