2009年01月20日

「スポーツ専門メディアの価値と活かし方」その2 ~競技団体、リーグとのパートナーシップ

スポーツマーケティングでは、基本的に、スポーツそのものをマーケティングしていく、つまり、スポーツの市場性や経済価値を創造していこうとするマーケティングアプローチと、スポーツというコンテンツを利用してマーケティングしていく、つまり、スポーツの持つ特性や価値を利用してビジネスを創造していこうとかビジネスを拡大していこうとするマーケティングアプローチがあります。あくまでも、原則論で、それら2つのアプローチが一体となってアプローチが試みられる場合もありますし、一概には言えませんが、スポーツマーケティングの根本にある考え方として一般的に認識されています。

前回述べた、スカパー!などの衛星放送事業での新規契約者獲得のために、大きな放送権契約を行って、そのスポーツコンテンツの価値を利用することなどは、まさに、スポーツを利用したビジネス創造のパターンと言えるでしょう。ただ一方で、CS放送などでは、数多くのスポーツ専門チャンネルが登場し、普段地上波では見ることの出来ないようなスポーツや、日常的に世界のスポーツを、しかもライブでも見ることが出来るようになったため、スポーツそのものの市場創造に大いに貢献していることも確かです。しかし、スカパー!の契約者数を見る限りにおいて、世界のさまざまなスポーツの視聴機会は増えたり、Jリーグが全試合視聴できる機会が設けられるようになったこと以前に、そこにいる視聴者があまりにも少なく、本当に日本中のスポーツファンが満足できる環境にあるのか、というと、まだまだ創生期にしかすぎないように感じます。普及を目的として考えた場合、その先にいる潜在的な視聴者の数があまりにも限定されたものにしか過ぎないからです。

どんなに大規模な世界的なスポーツイベントや大会の放送権契約を獲得しても、それはあくまでも、放送事業者のビジネス目的以外何ものでもなく、逆に、視聴契約のない地上波放送のみしかスポーツを楽しむ機会がない多くのファンの立場に立つと、ある意味で、視聴機会が奪われている、というのは乱暴でしょうか?。

もし、Jリーグが、従来の放送権料を大幅に下げても、NHKなどとの契約を優先するスタンスを取っていれば、少なくとも、受信契約をしている世帯だけでも1,300万世帯を超えるNHK衛星放送での定期的な中継放送により、スカパー!受信契約世帯の数倍以上のファンが視聴機会を得られ続けていたのではないでしょうか?。それ以上にもっと多くの試合の中継を見たければ、スカパー!での中継を見る、という少ないニーズにも対応するようなテレビ中継環境を作ることになり、専門チャンネルと一般放送のそれぞれの利点を活かした共存体制が続いていたように思います。長期的な視野でのファン作りや顧客満足、ということではなく、やはり、目先の金を優先したのかどうか?。まだまだカバーする視聴規模が小さいCS放送やスポーツ専門チャンネルとの契約と、幅広く数多くの視聴者をカバーする地上波や一般チャンネルとしてのBS放送との契約を、一律で天秤にかけて放送契約をすること自体、普及の足枷になるような気がするのです。

バスケットボールの競技人口は、1995年から1996年にかけて、100万人を超える規模になっていました。現在のように個人登録制度にはなっていませんので、いまの数値との比較は正確ではないとは思いますが、それでも100万人という数は大きく、確かに、バスケットボールというスポーツは、ファッションとしても人気を博していました。人気漫画のスラムダンクやNBAの人気拡大もあり、バスケットボールの専門誌も、一般誌並みの発行部数を記録していたとも聞いています。スポーツの人気のみならず、スポーツをやっている人たちの規模を示すバロメーターとしても、スポーツ専門誌の市場規模は、格好の指標となります。それだけに、スポーツ専門誌は、スポーツファンや競技者たちを、確実にカバーしている特長的なメディアです。しかし、より幅広く潜在的な普及の種を植えて、芽を出させていくための施策としては、より幅広いニーズを捉えた情報を発信している専門性に捉われない一般メディアに注目してもらえるように、絶えず努力していく必要があります。スポーツというコンテンツを利用してマーケティングしていく、つまり、スポーツの持つ特性や価値を利用してビジネスを創造していける可能性を、それぞれのスポーツは、一般メディアにも理解してもらえる環境作ることが求められます。競技団体にも、リーグにも、そしてそこに加盟するチームにも、更には、そこで活躍する多くの選手たちにも・・・。

