2009年03月17日

「部活が危ない!?・・・日本の若年スポーツ育成現場が抱く危惧」その1 ~顧問の先生がいない!?

昨年末、東京都教育委員会の発表した中学校における部活動の現状に、驚きました。都内にある約645校(2006年度調査)の公立中学校の内、毎年300以上の部活動が休廃部しているそうです。原因は、顧問教員の異勤や部員の減少ということ。少子化が問題視されている中で、子供たちの数そのものが減少していることは、さまざまに報道されていますから、理解していましたが、部活動を指導する先生方の異勤によって部活動がなくなってしまう現象が生まれていることに、些か驚きを感じました。東京都教育委員会では、部活動を存続させるため、教員の異動など学校側の事情で休廃部となる年間約200の部活動に絞り、来年度から部活指導を委託している「外部指導員」の報償費を補助する方針を決めた、ということで、外部指導員の活用を促しても、休廃部を食い止めようとしているようです。ちなみに、東京都が用意する「外部指導員」の報償費に対する予算は、5,400万円ということで、この額が適正なのか少ないのかはわかりませんが、外部指導員に頼らざるを得ない実情は、教員のあり方や、元々は、教育政策に何らかしらの欠陥があったとしか思えないような事態を想像させます。

過去に5年ほど遡って調べてみると、2004年度には331、2005年度には336、そして2006年度には320、ということで、このままの状態では、都内の中学校から部活動がなくなってしまうのでは?・・・、というくらいの数値です。また、先の休廃部数の内、それぞれ220以上もの部活動は、顧問教員の異勤などの学校側の事情で休廃部に追い込まれているようで、これは教員数の問題よりも、経営的政策の視点での問題であることが明白でしょう。

2013年には、国体が東京都で開催されます。以前、ボート競技関係の調査をしていた時に聞いた話ですが、都内にはボート部を有する高校がゼロになっていたそうです。国体開催もあり、その状況を危惧した関係者は、都内の3校(確かその程度だと記憶していますが・・・)を指定校としてボート部を作り、そこからインターハイや国体を目指す選手を発掘していこう、という取り組みをしているそうです。笑い話ですが、部に入れば、インターハイ出場確実、というのが謳い文句だったとか???・・・。2016年にオリンピックを開催しようとしている東京都の、こうした末端のスポーツ育成環境を考えると、オリンピックの前にもっとやることがあるんじゃないか?、とも考えてしまうほど、恐らく事態は深刻なのだと思います。もちろん、私は東京でオリンピックを開催することは賛成なのですが、それは、7年後にその主役、もしくは準主役としての世代である小学生、中学生、高校生たちが、夢を持ってスポーツに打ち込める環境があってのことであり、いまの現状では、7年後どころか、10年以上たっても、現状は何も変わっていないようにも感じてしまいます。

確かに、総合型地域スポーツクラブがさまざまな地域に設立され、そこから地域の学校に指導者が派遣されていく、という人材の循環的な活用ができていけば、総合型地域スポーツクラブの存在意義も高まり、また、そこに新たな収入源を生み出すことができるかもしれません。しかし、それは、指導者や指導員となれる経験や資格を持った人たちが、職業として関われる実態があればこそのことで、現実は、それもまだまだ途上の話しです。東京都教育委員会は、予算を確保して指導員の派遣を進めていく、としていますが、単にお金の問題とか、急場凌ぎでの、外部依存だけの薄っぺらな施策ではなく、本来は、部活動を踏まえた能力や経験のある教員の採用や、また、特定の部活動運営能力のある教員を対象として、異勤の停止などの根本的な対策が必要なのではないでしょうか?。もし本当に、都民がこぞってオリンピックを応援するムーブメントを作りたいならば、もっと都民の生活や教育の現場レベルから、目に見える形での取り組み方を模索していった方が、現実味があるように考えるところです。

