2007年12月31日
元旦から連日、駅伝が開催されている。
数年前から、日本男子長距離陣が世界の場で活躍できないのは「箱根駅伝」のせいではないか、という意見がある。果たして箱根駅伝はマイナス部分だけなのだろうか。
確かに、箱根駅伝で活躍し、大学卒業後の活躍を期待された選手が伸びていないというのは事実である。4年間の過酷な走りこみのせいで実業団で伸びないというのも、ある意味、当たっている。
だが、箱根で学生は本当に多くのことを学ぶ。その一つが、「背負って走る」ということ。家族や友人、恩師などの期待はもちろんだが、同じチームで苦楽を共にしてきたチームメイトの名前が書かれ、汗がしみこんだ襷をかけて走るというのは、日本代表になるのと同じくらいプレッシャーなのではないだろうか。チームの想いを背負って走るというのは、走った者にしか分からない重みだろう。
世界陸上の際に、女子1万mで連覇を果たしたディババが「お腹が痛かったけれど、国のために頑張った。世界大会でなく、エチオピアのユニフォームを着ていなかったら、途中でやめていたと思う」と話したが、箱根を走る学生も同じ心境なのではないか。襷を持っていなかったら、母校のユニフォームを着ていなかったら…。
若い時にそういった「背負う」つらさ、大変さを感じられるのは幸せだと思う。陸上競技のほかの種目の選手は経験したくても経験できないことである。
明日、箱根を走る学生には「背負う」重みを感じてほしい。そして、箱根にとどまらず、その経験をいつの日か世界で生かしてほしい。箱根を経験したからこそ世界でも走れる、ということを。
posted by Oikawa |22:38 |
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2007年12月29日
最近の取材で、いわゆる世界トップレベルの選手たちが、いかに自分の立場を熟知し、自分のパフォーマンスにどう責任を取っているか、を考えさせられた。彼らはその「自己責任」の取り方が上手い。
例えば、110mハードルで銀メダルを獲得したトランス・トランメル。彼は今年、13秒を切るパフォーマンスを連発したが、同時に故障も多かった。6月のリーボックで怪我し、満身創痍で全米に臨んだ。大阪では合宿中に軽い怪我、食事によるアレルギーなどに苦しんだ。大阪入りしてからのハプニングは彼は大阪では決して口にしなかった。劉に負けたことを潔く認め、相手を称える姿は、彼が尊敬するアレン・ジョンソンから学んだものか。キャリアの長い彼らは、負けた理由をメディアに話すことは逆に自分のプライドを汚す事だと分かっている。そしてアメリカのメディアが、言い訳を聞くのを極度に嫌うということも。
走り高跳びのドナルド・トーマス。南国育ちの彼でも大阪の暑さは堪えた。だが、「皆、同じ状況の下で試合をしているんだから、それは言い訳にはできない」と話す。トーマスは9月下旬の横浜スーパー陸上に参戦した際に、雨用のスパイクを持参していなかったため、思い切った踏切ができなかった。だが、それを負けた言い訳にはしなかった。
来年の北京五輪は、これまでにない過酷な条件になるはずだ。日本人選手は、海外のタフな選手たちにどう戦いを挑んでいくのだろうか…。残された時間は少ない。
写真:6月のリーボックGP
posted by Oikawa |04:05 |
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2007年12月28日
ちょっと気が早いけれど、来年の目標を。
「言い訳のない人生を送る」
1年間、アメリカ選手を中心に海外のスポーツ選手を取材してきたが、彼らは勝敗に関係なく、とても潔い。
3月に400mハードルのバーション・ジャクソンを取材した際の言葉が心に残っている。
「グラウンドにすべてを置いてきたい」
ジャクソンは世界陸上の準決勝、最後のハードルに足をぶつけ、世界陸上連覇ならなかった。記者たちが待つミックスゾーンでも無言。控え室で頭を抱えている姿が今でも脳裏に焼きついている。記者の何人かは、何のコメントも出さなかったジャクソンにいらだった様子だったが、敗者は多くを語るべきではない、という彼の姿勢に好感を持った。
同じ400mハードルのジェームズ・カーターも同様だった。決勝で最後に失速し、2大会連続のメダルを逃した彼も無言を貫き通した。翌日、無言の理由を聞いて納得。敗者が多くを語れば、時として誰かを傷つけることになる、ということを。
プロのスポーツ選手にとって成績がすべて、である。大会までの過程、練習での努力、人柄などは関係ない。成績だけが本当にすべて、なのだ。「言い訳をしない人生」だからこそ、彼らは強く、そして美しく、時に人の心を震えさせられるのだと思う。
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2007年12月05日
大阪の世界陸上で、観客、選手、報道陣、関係者のすべてを喜ばせ、驚かせてくれた、走り高跳びのドナルド・トーマス(バハマ)。
