2007年01月18日
今さらながら大学選手権決勝回顧
NFLのプレーオフにばかり心を奪われ、ラグビーの大学選手権決勝を振り返っていませんでした。今さらながらではありますが、自分の復習もかねてプレイバック。 まず、これは私が応援していた関東学院が優勝したから言うわけではないが、ここ数年の大学ラグビーの試合の中でも、屈指の好試合だったと思っています。ここ何年かは、一強の時代が続いていたので、決勝戦でも大差になったり、前半で勝負が決してしまうような年が多かった。今年は4強に関西勢が食い込んできたこともあり、各大学の実力差が拮抗していた。決勝に限らず、接戦が多かったのは、ファンにとっては喜ばしいことだと思います。 私が予想した展開は半分当たって、半分は外れたという感じでしょうか。 関東学院が勝つには、もっともっとFW戦に固執することが条件だと思っていましたが、早稲田のお株を奪うBKへの展開ラグビーを見せてくれた。早稲田のBK陣の守備が悪かったというわけではないが、虚を突かれた雰囲気はあった。 特に、前半戦にあれだけの走り合いに持ち込む関東学院を予想した人は少ないだろう。持久力的は早稲田に分があるので、あの展開で最後まで持つか持たないかは、原口監督にとっても賭けだったと思う。 これはFWにも言えることだが、関東の選手は相手を抜くことより、その後のラックや集散に重きを置いていた。 しかも、そのラックでの争いに無類の強さを感じた。早稲田の第3列も走れるチームではあるが、関東学院は同じ人数、もしくは人数で劣っていても、奪取する場面が多々みられた。私は未経験者なので、あのラック内で何が行われているかというのはわからないが、おそらく関東の選手の技術力と1cmでも体をボールの前に出すという執念が上回ったのだろう。 高校ラグビーやトップリーグを見ていて、ラグビー界もサッカー界の潮流と同じように、走ることや体力がものをいう競技になりつつあると考えていた。でも、ラグビーの原点には、接点(体をぶつけ合う局面)で負けないことが重要であることを、この試合を通じて再認識させられた。 早稲田の敗因は、ラインアウト(セットプレー)の不安定さにあったという意見が大半を占めているようです。確かに、現代ラグビーではラインアウトはより確実にとれるルール設定になっているので、50%を切るような獲得率はかなり低いと思う。そこでのターンオーバーが早稲田のリズムを崩す原因にもなったし、後半はタッチに蹴りだしたい場面で苦しまみれの展開も見られた。 ただ、そのミスだけが早稲田がリズムに乗れなかった原因だとは思えない。FWの主力選手に怪我人が出たこともそうだろうし、相手の攻め方をつかめなかったこともそうだろう。 でも、決定的なミスは、このゲームに挑む心構えだったような気がする。決勝の前評判は圧倒的に早稲田だった。それは早稲田の選手にも耳に入っていたことだろう。その周りの声に、選手やチームが浮き足立った面があったのではないか。3連覇という大目標があっても、それを達成するのは容易だと考えてはいなかったか。そして、昨年大金星を挙げた日本選手権に気持ちが行ってしまっていたのかもしれない。 関東学院は選手権で尻上がりに調子を上げていたし、10年連続の決勝ともなれば地力も確かだ。ラインアウトの不調は予期できないにしろ、ある程度劣勢になることも予想できたはず。 序盤戦で、関東学院が一気の攻勢をかけ連続トライを奪った場面でも、早稲田の選手の表情は呆然としたものだった。“こんなはずではない”と。実力的には充分逆転できるのに、頭の切り替えが遅れた。早稲田が勢いに乗り始めたのは、ある意味開き直ってからだろう。試合前から、ああいう劣勢の展開を想定していれば、もっと違った展開も見られたのかもしれない。 とまぁ、結果論でしかないことばかり言っているが、試合終盤の早稲田の怒涛の攻めを見ていると、関東学院を応援していた私は冷や冷やモンでした。最初からあんな捨て身のラグビーを展開していたらと思うと、ゾッとします(おそらく関東のFWは最後までもたなかったと思います)。