2008年07月29日
「プロレスとは、桃源郷なり」 / 桃太郎
「袖車かよ」
7/21のDREAMで、秋山成勲は、柔道着を着たまま柴田勝頼と闘った。
その時から、もう「袖車」の予感はしていた。 ホームランバッターがバック
スクリーンに向けて、バットを指し示すように、秋山は胴着で絞めるよと予告
していたのだ。 柴田だってそのことはわかっていたはずである。 それな
のに柴田は予告通りのフィニッシュで1本をとられた。 為す術がなかった。
秋山の強さは雰囲気で感じる。 桜庭和志や三崎和雄と再戦しても、きっと
負けないだろう。 挑戦されている田村潔司も、とても勝てない気がする。
同じクラスの相手となら誰にも負けない。 問答なしにそう思わせる雰囲気が
今の秋山にはある。 僕にはそう感じるのだ。
そんな秋山を相手に柴田が勝てるわけがない。 6分間逃げただけのことで、
難なく仕留められた。 完敗である。 完勝である。 でも、僕は満足できな
かった。 秋山にはもっと違う闘い方があったのではないだろうか。
袖車は柔道の絞め技である。 柔道技でプロレスラーを絞め落としたって、
評価できるものでもない。 柴田が挑んできた打撃戦に応じて倒すとか、プロ
レス技でもあるアームロックでキブアップを奪うとか、もっと意義のある勝ち
方があったはずだ。 極めては解き、極めては解いて、弄ぶ姿を全国に流して
やってもよかった。 秋山と柴田の間にはそれだけの実力差があったのだし、
ヒールキャラの秋山には似合いのパフォーマンスだった。 そして、試合後の
マイクでこう言ってやればいい。
「柴田クン、早くおウチにお帰りなさい」
プロレスチックだけど、プロレスじゃない。 リアルな伝説が生まれていた。
圧倒的な実力差があれば、相手をコントロールすることができる。 相手の
力を8まで引き上げておいて、10の力で倒す。 これは何もアントニオ猪木
の専売特許ではない。 秋山だって、柴田の力を8まで引き出してから、完勝
することができた。 芸術的な試合を見せて、お客さんを喜ばせて勝つのが、
ゼニを稼ぐプロの格闘家だと思う。 秋山は数少ない真のプロ格闘家になる力
を持っていると思う。
興行に出て、ギャラでメシを喰うだけでは「プロ格闘家」とは言えない。
リング上でメソメソ泣いたり、マイクで「応援お願いしま~す」なんて言う奴
はアマチュアだ。 泣きたかったら控え室で歯を食いしばって泣けばいい。
応援を求めるんじゃなく、ブーイングされるくらいの自己主張をしてハートを
掴め。 それがプロというものだ。 秋山はそのラインをクリアしている数少
ない選手なのだ。
だからね、袖車で、あっさり勝っちゃ物足りなかったんだよね。
勝つのは当たり前なんだからさ。
posted by 桃太郎 |00:09 |
桃太郎 |
2008年07月22日
「プロレスとは、桃源郷なり」 / 桃太郎
「5000万円」
ドラディションの藤波辰爾が新日本プロレスとユークスに対し、支払われて
いない退職慰労金、約5000万円を求めて提訴した。 退職慰労金の規定は、
業績悪化のため2006年の3月に廃止になったのだが、1972年の旗揚げ
メンバーだった藤波には、功労金として支払われるはずだったらしい。
藤波は2006年の6月に退団し、無我ワールド・プロレスリング旗揚げに
参加した。 本来なら、このときに功労金は支払われるべきだったのだろう。
しかし、功労金は支払われず、2007年4月の株主総会では「支払わない」
と議決されてしまった。 もちろん、筆頭株主であるユークスの意志である。
ユークスの言い分もわからないわけではない。 藤波は1999年から20
04年まで新日本の社長職を務めているが、その間に、藤田和之、橋本真也、
大谷晋二郎、高岩竜一、武藤敬司、小島聡、ケンドー・カシン、佐々木健介、
長州力、鈴木健想らに退団されている。 退団しただけでなく、ライバル団体
を作られてしまったのだから、社長失格と言われても仕方がない。 あんなに
隆盛を極めていた新日本が身売りすることにまでなった責任は、当時の社長で
あった藤波がとるべきものである。 ユークスは潰れそうだった新日本を猪木
から解放し、負債も精算した。 それなのに責任者であるはずの藤波は新日本
を捨て、ライバル団体を作ったのだ。 そんな人に功労金を支払うだなんて、
チャンチャラおかしい。 僕はその考え方も正しいと思う。
ふと、疑問がわく。
長州力は退職慰労金を
もらったのだろうか。
長州がWJを作ったのは2002年だったから、当時は慰労金の規定が生きてた
はずだ。 あれだけの新日批判をして飛び出した長州が、慰労金を受け取って
いたのならば、藤波が請求したくなる気持ちもわかる。 本当のところは、どう
なってるんだろうかね。
