2008年12月15日

ファンの熱こそ、冬を春へと転換していく力だ。

「語ろう! プロレス」 //    mitu

         第106 回 「声援」


 横浜ベイスターズの三浦大輔。ハマの番長。背番号18。
 今年のプロ野球のストーブリーグの主役の一人だった。
 奈良県出身の彼は、幼い頃は阪神タイガースのファン。お父さんに連れて
行ってもらった甲子園球場が、少年時代の思い出だとか。
 そんな彼が、手にした2度目のフリーエージェントの権利。
「もう一度、優勝争いの緊張感の中で投げてみたい。日本シリーズで戦いた
い」--
 提示された条件は、阪神が上。世間的な注目度も比べものにならない。
 最下位独走の弱小チームと、優勝争いのできるチーム。
 FA宣言後、「気持ちは五分五分」と表明していたが、十中八九阪神に行
くものだろうと、マスコミも報道していたし、誰もがそう思っていた。
 叔父さんに連れられていった川崎球場の、ホエールズ時代からのファンで
ある自分は、「残ってほしい。でも無理だろうな」と半ば、あきらめていた。
 阪神ファンの同僚に、「三浦が阪神に行ったら、野球みるのをやめる」
などと、自虐的に言ったりもしたが、実にむなしかった。やり場のない切な
さが、どうしようもなかった。

 しかし--結果は残留。
 恥ずかしながら、心で泣いた。
 思わず、心の中でガッツポーズをした。
 妻には、「あっそう。よかったね」と、冷めた目で見られたけれど・・・。
 彼女は、プロレスハンターだけでなく、ベイスターズハンターでもある。

 そんなことはともかく、ベイスターズにとって、内川の首位打者、村田の
ホームラン王しかいいことがなかった今年。私の携帯ストラップのホッシー
君は、年中泣きっぱなしだった。
 でも、最後に救われた思いだ。
 番長、ありがとう!

 残留の決め手は、と聞かれた彼は、こう語った。
「横浜が好きだったから。ファンの声援がありがたかった」
 泣かせるではないか。
 ファン感謝デーでは、直接多くのファンから「横浜に残って!」「阪神に
行かないで!」と、熱い声をかけられた。
 少年野球のファンから質問会で「阪神に行っちゃうの?」と、同僚の寺原
でも投げない剛速球を投げられたりもした。
 番長は、それを受け止めてくれた。

 お金でもない。名誉でもない。
 ファンの声が、一人の男の心を動かしたのだ。

 厳しい冬の時代が続く、プロレス界。
 そんな時代だからこそ。叫ぼうではないか。
 ファンの熱こそ、冬を春へと転換していく力だ。

posted by upro |22:05 | mitu |
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2008年12月03日

強い心で「いいカラダ」を作ろう。

「プロレスとは、桃源郷なり」  /  桃太郎

       「いいカラダ」


 最近、1980年頃に恒文社から発売された「プロレスアルバム」を集めて
いる。 そのシリーズの6号目は力道山だったんだけど、これがなかなかいい
出来なのだ。 ウルトラマンみたいに腰に拳を当てた力道山が表紙で、表紙裏
の目次ページはトラの頭をなでてる写真が載ってたりする。 あのトラは剥製
なのかも知れないけど、力道山のことだから本物なのかも知れない。 そんな
興味深い写真が満載の一冊なのである。
 その中で特に目を引いたのは、巻末の「力道山の弟子と後継者たち」という
コーナーの写真である。 吉村道明、遠藤幸吉、豊登、芳の里、ジャイアント
馬場、アントニオ猪木らの写真が載っているのだが、みんな「いいカラダ」を
している。 馬場も厚い胸板、太い腕をしていて「ああ、この頃の馬場さんを
見たかった」って改めて感じる。 そして驚くのが、遠藤幸吉、豊登の肉体だ。
まるで中西学のようである。 中西みたいなマッスルエリートが、当時の日本
プロレスにはふたりいたのだ。 いやいや、ふたりどころじゃないのかも。
当時のプロレスラーは、みんな中西みたいだったのかも知れない。
 力道山の眠る池上本門寺には、猪木をモデルにした仁王像がある。 彫刻家
の圓鍔勝三さんが、空襲で焼失した仁王像再建の際に、猪木に模して作ったの
らしい。 猪木のカラダは、筋肉質ではないけれど美しかった。 バランスが
よく「肉体の黄金比」なんてものがあれば、まさしくそれだったと言えよう。
今の猪木も、立ち姿はスラリとしていてカッコイイ。 きっと、今でも体型の
維持には気を遣っているのだと思う。 そうすることで得られる信用があるこ
とを知っているからだ。 肉体美には説得力があるのだ。
 人生には、逆境に追い込まれることが何度もある。 自分の力で切り抜けな
ければならない場面で、踏ん張れるかどうかは心の強さによる。 肉体には心
の強さが出るものだ。 メタボリックシンドロームはメタボ自体も問題だが、
それ以上に、節制できない心の弱さの方が問題なのだ。 美しい肉体を持って
いる人は、節する強い心を持っている。 力道山の頃のプロレスラーに人気が
あったのも、猪木が仁王像に選ばれたのも、見る者に心の強さが伝わっていた
せいだと思う。 美しい肉体を作っている稽古量と、その肉体を維持している
精神力が見る者を惹きつけているのだ。
 中邑真輔に足りないのは肉体美だと思う。 もし、中邑が棚橋のような肉体
を手にしていたら、ランドスライドも、腕ひしぎ逆十字も、コーナーに昇って
のガッツポーズも、もっと説得力のあるものになるはずだ。 中邑が今すべき
ことは、自分にまとわりついている贅沢なものを削ぎ落とすことなのだと思う。
 メジャーで測るときだけ、腹をへこませてもダメだ。
 強い心で「いいカラダ」を作ろう。

posted by upro |03:23 | 桃太郎 |
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