スポーツ追道

ポリバレントはあって然るべきもの。とは言い過ぎ?

このエントリーをはてなブックマークに追加

最近「ポリバレント」という言葉を頻繁に耳にする。


辞書で調べると意味は、「多様な、多機能な」と載っていた。

元々は化学・生物学用語らしい。昨今では、スポーツ用語としてもよく使われるようになってきた。文系の、いやスポーツ馬鹿の私は、スポーツ用語としてしか使えませんが。

サッカーの評論では、ことさらよく耳にする。特にオシム氏がこの単語をよく使うことから、今や誰もが知る言葉になりつつある。前々監督のトルシエ氏もよく使っていたのだが、その時はあまりピックアップされることがなかった。彼の場合は「フラット3」ばかりにスポットが当たっていたからかもしれません。

なんかカタカナだと小難しい感じもするが、要するに「複数ポジションをこなす・こなせる」と置き換えても問題ない(もちろんスポーツ限定でしょうが)。

意地悪な言い方をすれば、器用貧乏と取れないこともない。

でも、実はこの器用貧乏こそが、今、日本のサッカー選手(日本代表)に求められている。

ガーナ戦やインド戦を観ても、本職がボランチでもある阿部、今野、鈴木啓太が、怪我人の多いCB陣の変わりに最終ラインに入って、そつなく仕事をこなした。正しく彼らは、ポリバレントを持ち合わせる選手だと証明された。事実、この2試合で評価が高かったのは、普段と違うポジションに入った彼らでした。


ただ、私は日本代表でもあれば、このポリバレント性は持ち合わせて当然のものだとも考えている。ポリバレントを持っている選手は優秀というよりも、それを持ち合わせていない選手に問題があるような気がする。

サッカーは、流動性豊かでポジションに固執することが少ない競技でもある。もちろん基本的なポジションはあるが、ボールを蹴る、ボール止める、走る、味方とコミュニケーションをとる、周りの状況を把握する、そして対峙する相手と戦うということは、ポジション問わず一緒だと思う(GKを除いて)。

こんなことを言うと経験者やファンにはお叱りを受けるかもしれないが、サッカーほどポジションごとの役目や仕事が変わらない競技はない。要はそれらの仕事をこなす場所の問題なのではいか。



海外の強豪リーグ、そして代表レベルでは、ポリバレントと真逆の意味を指す“スペシャリスト”がいることも確かだ。点取り屋(FW)、潰し屋(CB)、ファンタジスタ(攻撃的MF)、ダイナモ(サイドバックやボランチ)などすぐに頭に思い浮かぶ選手はいるのではないでしょうか。

ただ、そういう選手は、正しく世界トップレベルにあるからこそ、それが許される。ロナウジーニョにサイドバックができる必要性はない。残念ながら、今の日本人選手には「俺はここしかしない(やらない)」というレベルに到達している選手はいないのが本当のところだ。だからこそオシムもこのポリバレントを重要視するのかもしれない。


昨年(ジーコが代表監督を務めている頃)、「コンバート」をテーマにして書いたことがある(YAHOOブログですが。お暇な方はどうぞ)。「ポリバレント」と「コンバート」。直接的には関係しないものなのかもしれないが、通ずるものが多いと私は考えている。

以前書いた時は、他競技に比べて、サッカーの世界ではあまりにもコンバートが少なく、下手だという趣旨のものでした。元々日本人は、柔軟性が高い民族なので、もっともっと試されるべきではないのかと。

スクランブル的な要素が多かったとはいえ、インド戦やガーナ戦は、ポジションにこだわらない起用法を実践したオシム戦術に頼もしさを感じてしまいました。


極端なことを言ってしまえば、競技問わず、ポリバレント性を有していない選手は、世界クラスでは通用しないということなのかもしれない。


大リーグで活躍している松井選手は、ホームランにこだわりを持ち続けながらも、繋ぐ打撃ができる。彼は日本にいる時は不動の4番打者だった。でも、ヤンキースではどんな打順でもどんな場面でも状況に応じた打撃ができる。アメリカではその辺が高く評価されている。