幸いなことに、新日本とドラディションの間では良好な関係が築けていると
いう。 今回の訴訟は、あくまでも藤波個人でのことらしい。 ならば、いい
解決方法があるではないか。 5000万円を稼いでしまえばいいのだ。
藤波は「長州だってもらったじゃないか」と言えばいい。 長州は「藤波が
新日本をダメにしたんだ」と応酬する。 あとは横浜アリーナあたりで決着を
つければいい。 レフェリーに大仁田厚を招き、有刺鉄線電流爆破で対決だ。
それで、お釣りがくるくらい稼げるはずさ。
オリンピックも、G1も吹き飛ばしてやれ。
でっかい花火を打ち上げてくれ。
posted by 桃太郎 |01:28 |
桃太郎 |
2008年07月16日
「プロレスとは、桃源郷なり」 / 桃太郎
「在日」
在日という意味は、本来は日本にいるという意味だ。 ところが、日本では
「在日」というと、在日の韓国人・朝鮮人を指して呼ぶことが多い。 沖縄の
米兵も、働きにきているブラジル人やインド人も在日のはずだけど、在日とは
呼ばない。 この在日と言う言葉には、字面以上の深い意味がある。
金泰泳や、秋山成勲は帰化したため、今は在日ではない。 秋山は在日4世
だったらしいから、本人だけじゃなく、きっと彼の親御さんも日本で生まれて
育ったのだと思う。 日本で生まれて育ったのに、自分は日本人ではない。
本当の祖国は海を越えた向こう側にある。 そう教えられたとき、少年たちは
どう感じたのであろうか。
少年時代には、人と違うことは「誇り」であることが多い。 自分とは何か
を問いつめたとき、在日であることにアイデンティティーを見いだしたりした
かも知れない。 だが、現実の社会を見ると、在日であることで差別されたり、
不当な扱いをされることも多々ある。 K-1や総合格闘技で活躍し、実力で
名声を勝ちとったのに、帰化という道を選んだのだから、在日を背負う人生は、
かなりの重量感だったのだと思う。
きっと、その重量感が滲み出るのだろう、在日のファイターにはピリピリと
した緊張感がある。 日本のヌルい環境で育った僕にとって、金や秋山の目は
とても怖く感じる。 たぶん、実際に会ったりでもしたら、腰が引けちゃって
オドオドすると思う。 僕にとって在日とは、日々戦場を生き抜いている兵士
みたいなもの。 ちょっと近寄りがたいというのが本音なのである。
僕は、猪木さんも同じような少年時代を過ごしたのではないかと思っている。
猪木さんは日本人だけれど、中学生のときに一家で地球の反対側に渡り「在ブ
ラジル日本人」になっている。 ブラジルでは、差別され不当な扱いもされた
だろう。 その中で「誇り」として見いだしたものは、祖国「日本」への思い
だったのだろうか。 いや、違う。 亡き祖父への思いだった。
猪木さんの旺盛な事業欲は、おじいさんの影響である。 おじいさんはよく
「乞食になっても世界一の乞食になれ」と言っていたそうで、アントニオ猪木
自伝によると「よく言えば豪傑、悪く言えば山師的なスケールの大きな快男児
だった」という。 「良いときは天下をとる勢いだが、悪いときは無一文にな
る」なんて、猪木さんそのものではないか。 猪木さんは国籍は日本人だけど、
発想や行動は日本人離れしている。 それはおじいさんが注入した壮大な世界
観からきてるのだ。
そんな猪木さんに、ヌルい環境で育った新日本プロレスがついていけるわけ
がない。
新日本が猪木さんを無視するのは、
本当は怖いからなのだ。
猪木さんは「在日」の世界人だ。
いいや、宇宙人かな。
posted by 桃太郎 |05:14 |
桃太郎 |
2008年07月03日
「プロレスとは、桃源郷なり」 / 桃太郎
「IGF観戦記」
6/23、IGF札幌大会を観戦したんだけど。 相変わらずプロレス下手
な選手ばかりがやってきて、プロレス興行とは思えない試合が多かった。
プロレスの試合は、終盤に向かって段々と盛り上がっていく。 スピード感
と熱気が最高潮に達したときに、フィニッシュホールドがやってくる。 そう
いうものだ。 IGFには、そんなプロレスのイロハすらも頭にない選手が来
ている。 相撲出身の若翔洋とか、キックボクサーのモンターニャ・シウバ、
柔道家のタカ・クノウ、何をやってたのかもわからないダニー・イグアス。
こんな連中を集めて、プロレスらしい試合なんてできるわけがない。
プロレスはできなくても興行はできる。 今のところIGFはプロレス団体
というよりはイベント会社のようである。 道場もないし、所属選手もいない。
お客さんもプロレスを見に来てるというより、IGFのイベントを見物に来て
いる感じだ。 イベント会社としてなら、スポンサーもついてるし黒字ならば
それでいい。 背広組のサイモンさんは、現状でも満足なのかも知れない。