型破り、才能の塊、全身バネ…一言では表現できない自由奔放で、そして魅力的な選手だ。生まれながらの才能を持つ選手に会ったのは初めてなので、とても不思議な取材になった。言葉が通じているようで通じないというか。
競技を離れた一人の青年としての姿も興味深かった。
posted by Oikawa |12:42 |
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2007年12月05日
大阪世界陸上の男子砲丸投げで優勝した、アメリカのリース・ホッファを取材した。『ノミの心臓』で有名で、これまで大きな試合では結果を残せなかったが、今年になって、かつての練習仲間だった王者ネルソンを上回る成績を出し、大阪では悲願のメダルを獲得した。
精神面で大きく変わったこと、が勝てた理由と話す。リースの練習、試合での心の作り方は日本人選手参考になると思う。また、今年30歳になり、体にも人一倍気を使うようになったという。先日会った、トランメルも同様だが、28歳以上の選手の「体のケア」について聞くのは、とても興味深い。感心したり、驚かされたりすることばかり。アメリカ人選手は、日本のスポーツ選手と比べると、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲む・・・というイメージがあったが、それはちょっと昔までのこと。今の選手は、本当に「健康オタク」かもしれない。自分の不摂生ぶりが恥ずかしくなった…。
posted by Oikawa |01:49 |
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2007年12月03日
先日、大阪世界陸上の110mハードル銀メダリストのトランス・トランメルに会った。9月下旬にシーズンを終え、その後、2ヶ月は完全休養にあて、つい先日から練習を始めたという。オフの間は、趣味のボーリングに行ったり、服のデザインなどをしたり、また家族の住むサウシキャロライナを訪れたり、とゆったりとした時間を過ごした。
若いころは休まずに寝ても覚めても陸上のことばかり考え、練習も人一倍行ったが、年齢を重ねるにつれ、やや「燃え尽き」を感じたこともあったという。今季は特に、全米、そして世界陸上とタフで緊張を強いられる試合が多かったため、例年以上に休養をとった。
「新たな気持ちで陸上に臨むためには、休むことも必要」
アメリカ人選手が長い間、キャリアを重ねられている理由は、「休み上手」にあるのかもしれない。
posted by Oikawa |02:49 |
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2007年12月01日
短水路アメリカ選手権の2日目、マイケル・フェルプスは200mヤード自由形と800ヤード・フリーリレーに出場。200ヤードは自身の持つアメリカ記録に0秒05に迫る1分32秒13で優勝。800ヤード・フリーリレーは、6分12秒43でアメリカ記録を樹立した。
個人種目終了後、「リレーでアメリカ新を狙っている。このメンバーなら達成可能」と話したフェルプスは、所属チームであるClub Wolverineの第1泳者として出場。スタートからほかのチームを圧倒し、1分32秒と好タイムを叩きだした。時計を確認しながら、チームメイトに「Let's go!」と檄を飛ばす姿が印象的でもあった。アメリカ新を確認すると、チームメイトと笑顔で喜びを分かち合った。
10月下旬に不注意で怪我をしたフェルプス。10日間ほどプールに入れない日々を過ごしたが、ブランクはまったく感じられない。「練習の一環で出場したが、予想以上にいい結果を残している」というコメントからは心身ともに充実している様子も伺える。明後日は長水路のレースにも出場するが、疲労の残る中、どんなレースを見せてくれるのか、期待したい。
posted by Oikawa |10:10 |
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2007年12月01日
アメリカ短水路選手権の取材に来ている。プレス席の隣の席はAP通信のベス・ハリス。長年、水泳を追っている記者だ。
ライアン・ロックティーの取材後に、ベスが「ライアンは素直でいい選手なのに、誤解されやすいのよね。話し方にもっと気をつけないと」とポツリとこぼした。そして、こう続けた。
「陸上の選手もとても生意気そうに見えるわよね。特にリレーメンバーとか」
普段、陸上中心の私から見ると、陸上の選手よりも水泳の選手のほうが、なんとなく近寄りがたい雰囲気を感じるため、そう伝えたら、「結局、私たちもテレビに影響されてるのね」と苦笑。
選手のありのままの姿を文字で伝えるのは、容易いことではないけれど、少しでも、選手の芯となる部分に近づければ。それが、ナマの声を聞ける自分たちの役割だから。
ちなみに水泳の選手たちも陸上の選手同様に、丁寧に受け答えてくれる。
写真:アトランタ五輪が行われたジョージア工科大学のプール
posted by Oikawa |03:22 |
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