そして、守備位置も幼少期は捕手、中学高校と三塁手、プロに入って右翼手、中堅手、左翼手とそのポジションを変えてきた。豪快なイメージをもたれがちな彼だが、これほどポリバレントや柔軟性に優れた選手は他にいない。

チーム事情に合わせて仕事ができる人間ほど、指揮官に重宝されることは言うまでもない。今、日本代表で松井選手のように高いレベルでポリバレント性を持ち合わせる選手はいるのだろうか。

高いレベルで、という意味では、まだいないのかもしれない。ただ、オシムさんがそういう選手をこれから更に見出していく(発掘していく)可能性は高いと思います。

逆の観点から言えば、もっともっとスペシャリストが出てくることも期待している(欲張りですかね?)。「俺はこのポジションにこだわりがあって、死んでも変わる気はない!」なんて言えるくらいの選手が出てきてもいい。それだけのことを言うには、それ相応のレベルでないといけないが。

ポリバレント性が優れている選手とスペシャリストが融合した日本代表を見てみたい。

そんな時こそ、知将・オシムの腕の見せ所なのではないでしょうか。


ちなみに、個人的な意見だが、今世界で最もポリバレント性を持っているサッカー選手は、韓国のパク・チソン(マンチェスター・ユナイテッド所属)だと思う。状況に応じて、1試合で4回も5回もポジションを変えれる選手は彼くらいなのではないでしょうか。頭の切り替えのレベルも相当高いのだと思います。


器用貧乏。大いに結構。



1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
サッカー
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

Re:ポリバレントはあって然るべきもの。とは言い過ぎ?

InfoC管理者といいます。はじめまして。オシムジャパンに関する話題に関して書いていらっしゃるので、コメントを送りました。私、ナノピコ放送局(http://www.infococktail.co.jp/pickup/contents.cgi?topic_id=6)
というサイトを運営してまして、サッカーを含め様々なテーマに関して、トラックバックを用いて皆様の意見を集めています。ブログ読者を増やすのにもお役に立てると思います。トラックバックしてみませんか?サッカー以外でも興味があるテーマがありましたらブログ記事のトラックバックを送って下さるとありがたいです。解説はhttp://www.infococktail.co.jp/index7.html
にあります。勝手なコメントを送り申し訳ありません。ただブロガーの皆様のお役に立てるサイトになるのではと考えています。よろしくお願いします。

Re:あっぷるさん

コメントありがとうございます。

仕事や役目は違うというのは最もです。私のような並列に書いてしまう人間の方がどうかしているのかもしれませんね。

ただ、FWやDFにしても目的や目標が違うのは当然ですよね。でもある選手がFWとDFは仕事や意識付けが大差ないということも言っていました。

どちらのポジションもフィジカルと体格に恵まれている選手がやることもありますし、空いたスペースを探すこととスペースを埋める作業は目的は違えど、表裏一体の関係にあるわけですから、そういう意味で似通っているという意味なのかもしれませんね。

ちょっと話がずれてますが、FWが一対一の守備が強いに越したことないじゃないですか。くらいの発想です。適当でごめんなさい。

本当は自分のやっていたバスケや野球の話も盛り込んでいけばもっとわかりやすかったんですが、いかんせん説明能力が劣っておりまして…またチャンスがあればチャレンジしたいと思っています。

日本に足りないのは基本技術…それを言っちゃあ元も子もないような気もしますが、大変的を得ていると思います。

日本サッカーが進む道のりは険しいってことだけは間違いないんでしょうね。

Re:ポリバレントはあって然るべきもの。とは言い過ぎ?

