2009年03月16日
スポーツイベントのチケッティングに必要なターゲットインサイトとアイディアの力
ワールド・ベースボール・クラシックに出場する日本代表、“サムライジャパン”に注目が集まる中、見事に連覇したならば、今シーズンのペナントレースにも、より多くのファンが集まるでしょうか?。それとも、注目の目は、ますますMLBへと注がれるのでしょうか?。何れにしても、今年も、新しい野球シーズンが間もなく始まります。 観客動員数としては、セ・リーグに約250万人ほど、まだ差があるパ・リーグですが、各球団とも、さまざまなアイディアを駆使しており、前シーズンを確実に上回る結果を残しており、今シーズンもより一層の集客を目指しているようです。そうした中で、先頃、パ・リーグ6球団による共同事業会社、パシフィック・リーグ・マーケティングは、リーグ共同の企画として、フィギュア付チケットを発売しています。既に、対象試合の一部は完売しているということで、ファンのみならず、マニアにも受けているのかもしれません。この企画は、単独ではさまざまな景品を付けて、チケットの販売促進策に生かしているこれまでのケースと異なり、6球団共同の企画ということで、対戦相手の選手のフィギュア1体と、ホームチームの選手1体の、2体が1セットでもらえるところが特徴になっています。フィギュア付チケットが売り出されるカードは特定されており、特に集客が伸び悩むウィークデーのカードがその対象となっているようです。チケット価格が通常と同じでも、ファンやマニアには、チケットを購入しなければもらえない希少価値があり、また、6球団の対戦それぞれに、ホームとビジターのユニフォームも異なっているなどの細かい配慮もあるようで、すべてのフィギュアを集めようとする熱狂的なマニアも出てくるかもしれません。 スポーツイベントのチケッティングは、以前にも取り上げたテーマですが、最近は、観客動員をより積極的に考え、そこに科学的な戦略やマーケティングを取り入れている傾向が、数多く見られるようになりました。Jリーグでは、毎年のように観客調査を実施するなど、各球団のみならず、リーグとしての取り組みも、以前より活発になってきているように思われます。先のフィギュア付チケット販売企画のように、ひとつの球団や、ひとつの対戦カードだけでは、集客効果を持続できない場合でも、リーグ全体の取り組みにより、その効果を、シーズンを通して結果が得られるような長期的なものにしていけるチャンスが生まれてきます。また、そうした企画の実施の過程では、ターゲットインサイトという戦術も必要になることが実践で理解され、より効率的で効果的な戦略が具体化できる場合もあります。つまり、アイディアがいくら素晴らしくても、そのアイディアを誰に向けて打ち出していくのが不明確であれば、アイディア倒れに終わってしまいます。また、ターゲットがしっかりと見定められていても、そのターゲットに対して的確なアイディアがなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。精度の高いターゲットインサイトと、的確なアイディアが、同時に企画としてなければ、その企画は、効果性のある企画としてはその実効性を持たないのです。 スポーツイベントやリーグのチケッティングは、基本的には、シーティング(座席配置)、プライシング(価格設定)、そしてセールスチャネル(販売場所や流通網)が基礎となって計画が立てられますが、これは、計画上はキチンとした内容であるようで、実は、買ってくれる人の顔を見ていない場合が多いのです。集客力があるイベントやゲームであれば、何ら問題はないでしょう。しかし、特に日本国内のプロ以外のスポーツリーグの場合、子供たちのために低価格のチケットを用意しようとか、コアファンのために選手に近い場所のチケットを用意しようとか、あるいは、日頃行き慣れているスポーツショップでもチケットを取り扱ってもらおう、などという、小・中・高校生向けの対策は取っていても、大人向けの一般ファンを動員するための施策は、あまり具体的に見られません。また、チケットエージェンシー経由でのオンライン販売に乗せてしまえば、後は“お任せ”的な販売対策しかしていないケースも少なくありません。更に、地方都市での開催の場合は、販売チャネルに関しても、ままならない環境にあるケースが少なくありません。これは、単発のゲームを対象とした興行では、ターゲット論を生かしたアイディアなど、考える余裕もないからで、中期スパンでのリーグとしての戦略構築が、絶対的に必要なのです。 ◇チケットを買ってもらいたい我々のターゲットは誰なのか? ◇我々の競合するエンタテイメントは何なのか? ◇ターゲットは我々にどの程度の価値観をもっているのか? ◇ターゲットの我々に対する理解度とはどのようなものなのか? ◇試合を観戦する目的は?(選手の応援、チームの応援、スポーツ観戦、暇つぶし・・・) ターゲットの個性を分析すれば、ターゲットに対してどのようにアプローチすればよいか、ヒントが生まれてきます。先のフィギュア付チケットを購入している人の中には、その特典付チケットを、買うこと自体を楽しんでいる人もいると思います。希少価値の高い商品を買う人の中には、そうした人が少なからずいるからです。しかし、チケットを買っても観戦に訪れなければ、それは別の問題ですが、そういう人もいる、ということを認識しておくことも、アイディア創出の上では重要でしょう。そして、ターゲットにアプローチする段階で、次の仕掛けが必要です。それは、集客効果を広く拡散していくことです。つまり、同伴率を引き上げていくために、グループ観戦やファミリー観戦に適したアイディアを付加していくことです。更に、リピート率を引き上げることがありますが、これはチケッティングというよりは、興行運営全体で考えなければならないことなので、ここでは省略します。 フィギュア付チケット販売企画は、どの程度当たるのか!?。リーグ共同企画としての効果の程に、興味深々です。
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posted by umekichihouse |06:06 |
イベントオペレーション |
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