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荒井選手は銅メダルにふさわしい:50km競歩、カナダのダンフィー選手より

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(写真提供:イヴァン・ダンフィー選手)

「閉会式の前にアライに会ったんだけど、お互いに『おめでとう』と、その後、『ごめんね』って伝えあった」

 50km競歩で荒井広宙と競ったカナダのダンフィーから閉会式直前にメールが届いた。互いの国のグッズを交換し、笑顔の写真も添付されていた。会えたんだ、良かった、そう思った。

 最高気温28度、湿度76%という厳しいコンディションで行われた19日の男子50km競歩。日本の荒井広宙選手は3位でゴールし、銅メダル獲得かと思われたが、その後4位のイバン・ダンフィー選手の所属するカナダチームからレース中の接触について抗議が出たため荒井選手は一時、失格に。その後、日本陸連が再抗議を行った結果、抗議が認められて荒井選手は銅メダルを獲得した。

 その経緯についてダンフィー選手はカナダ陸連を通じて下記のような声明を発表している(一部抜粋、要約) 「レースではカナダ記録を更新し、4位になったことを嬉しく思います。レースでは自分の全てを出し切ることができました。レース後にカナダのコーチ陣がレース動画を見て、49kmの接触について抗議をした結果、3位に繰り上がりました。その後、日本の再抗議により、荒井選手の銅メダルが決まりました。この結果からスポーツ仲裁裁判所に持っていくことも検討されましたが、選手村に戻ってレース動画を見て、再抗議はしないことに決めました。

 レース中の接触は頻繁に起こります。3時間半もの厳しいレースで我々の心身がどれだけ疲弊するかほとんどの人が理解できないと思います。49kmではそういう状況下で私と荒井選手選手が接触しただけだと思います。私は精神的にきつかったため、集中力はそこで切れてしまいました。お互いがぶつかったのは決して故意ではありません。もしスポーツ仲裁裁判所に持っていき、抗議が認められても、私は誇らしい気持ちで銅メダルを受け取ることはできません。今回の自分の決断は正しいものだと考えています。そして今後も自分の競技人生を誇りに思い、それを裏切るような行為はしたくありません。みなさんの温かい応援、支援に感謝しています」    この声明でダンフィー選手はレース後の抗議はコーチ主導で行われたと言っている。なぜコーチ陣がダンフィー選手に確認せずに抗議したのか、という疑問も浮かぶかもしれないが、陸上競技では結果が出てから30分以内に抗議をしなければ無効とみなされるため、レース後に疲労困憊だったダンフィーの意見を聞くことなくコーチ陣だけで決断したと思われる。日本も逆の立場なら抗議をしていたかもしれない。

 ダンフィー選手が故意に接触したのではという意見もSNSなどでみられたが、炎天下の過酷な状況でふらついたり、速い選手に近づいていくというのはよくあることだ。トラックの格闘技と呼ばれる800mや1500mでは靴が脱げたり、スパイクで蹴られて血まみれになったりすることもある。男子400mリレーでもアンカーのケンブリッジ飛鳥が隣のレーンのウサイン・ボルトに接触したことを話していた。ダンフィー選手がぶつかった際にわざとらしい動きをした、という人もいたが、「もう少しだ、もう少しでゴールだ」と思っていた時の接触で、心身ともにきつくなったのではないかと思う。トラック種目でもそれまで好調に走っていた選手が、トップがペースを上げた途端、それまでの走りが嘘のようにガクンと落ちることがある。

 荒井選手とダンフィー選手の間にはわだかまりはなく、レース後に讃えあっていた。日本ではカナダ陸連の判断によって抗議がされたという事実を知らない人もおり、一連の経緯についてダンフィー選手への誹謗中傷も見受けられた。事情を知らずに安易に批判することはスポーツマンシップに反しているのではないだろうか。とても残念に思う。

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及川彩子(オイカワアヤコ):NY在住ライター。オリンピックスポーツ、野球、サッカー、女子ゴルフなどを取材。雑誌、新聞、ウェブサイトなどに執筆。「月刊陸上」、「スポナビ」、「Number」、「スポルティーバ」、「サッカーダイジェスト」などに寄稿。NYシティマラソンの伴走者を描いた作品で2006年度さいたま市スポーツ文学賞大賞受賞。
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