2008年10月12日

bjリーグ「外国人選手の出場制限規定」!?・・・何故? ②

4シーズン目を迎えたプロバスケットボールの独立リーグ、bjリーグ。その日本初のプロリーグは、過去3シーズンでどのような成果を残してきたのか、そして、この先の可能性をどのように見出せるのかを、今回は検証してみます。

あくまでも個人的な手作業での集計なので、正しいかどうかは些か疑問ですが、bjリーグの各チームのゲームデータの数値を計算した昨シーズン(2007-08)の観客動員実績(レギュラーシーズン)は、下記の通りです。
※収容率は最も多くホームゲームを開催している会場の客席規模を前提として算出しています。

◇イースタンカンファレンス(5チーム)
   ・仙台   総数50,167人  平均2,280人  収容率40%(5,733席)
   ・埼玉   総数53,050人  平均2,411人  収容率56%(4,300席)
   ・東京   総数71,427人  平均3,247人  収容率32%(10,000席)
   ・新潟   総数61,101人  平均2,777人  収容率62%(4,500席)
   ・富山   総数35,550人  平均1,616人  収容率35%(4,650席)

◇ウェスタンカンファレンス(5チーム)
   ・大阪   総数66,069人  平均3,003人  収容率41%(7,400席)
   ・高松   総数47,685人  平均2,168人  収容率77%(2,830席)
   ・福岡   総数34,951人  平均1,589人  収容率72%(2,200席)
   ・大分   総数48,761人  平均2,216人  収容率56%(3,925席)
   ・沖縄   総数36,948人  平均1,679人  収容率67%(2,500席)

2007-08シーズンのbjリーグ、全220試合での観客動員数の合計は、505,709人。1試合平均で2,299人となります。前シーズンとの対比では、チーム数の増加により試合数が増えたことで、合計数は約10万人程増加していますが、1試合平均では、200人弱落としています。(前シーズンは、2,486人)

観客動員全体の規模は、試合数の増加によるものなので、単純にその成果を判断する基準にはなりませんが、間違いなくbjリーグの市場が拡大していることには違いありません。ただし、1試合平均での数値が約8%低下していることは、留意すべきポイントでしょう。前シーズン対比で最も観客動員数を落としているチームは、実は新潟なのです。それも、約500人弱もの落ち込みです。チームとしての成績は、レギュラーシーズンで2位と、プレイオフでは敗れましたが、まずまずの成績であるのにもかかわらず、15%も動員数を落としているのは、根本的な動員対策に問題があったのか、それともファンの目が肥えてきて、コアファンの規模が縮小しているのか、何れにしてもbjリーグ全体のマーケティングパワーに関わってくる課題と言えます。リーグ3連覇を果たした大阪も、6%落としています。リーグの上位チームが、成績的には実績を残しているものの、観客動員数を伸ばせていない問題点は、どこにあるのか?。

数値だけで見た場合、ひとつだけ言えるのは、平均3,000人規模のチームは、その規模以下の試合会場でホームゲームを行う場合に、数値的にはハンディとなることです。新潟もメインである朱鷺メッセ以外に、県内4会場から5会場で試合を行っています。新潟県内全域での普及や啓蒙の必要性と、地域との密着を促進する目的があるからでしょう。単なるプロ興行としてだけではなく、前回も述べたアメリカのマイナーリーグ精神のようなものが、そこにはあるのかもしれません。500人近くもの実績の低下は気になりますが、動員力に関する定評は、Jリーグでも実証済みの“アルビレックス”ですから、観客席規模が小さい会場での試合を含めても、安定した観客動員を図れる事業計画を、ぜひ実現させてほしいと思います。大阪にも同じことが言えます。大阪市以外でのホームゲーム開催には、大都市圏とは言え、会場の施設規模の課題があるために、数値としては、なかなか確実な観客動員実績を向上することが出来ない事情も見え隠れします。

一方で、東京、埼玉、大分の3チームは、前シーズン対比で300人以上も平均観客度員数を向上させています。埼玉に至っては、前シーズン対比で20%もの向上率、大分も17%と、前年の実績がリーグ平均を下回った数値との対比とは言え、経営努力の成果が見られると考えます。

リーグ全体での観客動員規模の推移を見てみると、下記の通りです。(レギュラーシーズン)

◇2005-06シーズン  総数約25万人  平均2,078人(全120試合)
◇2006-07シーズン  総数約40万人  平均2,486人(全160試合)
◇2007-08シーズン  総数約51万人  平均2,299人(全220試合)