あれだけ質の高いラグビーをするチームが負けてしまうのだから、ラグビーもやはりメンタルスポーツなのでしょう。 それにしても、3連覇がこんなにも高い壁だなんて…あの早稲田ですら駄目なんですから。そう考えると、それを達成した同志社、そしてその3年間全てにチームの主力として活躍した平尾誠二という選手は只者ではなかったということでしょう。高校、大学、社会人全てで結果を残してきた彼は正に生きる伝説。 試合後の関東学院原口監督のインタビューは聞き応えのあるものでした。「スターはいらない、雑草でも花が咲くんです」なんてことは、自分のやってきたことに自信がない人には言えない言葉だろう。その後の「次はサントリーを倒しますか」は、彼の負けん気の強さの現われでもあるのでしょう。この人がいる限りは、関東学院は弱くならんなぁ… 個人的には、早稲田のSH矢富選手の涙が印象的でした。4年生とか3連覇ではなく、単純に負けたことが悔しいという感じでした。慰めに来たチームメイトを振り払っていたのにはビックリ。負けず嫌いどころではないんでしょうね。彼は、これからの日本ラグビーを背負っていく逸材(あれだけサイズのあるSHは日本では稀です)なのでこの敗戦を糧にしてほしい。 久しぶり大学ラグビーで心躍るゲームを観ることができた。「関西、関西」とばかり言っていた自分が馬鹿のように思えてきます。いい試合に地域は関係ない。 ほんまにええ試合やった。
posted by uzura176 |03:17 |
ラグビー |
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Re:今さらながら大学選手権決勝回顧
こんにちは。
いつも楽しく拝読させてもらっていますよ。
ほんと、いい試合でしたねぇ。
私の個人的な早稲田の敗因は、各選手が個人技に走りすぎたかな…と。まぁそれもあれだけ失敗したラインアウトからの焦りもあるのでしょうが。これまでも個人で局面を打破する場面が多いと感じましたが、決勝ではそれを特に感じました。で、それがことごとく止められる。もちろん関学選手たちのディフェンスへの意識は素晴らしかったですね。
日本代表として、早稲田のタレントたちがこの経験をどう活かすのか。そこに期待したいものです。
posted by しん太 | 2007-01-18 17:40
Re:しん太さん
楽しいだなんて滅相もないです。
最近は自慰行為のような文章ばかり書いていることに反省しきりです。
この試合も試合後の感動冷めやまぬ段階に書けばいいのに、ずぼらをかましてしまうから、今になって記憶を辿りながら書くに至ってしまいました。
しん太さんのご意見はごもっともだと思います。早稲田の個人の強さが諸刃の剣となってしまったというところでしょうか。ただ、あれだけ突破力のある選手が揃っているとそうなるのも致し方ないのかと思う面もありますよね。そういう面ではバックス陣が一発のタックルで捕まった時はフォローが遅れているようにも感じました。それだけ、関東学院の速い出足や守備意識の高さを想定できていなかったと思います。
「なんでや?なんでや?」(無理やり大阪弁ですが)と思っている間に80分が終わってしまっていたんでしょうね。
今回は個の早稲田が和の関東学院に屈した形になってしまいましたが、それはそれで関東には出せないものがあるんでしょうね。社会人との闘いが待ち受ける日本選手権では、あえて今回負けたからといって、かしこまったラグビーをするのではなく、今の個の強さを生かしたラグビーがどこまで通用するか、チャレンジしてほしいと思っていますね。
ここ数年の日本選手権は、やる意義する問われている状況でしたが、今年は色の違うこの2大学が大会を盛り上げてくれそうです。
posted by uzura176 | 2007-01-19 04:10
Re:今さらながら大学選手権決勝回顧
>>最近は自慰行為のような文章ばかり書いていることに反省しきりです。
そんなことないッすよ
非常に練られた文章ですし、読みやすく、かつ
ご本人の意見感想もあり、それも共感でき
とても楽しみにしております。
