2010年01月25日

NFCチャンピオンシップ。こんなに心打たれる試合はそうお目にかかれない

         やっぱり私の心の中のヒーロはファーブあなただ

あのファーブが散った……
だから、泣けたわけじゃない。
試合後半は、勝敗を超越した世界での攻防に息をのみ、そして目に涙が溜まった。

不惑の鉄人のプレイは最後まで、鉄人であった。
交通事故のようなヒットを受けようとも、フィールドに何度も叩きつけられようとも、足に手負いを負いながらも、彼はフィールドに立ち続けた。
こんな凄まじい40歳がこの世にいるだろうか。
30で老いを感じている自分が情けなく恥ずかしい。


         NFCチャンピオンを決める大一番

感傷的な話ばかりしてないで、話を本筋に戻さねば。
今日、LIVE中継でNFLのNFLチャンピオンシップを観戦していた。
いわば、NFCのスーパーボウル進出チーム決定戦である。
ニューオリンズ・セインツ(シード1位)VSミネソタ・バイキングス(シード2位)。


         セインツはミシシッピ市民の“夢”と“誇り”

舞台はセインツホームのルイジアナ・スーパードーム。
そう、あのハリケーン「カトリーナ」で甚大なる被害をもたらし、その被災地でもあり、被災者の避難場所にもなったあのドームである。
今ではそのドームも当時の悲惨な光景を見る影もなく整備されているが、当時屋根ははがれ、空調もきかず、水路も機能しない悲惨な状況であった。
いわば、未だ傷痕が残るミシシッピ州の復興の象徴でもある。
そのスーパードームに満員の6万8000人が詰めかけた。
“クラウドノイズ”は100デシベルを超えていた(ジェット機が横を通過するような騒音らしい)。
モニターで見る限り、確かに空席はひとつもなかった。
ミシシッピ州の人たちも、ニューオリンズ・セインツの躍進と自分たちの復活をダブらせていることは言うまでもない。
ニューオリンズ市民の“誇り”それが“セインツ”なのである。
そして、「聖者の行進」は、最後の最後スーパーボウルまで、その夢の旅路を終わらせなかった。
チーム創設初のスーパーボウル進出である。

そして、その相手が不惑の40を迎えたブレッド・ファーブ率いるミネソタ・バイキングス。
スポーツは筋書きのないドラマと表現されるが、試合前の因縁からしてこのカードにはドラマがふんだんに組み込まれていた。
ちなみに、ファーブの出身地はミシシッピ州で、幼少の頃はニューオリンズ・セインツのファンであったらしい。
ファーブにとってもこの試合は、2度目のチャンピオンズリング獲得以上に思い入れがあった試合だったことだろう。


         こんな試合一生の中でもそうお目にかかれない

戦前の予想通り、試合前半は互いの強力なパスオフェンスが機能し、一進一退の攻防。
互いに2つのタッチダウンを奪い、スコアは14対14。

試合が動いたのは、後半。
順調にドライブを進めるバイキングスであったが、ファンブルやインターセプトでボールポゼッションを失い続ける。
セインツディフェンス陣の予想以上の健闘が光った。
しかしながら、順調であったセインツの強力オフェンスが影を潜める。
前半とは違った意味で、試合のモメンタムが行ったり来たり。
アメフトの醍醐味が存分に味わえるゲームであった。

そして、後半序盤のファーブの左足首の怪我。
悪質にも見えかねないタックルを受け、ファーブは両肩を抱えながらサイドラインに下がった。
そしてセインツの攻撃中、彼はサイドラインで治療を施し(テーピングで足首をグルグル巻きにして)フィールドに帰ってきた。
それでも、常に左足は引きずったままである。
これには、相手セインツファンも少し同情したはずであろう。
これは、もうエースRBであり、NFL史上トップクラスのRBエイドリアン・ピーターソンに頼るしかないと、誰もが思った。
チームの精神的支柱でもあり、エースQBファーブが怪我をした時点で勝負はジ・エンドである。
NFLはそんな状況下で勝てるほど甘くない世界である。


         ファーブという男に常識という文字はない

しかし、ここから誰もが予想しなかった展開に入っていった。
ファーブは、パスを投げ続けたのである。
足を痛めているため、そのモビリティーは下がり(元々動けるタイプのQBではない)、ハードヒットを受け続ける。
そんな苦境に立たされても、ファーブはパスを選ぶ。そんな男だ。
確かに、オフェンスコーディネ―ターがそうしたという意見もあるだろう。
だが、私は彼がコーディネーターに怪我のことを気にせずコール(攻撃を決める)してくれと言っているような気がしてならなかった。

そして、いくつかのインターセプトを食らうことにもなってしまったが、怪我人とは思えないメンタルタフネスで、幾つもの見事なパスをヒットさせていった。
“鉄人”たる所以である。
試合全体を通しても相手セインツディフェンスが、RBピーターソンを狙っていたのは明らかだった。
事実この試合ピーターソンは精彩を欠いていたし、終始狙われ続けた。
この試合、パス攻撃の実力は五分五分。
だから、セインツディフェンスはランディフェンス一本に絞った守りをするシーンが多々あった。
その中で、ファーブの怪我である。
ファーブが怪我してからその傾向は更に顕著になったことは言うまでもない。
しかし、そこを利用し、痛む足をかばいながらもパスを投げ続けたファーブという男に、スポーツマン以上の何かを感じずにはいられなかった。

後半戦ゲームは、もつれにもつれた。
終了間際、バイキングスはフィールドゴールのチャンスをえかけたが、ファーブのパスがインターセプトされ、試合は28対28のタイスコア。


