2007年09月01日
アンチドーピングへの私見[6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
「我那覇選手が川崎Fのチームドクターに静脈注射の処方を受け、これが WADAのドーピング規定に抵触したという見解が下された」問題のその後の話と して、8月中旬から出ている件を、少しフォローしてみたいと思う。 医師側が Jリーグ側に対して出している要求 として、 処分撤回とドーピングコントロール委員会の委員全員の辞任を要求しているらしいが、 どういった着地点に辿り着くのか。 そして気になるのは、Jリーグ側と医師側との今後の関係が、しこりなく収まって いくのか? 医師、すなわちチームドクターの協力なくしては、Jのチームの運営に 支障をきたすと思うので、Jリーグ側もある程度考えた対応を迫られている。 ただ、「正当医療が、現場の医師に一任されたとして、その是非判断はどうすべきか」 「医師側は、何故早い段階で この主張をしなかったのか(したが黙殺されたのか?)」 「今後、このような事がないようにする為の、再発防止策を決めたのか?」など、 個人的には、医師側の主張が通ったとしても「不明瞭な点」があり、 今後、Jリーグ側と医師側が協力して やらねばならない事は多いと思う。
以前書いた記事に、Jリーグ(のドーピングコントロール委員会)側の「非」は ないのか?逆に、チームドクター側(と敢えて書く)の「非」はないのか? と 記したのだが、その後の経過として少し記す。 【コメントを頂き追加補足】 9/7 21:00 追加 ※リンク先に書いてある文章をそのまま書いている部分もあります。 「正しい記述かどうか」を判断するのは、読者の方々です。 おかしい部分もあると思いますので、その際には指摘願います。 (追加ここまで)
◇医師側が 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)へ見解を求めて、このケースを 世界反ドーピング機関(WADA)の規約では違反に当たらないと判断 (2007/8/12) ※JADAのHPにも8/8付ですが、Q&Aの形での回答があります。 Jリーグ側は、JADAの見解を一部受け入れる形で、規定解釈を変更。 正当な医療行為であるとの事前の認可申請が必要としていたのを、今後は 静脈注射を含めて現場の医師に一任する旨、各クラブに通達した。 しかし、Jリーグ側では我那覇選手への処分については「WADAと国際 サッカー連盟(FIFA)に報告し、了解を得たと理解している」として 取り消さない方針とした(今月の理事会でも改めて確認)。 ※ 直上のリンク先の記事は、8/24付の MSN毎日インタラクティブですが、 非常に判りやすく詳細を説明している、良い記事です。 この為か、Jリーグ31クラブのチームドクターで構成される連絡協議会が、 WADAの遠藤利明常任理事(前文部科学副大臣)を通じてWADAの考え方を 求めた所、世界反ドーピング機関(WADA)がドーピング違反には当たらない との見解を示した為、Jリーグ側は対応を迫られている。 (2007/8/30) ※この他、スポニチの記事 など有。 ただ、2007Jリーグドーピングコントロール要項 の第18条にあるように、 ※陰性/陽性の最終決定,ドーピングテスト手続の適正,選手・Jクラブ等に対して 科される制裁の内容・程度については,アンチ・ドーピング特別委員会において, 制裁の対象となる者に弁明の機会を与えた上で決定するものとし,ドーピング コントロール委員会の認定に対しては,その他に異議申立を行うことはできない ものとする. となっているので、Jリーグ側も要項の内容をひっくり返すような事は おいそれと しない事も考えられる為、シロクロの判断とは別に、処分撤回が なされるかどうか については、英断が必要となるだろう。 事実が明らかにされ、何が悪かったのか、今後どうやっていくのが望ましいのかと いう議論がされて、今後、我那覇選手のような例が出ない事を切実に望む。
◆アンチドーピングへの私見: 予告:アンチドーピングについて他 [1] :疑わしきは罰せられる / [2]:フェアプレー精神 [3]:ドーピングの歴史(紹介) / [4]:今後も続く「いたちごっこ」 [5]:ばっさりと。 / [6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
posted by uj_lovesoccer |21:33 |
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Re:アンチドーピングへの私見[6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
今晩は!