だが、プロレスラーとして生き、世間から評価されてきた猪木さんにとっては
どうなんだろうかね。 絶対に満足なんかしていない。 そう思いたい。
ああ、現役時代のイノキがいればいいのに。 イノキがいれば、若翔洋とも、
モンターニャ・シウバとも、タカ・クノウとも名勝負ができるだろう。 何を
やってたのかわからないダニー・イグアスとは、壮絶なケンカマッチでもやる
かも知れない。 そう考えてみると、IGFに必要なのはイノキのような男が、
ただひとりだけなのだ。 たったひとりのプロがいればいい。
僕が薦めるなら永田裕志、鈴木みのる、船木誠勝なんだけど、猪木さんから
してみたら、新団体に40歳の男たちなんていらないのかも知れない。 それ
なら中邑真輔か、柴田勝頼あたりになるのだけど、残念ながら彼らにはイノキ
のような殺気がない。 イザとなったら目ン玉をくり抜くぐらいの気迫がなけ
りゃ、イノキプロレスを実践することはできない。 相手の人生を踏み台する
くらいの気持ちがなけりゃダメだ。 そういう視点で見ると、格闘技に出てる
選手の方が、ハングリーで凶暴で魅力的に見えてくる。 桜庭和志を容赦せず
にKOしたメルヴィン・マヌーフや、勝つためには反則もやる秋山成勲の方が、
小川直也やジョシュ・バーネットより、よっぽどプロレスラーに思えてくる。
イノキプロレスは、明るく楽しいものではない。 猪木が現役時代にやって
いた「ダーッ」は、切なくてやりきれない気持ちを吹っ切るような「ダーッ」
だった。 まるで、武士が相手の首をはねたあとに、襲ってくる虚しさを祓う
かのように吠えていた。
今、あの「ダーッ」を再現できる選手は、
どこにも見つからない、どこにもいない。
猪木さんの苦悩は、まだまだ続くのだろう。
光の見えない札幌大会だった。
posted by 桃太郎 |04:40 |
桃太郎 |
2008年06月28日
「プロレスとは、桃源郷なり」 / 桃太郎
「地方興行」
プロレス興行には自前で手がける興行と、他人に丸ごと買ってもらう興行と
がある。 東京近辺で開催する興行は、自分たちで会場を確保し、チケットを
売ってお客さんを集める。 地方の興行は、その土地のプロモーターに興行を
買ってもらい、呼ばれた日時にプロレスを見せてギャラをもらう。 プロレス
の地方興行が減ってるのは、プロモーターが興行を買ってくれなくなったから。
どうして買ってくれないのかというと、人気が無くて儲からないからだ。
プロレス興行を買うには300~500万円くらいはかかる。 それをペイ
するためには、2000枚くらいのチケットを売りきらなければならない。
プロレスがゴールデンタイムに放送されてた頃なら、テレビの効果でお客さん
も集まったが、今は宣伝にお金をかけなくてはならない。 街中にポスターを
貼ったり、割引券を配っても、テレビの力にはかなわない。 客足はどんどん
遠のいていき、ついに採算割れにまでなったのか、ここ数年、地方興行は随分
と減った。
プロレス団体にとって、地方興行はオイシイ商売のはずだ。 お客さんが入
ろうが入るまいが約束されたギャラが入ってくる。 自前で年間100興行も
やろうとしたら大変な労力が必要だが、売り興行でなら100興行も可能だ。
しかも、会場との打ち合わせや売り上げの管理なんていう面倒な作業もいらな
いし、泊まるホテルや旨い食事もちゃんと用意してもらえる。 至れり尽くせ
りだ。 やっぱり、プロレス興行の儲かりシステムって、地方のプロモーター
といい関係を作ることなんだと思う。
新日本もNOAHも、年間90興行くらいを地方でやっている。 だけど、
地方興行のカードが、両国や武道館に比べて見劣りしていることは明らかだ。
これって、どうなのかなって思う。 地方興行を増やすことが、プロレスの儲
かりシステムなら、地方のプロモーターが潤うカタチを作っていかなければな
らない。 全国のプロモーターが、競って買いたがるくらいの魅力的な興行を
提供すれば、売値を上げることもできるはず。 自前の興行で儲けるよりも、
プロモーターといい関係を作って、お互いに儲けた方がいいんじゃないのかね。
NOAHは、白いGHCベルトの防衛戦を、
地方で毎日やればいいと思う。
チャレンジャーは当日発表にする。 そして、客入りの悪い日には、逆に三沢
クラスの大物を挑戦させちゃうのだ。 そうすれば、来てくれたお客さんには
サプライズになるし、プロモーターの顔をたてることにもなる。 会場に来な
かったファンに「しまった、行けば良かった」と思わせれば、次回興行は満員
間違いなしだ。 いいでしょ、この案。
プロレス興行は、地方の方が大事だ。
新日本も、白いベルトでも作れば?
posted by 桃太郎 |13:20 |
桃太郎 |