         やはりゲームは劇的な結末に

ゲームは、先に得点を奪った方が勝ちのオーバータイムにもちこされた。
ここでコイントスに勝ったのがセインツ。
オーバータイムのリターン権を奪ったチームは圧倒的に有利である。
それは、数ある歴史が物語っている。
しかし、後半のセインツオフェンスでは、勝負はどちらに転ぶかまったくわからないと言ってもよかった。

オーバータイムのセインツオフェンスは、正に薄氷を踏むを思いでのドライブであった。
“チャレンジ”ができないオーバータイムでは、微妙なプレイは審判の判断によってレビューされる。
ほぼ、ワンプレー毎に行われたそのレビューを観客席もテレビのこちらも固唾を飲んで見守った。
そして、そのレビューほとんどがセインツ優位の結果となり、ついにセインツはフィールドゴール圏内までドライブを進めた。
決して楽なドライブではなかったことは、言うまでもない。
そして、この生きるか死ぬかの場面で、キッカー・ハートリーが40ヤードのフィールドゴールを決め勝負は決した。

スコアは31対28。
点差以上に密度の濃い試合であり、観る者に感激と感動を与えたそんな試合になった。


       NFLを観ない日本人は人生を損しているかもしれない

これこそがNFL、そしてプレーオフである。
私は今シーズン数あるゲームの中で、ベストマッチだと断言できる。
すべてを観たわけではない。でもそう断言できる。
なぜなら、私はこの試合の途中からずっと涙線が緩み、サブイボが出っぱなし状態だったのだから。
こんな試合そうお目にかかれない。
それを生で観れた私はこの上ない幸せ者である。
実は、ファーブ率いるバイキングスに肩入れして観ていた。
それでも、悔しい気持ちややるせない気持ちより、心揺さぶれた気持ちの方が断然上回った。
それは私が言葉に出さなくとも、試合後の両チームの行いを観ていればわかる。
NFLの試合では、勝負が決すると互いに選手が入れ乱れ相手選手を讃え合う。
しかし、このゲームはそれだけに収まらず、両チームの選手が混ざりながら輪を組むシーンが見られた。
これは、非常に稀である。
勝ったチームも負けたチームもこの試合内容に満足していなければできない行為である。
一発勝負で負けた敗者は、相当悔しいに違いないはずなのに。
冒頭に勝敗を超越していたという意味は、こういうシーンが物語っていると私は思う。


          最後まで見過ぎて痛い目にあっちゃった

不覚にも、試合後のセレモニーでAFCのスーパーボウル進出チームを知ってしまった(夕方録画放送を観る予定だったのに……)。
このブログを観ている人を道連れにして申し訳ないが、やはりAFCはシード1位で、シーズンMVPを獲得したQBペイトン・マニング率いるインディアナ・コルツである(多くの人が予想していていたのであろうでお許し下さい)。


          真のチャンピオンは?私は奇跡を信じたい

これで、今年のスーパーボウル進出チームは、AFC、NFCのシード1位チームになり、正にチャンピオン決定戦になったわけである。
今日決まったことだから、正確な統計ではないが、下馬評は確実にコルツにあるだろう。
3年前のスーパーボウルを制し、そして殿堂入り確実のQBが率いるコルツに死角らしい死角はない。
しかも、相手はスーパーボウルに進出すること自体初めてのチーム。
更に言えば、今日の試合を観た限り、セインツにシーズンほどの勢いはない。
もっと言えば、AFCとNFCに実力差があることは、ここ数年のNFLでは顕著である。

でも私は信じている。
ニューオリンズ・セインツが奇跡を起こし、全米の度肝を抜き、そして悲惨で立ち直れない状況からの復活劇を遂げることを。
日本でも“阪神・淡路大地震”から15年が経つ。
町並は元に戻り、何事もなかったかのように思われがちだが、被災者の中には心の傷を抱えた人も多い。
それではミシシッピ州市民も同じである。
今、アメリカ発信の世界大不況は世界を闇に陥れている。
だが、今年セインツが初の栄冠に輝くことで、多くの希望と勇気が世界に発信されれば(私も大阪で被災したひとりとして)、こんなに嬉しいことはない。

セインツよ!ここまで来たらその“聖者の行進”を止めるな!


         ファーブよ!お前は男中の男だ!

そして、今年も夢一歩届かなかったファーブよ。
誰がどう見ても、あなたは衰えが見える老兵には見えない。
毎度お騒がせしている引退発表などせず、もう一度夢にチャレンジしれくれ。
そして世界のオヤジども、アラフォー共に、希望を与えてくれ。

これで終わりにしよう。
2月8日。残念ながら私の家では、BS放送が映らないのでスーパーボウル生観戦はできない。
恵比寿まで足を運びプレイビューイングをしようと心に決めている(やってくれるかのかな……)。
セインツの最後の行進を見届けるために。

今日の試合は嫌でも一生心に残るゲームになるだろう。
そして、2月8日にスーパーボウルも一生心に残るゲームになることを願って、ここでお開きにしよう。
ロンバルディートロフィーは、やっぱり王者コルツ?それとも聖者セインツ?どちらにいくのか……


バンクーバー五輪前のスーパーボウル絶対に絶対に見逃せない!

posted by uzura176 |15:21 | アメフト | コメント(1) | トラックバック(0)
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NFCチャンピオンシップ。こんなに心打たれる試合はそうお目にかかれない

コメント投稿者ID :

スーパーボウル楽しみですねえ。私もセインツを応援します。知り合いの米国人はすべてマニング率いるコルツですが。日本人特有の判官贔屓ですわ。
来週は会社休んで観ようかな。またスーパーボウルの感想を楽しみにしていますね。

posted by ミハイロビッチ | 2010-01-31 16:41

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