この件に関しては、読売にも3回にわたって解説があり、何となく実情がわかりました。
JチーグはWADAに加盟しているが、JADAに加盟していない。WADAに判断を求めたが、WADAは、原則、点滴注射を禁止している。
その理由は、通常の点滴溶液を注射することで、血液ドーピングや薬剤ドーピングによって生じる血液濃度を基準内に押さえることが世界的に横行しているため。
このような状況を考慮して、点滴注射は、極めて厳しい条件での医療行為としか認めていない。
我那覇の件は、ドピーング違反ではなく、規定されている医療行為の手続きミスとして、軽度な違反と判断。
事前届出をしたり、第3者医療機関の判断に基づくのであれば、全く問題ないということなんでしょうか。
クラブの医師団は、JADAに加盟しており、風邪や食欲不振の選手に対する点滴は、正当な医療行為
と解している。
医師団がJADAの組織に属するスポーツ裁判所に訴えても、JリーグはJADAに加盟していないので訴えが成立しない。
ここは、両者が、話し合いを重ねてルールを作り上げて行くしかないと。
__________
大まかに言えば、以上のような内容だったと思う。
分かってきたことは、日本では、医療行為として点滴注射が一般的であること。我々も、体調の悪いとき病院へ行けば、すぐに点滴してくれるが、欧米では、こういうのは過剰医療行為とみなされているのかも。
日本は保険制度が整備され費用負担も少ないことから医療過剰になる傾向もあるんでしょう。
そして、欧米では、食塩水の点滴注射が、もっぱらドーピングの血液濃度を薄めるための手段として利用されていること。
この点に関しては、日本は、そこまでドーピングに汚染されていないように思うのですが。
欧米と日本の間には、医療行為としての点滴注射に対する認識の差、そしてドーピングの汚染度の差があることで、話しが少しややこしくなっているように思う。
WADAの基準を杓子定規に適用するより、医師団が要望しているガイドラインを関係者でまとめたほうが、日本の現実に即しているような気がします。
posted by potato | 2007-09-01 23:39
>potato さん
コメントどうも有難うございます。
>WADAの基準を杓子定規に適用するより、医師団が要望しているガイドラインを
>関係者でまとめたほうが、日本の現実に即しているような気がします。
なかなか難しい判断になると思いますが、個人的に思うのは以下のような事です。
1)静脈注射という治療自体にどこまで正当性を認めるのか。
鬼武チェアマンが言っているように、経口で服用する事が出来る等、代替手段が
あるのなら「疑わしい行為はしない」という点で、処置を一任されたドクターが
取るべきだと思います。我那覇選手の件も、そう出来た筈だと思うのですが。
2)必要に応じて「正当な医療行為」かどうかをドクターが判断する為に、
緊急でお伺いを立てられる機関を、JADAと協力して設置しておくべきでは
ないかと思います。「医師に一任」といっても、ご指摘のように世界のアンチ
ドーピング規定と相反しかねない場合が、可能性としてあると思います。
その時に、チームドクターだけにその責任を負わせるのは問題ではないかとも。
3)日本の常識と世界の常識が違う事をもっと意識すべきではないでしょうか。
もちろん事情が違う事は考慮されて運営されるべきですが、それでは一旦世界に
出た時に、ご指摘のような世界との差(ドーピング汚染度が低く、静脈注射が
一般的な治療でも多用され、過剰医療気味)が意識されてないと、それこそ
ACLやアジアカップなどで痛い目に遭う可能性もあります。
4)Jリーグ側もチームドクター側も、意見を却下したり要求をぶつけるだけで
なく、ご指摘のように、我慢強く同じテーブルに座って議論を重ねて欲しい。
一番被害を被っているのは選手なのです。そして、いがみあっても互いに得は
まったくありません。ルールにのっとるのも大事でしょうけども、今後同じ問題を
引き起こさない為にも、互いの発展の為にも、感情論やルールに振り回されるので
なく、議論を重ねて良い方向へと事態を収拾させていって欲しいと思います。
posted by UJ | 2007-09-02 11:21
Re:アンチドーピングへの私見[6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
今回の件で、もう一つ分かり難いのは、我那覇とクラブに対する一千万円の罰金が、妥当なのかどうかです。
なぜ、軽度な手続きミスに一千万もの罰金がかかるのか理解できない。
また、なぜ、我那覇の件が問題になったのか、経緯は不明です。恐らく、クラブのドクターがJリーグへ事後報告したために物議を起こしたのだと推測。
それなら、今年になって、Jリーグの選手で医療行為で点滴注射を受けた選手は、我那覇以外はゼロだったのだろうか?