今後も是非是非。
速報性にこだわることないっすよ。
posted by ちょっと待って! | 2007-01-19 10:40
Re:今さらながら大学選手権決勝回顧
自虐的になりすぎですよね。
もっともっと好きでやっていることなのだから自信を持たねばとも思うのですが、どうもネガティブシンキングがお得意のようです。
でも、そのようなお言葉を頂き、本当に励みになります。ありがとうございます。
posted by uzura176 | 2007-01-20 04:05
Re:今さらながら大学選手権決勝回顧
原口では無く春口監督ですから、宜しくね。
posted by junjuna | 2007-01-21 11:34
Re:junjunaさん
ご指摘ありがとうございます。
posted by uzura176 | 2007-01-22 02:36
Re:今さらながら大学選手権決勝回顧
週末にやっと再放送で試合を見ました。
前半は苦しみながらも、点差を詰めて、折り返し早稲田ペースと思わせましたが、一方で関東は集中力が凄くて、ノッコンが全くなく、パスはほぼノーミスでした。
ハーフタイム時の両監督の顔も、苦虫を噛み潰した様な春口監督と、インタビューの雰囲気から、この人絶対勝てると思ってるなぁ、という中竹監督。この監督の危機感の差が勝敗を分けたのかもしれないですね。
後半も、関東学院は集中が切れず、早稲田に好きなようにさせないまま30分が過ぎました。早稲田は怪我人が立て続けに出ましたが、これが如何に普段どおりのラグビーが出来ていないかを証明していたと思います。不思議と責め続けて、自分達のペースで試合を運んでいるチームに怪我人は出ないものです。
対抗戦での慶応戦も見ましたが、今年の早稲田は昨年までの凄みというものを感じませんでした。スター選手が多いチームに起こりがちな、守備の弱さを露呈してたのが気になりましたが、負け無しで来てしまったため、最後までそこを修正できなかった気がします。
春口監督は毎年必ず、大学選手権の決勝に照準を合わせ、チームのピークをここに持ってきます。実力差が余り無かった今年は、勝ち続けて来た早稲田が、この怖さを忘れていたのでは無いでしょうか。
あと、早稲田についてどうしても理解できない今年の特徴はワイドに開きすぎるBKラインでした。五郎丸を生かすための作戦なのかもしれませんが、あのバックスラインの最後のウィングまでキッチリとボールを回す技術が今年の早稲田には無かった気がしました。
どちらにしても、仙波(故人ですが)、淵上の時代から関東学院を追いかけているので、今回早稲田に一矢報いて良かったです。
春口監督が清宮監督にメッセージを送ったのが本当に面白かったですね。
posted by デポル | 2007-01-23 12:53
Re:デポルさん
的確な分析をされていましたね。
確かに、セットプレーでのミスは目立ちましたが、ノックオンは少ない試合だったように思います。その辺りも締まったゲームに見えた要員のひとつでしょうか。
前半が終わっての監督へのインタビューは、ラグビーそしてNHKならではですよね。春口監督そのインタビューでもちょっとはぐらかしたような雰囲気があるように感じるのは、例えテレビとはいえ試合中に腹のうちは見せないということなのかもしれませんね。
この試合の関東学院の褒めるべき所のひとつとして、体力的な持久力もそうですが、メンタルの持久力も素晴らしかったですね。最近はトップリーグでも集中力が切れるチームをよくみかけるので、尚更このゲームに対する想いを感じました。
先日、情熱大陸で早稲田ラグビー部の特集をやっていたらしいのですが、ガッチリ見落としてしまいました。その代わりに今週発売のNumberではこの試合をトップで扱っているでしたので、そちらを熟読しました(立ち読みですが…)。情熱大陸と重複する所もあるのだろうと、ひとり無理から納得している次第です。
1ラグビーファンとして、この試合は非常に有意義に楽しめました。
posted by uzura176 | 2007-01-24 23:51


