football日記 - Un colpo di vento

オフサイドの誤審はなぜおこるのか – その2 フラッシュラグ効果

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その1からの続き

科学誌Natureにオランダ Vrije 大学のRaôul Oudejansらのグループの論文が掲載された2年後の2002年に、ブラジル サンパウロ大学のMarcus Baldoらのグループが別の仮説を提示した。

Perception, 2002, volume 31, pages 1205-1210

この論文はこちらから全文を読むことができます。
http://www.perceptionweb.com/perception/fulltext/p31/p3422.pdf

彼らは、Natureの論文で提唱されている副審の位置のずれによる角度の錯覚(ここではこの錯覚のことを便宜的にオプティカル効果と命名します)だけではこの論文で示されている調査結果は説明できておらず、フラッシュラグ効果も関与しているのではないかと主張した。

ここでフラッシュラグ効果について簡単に説明したしたいと思います。

まず、実際にフラッシュラグ効果を体験して頂きたいので下記リンク先をご覧ください。

富山大学工学部メディア情報工学第二講座・唐研究室の

http://www3.u-toyama.ac.jp/tanglab/

フラッシュラグ効果に関する研究というところをクリックしてください。

動いている点とフラッシュで出てくる点線は本当は同一線上に存在しているのですが、動いている点の方が速く見えないでしょうか?

つまり図示するとこうなります。

flash-lag-1

山口大学工学部感性デザイン工学科人間感性学講座・一川研究室の説明から引用すると

フラッシュラグ効果とは、運動する刺激の真下の位置で一瞬刺激を提示すると実際には2つの刺激が垂直方向に並んで提示されているにも関わらず、動いている刺激がやや運動方向にずれて知覚される現象のことです。これは網膜に刺激が与えられてから知覚が成立するまでに約100 msecの遅れがあるために生じる錯覚です。

詳しくは下記リンク先を参照してください。
http://hpcl.kde.yamaguchi-u.ac.jp/flashlag.html

彼らはオフサイドの誤審にはオプティカル効果に加えてこのフラッシュラグ効果も影響するのではないかと仮説を立てた。
flash lag-2

予想したモデル図
uncolpodivento-61345.jpg

もしこの仮説が正しいならば誤審においてFEのほうがNFEよりも上回ることが予想される。そこで、彼らはもう一度Natureの論文で示された調査結果を考察した。その結果以下のことが判明した。

1. 調査した200試合における FEとNFEの総和は FE:NFE=324:240と有為にFEがNFEより多く発生している。

2. 審判より遠いサイドでおこるFE:NFEと近いサイドで起こるNFE:FEを比較したところ、遠いサイドではFEは約75%発生していたのに対して、近い位置ではNFEの発生する比率は約60%だった。(ここの遠いサイドとは左側フィールド、近いサイドは右側のフィールドを示しています)。オプティカル効果のみで考えるならばこの比率は同じになるはずだがこの結果は有為に異なっており、またFEの割合が予想通り多いことが明らかになった。

従って、これらの結果から彼らはオプティカル効果以外にフラッシュラグ効果もオフサイドの誤審になりうるのではないかと考察している。

その3ではオプティカル効果 vs フラッシュラグ効果という題名で掲載したいと思います。おそらく来年になると思います。




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オフサイドの誤審はなぜ起こるのか?
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オフサイドの誤審はなぜおこるのか – その2 フラッシュラグ効果

興味深いですね
思い返せば、「オンサイドだと思ったがオフサイドだった」より、「オフサイドだと思ったがオンサイドだった」と言うことの方が多い気もします

まぁ自分はテレビ観戦しかしないのでこれには当てはまらない気もしますがw

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