Jリーグについて-素人の勉強部屋

湘南に見る地域密着

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今シーズン最終節でJ1昇格を決めた湘南ベルマーレは、ご存知の通り親会社の撤退による存続危機と低迷を乗り越えてここまで来ました。その間にも拠点の移転に苦労したり(依然としてクラブハウスが解決していない)、昨年はユニフォームスポンサーの撤退や倒産があったり、今も平塚競技場の改修問題を抱えていたり。。。
その苦難の道は市民クラブの地域定着と成長の歴史でもあるのですが、41ページもわたる資料がクラブのホームページで公開されています。この資料マニフェスト730全文(PDF)はちょっと濃いです。
内容は「経営戦略・チーム戦略・育成計画・拠点作り・サポーターやホームタウンとの対話・総合スポーツクラブ戦略・独自性の創出」の7項目にわたり、2004~9年までのマニフェストで構成されています。
これを読むと地域に根ざした市民クラブの立ち位置みたいなものが良く分かります。
経営戦略ではJ3創設を想定し、降格しないための予算規模の確保のため、常に増資と責任企業の必要性を訴えています。一方で拠点作りや対話などでは、予算の少ないクラブに出来ることを最大限に行う市民クラブの身の丈がうかがい知れます。ここに地域密着の努力が見られるわけです。

注)
湘南のサッカースクールはNPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブに所属し、2002年にU-12とU-15をNPO法人に移しています。Jクラブの湘南はU-18以上の組織の株式会社となっています。
湘南はホームタウンを平塚市から7市3町へ広域化していますが、NPO法人としてはサッカーとビーチバレーは平塚市、ソフトボールとトライアスロンは厚木市、フットサルは小田原市と拠点を分散し、それぞれがスポンサーを募って活動しています。マニフェストはサッカークラブのもだと思うのですが、内容はNPO法人の範囲まで含まれ境界が曖昧な部分もあります。以下はNPO法人として読んだ方がが良いと判断しながら内容を編集しています。

地域密着としては拠点作りと中心として以下4点の柱が見られると思います。

1.公共の施設にクラブ拠点を構え、行政・民間団体・市民と連携してヨーロッパによく見られる公共施設の運営受託や公設民営化への推進をホームタウンの全都市に働きかける。スタッフが常勤し利用時間の延長と芝生グランド利用の効果的な提案をし、生涯スポーツやより高いレベルのスポーツ指導を市民提要する。

指定管理業務は現在平塚市の馬入ふれあい公園サッカー場と湘南ひらつかビーチパーク、大磯運動公園、小田原市の上府中運動公園の4箇所で受注。


2.民間企業とのコラボレーションで、遊休地を抱えた地域企業と民間デベロッパーと協働。運営ノウハウとブランドをミックスしたアミューズメントフィールドとしてフットサル場&スクールの事業開発を進める。

これは拠点作りとして機能し、平塚市の馬入と、伊勢原市の産業能率大学サッカー場がトップチームをはじめユースチームの拠点となっているが、これに民間とのコラボの秦野市、藤沢市、大井町のフットサル場の拠点が加わる。湘南ベルマーレ小田原の拠点も完成予定。(VISION2008)
普及活動のサッカースクールは活動拠点以外に鎌倉と厚木(2箇所)を加え7箇所(VISION2007)で展開。


3.Jリーグの自然芝のグラウンドを奨励する事業をホームタウン内で広く進める。当時4月29日(現在は5月4日)みどりの日を「ベルマーレの日」とし、幼稚園や施設などに芝生の種や芝をプレゼントし、管理運営を支えるボランティアグループを立ち上げみどりのネットワークづくりを進める。


4.医大やヘルスケア企業と連携し適度なスポーツと医学的なアドバイスをアレンジすることで、湘南をスポーツによる予防医学の街にする(ドイツを例に重要性を説いています)。

7年目にはいる小学生巡回授業はすでに延べ6万人を超え(2007)、シニア層には年 12回のウォーキング講座を開催(毎回 100名近く参加)、ストレッチングやエクササイズによる生活習慣病予防や健康づくりのためのシニア体力アップ講座なども計画(2005)。
 トライアスロンチームが主催する各種スポーツ講座が盛況で引き続き高齢者から子供まで愉しめるプログラムで地域密着に大きな成果。


5.ホームタウンでの露出拡大のためにキャラクターやロゴを自治体の広報活動には無償で、支援商店街や団体にも一定の条件での開放。ホームタウンでのポスターやフラッグの掲出、自治体の広報誌や地域情報誌での露出を積極的に高める。

平塚商店街の装飾フラッグ、平塚市内の小学校がランドセルにつける交通安全の黄色のカバー、ごみを減らすためのマイバック(買い物袋)にキャラクターを使用。

内容はマニフェストなので、達成の有無による誤解に気をつけなければなりませんが、恐らく、どのクラブでも行っているであろうと思われる活動を公開していることが素晴らしいと思います。過去にあった個々の活動が結びついて大きく成長したりするところを見ると地道な活動と継続の大切さを改めて実感します。
清水や磐田、海外クラブ、様々を参考にしている姿も垣間見られます。

