2009年03月25日
「現役新聞記者の著書から感じたスポーツジャーナリストの姿」その5 ~ネットメディアとの関係
ライブドアによるニッポン放送株の買占め、そして楽天によるTBSの買占めなど、インターネットメディアによるマスメディア、特にテレビ局の株式の買占めは、既存のマスメディアとインターネットメディアとの関係性を、将来に渡って問うまでの騒動になりました。そして、光ファイバー通信網のインフラ整備が進み、また、ケーブルテレビや電力会社などの通信事業への参入などにより、加速度的にインターネット環境は普及しましたが、その中で、インターネット上にさまざまな情報発信サイトが登場し、いまや、既存のマスメディアによるインターネットの活用状況も、日増しに拡大しています。新聞社の多くがネットサイトを開設していることも、その一例です。 「スポーツ報道論」の著者、毎日新聞の滝口隆司氏は、本の中で、こうした状況について、「日本のジャーナリズムが将来的にどう発展していくのかにも関係していく」、と述べています。ネット上の情報発信サイトは、メディアが運営するサイト以外に、個人が運営するものまで含めると、いまや膨大にあり、その情報量は、多岐に渡ります。報道という観点から見ても、海外のニュースサイトから得た情報が、時間差なく日本のニュースサイトや個人のサイトにアップされており、速報性や浅く広く情報を拾い集めることに関しても、インターネットは、既存のマスメディアを凌駕しつつあることは間違いありません。滝口氏も、「幅広い角度からの報道が展開されれば、それはスポーツの発展に寄与していくことにも繋がる」、と述べています。ただし、それには前提があり、インターネット上のサイトで掲載される情報が、所謂オリジナリティある内容のものかどうか、ということがポイントになります。現状では、個人のサイトはもちろんのこと、ニュースサイトの情報のほとんどは、通信社やメディア各社による情報配信の2次利用であり、そこに、独自の視点からの見解は示されていても、元々が独自の取材であるものは、ごく限られています。つまり、滝口氏が述べている“日本のジャーナリズムの発展との関係性”とは、独自の取材機能もしくは能力を持っている、ということと、アウトソーシングに頼っていく、ということの方法論の違いによって、大きく異なってくる、ということです。ちなみに、アウトソーシングの場合は、サイト運営者(社)は独自の取材機能や能力を持たなくても、それを外部のフリーランスのライターやフォトグラファーなどに依存するケースです。 情報というものであれば、そこに客観的な信頼性はなくとも、主観的な考えや意図、そして、その情報の発信者が明確であれば、情報に対する信用性は、発信者に対する信用性を、情報を受け取る個人個人が、自らの責任で見極めればいいだけです。しかし、報道とは、客観的な信頼性なくして、その報道にある意義は見出せません。それは、メディアとしての組織や社会的地位に対する信頼性でもあります。アウトソーシングの場合でも、メディアとしての信頼性のあるところを通じての発信であれば、それは報道として社会的に認知されるものになるでしょう。 また、スポーツ報道の取材力というところで言うと、独自の目線でスポーツを語る力の有無が問われるところだと思います。独自の論評や批評、そしてスポーツを見る力が語る描写などは、取材するジャーナリストによる独自の能力や機能が生み出すものであり、それこそが、ジャーナリストとしてのスタンスなのだと思います。大きなスポーツイベントや大会になれば、メディア、もしくはブレスとしての取材申請に対して、所属するメディア組織や会社としての地位や経歴が大きく影響します。それは、信頼性の問題があるからです。そして報道という概念があるからです。アクレディテーションのカテゴリーは、メディアの場合、大別すれば、ジャーナリストとフォトグラファーに区分されますが、最近は、それとは別に、“WEB”というカテゴリーも見受けられるようになっています。その点から考えると、インターネットのニュースサイトも、独自取材能力を持ち、そこから発信するニュースに信頼性があるものと判断されれば、メディア・アクレディテーションはキチンと認可される、という時代なのです。つまり、イベントや大会の主催者も、報道としての信頼性に着目しているわけで、客観的な認可を得られる立場になければ、報道機関、もしくはジャーナリストとしては認知されないのです。 私も、個人で活動しているインターネットサイトの運営者に方々にお会いしたことがありますが、なかなか取材の現場にメディアとして入り込むことは難しい、という方がほとんどでした。決して邪な考えや遊びの感覚を持ってやっているのではありません。しかし、信頼性を得るまでの実績がないのです。冷静に見ると、やはり独自の取材力に課題があります。運営資金の問題によって組織としての活動が難しく、結果的に個人の力で運営するしかないからです。そこには、必然的に限界が生じます。また、インターネットサイトによる、スポーツイベントや大会の動画配信を試みているプロジェクトもあります。以前も取り上げましたが、夏のインターハイでの競技を、動画配信しているケースもそのひとつです。そこにも、テレビメディアと同様に、報道と娯楽の境界線の問題があります。更には、情報と中継という、権利絡みの課題も見え隠れしています。一概には言えませんが、活字にしろ、映像にしろ、それらの情報を待ち望んでいる人たちがいる、ということだけで、比較的安易にそれらを発信、または配信してしまっている人たちは、あくまでも個人的に意見ですが、あまり、スポーツに貢献している、とは思えません。あくまでも商売なのか、もしくは、個人の楽しみでしかないような気がします。そして、本当にそれらの情報を待っている人たちがいるとしたならば、そのようなサイトは、もっと乱立して凌ぎを削っていることでしょうし、スポーツ競技団体や関係組織が放ってはおかないでしょう。しかし、独自の取材力やニュースを語る力をネットサイトが持つようになった時、スポーツジャーナリズムは、より一層その地位を向上させていくことは間違いなく、そうなることが楽しみでもあります。
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posted by umekichihouse |06:18 |
メディアとスポーツ |
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「現役新聞記者の著書から感じたスポーツジャーナリストの姿」その5 ~ネットメディアとの関係
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いつもいつも拝見していたのに、
更新が止まってしまって心配しています。
ぜひ、続けてくださいますようお願い申し上げます。
posted by いつも | 2009-06-26 18:15
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