2008年08月21日
「オリンピックとテレビ」その2~テレビが作り出すマイナー競技
私が愛するバスケットボール。1972年ミュンヘンオリンピックで日本の谷口選手の放つ美しいシュートを見て、バスケットボールの魅力に取り付かれたのが始まりでした。小学4年生からサッカーボールを追いかけて、私自身はレギュラーの下っ端くらいの選手でしたが、チームは県大会を2度制するなどして、本当にサッカーに夢中でした。当時は、サッカーなんてマイナースポーツの局地です。当然、世界のサッカーなんて、ましてや、ワールドカップなんて誰も知りません。その中で、テレビでたった1試合、オリンピックを見て、コロッと変わってしまいました。バレーボール人気に沸く中で、私はバスケット部に入部し、それから36年。まさか仕事でこれほどまでにバスケットボールに関わるとは思いもよりませんでした。 しかし、3on3大会からNBA日本公式戦、日本代表の国際試合、そしてアジア選手権などの日本での国際大会に仕事で関わる中で、何か物足りない気持ちが、常に心の片隅にありました。“なぜ日本でバスケットはメジャーになれないんだろうか?”と・・・・・。 メジャーとマイナーの違いや定義は、実は私にも分かりません。恐らく、競技人口の大きさ、ニュース報道の頻度、テレビ中継の有無やその視聴率など、数値の大小やメディアによる露出量が感覚的な尺度として、一般的に言わせているものなんだと思います。しかし、オリンピック放送を通して感じるのは、やはり、テレビで放送されるか否か、というシンプルなポイントがその最大の理由である気がします。日頃注目もされなかった競技でも、メダルを取ると一躍テレビのヒーローとなり、あれやこれやでその競技の魅力なんかを解説し始めますよね。一過性なのは分かっていても、テレビの力の大きさに驚くことはよくあります。 日本バスケットボール協会の競技者登録人数は、約60万人。そのすべてが登録料というものを支払っています。つまり、その他一般の、ファンはもちろん、3on3や、所謂、草バスケットを週末に楽しんでいるような人たちは、含まれていません。それらを含めると、60万という数字は、その10倍、20倍になるのかもしれません。ほとんどの人は、学校の体育で1度はバスケットボールをやっていると思いますし、“バスケットって何?”なんていう人は恐らくほとんどいないでしょう。60万という協会登録人数も、メジャーと言われるサッカーや野球、バレーボールなんかと比べても、決して引けをとるものではありません。しかし、「ゲーム」を商品と捉えたスポーツビジネス的観点から見ると、バスケットは完全にマイナーな域に置かれてしまいます。真剣にバスケットの普及や育成に取り組んでいる人や関係者にはお叱りを受けてしまうかもしれませんが、私はバスケットボールを愛するからこそ、その事実に顔を背けたくないのです。 日本でメジャーになるためには、何が必要なんでしょうか!?。 それは、Jリーグに倣って実業団リーグのプロ化かもしれませんし、スーパースターを作り出すことなのかもしれません。ただそれは、メジャー化に向かってのプロセス、つまり、手段の一つに過ぎません。それがすべてなら、日本国中にプロスポーツが生まれているはずですから・・・・。答えが見つからないこそ、社会人になって25年、物足りない気持ちが、いまも続いています。 私が個人的に、唯一考えることは、“オリンピックに出ること”なんだと実感しています。オリンピックに出て、世界と戦い、そして勝つこと。それが、ファンを作り、メディアを動かし、最後はテレビを動かすのです。事実、メディアやテレビ関係者は、ハッキリ言います。“オリンピックに出れないと一般受けしないんだよね”。それが、テレビで中継されないスポーツなんかは、マイナーなんだ、という感覚的な烙印を押されてしまう原因なのだと思います。(ちなみに、このテレビとは、地上波放送のことです。) テレビの側としては、限られた放送時間の中で、視聴率という尺度であらゆるコンテンツを選び出すわけですから、視聴率が取れないスポーツは、深夜だって放送できないのです。サッカーは、いまJリーグでは5%前後の視聴率と聞きます。しかし、観客動員の課題が浮上している中でも、日本代表戦は、しっかり10%以上の数字は稼ぎ出します。それは、Jリーグの創設というプロ化の成功以上に、1998年のフランスW杯出場、そして2002年の日韓W杯で見事に勝ち進んだことに起因していると私は思います。2002年は、開催したからこそ価値があるのではなく、そこでベスト8まで勝ち進んだことに価値があるのです。だから、日本国中が熱狂したんです。バレーボールは、毎年のように国際大会が日本で開催されています。これは、日本のテレビパワー、テレビマネーによる恩恵でしょう。しかし、しっかりと15%前後の視聴率を連日稼ぎ出す優良コンテンツであることに変わりはありません。日本チームが負け続ける大会を誰もテレビで見ようとはしませんし、過度な演出などと批判的な記事も新聞には掲載されたことがあります。でも、日本チームが勝つからこそ、その演出も生きているのです。 4年前のアテネ五輪のアジア予選で、バスケット女子は、見事に五輪出場の切符をつかみました。準決勝の韓国戦で勝った翌日のスポーツ新聞の一面には、バスケット女子の勇士がデカデカと掲載されました。そして今年1月、ハンドボールは前代未聞の五輪予選やり直しを行いました。ハンドボール旋風が吹き荒れ、テレビ放送権は争奪戦となり、結果、NHKはなんとゴールデンタイムに生中継を行いました。勝って北京に出ていれば、どのように変わっていたのでしょうか???。メディアは?、テレビは?・・・。
posted by umekichihouse |05:13 |
オリンピック |
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