2008年11月10日
「欧州の現状、そして日本バスケットボールの行く末」その6 ~日本の課題はどこにあるのか②
日本バスケットボール協会は、2002年、世界で勝てるチームづくりを目標に、20年先を見据えた「JABBA変革21」という中・長期計画を発表しました。そこには、代表チームの強化だけではなく、底辺の拡大、選手の育成と強化、そして指導者の育成という骨子がありました。併せて、「エンデバー制度」を開始し、年齢層別の各世代の選手たちを、地区、都道府県、ブロック、そしてトップチームという段階で、発掘、育成、強化を推進していく取組みも始めています。約6年が経過しますが、その成果に関するテクニカルレポートなどを一般では見ることが出来ませんので、どのような状況かは把握できません。ただし、世界への挑戦、という視点では、男子に限れば、世界選手権の1次予選での奮闘はあったものの、いまだオリンピックへの出場は叶わないばかりか、アジアでの地位すらも後退しているのが現状です。それは、トップチームだけではなく、先日敗れたU-18も含めた全世代について言えることです。来年は、いよいよU-16代表が世界への挑戦を開始します。初の代表編成になりますが、2016年へ向けて期待のかかる世代ですので、ぜひ世界へのキップを死守して欲しいと思います。 「エンデバー制度」は、各地区、各都道府県、各ブロック、そしてナショナルチーム候補合宿と、システムとしての絵面はありますが、実態は、短期間の合同練習、または合宿の積み重ねであり、そこには実践機会があまりありません。実践機会とは、真剣勝負としての対外試合などを指します。日本では、中学や高校では、圧倒的に年間の試合数が限られています。多くはトーナメント戦で行われているため、一部の強豪チーム以外は、春と秋などに年間でも数試合しか行えないのが現状でしょう。全国に進出しているチームでも、例えば、高校では、インターハイ、国体、そしてウインターカップ(高校選抜大会)がありますが、そのすべてに出場したとしても、都道府県予選を含めて年間で30~35試合程度ではないでしょうか?。しかし、あくまでもこれは、ほんの一部の強豪チームだけを例に挙げたもので、実際は、その半分以下のチームがほとんどだと思います。日常の練習で得られるものも多々ありますが、スポーツ競技の強化には、やはり実践から学ぶことの方がはるかに大きいと思います。私は強化や指導の現場の人間ではありませんが、私的な立場で客観的に見て、強化を進めようとする環境を考えると、圧倒的に公式戦としての試合数が不足している気がします。このことは、サッカーでも問われ、その解決策として、日本サッカー協会(JFA)では、「JFAプリンスリーグU-18」を2003年に創設しています。 プリンスリーグは、全国9つのブロックに各リーグを作り、そこで春から夏にかけての3ヶ月間戦います。各ブロック毎にリーグの構成規模はマチマチですが、関東と九州は24チーム、最も少ないブロックは北海道と四国の10チームとなっています。また、関東での総試合数は、103試合、九州では132試合にも及びます。また、出場できるのは、第2種加盟あるいは準加盟という参加条件を満たせば原則的にフリーに参加できるので、高校のサッカー部やクラブのユースチームが自由に参加できるのです。リーグ戦ですので、総当たり。よって、関東では、24チームを2部に分け、更に2部をAとBの2つのグループに分けています。1部は12チームで、1チーム11試合の勝ち点により全国への出場権を争います。今年は、高校チームが6、クラブチームが6と、半々の構成ですが、高校サッカー部とクラブチームが公式戦の場で試合を重ねていけるチャンスがあるということは、非常に意義が大きいものと感じます。しかも、トーナメント戦の一発勝負の大会と異なり、長期間での戦い方や、引き分けもある勝負の駆け引きも必要になり、Jリーグ、そして世界を目指す若い世代には、格好の舞台となっているようです。また、クラブチームに所属していれば、第3種、つまり中学生の参加も可能であり、教育制度に縛られていた競技環境を変えている事実もあるのです。リーグは、各地域毎に、そのリーグ構成やタイトルの意味合いも異なります。ブロックによっては、天皇杯予選への出場条件となっている場合もあるようです。そして、プリンスリーグは、従来から行われていた全日本ユースサッカー選手権(U-18)大会への予選も兼ねているため、各ブロックの規定枠のチーム、合計で全20チームが全国大会へ進出します。そこに、クラブユース選手権、インターハイの上位2チームづつが加わり、24チームで優勝を争うことになります。毎年、年末年始に行われる全国高校サッカー選手権には、以前にスポンサーの担当者としての立場で関わった経緯がありますが、テレビの力もあり、素晴らしい大会であると思いました。しかし、全日本ユースのタイトルは、高校サッカー部だけではなく、全国の同じ世代の選手たちが一堂に会する場になっているので、タイトルとしての重みは、非常におおきなものになっていると感じます。高校チャンピオンという称号が“冬の選手権”では得られますが、プリンスリーグを土台にしている全日本ユースのタイトルは、真の日本チャンピオンということが言えるかもしれません。公式戦としての試合の場が、選手を育てていくということ、そして、そこで経験する数多くの勝利や敗北を、次の経験に活かせる機会が得られるというプリンスリーグの存在は、他のスポーツにも影響し、同じようなコンセプトで数多くの試合の場が作られていけば、日本のユース世代のスポーツ環境は、大きく変わってくるような気がします。ぜひ、他のスポーツにも取り入れて欲しいものです。 以前に取り上げたヨーロッパでのプロチームの年間試合数の多さは、単なる興行という枠を超えて、バスケットボールの質さえも高めているように感じました。スポーツは競争があるからこそ意味のあるものだ、と某スポーツメーカーの創始者は言っていました。競争は人を育てる、そして、競争は人の感情を豊かにする。日本のバスケットボール界にも、より多くの競争の場が生まれ、より切磋琢磨していける環境が作られることを望みます。
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posted by umekichihouse |06:35 |
バスケットボール |
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