2008年11月16日

スポーツイベントと“ママさんパワー”

前回まで、ママさんスポーツについて取り上げましたが、今回は、そのママさんたちの、スポーツイベントにおける活躍についてご紹介したいと思います。

2001年にさいたまスーパーアリーナを舞台に開催された「第3回ヤングメン世界男子バスケットボール選手権」。開催国の日本を含む12カ国が参加して行われました。この大会は、2006年に行われたFIBA世界選手権の開催決定と同時にその開催がFIBA、国際バスケットボール連盟から打診され行われた経緯がありますが、2006年へ向けての前哨戦という意味合いをこめて、大会の運営には相当の時間を掛けていたと記憶しています。そして、12チームが1日6試合行うというハードなスケジュールの中で、大会運営に携わっていた役員の方々やスタッフ、そしてボランティアの人たちも、最後には疲労困憊だったという記憶が鮮明にあります。現在、JBLに復帰した田臥選手など、高校時代にも名を馳せた選手たちが多数いたお蔭で、満員とはいかないまでも、そこそこの観客も集まり、地元埼玉県としても良い大会であったと認めてくれていました。

この大会の裏方として、最も素晴らしい働きをしてくれたのが、埼玉県の家庭婦人バスケットボール連盟のママさんたちなのです。家庭婦人バスケットボールの組織を日本で最初に立ち上げたのは、なんと埼玉県であったということで、埼玉のママさんたちのパワーは本物だったのですね。スポーツイベントでは、競技に直接関わるスタッフや役員の姿のみに目が行きがちですが、その舞台裏では、決してキレイごとだけでは済まされない仕事も多々あります。特に、清掃業務や各諸室などの整備業務は、大変な労働力を強いられるものです。

ヤングメン大会の時、埼玉のママさんたちは、1日6試合ある中での、チームのロッカールームの清掃から、チームベンチへのドリンクやタオルの補給、そしてその配置や整備に至る仕事を、ほぼ専任でやってくれていました。試合の始まる前のチーム入場までに、各ベンチには、500mlのペットボルトに入ったスポーツドリンクとミネラルウォーターを3~4ケース、そしてタオルを12枚運び入れ、ドリンクはドブ漬けの中に氷を補給しながら入れ、タオルは各ベンチのイスに掛けていく。まずはその作業が、1日6回繰り返されます。更に、前の試合が終わってチームがホテルへ戻った後のロッカールームを、次のチームが使用するまでの間、それも僅か20分程度の間にキレイに清掃して必要な備品を再配置しなければなりません。正直言って、女子の大会の場合は、それほどロッカールームが汚れていることはありません。しかし、男子の場合は、時には口では言えないほどの汚れ様なのです。特に、スポーツドリンクを撒き散らしたような時には、ベトツキが激しく、単純にモップで拭いただけではキレイにはなりません。これらをすべて時間通りに仕上げてサッと引き上げていたのが、埼玉のママさんたちでした。更に凄いのは、仕事の要領をつかむと、大会の終盤になって、作業のパターンがシステマティックになっていくのです。だいたい2人1組でひとつのロッカールームに対処するのですが、整備する順番から、汚れ具合に応じて対処の仕方を変えていくなど、さすがに家庭婦人のプロは違う、とただただ感心するばかりでした。

また、チームロッカールームでは、特に国際大会の時は、その辺に無造作に注射針などが放置されているケースもあります。ドーピングをしている分けではなくて、ハーフタイムの時にチームドクターが選手の疲労度をチェックするために、採血したりするのです。それらの医療廃棄物に直接触れることは出来ませんので、その辺の対処についても、メディカル担当の医師やスタッフに確認して、ひとつひとつ対処していく必要も、ママさんたちの仕事には要求されます。恐らく、バスケットボールを知っていて、好きで、更に大会の役に立ちたいという気持ちが、一番嫌がるだろうとされる仕事でも、一生懸命に取り組ませた原動力だと思いますが、スポーツイベントに慣れている専門のスタッフでも、ここまで見事には遂行できないものだと感じました。

バスケットボールに限らず、多くのスポーツの国際大会の現場には、ママさんスタッフも多く見かけられます。日頃、地道に大会の運営を支えていたり、普及活動を行っているママさんたちには、“支える”という観念が純粋に根付いているように感じます。損得抜きなのはもちろんです。1万人を超えるボランティアによって運営されている東京マラソンのボランティアの中にも、多くのママさんジョガーがいるようです。スタート地点から沿道、そしてゴール地点まで、ここでも多くのママさんを見かけます。地方都市で行われる国際競技大会の場では、もぎりや観客案内に至るあらゆる場所で高校生に混じって働いているママさんボランティアを多数見かけます。地域のスポーツ活動に従事しているこうしたママさんパワーは、スポーツイベントの開催においても、貴重な戦力なのです。高校生などのボランティアに対しては、彼らを指導する立場で機能してくれる場合もあります。親子ほどの年齢差であるのは我々と変わりませんが、ママさんの言うことにはキチンと従っている姿を見ると、我々が直接云々言うよりも、遥かに業務効率は上がります。ママさんの力を上手く引き出し、適材適所で活かすことも、スポーツイベントの成功のカギだと自負する一方で、スポーツ普及の原点にもなっているママさんたちの存在を、改めて見直し、注目しなおさなければならない、と感じています。

ヤングメン世界男子バスケットボール選手権が終わって、会場の撤去作業をしている時、使用した大量のタオルをママさんの方々に差し上げました。凄い量だったんですが、「大会や練習で喜んで使わせていただきます」と、いそいそと車に積み込んでくれました。さすがママさんというか、何というか・・・。本当に今でも感謝しています。

posted by umekichihouse |06:02 | イベントオペレーション | コメント(0) | トラックバック(0)
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