2009年03月14日

人気獲得?、認知拡大??、それとも客寄せパンダ???・・・何か変な学校のPR戦略

団塊世代が定年を迎えて大量の退職者が生まれようとしている中で、一方では、少子化により、私学はもちろんのこと、公立や国立の大学ですら、入学生の確保のために、あの手この手の戦略を取り始めているようです。入学試験時期を前にした昨年末には、多くの大学がCMや広告を出稿したり、最近では、プロスポーツチームのスポンサーとして、また、スポーツイベントのスポンサーとして、専門学校や私立大学の学校名が、あちらこちらで目にするようになりました。各学校別に、企業の宣伝部並みの広報室体制を設けているところもあるようです。

4年ほど前の資料になりますが、国立大学法人の広報活動に関するアンケート調査なるものが、文部科学省から発表されています。87法人を対象としたものですが、その中で、大学全体の広報を検討する委員会を設置している大学は79法人、広報を専門に行う事務組織を設置している大学は67法人ある、という結果がありました。いまや国立大学ですら、法人化されて以来、経営という観点から逃れることはできなくなっています。そして、受験料収入の源である受験生の確保、そしてもちろん入学生の確保に、各大学は、一般の民間企業と肩を並べて、広報戦略を考えていかなければならない時代になってきているようです。最近では、外部から専門の人材を迎え入れている国立大学もあります。また、広告代理店の中には、大学や高校、専門学校などを得意先とした教育機関専門の部署を立ち上げているところもあるそうです。学校とて、自らをPRする術を知らずして、社会の中で生き残っていけない時代なのですね。また、そこに新たなビジネスチャンスも生まれてきている、とうことなのでしょう。

北京五輪を目前に控えた昨年の8月上旬、オリンピック選手を学生や職員として抱える各大学は、ここぞとばかりに壮行式なるものを開催するなどして、“わが母校のオリンピック選手”をPRしていました。応援のためのホームページを開設したり、選手を主役とした新聞広告を出稿して、大学への注目度を上げようとしていた大学もありました。「少子化で学生争奪戦が激化し、今春の入試で47%の4年制私立大学が定員割れを起こすなど、淘汰の時代を迎えており、注目度が高い五輪を利用してイメージアップを図ろうとする狙いがある」。ある新聞紙面にはこのような報道がありましたが、これは、もはやTOPスポンサーやJOCスポンサー並みのPR戦略であり、指定以外の選手の起用や所属選手の起用に関しては、現在のJOCの規定からは緩和されており、法的な問題はないとしても、所属選手を競技の場以外で、まさに広告塔として使う考え方そのものに、些かの疑問がありました。トランポリンの日本代表選手である広田選手を職員として迎えた阪南大学の関係者は、先の新聞報道の中で、このように述べています。「五輪は分かりやすく、さわやかな印象を与える。『あの選手の大学』と知ってもらえるだけで大きな効果。女子学生数アップを目指す大学の戦略にイメージも合致した」。完全に一流企業の宣伝担当のコメントですね。同じく新聞報道の中には、これらの現象に対して、関西大学教授のコメントも、次のように掲載されています。「巨大化する五輪ビジネスに大学が参入してきた。これまでアマチュア選手支援の役割は企業が担ってきたが、少子化で大学に経営努力が求められる現在、教育機関が関係者を広告塔とすることの違和感も薄れてきている」。国立だろうが私立だろうが、正直に言って、本当にこれでいいんですか?。

先頃、フィギュアスケートの安藤選手が在学し、浅田選手も入学するという中京大学が、素晴らしいリンクを完成させたことがニュースになっていましたが、確かに、大学という教育機関が、選手を育てていく練習環境を、ここまで考えているということについては、絶賛するしかありません。特に、公営や民間のリンクが減少し、練習環境が厳しくなっていることは、トリノ五輪で金メタルを獲得した荒川選手も切々と述べていたことでもあり、本来であれば、もっと国の機関が動かなければならないことでもあります。しかし、先のような広告塔扱いにしか考えていないような大学の姿を見ると、関西大学の教授が述べている「広告塔とすることの違和感が薄れてきている」、という発言の意図に、非常に不快感を覚えます。

近年、多くの大学にスポーツビジネスやスポーツマネジメントを学べる講座や学科が誕生しています。しかし、スポーツビジネスを専門的に教える、または学ぶ、という環境が作られている一方で、前述のような安易な、旧態依然とした、古臭いPR戦略を、堂々と行っている学校に対して、それら指導する教授や准教授の先生方は、何もアドバイスしないのでしょうか?。恐らく、多くのスポーツマーケティングの事例をご存知で、多くのスポンサーシップの事例をご存知である先生方が、それらを研究しているノウハウを持ってすれば、キチンとビジョンが確立されたPRなり、広告なり、イベントなりの戦略が生まれてきて当然であるようにも感じるのですが・・・。

企業スポーツは、そこで活動する選手たちの生活の中での競技生活を保障する環境を作り出しており、大学で活躍した有望な選手たちは、そこで選手生活を続けていくために入社していくわけです。しかし、大学は、最高学府であり、教育機関です。そして、そこでスポーツ活動を行っている選手たちを、育てていく義務を負っているのだと思います。「広告塔とすることの違和感が薄れてきている」、というのであれば、大学の選手たちは、大学に所属するプロ選手なのでしょうか?。大学に求められることは、よりよい練習環境を実現させて、より素晴らしい選手を育てることで、結果として、オリンピック選手が生まれたとしたならば、それは、大学の指導力だったり、練習環境の素晴らしさを誇るべきではないかと思います。一過性で選手にスポットライトを当てるのではなく、大学の持つリソースの素晴らしさを訴求することが、最高のPR戦略になるような気がするのです。

posted by umekichihouse |06:09 | 日頃のあれこれ | コメント(0) | トラックバック(0)
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