Jリーグについて-素人の勉強部屋

以前から存在するJ2の格差

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J2の拡大路線による格差拡大の指摘がありますが、順位表をみると09年は例年より格差が少し少ない程度でシーズンを終えています。優勝した仙台の勝ち点が106ですが、51節でこの数字、おおよそ2点/節は決して多い数字ではありません。

J2はクラブ数が変化するので、比較が難しいのですが、1999年から2009年までの順位表を18クラブ34節に換算して表を重ねてみましょう。

1


比較対象として追加した赤とオレンジは欧州主要国のトップリーグの過去7年平均です(スポーツ・ナビで7年の順位表が得られる国から、ポルトガル(クラブ数変更)とイタリア(八百長問題)を除いた5カ国「オランダ、イングランド、ドイツ、スペイン、フランス」としました)。
黒いラインが09年のJ2ですが、黒い破線の広島がダントツだった08年を除いた他の年と比べても、特に格差のある印象はありません。

■全体を3等分する4点の平均勝ち点モデルを求めてみる。
リーグのクラブ数が異なると平均が出せないこともあって、このグラフでは特徴が見えにくい。ここで、1つのスタディとしての順位を3分割した抽象化モデルを求めてみます。1位、18位の他に全体を3等分する2つのポイントの勝ち点を近傍の順位から求め、直線で繋いで見ます。

(興味の無い方はここを読み飛ばしていただきたいのですが)実はこれが結構厄介な作業です。18クラブは6クラブずつのグループに分けられますが、順位を3等分してグラフとして見せようとすると1位の次が6.67位、次が12.33位、最後が18位となります。つまり、6位と7位の間のポイントを探るわけですが、しかも6.5にはならないわけですね。クラブ数が19だと7位と13位が求めるポイントになります。(序数は数学では0から数えるらしいですね)

11年分のJ2を表示すると見難いので、J2の平均値というもので何年分を代表させましょう。J2は1999年10クラブで始まり、1クラブずつ増やした後、2001~05年を12クラブ、06,07年を13クラブと少しずつクラブ数を増やしてきましたが、08、09年と急に15、18クラブ増やして今に至っています。
クラブが急増した08年と09年の特殊性を考えて、これ以外の9年間の平均をとります。それとこの2年分と欧州7年平均を比較したグラフが表です。

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グラフは3区間の勾配(隣り合う順位の勝ち点差の平均になります)を強調するようなグラフになっています。1位、6.67位、12.33位、18位は確かに平均値ですが、直線は区間の勾配を表現するだけで、平均というわけではありません。平均を表す曲線が実際にどのように通っているかは分かりませんので、気を付けてください(分割数を上げていけば平均を表す曲線に近づきます)。
因みに欧州のリーグ全体の平均勝ち点差(1位と最下位の勝ち点差÷順位差17)は3.01(1勝分の勝ち点)となっています。ですから、順位と勝ち点の表を作成する場合は縦軸の勝ち点3と順位1が等しくなる様な図が見やすいと思います。

■以前から存在する大きな格差
J2全体(1位と18位の)の平均勝ち点差(勾配)も欧州と同じでおよそ3です。これは“拡大路線のせいではなく“開幕からの平均値がそうなのです。1位と18位で格差を代表させる事に若干の抵抗はありますが、欧州のトップリーグの格差は非常に大きなものですから、あの格差の存在をJ2に感じる目安にはなるでしょうか。実際に山形・湘南・鳥栖のJ1への道のりの遠さを考えると大きな格差は最初から存在していたと捉えるべきだと思います。しかし、そこを今後問題視する事には大きな意義を感じます(J2を長年見てきた方に実感としての訂正を求めたいところですが・・・)。
07年までの平均がほぼ直線になっていますが、どの国も欧州平均のようなS字になるのが普通で、最近のJ1、J2もそうです。中央は少しなだらかで上位に行くほど勾配が急になり、15、6位以降より下は急に降下していく。上位の格差は恐らく順位による収入益格差により順位やクラブ規模格差が固定化する事によるのでしょう。下位の格差は昇格参入クラブとの格差と残留争いや降格決定後のモチベーション低下による敗戦などレース展開によるものが考えられそうです。
J2には過去これらの影響が無かったということでしょうか。J1から降格してくるクラブで明らかにJ1規格のクラブが上位で、参入して間もないクラブが下位で格差を作りそうなものですが、そういったことが見られていなかったのは実に不思議です。実は06、07年は格差の小さいリーグにも見えます(最初の勝ち点比較のグラフを参照してください)。11年をざっくり捉える見方とディテールに注目する見方では印象も変わるかもしれません。