2月7日の朝日新聞の別刷りに掲載されていたスポーツジャーナリストの生島淳氏のコラムに引き付けられました。コラムの中で、生島氏は、「北京五輪のメダリストを見ると、部活動育ちではない選手が増えている」、として、スイミングスクールや町の道場、親子での師弟関係の中でのトレーニング環境などが、メダリストの競技環境としてのベースになっていることを述べています。そして、その競技環境の中では、指導者が長期に渡って選手のコーチングをしており、逆に、中学校では、学校や教育組織の都合による教員の異勤のために、10代前半の重要な時期に、指導力の安定性が保障できなくなる、とも述べています。確かに、私立高校は、スポーツチームの強化によって、新入生の確保や学校の名声という実利を得ることが出来るため、特にスポーツ系の部活動では、優れた指導力のある教員や職員を、その指導に当たらせています。当然のことながら、少なくとも、在学中の3年間は、一貫した指導が受けることが出来ます。しかし、それでも3年という期間は限定されてしまうため、先のスポーツクラブ型の育成環境には遠く及ばないのです。水泳や陸上、柔道やレスリングなどの個人競技は、球技などの団体競技以上に、長い時間の中での一環指導が大切だといわれます。選手のことを理解すること、そして、その成長度合いを常に把握できる環境にいることこそが、選手育成のカギだからでしょう。

生島氏は、コラムの最後で、こう述べています。「最終的に部活動に参加するかどうかを決めるのは生徒の判断である。しかし、受け入れる側の体制を整備する努力は続けなければならない。それは大人の仕事なのだから」。部活動の現象や、その流れに歯止めが掛からないのは、生徒の責任ではありません。確かに、外部に安定的な指導員を求めることは、ひとつの正論かもしれません。しかし、教育や育成という観点を無視した技術論や戦術論だけでは、部活動の意図を見失ってしまいます。教育委員会の皆様、それを考えるのは、皆さん大人の仕事なんです。

posted by umekichihouse |07:19 | 日頃のあれこれ | コメント(3) | トラックバック(0)
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「部活が危ない!?・・・日本の若年スポーツ育成現場が抱く危惧」その1 ~顧問の先生がいない!?

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初めてのコメントです。50歳・男性、地方の都会(?)在住です。
私の子供の頃は、文化部も運動部も結構な種類があって、先生方の本格的な指導もない中で、なんとなくやっていたような記憶があります。中には、熱心なクラブもありましたが。
ところが、私の子供たちの中学校では、1学年2クラス、3学年で6クラスです。当然教師の方の人数も多くなく、運動系で4クラブ、文科系で3クラブ程度の活動があるようです。先生の異動の影響も受けやすく、廃部や休部もありました。
少子化の時代にあって、都会に限らず、子供の人数が少ない地域では同じような現象が各地で見られるのではないでしょうか。子供たちをどのように育てていくのか、スポーツのことも含めてですが、学校教育の枠組みだけで考えるには、いろいろと限界があるように感じています。

posted by こうきち | 2009-03-17 19:22

「部活が危ない!?・・・日本の若年スポーツ育成現場が抱く危惧」その1 ~顧問の先生がいない!?

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3万ほどの市民がおる東北の田舎町でバスケットの外部コーチをしております。
大変興味深く読ませていただきました。

当地区でも顧問や若手の教員がおらず部活運営しかり、バスケットのレベル向上も苦慮しております。
私の場合、顧問の先生が愛情をもって部活動を行っておる環境に今はおりますが、他校では難しいようです。

他地区は知りませんが、当地区で教員の移動基準の多くは「学科」です。
これにより、指導経験のあるスポーツに偏りが生じます。
昔の教員には良い悪い別にして、「バスケット馬鹿」が多数おりました。
現状、難しいところですが、部活動に愛情を注ぐ教員は格段に減っております。
理由として、部活動は報酬も含め教員としての評価は対象外だからでしょう。

多くの問題はあるし、評価基準も難しいのかもしれませんが、部活動が養う「人のあり方」「他人への思いやり」「団体における役割」などに目をむけ、社会に通じる多くの要素が部活動にあることを国は認識し、現状を調査する必要があると思われます。

posted by 外部コーチ | 2009-03-17 12:43

「部活が危ない!?・・・日本の若年スポーツ育成現場が抱く危惧」その1 ~顧問の先生がいない!?

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こんにちは。
はじめてコメントさせていただきます。
私は東京都内で総合型地域スポーツクラブでバスケットボールのコーチをしています。
部活動が面白くない、ちゃんと教えてくれないという子どもたちが入会してきます。
うちではものすごくレベルの高く難しい技術を教えています。小学生からずっと世界い基準のゴール・ボールで指導しているので、指導にぶれがありません。短期間の目標ではなく、かなり先を見据えて指導しています。
しかし、まだまだ認知度が低く、部活動が主流です。
総合地域型のスポーツクラブが発展していけば、部活動などで埋もれてしまった子どもたちを育成していくことが可能ではないかと思います。
私どものクラブのホームページを張らせていただきます。
よかったらご覧になってください。
http://www.jsr-npo.org/

posted by コーチY | 2009-03-17 12:39

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