2009年03月13日
スポーツイベントにおける旅行代理店との付き合い方と専門機能の活かし方
JTBやknt!などの大手旅行会社には、インパウンド(Inbound)、つまり外国人を迎え入れて行う国際的にイベントやコンベンションなどの事業に関わる、宿泊および輸送の運営機能に対応していくための専門部署が設けられています。私も、何度か、こうした部署の方々の専門的な業務に助けられた経験がありますが、彼らの持つ専門性とは、ツアーや団体旅行の添乗サービスやガイドなどという、従来の旅行会社からイメージする業務のものとは違います。もちろん、大会の公式ホテルにおける選手や役員、関係者などの宿泊を手配したり、バスなどの車輌を手配することも含まれますが、これらはほんの一端に過ぎず、基本的には、大会などの運営業務を司る一員として、大会の運営機能のひとつとして働くことが業務の柱となります。具体的に言うと、スポーツイベントで、選手やチームの輸送のための大型バスを手配しますが、そのバスの運行スケジュールや、バスの使い方に至るまでの管理も業務として必要となります。どちらかというと、その管理業務こそが、イベント運営の際には需要になります。大会全体のスケジュールの把握や、時には、スポーツ競技そのものの知識や特性を理解していないと、対応ができない場合も出てきます。当然のことながら、大会運営で必要とされるさまざまな運営機能との連携が、さまざまに生じてきますので、イベント運営に関る知識がなければ、連携する業務担当者との会話すらできないことになります。 ある地方都市での国際スポーツ競技大会の時のことをご紹介します。大会の宿泊や輸送を担当した旅行会社は、大手の地方支店だったのですが、選手や関係者用の宿泊手配をしたまでは良かったものの、彼らの食事の用意として、すべて一律でのクーポン券の配布で対応しようとしたのです。ツアー客や団体客にはこれで十分でしょう。しかし、国際大会の場合、特に選手の食事は、体調管理や栄養学的な面で、気を使うべきもので、国際競技連盟などの主催団体によっては、食事のメニューを指定したり、事前にチェックをする場合が当たり前にあります。また、国によっては、宗教上の都合から、食べられない食材もあり、朝食にアジの干物が出たら、単なるジョークになってしまいそうです。水分補給のためのドリンク類の用意も、内容によっては含有成分などに留意する必要があります。ドーピングには抵触しないでしょうが、選手やチーム帯同のドクターなどの方が神経質に考えている場合もあります。ほんの一例ですが、これだけでも、ホテル運営を担当する専門スタッフとしては落第です。 また、大会運営専用にチャーターしたバスの運行においても、ただ時間通りに運行すれば済む話しではなく、発着場所、運行経路、渋滞時の回避策、セキュリティの必要性、積み込むべき荷物や備品の確認、競技会場のおける選手やチーム用車輌の進入動線などなど・・・、車一台の運用に関してだけでも、大会運営の生命線を握る場合もあり、連絡網を含めた管理体制は、非常に詳細な計画立案が求められます。 更には、アタッシェという、選手やチーム、審判などの競技役員、VIPなどに随行して、移動や各種サービスを請け負う専門スタッフの派遣を担うこともあります。アタッシェには、通訳としての語学力はもちろんですが、本業たるツアーコンダクターとしてのサービスノウハウ、大会運営に必要な情報のやり取りと集約、そしてホテルや競技会場の中での案内や補助業務に至るまでの、さまざまな作業が要求されます。大会運営を管理する立場からすると、アタッシェという存在は、選手やチーム、競技役員やVIPとを繋ぐ重要なコミュニケーションラインであり、まさに猫に付ける鈴のような存在です。彼らからの連絡ひとつで、競技会場内の運営体制を動かす必要にも迫られるのです。旅行会社は、ツアコンを含めて人材派遣的なサービスも請け負うこともあるようですが、まさにその機能が、イベント運営の現場では活かされます。 また、VIPなどの要人、来賓のためのプロトコール業務が必要なケースも大きな大会ではありますが、それは、競技会場のみならず、本部機能を設置するホテルはもちろんのこと、空港や鉄道の駅の中にも必要となることがあります。空港で到着したVIPを、事前手配で用意した車輌に乗せ、ホテルに送り届け、そして今度はホテル内のプロトコール機能によりサービスを提供する。ここにも、ホテル運営、宿泊対応、車輌手配などの旅行会社としての業務機能が活かされるため、プロトコール業務の担当スタッフとは、緊密な連携が必要となります。もちろん、ホテル側の協力により、ホテル内における大会専用のセキュリティ体制を最小限にしていくことも、担当旅行会社の役割ですし、大会の運営機能を設置する上でも、医療対応の体制やゲストサービス、インフォメーションサービスなど、ホテル独自の運営機能とは別の大会専用の運営機能をキチンと整備することも重要な役割になります。ホテル任せ、ということは通用しないばかりか、大会に関係のない一般の客もいることで、そこでのバランスを上手く調整しながら、大会運営に十分な協力を得られるようにしていくが、彼らのノウハウとしてなければならないのです。 単純に考えて、ホテルの宿泊を手配するから、それは旅行会社に任せて・・・、などと考えて大会の運営計画を立案していくことは、その旅行会社のイベント運営に対する力量の見極めの欠落と、彼らのリソースをうまく活用していない証拠になります。イベント全体の運営計画を、十分に理解できるだけの経験値、もしくは理解する能力が低ければ、それは、大会運営を担う本部的な組織そのものが、大きな負担を抱えることを覚悟しておかなければなりません。そして、担当旅行会社には、人的対応能力に優れたスタッフがいますから、彼らを適材適所でうまく活用しながら、スタッフ配置のバランスを考えていくことも、念頭に置くべきでしょう。決して、会社の規模の大小ではありません。イベント運営に対する考え方や知識、そして優れた人材の有無で、良いパートナーを選びましょう。
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posted by umekichihouse |04:56 |
イベントオペレーション |
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スポーツイベントにおける旅行代理店との付き合い方と専門機能の活かし方
コメント投稿者ID :
インバウンド部門があるのは旅行会社ですよ。
旅行代理店という言い方は現在は中小のホールセラーをもっていない会社を指します。
まあそれはいいとして適材適所という考え方なんでしょうが、大会の一部分だけ依頼をされるクライアントがおられます。
それはそれでいいのですが、そのため責任の所在が不明確になってます。
さらに、不具合がおきてからその処理を頼んできます。
情報自体を旅行会社におろしてないので対応できるわけがありません。
これらがまだまだ大会運営がビジネスとして成熟していないと言えるでしょう。
最後に、筆者が言われている期待は正しいと思いますが、それに見合うだけの費用負担もお願いします。
宿泊代や交通費だけでそれを求められるのは本末転倒です。
ハンドリングに見合うだけの負担に関しても述べて欲しいです。
posted by johnny | 2009-03-14 00:07
スポーツイベントにおける旅行代理店との付き合い方と専門機能の活かし方
コメント投稿者ID :
初めまして。イベントを運営する側の考え方として重要な指摘が多いので非常に参考になります。また、その方法論は日常における様々な仕事にも使える部分が多数あるので、このようなブログは長く続けていただけるとありがたいです。マネージメントも最近、大学教育でようやく学部として設立されるようになってきましたが、学問的な蓄積や整理ということが今後一層求められると思います。ぜひともぶんきちさんの体験や考えを、体系的に整理しまとめていただけたらと思います。
posted by sorami | 2009-03-13 07:37
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