雑誌においては数万と数十万、テレビでは数百万と数千万と、スポーツを専門的に情報発信するメディアと、一般的な数多くの情報の中のひとつとしてスポーツを扱う一般メディアは、規模の論理からすると桁が違うものになります。しかし、メディアの力は、規模だけではなく、カバーする読者や視聴者が誰なのか、ということも重要な要素であると思います。スポーツ専門メディアが、コアのスポーツファンやスポーツ競技者に支持されていることは、そこで生み出される情報は、より専門性の高い情報であり、その価値を一般メディアにも利用してもらうようなアプローチが可能になるようにも思うのです。

そこから考えると、従来以上に、スポーツ専門メディアと競技団体、リーグなどのスポーツ関連団体との連携は、単なる業務的な契約や権利契約の枠を超えて、もっと密接なビジネスパートナーとなるべきだとも思います。メディアだから公平中立であるべき、とか、報道の自由の制約が生まれる、とかいう危惧もありますが、スポーツをより大きく普及し、やがては長期に渡っての強化の環境を作り出していくために、スポーツ専門メディアと競技団体やリーグは、スポーツの発展という共通の命題の下に、新しい協力関係を模索してもいいように思います。

posted by umekichihouse |07:22 | メディアとスポーツ | コメント(1) | トラックバック(0)
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「スポーツ専門メディアの価値と活かし方」その2 ~競技団体、リーグとのパートナーシップ

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僕も同意ですが、メディア側の思惑も当然あって、そこが旧態依然としているのが問題ではないでしょうか。
以前にBSでMotoGPの中継をやっており、その放映権料は1シーズンで一億5000万円ほどだったようです。
それがメジャーリーグ中継の放映権料増額に伴い、motoGPは中継が止められてしまいました。
このケースで言うならば、巨人戦一試合分のお金を回せばすむ問題です。
NHKのメジャー競技の放映権料は総額で120億円弱ですが、内プロ野球とメジャーで60億円にもなります。

2004年度(平成16年度)NHK スポーツ放送権料一覧表
(2005年8月4日発売のFRIDAY 8/19・26合併号)

プロ野球  35億6650万円
大相撲   31億5000万円
大リーグ  24億9480万円
Jリーグ   19億9500万円
他       3億4940万円
合計    115億5570万円

Jリーグの放映権料半減は、理由としてはNHKの受信料収入減等の経営環境を絡めた理由だったのですが
必ずしもそれだけとは思えず、Jリーグ側の努力も限界があるのが事実だと思うのです。
(僕自身はNHKはメジャー競技ではなく、幅広い競技を扱うのが本来のスタンスだと考えています)
中継環境の内実として言うと、例えば地域ごとの地元クラブ試合などの差し替え
地域ごとで試合数を流動的に扱うと言うことで、特にBSは週3~4から1~2程度と本数は減りましたが
中継事情自体は割合にきめ細やかに配慮されていると思っています。

まだまだ貧弱な日本スポーツ界でリーディングカンパニー的な立場にあることや
僕としても、Jリーグはもっとリーグとしてメディアへの働きかけを図るべきだと考えます。
メディアの側ももう少しフォローがあってよいと思うのですが、問題はそこだと思うのです。
Jリーグにしてもbjリーグにしても、まだまだ脆弱とは言え、各地に根をおろし始めているのですが
メディア側にそれを評価する体制が整っていないと思うのです。

これは元スポーツ新聞記者の人の本で読んだのですが
野球のキャンプ情報は球団側が交通費宿泊費等の一切を記者に出してくれるそうです。
記者は記者で、会社のほうからそれらの経費を貰っている訳です。
球団側としては、記者の懐柔やキャンプ報道と言うキャンペーンの代価と見ているのですね。

ビジネスではなく、旧態依然の興行としてのスポーツ報道の視点で
記事としてのバリューよりも、スポーツメディア内での派閥だの政治だので評価している現状ではやはり限界があると思うのです。
現実問題として、Jリーグはある程度育ってきましたが最後の大きな壁の部分が
マスコミとの関係だと思うのですが、その改善にはまだまだ時間がかかると思われます。
そう認識した場合に、普及であれ露出の維持・拡大であれ交渉事でリーグ運営の難しい判断を迫られる場合
着実で現実的な線で妥協するのは、決して間違った戦略ではないと思うのです。

posted by とけい | 2009-07-30 00:19

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