2008年09月01日
錦織選手を育てたアメリカの“虎の穴”
脚の痙攣を凌いでベスト16に勝ち上がった、日本テニス界のニューヒーロー、錦織 圭。ATPツアーでの優勝を引っ提げて臨んだウィンブルドンでは、腹筋を痛めて途中棄権。まさに、世界のトップシーンで戦い続けていくことの厳しさを思い知らさせる、テニスというスポーツのハードな一面も教えてくれました。次は、同じ年代ながら世界20位以内にランクされるアルゼンチンの選手ということで、今後も良きライバルとなるような選手ですから、ぜひとも勝利を掴んで欲しいと思います。 そして、この錦織選手を育てたプロテニス選手養成学校、まさにアメリカ版“虎の穴”とも言える「ニックボロテリー・テニス・アカデミー(NBTA)」が、いま注目されています。錦織選手は、13歳、2003年に渡米し、このNBTAに入校。以降、ジュニアの世界選手権であるオレンジボウル選手権で準優勝するなど、世界へのステップを着実に歩んできました。ニック・ボロテリーは、世界有数のテニスコーチで、1972年にアカデミーを開校。1987年に世界的なスポーツマネジメント会社、IMGに買収され、現在は、テニスだけでなく、サッカー、バスケットボールなど18部門の複合選手養成学校となっていますが、ニック・ボロテリーが輩出した世界的なテニスプレイヤーは、限りありません。男子では、アガシ、ベッカー、クーリエ、サンプラスなど。女子でも、ヒンギス、セレシュ、そして現役バリバリのシャラポワまで・・・、まさに世界ランク1位養成所のような卒業生たちです。今年で、NBTAの卒業生は47名と言いますから、その競争の激しさと、長期的な育成システムの充実ぶりが、そこからも伺えます。 そして、いまは、テニスだけではありません。バスケットボールについても、卒業生として、NBA選手を続々と輩出しています。ビンス・カーター、エリック・ダンピエールなど、バスケットボールアカデミーの公式WEBサイトに掲出されているNBA選手だけで、25名。大学への斡旋先としても、40校が掲載されており、UCLA、ケンタッキー大、メリーランド大、ペンシルバニア州立大など、NCAAディビジョン1の上位校が大半です。 興味深いのは、そのプログラムの充実ぶりです。一言で言えば、まさに、養成機関です。それも、あらゆる年代や選手のシチュエーションによって、プログラムが用意され、更に、コーチ陣に加えて、トレーニングから栄養管理に至るまで、選手として必要な知識やノウハウまで教育されます。ただし、日本的に発想の“学校”ではありません。期間は、主に9月から5月。アメリカの就学期間に相当します。選手は、プログラムに応じて、高校生、大学卒業後にプロを目指す選手、大学在籍中の選手、NBAドラフト後の選手、そして、NBAの選手たちもシーズン前のトレーニングをここで行うそうです。大学在籍中にスキルアップや欠点の克服を目的としてくる選手や、調整やトレーニングのために訪れる選手がいる、というのは、単なる“学校”ではないことが分かる象徴的な一面です。このアカデミーには、プロフェッショナルになるための、そして、プロフェッショナルとして磨きをかけるためのノウハウがある、ということなのでしょう。バスケットボールだけを例に取りましたが、このシステムは、18分野のスポーツすべてに対応しているようです。正真正銘のスポーツ“虎の穴”なのです。 日本では、どんなスポーツも例外ではないと思うのですが、学校が選手強化の主体です。学校のコーチに学び、チームとして活動し、試合を重ね、勝った者だけが世界への入口に立てる。もし、学校に選手育成の力が無ければ、選手たちには、学校を代える選択肢しかありません。この点から言うと、私は個人的にですが、高校などの越境入学や特待生制度は、決して否定するものではないと考えます。もし、否定する理由があるとすれば、学校間の競争原理に反する、ということでしょうか?。特定の学校だけが強くなり、有名になり、ますます優秀な選手たちが集まる・・・、ということでしょう。しかし、私立学校が売名行為としてスポーツを利用していることは、事実ですし、そのことにより、選手たちは、スポーツの強化、という環境を手に入れている訳です。ただし、それは、あくまでも、“学校が勝つ”ことを目標にしているだけであって、選手個々の将来については、結果論でしか導くことができません。つまり、学校が勝たなくては、選手個人の将来も閉ざされる可能性がある、ということです。日本のスポーツ界に、さまざまなプロスポーツリーグが誕生し、スカウトたちが日陰にいる隠れた逸材を次々に見出せるようにでもなれば別ですが、それも、いまは、野球やサッカーくらいに限られますよね。 日本のスポーツの現状を見ると、現IMGアカデミーの行っている18分野でのプロスポーツ選手養成学校は、特異な例に見えますし、プロとしての活躍の場が、種目的に限られたものしかない日本では、そのようなアカデミーの創設など、夢なのかもしれません。専門学校の中には、最近、バスケットボールやサッカーのプロ選手を目指す生徒を集めたプログラムが始まっているようですが、成果がどのように出るか、注目はしてみたいと思います。 バスケットボール、競泳、ソフトボール、野球、サッカー、ゴルフなどの競技種目に並び、メンタルトレーニング、フィジカルトレーニング、コンディショニングなど、あらゆるトレーニングメニューが揃っているIMGアカデミーに、育成や強化の環境に乏しい日本の高校生世代の有望選手を、錦織選手の如く、どんどん送り出してみてはどうでしょうか?。テニスに限らず、世界で戦える原石が見つかり、宝石となって帰ってくるかもしれません。北京五輪直後に、スポーツ庁設立の現実味が出てきた話題が報道されていましたが、スポーツ庁がその財源の後ろ盾として機能するのも、いいかもしれません。強化費の各国との違いについても報道されていましたが、問題はお金の使い方ですよね。アカデミーへの派遣は、100%選手のために使われるのですし、皆さんはどう思いますか?。
posted by umekichihouse |06:05 |
日頃のあれこれ |
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錦織選手を育てたアメリカの“虎の穴”
太郎さんの意見を見て、少し納得というか同意します。
が、錦織選手が成し遂げた快挙や、これから成し遂げるであろう快挙は、何にも代えがたいリターンの様な気がします。
まぁ、ただ国が税金でとなると....
二の足を踏む気がしますね。
やはり、優秀なコーチ陣を招いてアカデミーの建設、運営等を国内で行う方が税金の使い道としては理想的なきがします。
posted by 次郎 | 2008-09-01 11:14
錦織選手を育てたアメリカの“虎の穴”
IMGアカデミーは個人向けの専門学校でありアメリカ企業なのでそこへの留学費用を税金からバンバン出していくというのは正直微妙な気はします
例えば国としてNTCなどの施設を運営するという話であれば、施設の建設や運営に日本の雇用を創出できますし、あるレベル以上の選手であればみんなが使えるので公共性あると思うんですが、留学派遣費用を税金でどんどん出すというのはリターンがほとんど無いのでどうなのかなと
例えば錦織選手の例で言うと彼は才能を認めてくれた、盛田さんのファンドから留学費用を出してもらってます
盛田さんはテニス協会の方なので本当に後々のことを考えずにお金を出してくれているのだと思いますが、ちゃんと錦織選手は(電通のオファーを蹴って)IMGと契約を結びソニーと契約を結びという形で恩返ししてるんですね
IMGアカデミーへの留学費用は年間1000万程度かかるそうですが、それがもし税金で支払われていた場合、そういう恩返しやリターンが何も無いのでみんな納得できるのかな~と思います
posted by 太郎 | 2008-09-01 07:13


