2009年12月10日

赤星選手の散り方は、潔くそして儚い。だからいいんだ

        このタイミングというのも彼らしいのかもしれない

タイガースファンならずとも、衝撃的なニュースではなかっただろうか。

“レッドスター”こと、赤星憲弘選手の現役引退報道。
虎党の私にとっては、寂しさを通り越して放心状態になってしまいました。

首の怪我を押して出場していたことは、ファンにとっては周知の事実のだが、まさかここまでの重傷だったとは……
当初は頚椎のヘルニアということだったのだが、実は「中心性脊髄損傷」というアスリートでなくとも、大変な怪我だった。
小さい体ながらファイターでもあった赤星選手でさえ、現役を諦めなければならない状況。
それでも、発表がこの時期までずれこんだことが、彼にまだ闘志があった証拠ではないだろうか。
本来であれば、引退試合やセレモニーを行われてもおかしくない、ファンにとっては“小さい巨人”である。
彼のプレーに生きがいを求めていたファンも多いのではないだろうか。
それだけ彼は偉大な選手であった。

5回の盗塁王、俊足を活かした広範囲の守備範囲、そしてゴールデングラブ賞。
たった9年の現役生活にもかかわらず毎年当り前のように記録を積み重ねた。

ただ、私にとっては記録より記憶の方が鮮烈だった。
入団当初生で彼を観たことがあるのだが、とてもプロ野球選手やアスリートとは思えない体の小ささ、そして線の細さ。
玄人ぶっていた私は、2軍で何年間がんばって、プロの壁にぶち当たりその現役生活をひっそり終えていくのだろうと感じていた。
だが、蓋を開けてみると、1年目からセンターの定位置を奪い、そして新人王、盗塁王を獲得した。
私の眼は、節穴だったということだ。
でもそれだけ、彼は他の選手に囲まれるとまるで子供のような小ささであったことを昨日のことのように思い出す。


         体の小ささをハンデに、そして言い訳にしなかった男

今年22年間の現役生活を終えた立浪選手にも言えることだが、体の小ささを言い訳にしない選手というのは、本当にハートが強い選手でなければならない。
格闘技のように階級が分かれていないスポーツでは、体がものをいう。
それは、“草”がつくとはいえバスケットボールをしている私は痛感している。
たった5cmの身長、5キロの体重の差がどれだけ大きな差になるか。
そんな中でも闘い抜いた赤星選手は正しく心のファイターであった。


        彼が残した功績はプロ野球にとどまらない

彼が盗塁の概念を変えたと言っても過言ではない。
甲子園では彼が出塁すると、空気が変わる。
球場全体が彼の動きに釘づけになる。
“走れ”コール”などという、選手にとってはありがた迷惑なコールさえあった。
そんな中でも、彼はその期待に違わぬ俊足披露した。

野球は本来、投手と打者の1対1の戦いに醍醐味がある。
守備の選手や走者はあくまでもおまけである。
その概念さえ崩してしまったのが彼である。

ファンの方も1度は観た時があるだろう。
彼が1塁ベース上にいるとき、カメラアングルが3塁方向から投手と走者赤星の駆け引きに専念されていたシーンを。
昔から、足の速い選手が走者に出るとたまに使われていたが、赤星選手が出てきて以来、そのカメラアングルはテレビ中継では当たり前の光景になった。
彼は、野球界に一石を投じただけではなく、野球中継の在り方さえも変えてしまった稀有な選手である。


        こういう男気があってもいい

それにしても彼の引き際は潔くて、かっこいい。
名プレーヤーたるもの、引退は早めに発表し、引退試合や引退セレモニーでその舞台を作ることが常識になりつつある。
もちろん、彼も実動9年とはいえそこまでの領域に達している選手でもある。

そんな彼が、日本シリーズも終わり、各選手が契約更改を始める、引退を発表するというのは、何か男の美学、潔い引き際を感じさせる。
会見でも、涙さえ見せず、たんたんとその野球人生を振り返り、引退を決断した経緯を語る。
考え方によってはドライ過ぎるように感じるが、それが彼のやり方であり、生き方なのであろう。
私はその姿に、昨今忘れられていた、日本男児の美学のようなものを感じてならない。

彼は、しっとりとフィールドから去った。
でも、ファンの心にはあの迅雷の問うような盗塁、そしてセンターフィールドを躍動する彼の姿ずっと心の中に生き続けることだろう。


        野球という枠に収まらない、これからの人生を期待したい

彼は現役時代、盗塁をひとつ決めるごとに、車いすを寄付するという慈善事業をしていた。
現役を引退した今、それはもうできなくなる。
ただ、彼の人柄的にもお金だけではない、人の役に立つ行いを続けていくような気がする。
本来は、野球を引退した選手は、“野球界に恩返しをしたい”とか“野球界に残りたい”という言葉を残す。
至極当然の話である。
野球が彼らの礎であり、野球が人生のすべてだったのだから。

でも、赤星選手には野球というフィールドに固執しなくとも、世間を動かす人望や人柄、そして人徳がある。
どんな、舞台でもよい。
彼のこれからの活躍を願わずにはいられない。
ちなみにJR東京時代に運転士の免許も取得しているそう。
これも、堅実な彼らしいエピソードなのではないでしょうか。

そして最後に、本当にお疲れさまでした。
私には“9年しか”とは到底思えない。
常に100%の力で走り抜いた彼には“9年も”と思っている。

赤い星はこれからも色褪せることはない。

posted by uzura176 |13:35 | 野球 | コメント(1) | トラックバック(1)
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赤星選手の散り方は、潔くそして儚い。だからいいんだ

コメント投稿者ID :

体重が重いと、ダイビングしたときに体に大きな負担がかかるので怪我をしやすいです。もし体重が100キロ以上ある選手が赤星のようなプレーをしたら、大変な怪我をします。体重が100キロ以上ある選手が赤星のようなプレーをするのはとても難しいですけど。

posted by プロ野球ファン | 2009-12-12 01:01

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