他のクラブの事情などを追記コメントしていただけたらうれしいです。

最後になりましたが、湘南に係る全ての皆様、J1昇格!本当におめでとうございます。更なる発展を祈願いたします。


追記
トライアスロンの拠点はスクールの多くを厚木市の施設で行っていることから推測しましたが、拠点という名称に合う活動状況かは分かりません。
マニフェスト730全文(PDF)はリンク集の「湘南のマニフェスト」からアプローチしてください。


追記2
指定管理者制度については、ブログ「指定管理者制度って、どうなの?」様が詳しいです。自治体にとっては経費削減や民間の経営ノウハウを生かした住民サービス向上が、管理者には、自前の施設がなくても事業を展開できるうまみがあるとされます。
Jリーグクラブはノウハウを得る為、共同事業体で運営しているケースが多いのではないでしょうか。受託によってクラブに大きな収入益があるとは思えず、その運営が評価されるのだと思います。鹿島によるスタジアムの運営は効率化により県の財政負担を減らし、運営も良い例として評価されているようです。

鹿島 カシマサッカースタジアム
その2 神戸新聞web
横浜FM 新横浜公園(日産スタジアム)
新潟 新潟スタジアム
FC東京の上井草スポーツセンター

総合スポーツクラブとしてのバルセロナについてはブログ Jリーグを観に行こう!様が良くまとまっています。左リンク集の追加させていただきました。リンクさせていただいたカテゴリーでは海外・国内の多くのクラブを取り上げられています。



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クラブ/ホームタウン
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umikazeさま

>反町監督が湘南シーレックスの試合で始球式を行ったくらい

ああ、忘れていました。あの時は何で?と思いましたが。

冬の合同自主トレなどは露出の低い双方に利があるかもしれませんね。産能大はホームページを眺めていた時に東京の何かとも関係があったような記憶がありますが、探せませんでした。

色々トライしてみて、分かってくることもあると思います。そういう意味でもベルマーレの来年に注目して欲しいと思います。

湘南に見る地域密着

野球のシーレックスとの提携的な動きは、そ~れほど活発ではないですね。
今年だと、ご存じかと思いますが、反町監督が湘南シーレックスの試合で始球式を行ったくらいしか思い浮かびません。あ、そういえば、以前、冬の自主トレをシーレックスとベルマーレで1日だけ合同で行ったことがあったかと思います。たしか前園選手がいたから2000年ですね。
産能大のCM(スカパー)では、シーレックス、ベルマーレ(とバスケの東京アパッチ)をバックアップしていることを前面に出してます。
野球とJリーグだと、横浜(ベイスターズ・マリノス)と千葉(ロッテ・ジェフ)の湾岸ダービーが同じ日に行われて、イベントっぽくしていたことがありましたね。野球とサッカーでどのくらいのファンの行き来があったかはわかりませんが・・。

umikazeさま

コメントありがとうございます。
長文で補足していただきありがとうございます。ちょっとググッてみると大社氏とのエピソードは藤江氏も取り上げていますね。
http://www.sports-times.jp/2009/11/20091102355.html

湘南のホームページにあるマニフェストのリンクってさらっとしていて気が付かないのも無理ないですよね。ご存知な事が大半でしょうが、私にはベルマーレ史が分かり易かったです。

>ファン・サポーターにとっても誇りの1つです。

umikazeさんのブログでも話題になりましたが、ベルマーレが中心になって神奈川県中央部・西部あたりの”もともと囲いの無い”ベッドタウン・エリアが一つにまとまってくれたらうれしいです。
政治でも地方がアツイ今、先んじて総合スポーツクラブの地元密着を目指している湘南の注目度は今後も上がるでしょうね。
スポーツを通じた教育・普及・医療は幼児から老人まで世代を問わない地域全員参加の思想。そして住民みんなの誇りとなって、数字というカタチになるのはもう少し先だと思いますが、きっとその日が来ると信じています。

ところで、ウィキペディアに”横浜ベイスターズのファーム(2軍)チームである「湘南シーレックス」(平塚球場が準本拠地)と連携している”とあるのですが、何か具体的な動きはあるのでしょうか。産業能率大学を介したものなのかな。
プロ野球と繋がれたら面白いですね。

湘南に見る地域密着

ご無沙汰してます。だいぶタイミングが遅くなってしまいましたが、コメントさせていただきます。

私自身、湘南サポでありながら、実は「マニフェスト」をちゃんと読んだことがありませんでした(苦笑)。「ベルマーレの日」なるものも初めて知りました。

それはさておき、ご存じのとおり、親会社を持たない湘南のクラブ運営は他の多くのJクラブから一目おかれています。実際、湘南の真壁社長にはセレッソのスポンサーである日本ハムの大社氏から話を聞かせてくれと依頼があったりしたそうです。また、湘南の自立したクラブ経営(親からの補填なし)に携わりたいと、マリノスの元社長だった方が薄給でもベルマーレに入ってくれたりと。

そういった部分はファン・サポーターにとっても誇りの1つです。

そして、もっともっと「地域密着」が、観客数などの数字に表れてくるようになればなあと思います。例えば、J全体で観客年齢層の高齢化が進んでいるなか、湘南は「体育巡回授業」(10万人突破)の効果で子供の入場者数が増えてきた、とか。

J1に上がりましたが、来季も試合だけじゃなく「勝負」は続きますね。お金がなくとも、さまざまな「総合力」でJ1に定着できるという、そんなさきがけになれたら・・、と思っています。

(長々と失礼しました。では。)

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