2009年01月29日

「JBL + bjリーグ = ???」その1 ~“GO FOR OLYMPIC !”

お正月恒例の全日本総合バスケットボール選手権大会、通称オールジャパン。今年は国立代々木競技場第一体育館を主会場として、男子はアイシンの連覇、女子はJOMOが5年ぶりの優勝を飾って幕を閉じました。そして、その代々木第一体育館の3F観客席前方のフェンスには、いままで見たことのないメッセージバナーが掲出されていました。“GO FOR OLYMPIC ! オリンピック出場へのひたむきな努力を”。選手やチームを応援するための横断幕に混じって掲出されていた、そのバナーに記載されていたメッセージは、1976年のモントリオール五輪以来、オリンピック出場を果たせないでいる男子にとって、まさに悲願以外の何ものでもなく、そのメッセージを一般のファンの前に堂々と掲出した日本バスケットボール協会、JBAの並々ならぬ決意表明であったとも感じられました。オバマ大統領就任に際しての新聞見出しに准えれば、まさに、“JBA TAKES CHARGE”ですね。

以前このブログでも書かせていただきましたが、オリンピックへの出場とは、競技人口や普及度などという数値以前に、スポーツ競技の世間一般の評価基準として、かなり重いものです。参加することに云々・・・、とか、4年に一度のスポーツの祭典、とか言われる表面的な形容ではなく、オリンピックへの出場を果たせないスポーツ競技団体にとっては、そのスポーツの普及という側面からも、オリンピックへの出場を勝ち取ることは、すべてに勝る命題なのです。それは、オリンピック期間中のみならず、普段のメディア報道の取り扱い方にも露骨に表れます。世界で戦う力の証明、その最も象徴的な指標が、オリンピックへの出場ということなのです。

全日本総合バスケットボール選手権の男子決勝のテレビ中継の中で、NHKのアナウンサーと中継解説を務めていた日本バスケットボール協会男子強化部長である倉石氏は、北京五輪でのテレビ中継現場での様子を振り返って、「あの場に日本がいないことは本当に残念であり、寂しかった」、とコメントしていました。“GO FOR OLYMPIC !”のバナーを前にしたその言葉のニュアンスは、いかにも印象的に聞こえたのは私だけでしょうか?。そして、その倉石氏を交えて、去る21日、日本バスケットボール協会は、平成21年度の男女強化計画の方針を発表しました。記者会見という形式でこの時期に発表するのも異例なことだと思いますが、北京五輪の予選であった2007年のアジア選手権以降、特に男子は、1度もフル代表の招集機会はなく、約1年半もの間、全く日本代表の有志を見る機会がないままに過ぎていた中での、突然の記者会見の開催は、先の“GO FOR OLYMPIC !”というメッセージを、単なるお題目に終わらせない、という、まさに決意表明だったのかもしれません。

女子のU-18でのアジア制覇などと比べて、アンダーエイジ世代でもなかなか結果を残せていない男子は、ジェリコ・パブリセビッチ監督に率いられて2006年世界選手権に向けて強化を進めていた当時にも課題とされていた、世代を超えた一貫した強化システムの具体化に着手するようです。男子日本代表監督には、アメリカから、長年大学バスケット界で手腕を振るってきたデビット・ホッブス氏を招聘。単なるチーム強化ということだけではなく、選手個々の能力そのものから強化の対象とし、育成という視点にも重きを置いたプランが練られていくようです。更に、代表のカテゴリーも、世界の舞台を目指す集団としての形を明確にするため、国際バスケットボール連盟による世界大会基準の世代カテゴリーに再編成し、U-18、そして新設のU-16というアンダーエイジチームを、トップチームとなる日本代表の下に位置づけて、中学生世代からの一貫強化を目指すようです。特徴的なのは、過去にヤングメンと呼ばれていたU-21世代や、ユニバーシアード代表などの大学生世代のカテゴリーを設けず、日本代表の、謂わば“Bチーム”としての位置付けを取っていることでしょう。世界での潮流は、20歳前後の世代は、既にプロ選手として世界の舞台の一線で活躍する世代になっており、この辺でも世界基準に対応した競争力を養おうとする意図が感じられます。そして、“JBA強化指定選手”のような選手「個」の強化を明確に謳った新しい強化計画には、とにもかくにも世界の舞台に立つためのレールを敷いていこうとする強い意志も汲み取れます。まさに、“GO FOR OLYMPIC !”を具体化するための施策なのでしょう。

しかし、選手「個」の強化や、アンダーエイジ世代を含めた一貫強化の体制を、単なる絵空事ではなく、より実践的に進めていくためには、選手が所属する学校、企業、球団というさまざまな組織との連携こそがカギになるように思います。日本の教育システムや、部活動における勝利至上主義のような環境の中にあって、強い日本を作るという意図が、どこまで末端まで浸透して、その協力体制が作られるかが、日本バスケットボール協会に課せられた大きな課題とも言えるのではないでしょうか?。それは、普及という視点よりも、育成や強化といういくつかの犠牲を強いることにもなるスポーツ独特のプログラムに起因します。日常的に活動している所属組織の立場と、日本代表という立場との整合性、スケジュールのとり方、国際的カレンダーと日本的カレンダーとの不具合、などなど・・・。どのスポーツにも見られるように、日本代表の強化にまつわるこうした課題は、選手個々の所属組織との連携なくして成り立ちません。こうした面から考えると、日本のバスケットボール界に存在する2つのリーグの行く末は、非常に重要なテーマとなってきます。しかし、経済的利益の追求や、球団経営という実情、そして企業チームとしての在り方など、プロ化して15年以上の歳月を経ているサッカーの場合と大きく異なり、バスケットボールには、単なる机上のプランや戦略だけでは片付けられない、まさに水と油の思惑がさまざまに存在しています。

リーグの発展こそが代表を強くしていく、という理想には程遠い、難解な課題が2つのリーグの実情でもあります。
umekichihouse-68073.jpg


posted by umekichihouse |06:11 | バスケットボール | コメント(0) | トラックバック(0)
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