2008年09月11日
「パラリンピックの魅力と現実」その3 ~さらに考えよう!
日本でのオリンピックに関する総本山と言えば、日本オリンピック委員会(JOC)です。文部科学省管轄の機関であり、各競技団体に対する補助金や育成資金の供給も、国からこのJOCを通して行われます。しかし、日本パラリンピック委員会(IPC)は、日本障害者スポーツ協会の内部組織であり、その上部団体は、厚生労働省です。メダル獲得者に対する報奨金のことで、オリンピックとパラリンピックの違いが話題として取り上げられていましたが、報奨金のみならず、選手の強化資金や強化環境についても、全く異なるものである理由がここにあります。 厚生労働省管轄であるということで、パラリンピックは、スポーツである、と言うよりは、リハビリテーションの延長にある医療や福祉と言う側面で考えられてきた経緯があるようです。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)が国際パラリンピック委員会(IPC)に対して、競技力の向上を目指すことを求めている、ということは、医療や福祉の側面だけからでは、もはや考えることは出来ません。その時代の変化とでも言うべき流れを、厚生労働省も、しっかりと認識すべきでしょう。スポーツ庁の論議がありましたが、こうした課題に対する対処の方策として、スポーツ庁の創設の論議は、大きな意味を持つのかもしれません。 世界では、身体障害者のスポーツ競技を統括する国際団体に、IWAFやIBSAという組織があります。固有のスポーツ競技を統括しているのではなく、IWAFは、車椅子や義足などの障害者アスリートのための団体のようですし、IBSAは、視覚障害者のためのスポーツ競技団体のようです。その他、特定のスポーツ競技を管轄している組織として、車椅子バスケットボールはIWBF、バレーボールではWOVD、などがあります。パラリンピックで採用されている20競技の中で、単独で国際競技団体が存在しているのは、ほとんどありません。IWAFやIBSAなどが、障害の種類に対応して、選手たちの参加可能なスポーツ競技を、それぞれ統括しているのが現状のようです。 しかし、各競技の国際連盟も、多くは、身体障害者のための競技分野もサポートし始めていることも事実のようです。恐らく、IOCとIPCの共同開催によるパラリンピック大会の始まりが、そのことに大きく影響しているように思われます。バスケットボールなどは、車椅子であろうが、健常者であろうが、使用するコートや競技設備は全く一緒です。健常者の試合の後で、車椅子バスケットをやることも、何の問題もありません。つまり、競技環境に問題がなければ、身体障害者も健常者も、どんなスポーツもお互いに同じ試合場でゲームが行えるわけです。もし、管轄する競技団体が、身体障害者の組織も、健常者の組織も、お互いに協力して同じスポーツを盛り上げていける機運が高まれば、2016年の東京の招致活動が掲げる「日本だからできるオリンピック」にも繋がるとは思いませんか?。 日本では、特に組織の縦割りの観念が強く、現存の競技団体間の交流すら、あまり聞いたことはありません。各競技のトップリーグの統括組織が、日本トップリーグ連携機能を組織し、共同でスポーツの発展や普及を目指す取り組みをしていますが、スポーツリーグが中心となって活動しているのみで、おのおのの競技団体が連携しているわけではないように思います。しかし、ひとつのキッカケ作りとしての基盤にはなるかもしれませんが・・・。 マイナーとされるスポーツ競技は、強化活動の資金調達も、日常的な課題を背負っています。身体障害者となれば、尚のこと、生活の保障さえままならない状態で、スポーツ競技に打ち込む環境を維持していくのは、大変なことだと思います。北京オリンピックでは、「次のロンドンも目指す」ということを多くのメダリストたちは語っていました。しかし、北京パラリンピックで勝利を勝ち取った選手たちは、「次」という言葉は言えるのでしょうか?。 年金問題など、いま国民の抱える問題のほとんどを背負っている舛添厚生労働大臣は、北京パラリンピックでのメダリストに対する報奨金について、初めて、正式な制度を設けることを発表しました。金メダル100万円、銀メダル70万円、銅メダル50万円です。TBSの「朝ズバ!」の中で、みのさんは、オリンピックでの報奨金との差を見て、「なんで差があるの?、同じでないとおかしいよ」と嘆いていらっしゃいました。確かにお国の考えることは、なんでも差をつけたがります。オリンピックとパラリンピックの大会の権威のようなものを考えているのでしょうか?。まあそれは、ケチな役人根性と一笑して、それでも新しい制度ができたことは、喜ばしい事実です。そして、舛添大臣は、同時に、指導者の育成、戦士の育成・強化、障害者スポーツの支援などの実施も明言していました。これこそ、身体障害者アスリートの人たちにとっては、嬉しいニュースなのではないでしょうか?。何が出来るかは、今後を見守る必要はありますが、彼らは、一時的な報奨金ではなく、日常の支えが必要なのです。そうした側面から考えると、文部科学省がやっていることと、これから厚生労働省がやろうとしていることを、スポーツ庁に一本化して、日本のスポーツ全体が底上げできるような体制を作っていった方が、いいような気がします。組織論だけにとらわれて、選手が置き去りにされることは、避けなければなりませんし、それなら国民が置き去りにされているいまの政治と何ら変わらないですよね。 バスケットボールを愛する私も、あまり車椅子バスケットを見る機会がありませんでしたが、5月のゴールデンウィークに東京体育館で行われた大会を見に行ってきました。車椅子同士がものすごい音を響かせて衝突したり、車椅子から飛ばされる選手がいたり・・・。あれは、本当に格闘技です。普段と全く同じコートの中で、普段とは全く違うバスケットボールが、そこにはありました。スピードも、力強さも、戦術も、全く違う次元のスポーツとして、堪能しました。もしこうした試合が、全日本選手権と同じ舞台で見れたら・・・。観客が喜ばないことは、絶対にありません。
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posted by umekichihouse |04:18 |
オリンピック |
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「パラリンピックの魅力と現実」その3 ~さらに考えよう!
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その1でコメントされてましたが、オリンピックをあれだけ放送していながら、パラリンピックはNHKのみ、しかも限られた時間だけ。私は現在、単身赴任をしておりテレビガイドを買っております。オリンピックの時は、放送スケジュールはもちろん、各競技・各選手の紹介を何ページにも亘って掲載していました。パラリンピックはゼロです。何故なのと疑問を抱く前にあきれるというか、まさに開いた口が塞がらない状態でした。その一方で、なんとかテレビで、愛だとか、援助だとか、いかにもわがテレビ局は問題に取り組んでいますというようなことを実しやかにやっている。まさに偽善者以外の何者でもない。日本のマスコミのレベルの低さは今に始まってことではありませんが、この状態はまさにマスコミ界あげての差別だと言っても過言ではないでしょう。
posted by 船井信孝 | 2008-09-18 12:00
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