2008年05月18日

プロレスとは、裸の詩(うた)、心の詩、漢の詩、涙の詩、魂の詩、そして天龍の詩!

「語ろう! プロレス」  //  mitu

      第102 回 「愛別離苦の拳」


「ハッスルでも、見に行こうよ」--きっかけは、かつての観戦仲間からの
メールだった。このメンバーで、会場に行くのは、まる2年ぶりだ。

5月13日。後楽園ホール。ハッスルハウス36。

席で待ち合わせることにし、開始ちょっと前にホールに滑り込んだ。自分自
身にとっても、1年2カ月ぶりのホールでの生観戦だ。背広姿が目立つ会場
は、ほぼ満員。よく入っている。

「前説」、「開演」前のあおりビデオの後は、川田と崔による歌合戦。
川田の「望郷じょんがら」には腹を抱えて笑ったが、「これって、福祉大相
撲だよな」と、冷静にみてしまう自分がいる。

第1ハッスルの「℃」(ドシー)、第2ハッスルのHG、とそれなりに見せ
場が続く。まぁ、初っ切り、といったところか。それはそれで、楽しい。

そして、迎えたセミハッスル。
天龍・TAJIRI・崔 VS ボノちゃん・よしえちゃん・あーちゃん

会場に轟く「サンダーストーム」。このテーマを会場で聞くのも3年ぶり。
後から入場してきた、ボノちゃん組の、あえて荒谷に対して、ペットボトル
を投げつける天龍――。これまでの「オペラ」とは空気が違うぞ。

そしてゴング。
次々に選手が登場。最後の組み合わせは、天龍と荒谷だ。

荒谷を自軍コーナーに追い込んだ天龍が、かつての弟子を打ちのめす。

チョップ!チョップ!パンチ!チョップ!チョップ!パンチ!!!

荒谷の胸が赤く腫れ上がる。
骨と骨がぶつかる音が場内に重く響く。

人間、出会いがあれば、別れがある。愛別離苦は人生の常だ。
WARのエースになるはずだった男。古巣・全日本に復帰した際に、いの一
番に、連れてきた男――。「楽しい」路線で行くならそれでもいい。でも、
それに徹しているのか、貫いているのか――。
拳に込める熱い感情が、格闘技の殿堂を包んでいた。

ラリアットで3カウントを奪い、マイクをつかんだ天龍は叫んだ。
「おい荒谷! あーちゃんか? ふざけんなこの野郎! お前は相変わらず、
変わってねーなこの野郎! 中途半端なことやってやがったら・・またヤキ
を入れてやるぞこの野郎!」

拳の威力は、衰えたかもしれない。でも、天龍がかつての弟子に向けた激情
は、本物だった。
台本があろうとなかろうと、あの叫びは、少なくとも私の胸を打った。
プロレスで、生のリングで、男と男が、ぶつかり合う姿を見て、胸が熱くな
った。
叫びを聞いて、戦いを目の当たりにし、何かが、確かに何かが伝わった。

天龍のハッスル参戦は、馬場の晩年の「楽しいプロレス」の天龍版なのだと
思っていた。
しかし、風雲昇り龍・北向きの男・天龍源一郎。
いい意味で、裏切ってくれた。
明るく楽しいだけでない、激しい、熱い戦いがそこにはあった。

ホールを後にし、水道橋で一杯やった帰り道、若林健治アナの名調子が、
胸に浮かんできた。
「プロレスとは、裸の詩(うた)、心の詩、
漢の詩、涙の詩、魂の詩、そして天龍の詩!」

posted by mitu |06:21 | mitu |
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