2008年09月07日
「プロスポーツ球団の経営シュミレーション」その8 ~リーグとしてのあり方
プロスポーツリーグにおいて、リーグの運営母体、つまりリーグ事務局には、リーグ全体の活性化と人気化を担う戦略と実践が求められます。経済的には、リーグが保有する全国テレビ放送権やリーグスポンサーシップ権、また、マーチャンダイジング権やライセンシング権を、1円でも高く収入として獲得して、リーグのより高いステージでの運営や、加盟各チームへの分配金に再投資していかなければなりません。また、リーグ全体のブランド価値を高めるように、独自のブランディング戦略を展開することはもちろんですが、各チームが独自に行うプロモーションや経営手法に対して、リーグのブランド価値に合致したものかどうかの監視や指導もしていく義務を負います。リーグのブランド価値が低ければ、そこに加盟しているチームもイコールイメージに見られ、やがては、リーグ全体の戦略や戦術のすべての評価が低下していくことにもなりかねません。 チームは、優れたスター選手を保有することで、チームのブランド価値を引き上げ、ファンを引き付けようと出来ますが、リーグは、特定の選手や特定のチームにそのブランド価値を求めてはいけません。リーグのブランド価値とは、リーグ全体として目ざす具体的なイメージです。もし、企業チームによる日本リーグのままであれば、リーグとは、彼らの試合の場であり、リーグ全体の存在意義は、それ以上でもそれ以下でもありません。しかし、プロリーグであれば、そこに、多くの金銭的な投資や収入が入るわけですから、自ずとその対価となる独自の価値を生み出していかなければ存在できなくなります。具体的には、日本で最高レベルの競技力を誇る戦いの舞台、を標榜するのか、また、エンタテイメント性溢れるスポーツを核としたマルチイベントとしての性格を押し出していくのか、スポーツを文化と捉えた普及活動を広めていくための中心的な存在になるのか・・・。あり様はいろいろ考えられますが、何れにしても、しっかりとしたリーグとしての経営ビジョンが、万人に分かり易い形で示されるべきです。 例えば、NBAは、これまで、世界最強のバスケットボールリーグとして、世界からスター選手が集い、高い競技力を背景に、プロとしてのエンタテイメント性やビジネス手法を生み出してきました。しかし、最近は、NBAで活躍している一流選手の欧州ユーロリーグへの移籍が問題視されています。スピンアウトした選手ではなく、現役でチームやリーグを牽引しているスター選手たちが、その候補になりつつあるのです。ここ数年の世界タイトルを獲得しているアメリカ以外の国々の選手たちは、その多くは、過去にはNBAを目指していました。しかし、ユーロリーグに留まったり、逆にNBAからユーロリーグに舞い戻るケースが多くなっています。報酬の高さが取り上げられていますが、果たしてそれだけでしょうか?。 NBAは、世界戦略を銘打って、1990年から2003年まで、計6回のシーズン公式戦を日本で開催してきました。日本における経済的に市場を狙った意味合いもありますが、日本のバスケットボールファンのほとんどは、NBAを世界一と言うポジションで考えていたときにはそれも十分に機能したはずです。しかし、NBAが本当に世界でNo.1なのだろうか?、と考え始めたファンも少なくないと思います。オリンピックへのNBA選手の出場を後押ししてきたNBAの思惑も、その成果は逆の結果を生み出すまでに、世界中のバスケットボールの技術的なレベルも、選手の競技力も、そして単独リーグとしての価値も、飛躍的に向上しています。その中で、NBAは、新しいブランドメッセージを、世界にむけて発信していかなければならない転機にあるように思います。 逆に、ユーロリーグの存在は、アメリカを打ち破ってきた世界各国の選手たちの活躍の場として、大きくクローズアップされてきました。現在、日本での継続的なテレビ放送はありませんので、まだまだその認知度は低いと思います。しかし、かつてサッカーの欧州各国のリーグ戦が、毎週のようにテレビ放送される環境にあったでしょうか?。その姿を見ていると、間違いなく、バスケットボールに限らず、さまざまなスポーツにおいて、そのファンの目は、世界へ向けられていく時代になっているのだと思います。やがて、バスケットボールだけ見ても、NBAも、ユーロリーグも、その各国のリーグもテレビ放送され、日本国内のリーグと見比べられる時がやってくるとしたら・・・。 bjリーグは、JBLに比べて競技力に劣る、と言われる方が多いです。私が見ていても、そのように感じることは多々あります。選手のみならず、レフェリーの技量など全体を通しての感じですが・・・。私個人として考えることですが、もしJBLもプロリーグを目指すならば、プロスポーツリーグは、決して競技力だけでブランド価値を作れるものではなく、エンタテイメント性、ビジネス性、イベント性など、スポーツが持つあらゆる可能性を、どれだけ高い次元で融合して、その姿を、如何に試合会場の場で表現できるか、ということを考えるべきだと思います。つまり、試合のレベルが高ければよいのではなく、その試合会場自体にも魅力がなくてはなりません。また、観客が支払ってくれたチケット代金以上の価値を、試合に付加していかなければなりません。そして、日常的に話題性がある存在にならなければなりません。テレビ放送がまったく期待できないリーグを、誰も話題にしませんし、メディアですら真剣に取り上げません。それでは、プロスポーツリーグを標榜しているリーグそのものの自惚れだけで終わってしまいます。プロか否かは、その存在を支えるファンや支持者が評価するものだと、私は思います。 bjリークの姿を客観的に見ていると、アメリカのマイナーリーグの存在に姿が良く似ている気がします。それは、ある意味で魅力を感じます。しかし、メジャーを標榜して、bjリーグが拡大戦略を推し進めているとしたら、私は大きな過ちを犯す気がします。そろそろ、本格的にリーグのブランド価値を見定める時期に来ている、と思います。
posted by umekichihouse |03:26 |
イベントオペレーション |
コメント(1) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
(表示は許可制となっています)
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/umekichihouse/tb_ping/48
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
「プロスポーツ球団の経営シュミレーション」その8 ~リーグとしてのあり方
いつも楽しみに拝見しております。
プロスポーツリーグのリーグマネジメントについて触れて
いるブログにあまり触れる機会がありませんでしたので、
大変新鮮な気持ちで読ませていただきました。
さて、リーグのブランド価値を高めるために、考えられる
あらゆるアクションを実施していくことの重要性は、
まさに管理人さんのおっしゃる通りだと思います。
管理人さんはいくつか例も挙げられてますが、自分は
NFLのリーグマネジメントこそが今後日本のプロリーグが
最も参考にすべきで考え方であると思っております。
それがサラリーキャップ(ハードキャップ)等に象徴される
徹底したequal systemであり、また、このequal systemの
集大成がCBA(CollectiveBasic Agreement)(労使協定)
であると理解しております。
今、NFLのCBAは今年5月にopt-outした結果、
CBAの最終年が2010-11シーズンにまで短縮され、
このまま2010年春までに、新労使協定が締結されない
場合は、2010-11年シーズンにサラリーキャップが
適用されない可能性も出てきました。
つまり、今回の新協定の締結によって、NFLのビジョンの
根幹であるeqaul systemに影響が出てくる可能性も出て
来ており、個人的に今後の動向に大変注目しておりま
す。
posted by Baseball all of my life | 2008-09-12 18:05


