2008年04月02日

彼らが、純粋総合格闘技上がりの人間ではないからこそ見える、総合格闘技界の問題点。

「似た人たち」 / クレメンタイン


 ヤマケンのクラブファイト、そして、今回の前田日明によるthe outsider。
この二人が息まいて行っているのは、MMA界の改革である。彼らは、現状の
総合格闘技界に疑問をもち、それを変えようとしている。
 彼らの指摘する最大のポイントは、イベント中心の現在の総合格闘技界のあ
り方である。どうしても現状ではテレビやイベントを中心としたつくりとなっ
ており、それ自体は確かに楽しめるものでも、そこにある使い捨ての制度には、
大きな大きな問題があるのだ。要するに、このままでは長続きがしない、選手
の育成が出来ない。
 そして、彼らが目指しているのは、競技者の生活向上、とくにアマチュア選
手、もしくはプロを目指す選手の生活向上である。ヤマケンは自身のアメリカ
での体験を基に、アメリカのプロを目指す選手たちの安定した環境を絶賛し、
今の総合格闘議会に必要なものは、それであるという。
 一方の前田は、かつてから選手の育成以上に、選手の発掘に力を入れてきた。
しかし、現状では彼らの実力を推し量る場面もなく、なかなかリングス復興も
含め、選手発掘はうまくいっていなかったようだ。そして、安定したプロ供給
源となりうるような大会の主催を考えているのは明らかであった。
 前田とヤマケンは共に、プロレスの出身である。このことは今回の彼らの発
言や行動に大いに関わっている。かつて新人プロレスラーは、たとえ新人であ
っても、雑用をこなしがらとはいえ、生活の保障はされており、プロレスに集
中する環境が整っていたといえるだろう。だが、現状の新人、もしくはセミプ
ロの総合格闘技選手は、それだけで生活をすることが出来ず、アルバイトなど
の副業をこなしながら、選手への道を目指すことになる。そこで彼らはアマチ
ュアや、セミプロの選手が活躍できる空間を作ろうとし始めた。
 彼らが目指すのは、総合格闘技界の安定である。それはもしかしたら、競技
よりも興行がメインとなってしまっている現状のプロレス界での苦い経験から
なのかもしれない。たしかにかつてのプロレスラーの生活は保障されていた。
しかし、興行に明け暮れ、練習だけに集中できる環境でもなかったのは事実だ。
彼らが、純粋総合格闘技上がりの人間ではない
からこそ見える、総合格闘技界の問題点。
 かつて同じことを考え、実行した男がいた。

 佐山聡である。

posted by クレメンタイン |22:39 | クレメンタイン |
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