もし、病院で点滴を受けた選手がいたとしたら、事前にJリ‐グへ届け出していたのかどうか?
ルールがあれば、罰則があるのは当然ですが、罰則はケ―ス毎に明文化されておらなければならない。
一罰百戒とか、裁定者の主観的判断で罰則を決まることは、好ましいことではないと思う。
私は、俗に言うニンニク注射をドーピングだと勘違いしていた。(汗)
それで、我那覇の件は、問題があると思っていたが、WADAの判断では、点滴を血液濃度を薄め、ドーピングによる効果を「隠蔽」するものではなく、医療行為の事前届出の軽度なミスとの回答で、納得した。
ただ、今回のJリーグの罰則の重さは、なんだか我那覇がドーピング効果を薄めるために点滴したケースを想定しているようま気がしてならない。
残念なことは、川崎が一千万の罰金に対して、最初に何故ノーと言わなかったのか?
欧米の常識では考えられないこと。(私は、外国で何か起った時は、まずノーと言えと教えらていたもので…)
日本というか、東南アジアでは、夏の高音多湿な時期にサッカーをする。
この時、脱水症状や熱中症が起きやすいので、医療行為としての点滴の基準をはっきりしておいたほうが良いと思う。
また、届出は、当然、事後でも良いことにして、
もし曖昧なケースならクラブドクター以外の第3者の医療機関(医者)にゆだねることも一案。
勿論、不要不急なニンニク注射に賛成する気は、ありません。
なお、以上の内容は、新聞記事や私の推測で書いています。
従って、個人的な意見であることをお断りしておきます。
posted by potato | 2007-09-02 19:43
>potato さん(アンチドーピング)
コメントどうも有難うございます。
我那覇には6試合の出場停止処分、川崎Fには一千万円の罰金という処分でしたが、静脈注射自体がこれまでお話頂いた理由で以前より「ドーピング規定」に抵触する行為であり、Jリーグ側の判断は「軽度なミス」という認識ではないと思います。
ややこしいのは、ご承知のように(私が理解している経緯では)
1)JリーグはFIFA規定に従うと明文化、
2)FIFAと国際ドーピング連盟(WADA)とはこれまで仲が悪く、
2006年にやっと和解して、FIFAはWADA規定に従うとした。
3)この為、これまでJADAにも加盟せず独自ルールでやってきたJリーグが
2007年シーズンから「WADA(=FIFA)規定に従う」とした 点にあります。
この為、2006年末には「ニンニク注射」を横浜FCがやっている事が話題になっても、Jリーグ側はお咎めなし(警告位はしたかもしれませんが)、明けて2007年にルール改正があって、Jリーグも一応、クラブに文書を回覧し説明会を開いたそうですが、それが選手にまで徹底されておらず、我那覇選手が(医師の処置後に)マスコミのインタビューに「ニンニク注射しました」と答えた事が記事になり、今回のような状況になっています。
状況からすれば(ドクターの判断に一任されるというWADA解釈が、最初から関係者に行き渡っていれば)、関係者全員が「正確に理解し運営できていなかった」点が大変問題だと思います。川崎Fのドクターですら本当に最初からWADA規定を理解して静脈注射を行なったのか、個人的には疑問があります。
また、クラブには選手やチームドクターの「監督不行き届き」という点からの罰金制裁だと思われますが、日本的な判断を差し引いても(経緯からして)1千万円単位の罰金は(どこに罰金がいくのか判りませんが)止むを得ない気がします。おそらく過去の欧州の例などから決めたのでしょうが。
>それなら、今年になって、Jリーグの選手で医療行為で点滴注射を受けた選手は、
>我那覇以外はゼロだったのだろうか?
>もし、病院で点滴を受けた選手がいたとしたら、事前にJリ‐グへ届け出していた
>のかどうか?
