2009年01月31日

「JBL + bjリーグ = ???」その3 ~“トップレベル・スポーツクラブ”って何?

日本国内の9つのスポーツリーグによる日本トップリーグ連携機構(JTL)という組織があります。2005年5月24日に、日本における団体ボール競技、8競技9リーグのトップリーグが連携し、互いのリーグの強化活動の充実並びに運営の活性化を図っていくことを目的に設立された組織です(JTLホームページより)。2006年からは、事業推進委員会を発足させ、重点事業として「国際競技力向上」、「リーグ活性化」、「総合型地域スポーツクラブ支援」、「選手キャリア支援」、「toto販売支援」の5本柱を掲げ、9つのリーグ共通の課題解決や新しい施策の策定を推し進めています。ファンの目から見ると、個々のリーグの存在しか表には見えませんので、このJTLの存在はあまりクローズアップされることはありませんが、このJTLが、国際舞台での競争力を高めるための施策として、それぞれのスポーツ競技におけるトップアスリートの活動基盤であるクラブ組織の経営にもメスを入れ始めました。

大学やスポーツ団体、更には各分野の専門家など、10名の有識者と2名のスタッフで構成される「トップアスリート活動基盤整備事業」プロジェクトと銘打たれた組織は、トップアスリートの活動基盤であるチームやクラブを“トップレベル・スポーツクラブ”と呼び、それらチームやクラブ組織の経営安定という側面から、対象とする9リーグに所属するチームやクラブに対して、アドバイスや情報提供を行っていく、というものです。対象となっているチームやクラブは、7つのリーグから10のチームやクラブが選ばれており、中には、女子バスケットボールのJOMOサンフラワーズなどの日本のトップクラスのチームも含まれています。大半は、企業チームからクラブチームへと発展解消し生まれ変わったクラブが多いようですが、男子ホッケークラブの名古屋フラーテルのように、NPO法人格を取得し、総合型地域スポーツクラブとして活動しているクラブもあります。新興のクラブ組織もありますが、企業チームから、その存続を模索してクラブ組織として生まれ変わって活動しているケースが多いようです。

経済不況の影響により、幾多の名門スポーツチームが、その歴史にピリオドを打ってきた悲しい歴史は、いま、再び繰り返されようとしています。過去にも、特に1998年から2002年までの5年間には、220もの企業チームが廃部または休部に追い込まれました。アイスホッケーの西武、アメリカンフットボールのオンワードなどの完全な廃部や休部以外にも、予算の削減や規模の縮小などを含めると、かなりの数の企業チームが、世界的経済不況の影響にさらされています。そして、今後ますますその影響は強くなっていく可能性が高いものと見られています。西武やオンワードなどは、新たな支援先や受け皿となる企業を模索しているようですが、廃部や休部に追い込まれた企業チームの中には、やはり、クラブ組織として独自の運営による生き残りを模索するケースも出てくるでしょう。また、先の名古屋フラーテルのように、総合型地域スポーツクラブとしての存続形態を見出す場合もあるでしょうし、既存の総合型地域スポーツクラブとの連携や協働を模索するケースも出てくるかもしれません。組織はあっても、指導者や指導するノウハウがない総合型地域スポーツクラブもまだまだあるようなので、さまざまなスポーツの活動環境を作ることが理想であるそうしたクラブ形態での生き残りは、ある意味で良い選択肢かもしれません。ただし、大きな課題も立ちはだかります。活動財源の確保です。企業から給与、または報酬を貰える企業スポーツという環境の中では、全くと言っていいほど障害になっていなかったものが、いまや、単なる努力だけでは解決できない課題が、そこにはあるのです。

「トップアスリート活動基盤整備事業」プロジェクトは、そうした環境にあるクラブや、やがてそうした課題を抱える可能性のあるクラブなどにとっては、有意義なものであるに違いありませんし、そのプロジェクトの目指す方針も理解できます。しかし、どんなに地域と密着して、地域のための活動を通して支援者が増えたとしても、結局のところ、それだけで選手たちが食べていけるだけの財源を確保で来ている状況にはないのです。プロだろうが、アマチュアだろうが、リーグの中での試合を通して得られる入場料収入や、試合の価値を基盤として得られるスポンサーからの協賛金など、リーグも球団もプロとして活動しているbjリーグですら、大半の球団は満足に得られている状態にまでなっていない、と聞きます。スポーツの普及という側面では、クラブ組織の拡大は非常に有意義です。しかし、経営のためにスクールやセミナーなどの事業展開に時間を費やさなければならない環境の中で、“トップアスリート・スポーツクラブ”としての真意は生まれてくるのかどうか、私は個人的に疑問です。もちろん、リーグとしての収益構造を確立しなければ、どんなに個々クラブが一生懸命やっても、具体的な財源は生まれません。

JBLやbjリーグの話題とは離れてしまったようですが、実は、この2つのリーグの在り方を模索して行く上でも、これからの時代のスポーツの底辺を支えるだろうスポーツクラブの存在のあり方を考えることは、重要だと考えています。新しいプロリーグを創設しても、企業チームやクラブチームの形態で存続していこうとする組織もあるかもしれませんし、それら組織の受け皿を、下部組織としてキチンと整備することも、重要な命題になるからです。そして、その下部組織の経営を支える具体的な施策も、理想論を横に置いておいたところで、キチンと論議されなければなりません。そこから、学校の部活動を基盤とした育成から、クラブを基盤とした育成への変革が生まれるのです。

Jリーグやbjリーグのように、毎年のように全国各地に新しいクラブが誕生しています。地域に根ざして、地域に愛されるクラブになろう。しかし、普及だけやっていても強くはなれません。普及だけ進んでも、それだけで食べてはいけません。クラブ経営の前に、リーグの経営システムを整備、構築することの方が、先決であるように感じます。

posted by umekichihouse |05:54 | バスケットボール | コメント(0) | トラックバック(0)
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