さて、今シーズンは参入クラブが多く格差が非常に大きいという印象がありました。以前のエントリーで1stレグでの分析した際にもそう指摘していました。しかし、シーズンを終えて、モデルで見る格差は07年までの平均よりも小さいものとなりました。欧州と比べても18位は同程度ですが、12.7位が高く、6.7位と1位が低くなっております。

■J2の特異性
シーズン前に甲府の佐久間GMが今年の昇格ラインを100と予想していましたが、3位の湘南は98と届かず昇格しています。2ndレグ以降の主力選手の怪我や多クラブのJ1クラブからのレンタル補強。3rdレグでの累積カードによる出場停止、長丁場によるコンディションの低下。考えられる要因は様々ですが、どのクラブにも起こりうるチーム戦力を低下する負の圧力も選手層が厚くはないJ2上位の優位性を消していく方向に働いたのかもしれません。
長いシーズンの為にクラブの格差を戦績が表現しなかったともいえますが、プロスポーツですし、分析する側からすると結果が全てと素直に捉えたいです。力を出し切れなかったクラブはシーズンの長短、J2リーグの環境をもっと知るべきだったのかもしれません(私もそれを知りたいと思っているひとりですが)。
もし、この終盤の停滞を予想し、開幕スタートダッシュを実現したクラブがあったとしたら・・・(妄想中)。
素人の印象でお話しますと、当然シーズンを通して各クラブともチームを仕上げていくのでしょうが、レンタル移籍による確変を考えると昇格を目指すクラブは開幕から結果を出せるかがまず最初のハードルとして戦局を大きく左右するように思います。

前回のエントリーでJ3を作る方向で話が盛り上がったのですが、案の優位性をジャッジする為にJ2の状況をもう少し知りたくてスタディしてみました。

如何でしょうか。




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Jリーグ/格差(順位・勝ち点)
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ルイ・コス太さま

人的な交流がどんどん進めば、情報が回って、最終的にはルイ・コス太さんのイメージに近づくのでしょうね。
それは単純に時間が解決してくれるのかもしれません。
でも、私はちょっと違う捉え方をしたいと思います。
戦力格差=資金力格差を前提として、それを乗り越えるチームの成熟が結果を出すというように(逆に乗り越えられてしまう未熟もあるのですが)。
多分言い方を替えているだけなのですが、成熟したチームや成功した補強(単年ではダメです)に資金が後から付いてきたりすると。
ちょっと甘い考えかもしれませんが、説明のしかたを替えれば現状でもスポンサーの気持ちを動かす正比例の関係かもしれない。そのような事を今考えています。

以前から存在するJ2の格差

>J2では集積知の高いクラブに集積知の高い個人が立ち向かいうる環境があるように思います

そう思います。
更にはどのクラブもそれぞれのスピードで集積知を高めているので、上手い補強が出来れば躍進という結果が現れると思います。
この点は後発クラブにとっては励みになるでしょうね。

>資金力格差=戦力格差となったほうがスポンサーのモチベーション維持にはなるようにも思いますが

私も同じ様に思います。
ただ、現状としてはJリーグは資金力差も決定打になる程には大きくないんでしょうね。
私も南田神田さん同様に格差があっても良い(できるだけ高いレベルでの格差)と考えているので、スポンサーの気持ちを動かす位の正比例の関係になって欲しいと思います。

ルイ・コス太さま

コメントありがとうございます。
現在の妙味って的確なお言葉だと思います。ご指摘の集積知ですが、J2では集積知の高いクラブに集積知の高い個人が立ち向かいうる環境があるように思います。
優秀な個人の動きが戦績に影響する。GM、監督、選手。
水戸もそうですが、岐阜とGM今西さんの相性が良いのか、育成型クラブとしてのやり方?でJ2で12位は凄いと思います。
水戸や岐阜は究極のコスト・パフォーマンスを誇っていますよね。
リーグの総額はJ2でも莫大なスポンサー料を集めているわけですから、資金力格差=戦力格差となったほうがスポンサーのモチベーション維持にはなるようにも思いますが。

以前から存在するJ2の格差

Jリーグの場合は今の所、資金力格差と戦力格差が正比例になっていないので欧州主要リーグとは若干意味合いが違う様な気がします。

今年の様に水戸や徳島といった資金力の乏しいクラブの躍進も、レンタル移籍等を上手く使えば充分に起こり得るのが現在の妙味かと。
その意味では格差の根っこは各クラブの集積知(コネクションやフィロソフィーも)にあるのかもしれないと思いました。

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