この数値を見る限り、試合数の増加に伴う全体の観客動員数の増加は当たり前ですから、1試合平均の観客動員実績から考えると、前回述べたように、まだ3年しか経験していない若いリーグであることが如実に分かります。つまり、本当の実力による確固たる実績を示すまでには至っていない、と言うことだと思います。確かに、チームが確実に増えていることは、リーグに力が付いてきた、とも言えますが、一方では、チーム個々の経営努力の成果である、とも言えるわけです。bjリーグは、選手報酬の規模に一律で制限を加えるサラリーキャップ制を導入しています。今季は7,600万円と言われているようですが、その根拠となるリーグによる各チームへの配分金、つまり、リーグ共通の資産を用いて得られたリーグ収入の配分システムが公表されていないため、その金額規模が適正なのかどうかの判断はできません。しかし、上記の観客動員実績から考えると、入場料収入にしろ、広告収入にしろ、まだまだ経営を安定させる規模には至っていないことが、容易に想像できます。その中で、リーグからの配分が確実に得られないとしたら、チーム独自の収入確保の道を探っていく上で、場当たり的にでも興行から得られる収入、つまり入場料収入を確実に上げていかなければなりません。そのためには、外国人選手の必要にも迫られますし、時には高額年棒を支払う必要も生じるでしょう。その時、サラリーキャップがあると、間違いなく日本人選手へそのシワ寄せはきます。それを考えると、今回のルール変更の前提にある「日本人選手の出場機会を高め、日本人選手強化のバランスを考えた工夫」というものは、現状に本当に即した改善策なのかどうか、私は些か疑問に思うのです。確かに、大金持ちや大企業の資本を背景とする球団は、サラリーキャップはない方が自由な経営化できることにもなりますし、逆に、ベンチャー的な経営資本で運営している球団との格差も生まれることでしょう。ただし、戦力均衡とは、一定の水準にある競技力を持った選手たちが、ある程度の人数的規模いるからこそ言えるのであって、日本バスケットボール協会の競技者登録外の選手である、という制限もあるところで、その規模が安定的に確保できるほどの市場なのかどうか、私はそこにも疑問を持ちます。

私の個人的に憶測ですが、今回のルール変更は、先の日本協会との協調の兆しを受けて、敢えて日本人選手の強化や育成にフォーカスした取組みを表面に打ち出した、単なるbjリーグとしてのパフォーマンスであるように思えてなりません。加盟全チームは、このルール変更に対して、どのような考えを持っているのか、非常に興味のあるところです。

12、14、16・・・と、チーム数が増加していくに従って、選手の供給源を何処に求めるのか、という課題はクローズアップされます。アジアを含めたより幅広い海外に求めることも考えられますし、もちろん、才能ある日本人選手を発掘することも重要な課題のひとつでしょう。また、地域密着の度合いを強めていき、より多くのファンを獲得していくために、地元出身の選手をチームに据えていくことも必要なことだと思います。そのためにも、ルール変更により、日本人選手に活躍の機会を与え易い環境を作っていくことは、必要な措置だとも思います。しかし、それが“いま”なのかどうかと問われれば、間違いなく私はNOだと思います。経営的な視点からも、まずはリーグ全体の市場規模を拡大し、つまり少なくとも1試合平均の観客動員規模を2,500人以上のものにしていかないと、チーム単独の経営規模も拡大していきません。1試合平均2.500人動員とすれば、JリーグのJ1での平均入場料単価とほぼ同等規模の2,000円を客単価である場合、1試合の入場料収入は、約500万円となり、26試合と仮定した場合の年間での入場料収入は、1億3,000万円となります。この規模は、以前のブログでも述べましたが、約3億円の球団経営規模の実現に、限りなく近づくものです。1試合当りの興行原価も、200万円から250万円と想定され、会場の施設状況による仮設規模が小さければ、ホームゲーム開催規模を無難なレベルで実現できるのではないかと考えます。そのためには、あと4年から5年を掛けて、着実にリーグとしてのファンの拡大を推進していく必要があります。更に、そのためには、余計な抑制や制限は設けるべきではなく、ある程度の自由度を各チームに持たせることが必要なのではないでしょうか?。

少し目先を変えて、以下に、他のスポーツリーグの昨シーズンの興行実績を示してみたいと思います。bjリーグとの比較により、リーグとしての動員力に、それほど大きな差はないこと、つまり、プロ野球や15年も実績を踏んできたJリーグと比べて、何れも、まだまだ発展途上にあるリーグ規模であることが良く分かります。(バレーボールのVプレミアリーグやJBLの数値とも比較したいところですが、公表されている数値がない、あるいは一部しかないため、記載できません。) ※数値は、2007-08年または2007年シーズンのものです。

◇ラグビー・トップリーグ  観客動員総数319,566人  平均3,399人(94試合)
◇フットサル・Fリーグ    観客動員総数156,831人  平均1,867人(84試合)
◇野球・BCリーグ      観客動員総数257,721人  平均1,789人(144試合)
◇野球・アイランドリーグ  観客動員総数197,998人  平均1,099人(180試合)
◇bjリーグ            観客動員総数505,709人  平均2,299人(220試合)

野球の独立リーグの草分けでもある四国・九州アイランドリーグは、九州も活動範囲に加えましたが、全国的な活動エリアではないこともあり、振興のBCリーグ同様に、地域経済状況や人口規模にも影響されるため、独特の課題を抱えていると思います。上記の内容を見る限り、bjリーグも、この先の成長の余地がどれだけあるのか、ということを確実に言うことはできません。唯一、加盟チームが確実に増加し、試合数の規模も拡大していることは、大きな強みであることは分かります。ただし、1試合当りの観客動員数から考えると、他のリーグとの格差はそれほどなく、加盟チームのひとつひとつの経営規模と言う点では、その強みが球団個々に影響を与えるまでにはなっていない、とも言えます。つまり、リーグ規模の拡大の影に、個々チームの抱える課題が隠されたままになっている、ということだと思います。その課題の見極めを、まずは、bjリーグがリーグとして検証することが、必要ではないでしょうか。

posted by umekichihouse |06:07 | バスケットボール | コメント(0) | トラックバック(0)
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