これは「グレーゾーン」です。もちろん昨年と今年との違いを理解して、いわゆる「ニンニク注射」をやっていなかった選手もいるでしょうし、判断が甘く勝手にしていたケースもあるでしょう。問題は、多くの関係者が「静脈注射をした事が公に出れば(今年から)どうなるかが理解できていなかったようにみえる」事にあります。従ってルール・処罰もJリーグやドーピングコントロール委員会等が最初から明文化できておらず、後追い対応になっています。
個人的には「風邪薬すら気をつけて飲まないと(その成分が)ドーピング検査にかかる」ような過酷な管理をしている現在のアスリート達を支える人達が、もっと理解・支援すべき事項があると思います。そして「静脈注射」は可能な限り避ける(代替法を考える)事が、ドクターの仕事だと思います。他の競技では、こういった行為の事後届出では「不可=失格」になりますので、サッカーだけが特別扱いされるのはいかがなものかと思います。
posted by UJ | 2007-09-03 09:16
Re:アンチドーピングへの私見[6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
さ、さ、先を越されました!!
Jの見解は、WADAのルールに則って出されたものですから、当然謝罪なり、ガナハ選手やチームドクターに対するリアクションはあってもよさそうですが、今のところないようです。
元はと言えば、こういう問題を違う組織にマル投げしていたことが原因だと思います。
倫理基準さえ明確にない、ドーピング委員会などは「ハリボテ」に過ぎず、真摯に仕事に取り組み選手を守ろうとしている、Jのチームドクター達の怒りはごもっともだと僕は思っています。
ガナハ選手と、川崎のチームドクターの名誉が一刻もはやく回復されることを望み、
倫理に反しない基準を、はやくJリーグ全体で共有出来ることを望んでいます。
珍しくテーマがかぶったようですが、僕よりも詳しい人が書いてくれて勝手に安心しています。(君は、どんな立場??はナシで・・・)
残念ながら、現在のアスリートを巡る状況では、詳しく、厳格なルールと線引きがされるほかないようですが、それとは別に選手と競技を守る倫理基準も明確にして欲しいと思います。
posted by モ-リー | 2007-09-04 13:52
>モーリーさん
コメントどうもです。どんな立場??(笑)
(吊られたコメントレスで失礼します)
モーリーさんのお考えと、私の個人的な考えは(当たり前かもしれませんが)若干ズレがあると思いますので、書いて頂いても大丈夫だと思いますよ^^ Jリーグ側もドーピングに関して詳しい専門知識がある訳ではないと思うので(私もですが・・・)なかなか運営は難しいものだと思いますが、関係者の利害が対立して困る方々が出てしまわない事を懸念しています。問題があったからには、何かの原因と責任が問われるのでしょうが、今後「選手と競技を守る」には、選手もある程度の自己武装が必要です。我那覇選手の例では、自己武装が出来てなかった点でマスコミの餌食となったのだと思ってます・・・フライデーされるのとは訳が全然違いますので・・・
選手と競技を守る倫理基準が、アンチ・ドーピング活動だと思ってますので、その本当の理解を(私もそうですが)より深めていかないといけないのだと思います。
posted by UJ | 2007-09-04 19:59
Re:アンチドーピングへの私見[6]:我那覇問題の着地点とJリーグ/医師の今後の関係は?
お久しぶりです。ちょっと指摘を一つ・・・WADAやJADAはTUEに関しては不要だったと言っているだけで、我那覇選手がシロだったとは言っていません。これはマスコミの誤解です。
TUEのあるなしで、ドーピング違反をしたと裁定するならばダメですよと言っているだけです。
Jリーグ側が問題視しているのは、ちょっと違うので・・・ずれているんですよね。
なんか、医師側とJリーグの意見も噛み合っていないし、本来、動くべき川崎Fは何故動かないのか?
不明な点が多すぎますね。
posted by う~ん | 2007-09-07 11:25
>う~ん さん
コメントどうも有難うございます。お久しぶりです。覚えております。
>TUEのあるなしで、ドーピング違反をしたと裁定するならばダメですよと言っているだけです。
今回も正しい指摘をいただき、有り難く思っています。シロとかクロとかいう(マスコミの)「決めつけたい」論理は、事実の前には全く無力だと思います。私も「どう理解すべきか」もっと理解を深めないといけないと思ってます。
そして、本当に理解し難いのは、関係者の行動・・・他人事ですかね?終わったことなら、もう水に流して、という事でしょうか・・・切り替えの早さはサッカーの攻守では求められますが、執着心も同時に求められます。そして何より、Jリーグと医師側が協力して、今後「正しい運営」を協議しないと、今後も似た問題が起きかねないと思うのは老婆心でしょうか・・・
posted by UJ | 2007-09-07 21:00


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