2007年01月30日

フィジカルの罠1:フィジコは代表に必要か?

前振りとして、前回は(も?)中身がない記事を書いてしまいましたが、
現在、「フィジカル・オタク」となって、知識を集めております。

Webも刊行本も、手当たり次第に集めて考えておりますが、その際に、
もちろん個人の取捨選択・判断が入るので、恣意性がある事は否定しません。

読んでいただいている方も、フィジカルという非常に曖昧・広範囲を指す知識
について「こう教えられた事がある」「こう聞いた」という事が、
大なり小なり、おありなのではないでしょうか。

それは、正しい知識を持った方からお伺いした事であれば、その局面では
「一面の真理」であるのでしょうが、正確に理解されていても、
一種の「罠」に陥りがちな可能性がある と、個人的には思います。

以前の記事でご紹介した、「菅野コーチのジュビロ熱血宣言」 は、
相当ボリュームがあって全部を読みきれていないのですが、代わりという事で、
強くなるためのサッカーフィジカルトレーニング(菅野淳・星川佳広共著)
を、本として購入して、読んでみました。

内容に関しては、非常に判りやすく書かれており、読む対象をサッカー関係者と
考えておられるのか、普段から気になりそうなテーマをQ&A方式で書かれて
いるのが良かったと思います。
(答えが端的にまとめて、最初に書いてあるので横着モノでも読める!)

が、フィジカルに関して、この本でいう所のそれが、最初に定義されていましたが、
「肉体に関するもの」として、戦術・技術・メンタル以外の要素という形で、
やはり曖昧な感じがしました。

ただ、フィジカルコーチ(フィジコ) の役割についての総合的な観点から
書かれているので、
(肉体面で)「試合で最大限の力を発揮させるのが役割」という事、
そして、体格・運動能力というフィジカルの両側面に関して、体格面で劣るのを
運動能力の優れた面(この本ではスタミナ・敏捷性と書いてある)でカバーし、
体格=パワーで負けないようトレーニングをして補うべきとの事です。

こういう考え方が、それこそ以前から耳タコ・刷り込みで入っている事について、
そして、日本が世界で戦う上での方向性としてある点については、
今更取り上げるほどの事ではないでしょう。

しかし、方法論が何かしっくりきません。というか、正直、賛成しがたいのです。
「背が低い選手は、背が低いことを特長にしてがんばればよいのです。」
「どうすれば、背が低い事が特長となるのかを、よく考えるところから
はじめましょう」
というのでは、(個人差があるからなのかもしれませんが)絶望感を感じます。
(一般に書かれている本なので、これが代表選手にも同じ姿勢であるのか、
 という点は定かでなく、やや的外れな話をしているかもしれません)

オシム監督は、昨年末に、フィジコを代表に置かない事を決定しました。
これは、オフトやトルシエの時にも、そうであったようです。
何故なのかについては、JFAの小野さんが「オシム監督がトレーニングの中で
どんどんフィジカルを織り込んでやっていくことになる」という旨を話しています。

これも、果たして正しいのでしょうか。本音は、おそらく
「フィジカル・トレーニングは、クラブでやって来い」という事なのでしょう。
あるいは、上記のような事を考えると、邪推の域を出ませんが、
日本で得られるフィジコの質に、何か不満があるのかもしれません。
(必要な状況になれば、外部から臨時で雇ってくるのでしょうか?)

フィジカル・コンディションを上げるために必要な方法論は、
例えば、給水のタイミングや負荷のかけ方などは、フィジコの力でなく
選手各々や監督・フィジコ以外のコーチが、ベースとして持っていなければ
ならないという姿勢なのでしょう。代表ともなれば。

ただ、その状況で7月からのアジアカップを戦う事については、本当に良いのか?
事前にチェックし、状態の良い選手のみを使うつもりなのかもしれませんが、
現地での落とし穴(罠)に はまらないでしょうか?  
まさか「(そうなっても)それも良い経験」で終わらせるつもりではないでしょう。

そこで、皆さんのご意見を聞いてみたくなりました。
(ん? この流れは、パクリになってます?)

個人的には「代表には(常時の)フィジコは 不要」の感を持っています。

欧州出身の代表監督と似た考え、という事です。そして、それは事前に判って
いる事があれば、事前に手を打てば良いのではないかと。

ただ、気になる点があります。
オシムのフィジカル・トレーニングとは、千葉での方法を踏襲するのでしょうか?
(これには、私見ながら賛否両論あると思います)

そして、ベトナム(あるいは他開催国)でのフィジカル・コンディションの
維持は、フィジコ不要でも 良いのでしょうか?
(欧州チームの考え方が、アジアの気候では通用しなかったのが、
 2002年の日韓ワールドカップの教訓ではなかったのでしょうか?)

