Sports News

「やっとハードルが分かってきた」400mHケロン・クレメント

このエントリーをはてなブックマークに追加

※反ドーピングを訴える選手の一人。クリーンなことをアピールするブレスレットをいつも身につけている。

「リオには金メダルを取りに来た。自宅のキャビネットにこれまでのメダルを飾ってあるけれど、空いている場所に『リオ五輪金メダル』って紙に書いているんだ。そこに金メダルを置けるように」    長い長い道のりだった。2004年世界ジュニアで金メダルをとり、2005年には44秒57の400m室内アメリカ記録を樹立。才能あふれる選手として注目を集めた。しかし初のシニア代表となった2005年ヘルシンキ世界陸上では優勝候補の一角だったにもかかわらず準決勝で流して、決勝で1レーンに入る不運に。決勝では上位争いに加わっていたが、最終ハードル後に諦め、為末大に抜かれて4位になった。 「もう諦めない」そう言って臨んだ2007年大阪世界陸上は優勝はしたものの、8台目から足があわず刻んでしまった。2009年ベルリン世界陸上で連覇した後、陸上に対する意欲がなくなってきているように見えたこともあった。  怪我や様々な理由で陸上に集中できない時期もあったが、世界陸上、五輪など重要な年には常に全米選考会できっちり3位になり代表入りをしていたのはさすがと言うしかない。でも優勝やメダルをとってもなかなかクリーンなレースはできなかった。    理由はいくつかある。400m44秒47のスピードに頼りすぎてハードリングをおそろかにしたこと、スピードが落ちる最後の2台くらいでハードルにぶつかけてしまうのを恐れてハードル前で刻んでしまう癖。跳ねるような走り方も足をつかってしまう原因の一つだった。  クレメントの完璧なレースが見たい、魂のこもった走りがみたい、何度そう思っただろう。    クレメントの変化に気づいたのは今年の米国五輪選考会だった。ハードル技術が向上し、むだな動きが減っていた。400mのタイムは全盛期と比べると確実に落ちているのに400mHのタイムは以前とあまり変わらない(48秒50で優勝)。ハードリングを改善し、自分の歩数を体に叩き込んだ努力、また以前のように跳ねるように走るフォームも少し変化していた。 「僕も年をとって我慢強くなったし、賢くなった」と今年、31歳になるクレメントは自虐的に話すが、2014年にハードルを全く跳ばず、大会にも出場せずに走練習に注力したことでハードルの楽しさに気づき、ハードルを理解しようと努力したのだと後で教えてくれた。またストレングスコーチを変更し、400mHに必要なウェイトトレーニングやコアトレーニングを行ったことも大きいと話す。  今大会でも予選から完璧に戦略通りの走り。決勝では好スタートを切るとリズムよく歩を進め、ライバル選手を大きく引き離して直線に。9台目のハードル後に「足に来てやばいと思ったけれど、でも走力なら誰にも負けないと思って最後は死力を尽くした」と言う。持ち前の走力に最後に助けられた。  クレメントはゴールするとうずくまって涙を流した。これまで流したどんな涙とも違う、嬉し泣きだった。 「東京の時は35歳だね。陸上の選手寿命は長くなっているから、走れるだけ走る。東京五輪ももちろん狙うよ」  ハードルの深さを知ったクレメントはまだまだ走り続ける。  

   



1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
リオ五輪
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

SMAP解散のニュースがない状況だったら、錦織vsマレーは……【スポ感の記憶】

吉田沙保里の人間宣言【塩試合研究室】

レスリング 川井梨紗子(至学館大)が優勝、吉田沙保里(フリー)は銀メダル…リオデジャネイロ・オリンピック第6日【日本レスリング協会blog】

ロクテの虚言事件を解説! 嘘みたいな本当の話【Go Angels Baseball!】

女子マラソンを経ての男子マラソンの戦い方とは【愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」】

陸上:女子リレーで異例の再レース【Sports News 】

樋口黎(日体大)は2014年世界王者、高谷惣亮(ALSOK)は元ウズベキスタンのオーストラリア選手…五輪レスリング第6日組み合わせ【日本レスリング協会blog】

出られなかった仲間の分も:米国100mハードル3人娘【Sports News 】

ブロガープロフィール

profile-iconusako-chan

及川彩子(オイカワアヤコ):NY在住ライター。オリンピックスポーツ、野球、サッカー、女子ゴルフなどを取材。雑誌、新聞、ウェブサイトなどに執筆。「月刊陸上」、「スポナビ」、「Number」、「スポルティーバ」、「サッカーダイジェスト」などに寄稿。NYシティマラソンの伴走者を描いた作品で2006年度さいたま市スポーツ文学賞大賞受賞。
Twitter: @ayakooikawa

※当ブログにおける文章と写真の著作権は、作者にあります。文章および写真の引用、使用の際は、必ずお問い合わせ下さい.
  • 昨日のページビュー:13
  • 累計のページビュー:706601

(10月07日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 【米女子ゴルフ】最終予選会2日目、横峯さくらのラウンド後の表情
  2. 【マラソン】北京世界陸上の代表選考問題
  3. 【モスクワ世陸】アリソン、ケガで転倒ーそして棄権。
  4. クレメンス&トーリ監督からのメッセージ
  5. 米国陸上チームを支える日本人トレーナー
  6. ガトリンを巡る報道ーメディアはガトリンを抹殺したいのか
  7. 【陸上】高校3年の桐生が10秒01の世界ジュニア記録
  8. 日米ハーフの高校生、マイケル・ノーマンくん全米陸上で活躍
  9. 箱根駅伝の直前エントリー変更を考える
  10. 陸上:800mの川元、がむしゃらに泥臭く

月別アーカイブ

2017
08
2016
08
07
06
05
2015
12
11
08
05
03
2014
12
10
07
05
04
01
2013
08
06
04
02
01
2012
12
11
08
07
06
04
2011
11
09
08
07
06
05
03
2010
08
06
05
04
03
02
2009
09
08
07
06
01
2008
12
10
09
08
07
06
05
04
03
01
2007
12
11
10
09
08
07

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年10月07日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss