2009年01月16日
ドイツのスポーツ環境に学ぶもの、それはその底辺にこそある
ドイツのサッカーリーグは、2008-09シーズンから制度改革され、トップのブンデスリーガ、その下のブンデスリーガ2、そのまた下に3部にあたる旧レギオナルリーガが3rdリーガとして再編成されています。また、4部として新たに3リーグ構成の新しいレギオナルリーガがこれまた再編成されています。チーム構成は、ブンデスリーガとブンデスリーガ2がそれぞれ18チーム。新たに編成された3rdリーガは20チームとなっています。これら3部までがプロリーグとされており、更にその下に、アマチュアリーグとして、国内を細分化された地域毎のリーグが10部あります。ユーリッヒで活躍中の鈴木さんの所属する「SC Juelich 1910」は8部で、セカンドチームも10部で凌ぎを削っています。トップには世界的なプロリーグがあり、その底辺には2万数千もの膨大な数のアマチュアクラブがあるわけです。まさに巨大なピラミッドの土台のように、ドイツの国中にクラブは散在しているのです。 リーグを統括しているのは、ブンデスリーガとブンデスリーガ2はDFL、ドイツサッカーリーグ機構が、3rdリーガはDFB、ドイツサッカー連盟が直接管理しています。また、これらプロリーグは、健全なクラブ経営を維持していくために、多額な借金をすることや、破格の移籍金を支払い選手を獲得することなどが厳しく制限されており、世界の有名選手を獲得することが難しい状況にはあるものの、観客動員数は、世界トップクラスの規模を誇っており、クラブ経営の、まさにお手本と言えるでしょう。 そして、お手本ということで言えば、日本からドイツのクラブ事情を視察する先は、往々にしてこうしたトップクラブが多いようです。しかし、前回述べたように、また、鈴木さんの感じた日本の研究者や学者先生のドイツ信奉的な発言と実情との間に感じた違和感の元は、ここにあるように思います。特に大都市にあるクラブの環境を見れば、施設はもちろん、運営規模や活動規模に至るすべてが理想郷のように見えるかもしれません。しかし、たった56クラブのプロリーグの下には、2万数千ものアマチュアクラブがドイツ中に広がっており、この膨大な底辺こそ、ドイツのスポーツ環境を支えている源なのです。鈴木さんが強調して言うことは、地域に根ざし、地域に愛される存在であるクラブの姿を学びたければ、こうした地方のアマチュアクラブの日常的な姿を見なければ、何も参考にならない、ということなのです。ちなみに、4部以下のアマチュアリーグは、ドイツ各地の地域に分散して構成されていますので、その統括も各州や地区のサッカー連盟が担っています。クラブへの補助金なども、こうした統括組織からそれぞれのクラブに配分されています。 アマチュアクラブとは言え、引き抜きや移籍が頻繁に行われていることは前回までにも述べましたが、ここ数年、日本からも多くの挑戦者が、これらドイツの底辺に挑んでいるようですね。Numberなどの雑誌や書籍で彼らの奮闘記も読みましたが、鈴木さんからお聞きした通り、ドイツの小さな町でのサッカーライフは、サッカーの経験が薄い私でも、何か憧れのような気持ちが沸いてくるほど、その情景が目に浮かぶようでした。小学生の頃、スポーツ少年団で、私もサッカーをやっており、県大会で優勝もしたのですが、結果的に中学からバスケットボールに走ってしまい、サッカーでこうした理想の地へ赴く機会など、全くその可能性を失ってしまいました。先の挑戦者たちのストーリーを読むと、何か損をしたような気になるのも、ドイツの環境の素晴らしさと大きさのせいかもしれません。 ほんの一握りのプロリーグの存在が、Jリーグの目指す姿とした理想のリーグの在り方なのでしょうか?。百年構想を考える限り、それは全く違うような気がします。もちろん、トップクラブが運営するクラブも、それぞれの町のシンボルであり、それぞれの町の市民の“日常”であることには変わりないでしょう。しかし、日本でいまやろうとしている総合型地域スポーツクラブの創設、そしてその拡充、更に、現状の各Jクラブの地域に密着したさまざまなスポーツの普及活動は、もっと小さな町でも町のシンボルとして生き続けている数多くのクラブの姿にこそ、より多く学ぶことがあるように思います。そして、ボランティアで支えられているドイツの場合に、なかなか相容れない日本の社会のシステム、教育環境、そしてスポーツそのものに対する考え方などを、全く無視してドイツの良いところばかり取り入れようとしても、それは制度破綻しかねない事態になることは、比較すればするほど明確に見えてくるような気がします。日本の実情を踏まえて、ドイツの何を学べばよいのか。それがスポーツビジネスを研究する学者先生や研究者の方々に求められる課題であるようにも思います。 人口僅か3万人の小さな町にあり、100年もの歴史を誇る「SC Juelich 1910」。そこでたった一人の日本人スタッフとして孤軍奮闘している鈴木謙太朗さんのお話を聞く機会が頂けたことによって、海外のクラブ事情に疎い私にも、スポーツクラブというものに対する新しい見方や考え方ができるようになった気がしています。物事の本質は、本当にその中に飛び込まなければ、何も得られないのです。そのことも実感しました。鈴木さんは、ビザの関係で、3月一杯で帰国する予定ということでしたが、ドイツで得た経験を、ぜひ日本のどこかで、スポーツの発展に役立ててほしいと思います。(鈴木さんのメールアドレスは kentaro.suzuki@scjuelich.de です) スポーツを仕事にしたいという大学生や専門学校の学生さんが、最近では数多くいるようですが、スポーツビジネスという職業はなく、現実に必要なことは、どんな企業でもやっている仕事の積み重ねとノウハウやスキルを会得することにあると思います。そこで得た専門知識や経験は、スポーツをより発展させていくための力になる、ということです。何事も、その本質や根本に何があるのかを知り、理解し、体感していくことが、本当の力になるのですね。
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posted by umekichihouse |05:02 |
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百年構想。ドイツと日本で反対のアプローチ 【なせばなる。。。】
Jリーグがドイツのスポーツクラブをモデルとしようとしているのは、有名な話であるが、今日ある本を読んでいて日本とドイツでは、全く反対の切り口から進んでいることに気づいた。 ドイツのサッカーの歴史を紐解くと、ドイツのプロリーグであるブンデス・リーガがはじまった..
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