そう考えると、正直な所、何か手を打つ必要があると思うのですが。


◆フィジカルの罠:
    正しい知識とは?(前振り)1:フィジコは代表に必要か? 
    2:日本人の姿勢と高レベルの1対13:体格差の問題を真正面から受け止める
    4:からだで響きあう「何か」を求めて5:動きの不条理さ
    6:卵が先か鶏が先か7:若年世代にフィジカルは不要?
    8:コメッティ理論の謎?9:足が速くなるのは何故?
    10:サムライトレーニング

posted by uj_lovesoccer |22:55 | サカテク(フィジカル) | コメント(4) | トラックバック(0)
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Re:フィジカルの罠1:フィジコは代表に必要か?

僕も必要だと考えます。今回のアジアカップについては、オシムはインド遠征なんかでもシェフを帯同させなかったりしてますから真意は測りかねます。邪推ですが、より厳しい環境を体験させようと思っているのではないでしょうか?
オシムはジェフ時代に練習の前に選手のフィジカルコンディション(コーチが分析した物)をチェックしていたみたいですから、コーチが不要と考えているわけではないと思います。合宿が組めるような時には、必ず呼ぶはずです。いや、多分・・・

posted by モ-リー | 2007-01-31 20:52

Re:フィジカルの罠1:フィジコは代表に必要か?

モーリーさん、コメントどうも有難うございます。
おっしゃる通り、東欧諸国から見れば過保護とも言える代表選手を取り巻く状況が、オシムの目に余るのかもしれませんね。
「イビチャ・オシムの真実」では、コメント頂いたように千葉のサッカーを取り巻く環境に感心しておられたようですから、それこそ選手側に普段から「考える事」を徹底させたいのでしょうか、アジアカップの期間中のフィジカルコンディション維持についても。
元々、欧州の選手はプロならばコンディション維持等の意識が高い事が前提なのでしょうが、それだけで対応しきれない環境の厳しさが、アジア・カップにはあるように思えて仕方ないのですが。コーチの誰か、あるいは経験者がオシムに助言して欲しいと思います。

posted by UJ | 2007-02-01 05:50

Re:フィジカルの罠1:フィジコは代表に必要か?

初めてコメントさせていただきます。
素人考えなのですが、私はイビチャ・オシム日本代表監督の決定に賛同する考えを持っています。
理由としては、やはり今のオシム監督の今のやり方に適合していると感じるからです。
具体的には、
「自分のフィジカルを作り、守るのは、結局のところ自分自身の責任である」
「考えながら戦うのは選手だけの役割ではない。スタッフも自分の肩書きに依存して思考停止し責任を他所に押し付けるような事があってはならない」
というような哲学(?)のようなものが忖度できるからです。
管理人さんのおしゃっているとおり、フィジカルという言葉はあまりに広範で曖昧すぎる(少なくとも我々日本人の多くにとっては)ために、「フィジカルコーチ」という肩書きのあるべき姿(責任や権限範囲など)も曖昧模糊としたものであり、またマスコミやファンに無用な誤解を与えるものになってしまうような気がします。
「フィジコに任せて知らん振り」なんてスタッフが現実にいるとは思えませんが、日本の組織人には「仲間の顔を立てて、あえて口に出さない」風土がありますから、あえて肩書きとしての「フィジカルコーチ」を廃した(保険のような意味で)ような印象を受けています。
遠征の環境対策なんて、一人の専門家に任せるような問題じゃないと思いますし、やはりそういうところは監督自信が責任を持って、音頭をとりながらスタッフ全員で(チームとして)やって行くのではないか?と期待しています。

posted by Tadahide | 2007-02-01 16:02

Re:フィジカルの罠1:フィジコは代表に必要か?

Tadahideさん、初めまして。コメントどうも有難うございます。

おっしゃる意味、とても明確でよく判り、感心しました。大仰かもしれませんが、オシム監督の哲学・生き様がフィジコ廃止という判断にも現れているのだなぁと思いました。ただ、個人的な意見なのですが、オシムの崇高な考えが日本選手・スタッフの全般にいきわたっているのかとか、あるいは「罠」と書いたように、アジアカップが開催される4カ国の7月という厳しい気候が予想される時期で、現場でのコンディション面での不測の事態が起こる可能性を考えた時に、万全を尽くしてもいいのではないかなぁと。

もちろん、オシムさんの「リスクを冒して選手の成長・自立を促す」という考えは、長期的に見て大変良い事だと思います。が、心配しているのは、オシムさん以外の人間が、特に協会や心無い批判を浴びせる方々が、今回のアジアカップの目標設定を高く上げてしまった時に、不測の事態が万一起こってしまうと、それを叩かれたりしないかなぁというネガティブな方向の考えもあって。杞憂に終われば良いのですが。

posted by UJ | 2007-02-01 23:25

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