2007年09月25日

言葉のモンダイ(その2):「楽しむ」

 
20070925-01.JPG
 いつ、誰が使い始めたのか定かではないけれど、いつの間にかたくさんのスポーツ選手が使うようになった「楽しむ」という言葉。  世界陸上の男子400mで優勝したウォリナーが準決勝後に、決勝レースについて聞かれ、「It's going to be fun!(面白いレースになるぜ)」と話していたけれど、ここで使われた「Fun」と日本人選手が使う「楽しむ」は違う。ウォリナーは決勝後にも「Fun race」という表現を使ったけれど、これは44秒を切る選手がライバルとしていたので、ドキドキした、久々に面白いレースだった、というニュアンスで、「楽しんだ」ではない。  イチローや松井といったMLBの選手は公式戦では「楽しみたい」とは言わない。唯一、使うとすれば、オールスターの時くらいだろうか。  アメリカで練習をしていたミズノの大橋選手は、「自分が予選を通過しようと必死な時に、トップレベルの選手は隣りで余裕で流している。そんなレースしかできなかったら、面白くも楽しくもないんですよ」と話していた。当たり前の事だけど、選手の口から聞いたせいか、とても新鮮だった。  プレッシャーと戦うために、あえて「楽しむ」という表現を使いたくなる気持ちは分かるけれど、でも、試合前に使う言葉ではないような気がする。  アメリカを基盤に取材活動をしているせいか、日本語の言葉使いが引っかかるようになってきている。日本のスポーツ選手は、語彙が少ないように思う。ちなみに、アメリカの選手で語彙が多い、または表現が上手い、と感じるのは、タイソン・ゲイ、女子棒高跳びのジェン・スタズィンスキあたりだろうか。日本では、イチローがダントツだと思う。 写真:女子5000mで優勝したティルネッシュ・ディババ。口数は少ないけれど、ティルの言葉には魂を感じる。


posted by Oikawa |17:45 | 陸上 | コメント(2) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/usako-chan/tb_ping/48
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:言葉のモンダイ(その2):「楽しむ」

語彙が少ないことで損をしている日本選手は少なくないなと思います。と、同時に報道の伝え方も非常に拙くて参ってしまうことがあります。せっかく選んで使った言葉が全く違う表現の仕方で報道されることがしばしばあります。特に新聞報道。限られた字数の中で最大限何かを伝えようとしているのは何とかくみ取れるがこっちの意図とは大きなずれがある。だから新聞インタビューには答えたくないときがあります。日本選手で言葉のうまい人・・・イチロー選手は同感です。為末選手の言葉も陸上畑の人間からするとても興味深い使い方をされます。

posted by くま | 2007-09-26 19:12

Re:言葉のモンダイ(その2):「楽しむ」

 くまさん

 コメントありがとうございます。ご指摘の通り、取材者も気をつけないですね。選手の言葉を編集して載せる時には、もっと繊細にならなければいけないと思います。
 為末選手は、直接、話を聞いたのが一度しかないのですが、表現力がありますよね。ゆっくり話を聞いてみたい選手の一人です。

posted by Oikawa | 2007-10-02 21:26

コメントする