サッカーはポジションごとの役目や、やるべき仕事、資質も似ているとの事ですが、
上で言ってる様にトラップ、パス、ドリブル、といった基本的な技術は同じと
思います。こういった能力はポジションに関係なく、みんな必要です。
GKにも必要だと思います。

けれど仕事や役目は違うと思います。まず基本的な目標がFWとDFは違いますし、
敵と1対1で対峙する場面も、その状況によって選択肢が全然違うものになるから、
そのポジションごとの特徴がでて、役目になると思います。
そういった事でポジションが変わると難しいのです。

ポリバレントと言ってもFWがDFをこなせる様になれというわけではなく、
近いポジション同士できるようになれって事だと思いますし。

ポリバレント性を重要視していますが私の考えでは日本に足りないものは
複数のポジションをこなす器用さよりも基本技術だと思いますよ。

Re:みらにすたさん

みらにすたさんのおっしゃることはもっともだと思います。

11人もいて、ポジションも割り分けられているのだから、各々の資質が違って当然です。ただ、私はあくまでも他競技(ボールゲーム)と比較してのものと書いていたはずです。もっと詳しく書くべきでしたが。

例えば野球やアメフトはご覧になられますか。ポジションごとに分業が成されています。野球で言えばセンターフライを3塁が捕りにいくこともないし必要もない。逆も言えます。アメフトなんてボールに触っていはいけないポジションもあるんですよ。

それらの競技と比べれば、明らかにサッカーという競技はやるべき仕事、さらに言えば資質も似ているのではないでしょうか。

みらにすたさんが挙げられたひとつひとつの例は全部ごもっともです。ただ、そのポジションの選手だけが必要なものではないですよね。多かれ少なかれ全ての選手が持ち合わせていないといけない能力なのではないでしょうか。

バスケやラグビーもそうです。でかい奴は中でじっとしておけとか、体重のある奴は押しておけばいいという時代は終わっているんですよ。これらの競技はポリバレントを持ち合わせていないチームは、確実に弱いといっても過言ではないです。

その際たるものが、現代サッカーなのではないでしょうか。10年前や20年前とサッカーの質が変わってきていることは、サッカーにお詳しそうなご存知だと思いますが…

ちなみに、中村選手はポリバレント性を有する選手というよりスペシャリストに分類されるのではないでしょうか。本文にも書きましたが、私はポリバレント性が優れる選手とスペシャリストが融合するチームを見たいと書きました。お間違いなく。

ちょっときつい言い方をしますが、「全員が誰々であれば」なんて言っている人、今時いないですよ。全員マラドーナやったら、全員イチローやったら、全員マイケルジョーダンやったらって…妄想の世界では楽しそうですけど、ありえないことなんで言い出したらきりがないんじゃないでしょうか。

最後は余計なことを言いましたが、人の意見や考えを批判するということはこういうことなんです。こういうあげ足の取り合いってみっともないじゃないですか。

おそらく、みらにすたさんはサッカーにお詳しいのだと思います。

私は、批判を甘んじて受けます。ただ、オマエはわかっていない、俺の意見を聞け!という上から視線のはちょっと苦手です。

例えば人にコメントする時は、「です・ます」調や、しゃべり言葉風の方がいいと思いますよ。

ちゃんと内容は受け止めておりますので、お気を悪くなさらずに。

こんな記事も読みたい

ブロガープロフィール

profile-iconuzura176

  • 昨日のページビュー:0
  • 累計のページビュー:798862

(02月08日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 代表決定戦にみる、大阪の高校ラグビーが強い所以は?
  2. スポーツファン、アメフトファン、そうじゃない人も必見の映画
  3. オグリキャップという伝説は永遠に色あせない
  4. アメリカでもっとも嫌われる男の大躍進
  5. ”報復のデッドボール”って必要悪なの?
  6. スポーツ用語辞典。いきなりNo1からご紹介。
  7. NFL偉人伝。1人何役こなす気?しかもキャラ抜群。
  8. 田臥勇太NBA再挑戦。なのに虚しくなるのは何故だ?
  9. キングことレブロン移籍の衝撃。バスケ版銀河系?
  10. 超平易スーパーボウル観戦術。アメフト嫌い必見?

月別アーカイブ

2011
03
02
2010
11
10
07
06
05
04
03
02
01
2009
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
2007
07
06
05
03
02
01
2006
12
11
10
09
08
07
06

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年02月08日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss